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 第二 「お父さんは夜中に来なくなったの。あの呻くような声が聞けなくて、寂しかった」

本表紙 酒井あゆみ 著

「お父さんは夜中に来なくなったの。あの呻くような声が聞けなくて、寂しかった」

 坂本 佑子 19歳/静岡県出身
 主婦。月曜日から水曜日まで新宿のイメクラへ行き。木曜日から土曜日まで吉原のソープに行っている。体型がそのまま出るジャイロのスーツや、アルバーローザ系の洋服が好きで、いつも胸の谷間を見せて歩いている。17歳で結婚し、現在は離婚調停中。今付き合って彼氏は上野でホストをやっている。このごろ好きになる男は、いつもホストだとか。夜の月収は、150万くらい。

 私って、男とどんなに仲良くなっても、本当のことが言えないの。きっと心のどこかでこの人が分かるわけがないって、壁を作っちゃうんだ。だから付き合ってる男と喧嘩になる原因って、毎回私の嘘がばれたとき。後になっていつも落ち込むんだけど、私、嘘つくときっ無意識にそうしちゃうの。本当は嘘をつく必要なんて全然なかったにさ、嘘ついちゃう。

 でもバカだから、いつも最後には辻褄が合わなくてなって喧嘩になる。あ、でも、ところどころは本当のことを言っているんだよ。それで気づいたら嘘が口からベラベラ出ちゃっている。だから私にとって風俗って天職だよ。嘘がつけなきゃこの商売やってられないんじゃん。

 こうみえても私、すっごく厳しい家で育ったのね。門限なんか、結婚するまで夕方の六時だったし、泊まりなんてもちろんダメ。両親は塗装関係の会社をやってて、特別堅い仕事をやっている人じゃないのに、女の子が兄弟の中で一人だったというのもあったのかも知れないけど、異常に厳しかった。腰まで伸ばした髪の毛も、いつもおさげにしなくちゃ怒られたし。

 でも、私のこと大切にしてくれたと思う。中学に入学して、何でかわからないけど、すっごくイジメられたんだ。最初は先輩に目をつけられただけだったんだけど、一学期が終わるころには、同級生の女の子や、面白がって男の子も一緒になって私のことをイジメては。ハサミで髪毛を切られるなんて、まだ可愛かったと思うよ。そういえば、しまいには先生まで参加していたなあ。だから二学期が始まる前に、親に、学校でイジメられるから行きたくないって言ったの。親も子供の喧嘩だから、そのうち学校へ行くだろうって思ったかもしれしないけど、「行きたくなかったら、行かなくてもいい。でもその代わり、何もしないとボケちゃうから、家のことはちゃんとしなさい」って言ってくれた。

 その日から、家の中の掃除や洗濯、みんな食事の用意とかぜんぶやったよ。確かに、同年代の友達と外で遊べないからつまんないんだけど、その反面すごく充実していたと思う。なんか規則正しい生活しているなって感じ。それで少し経ってから、コンビニのローソンでバイトを始めたの。時給六百五十円だったけど、やっぱり若かったから外に出たかったんだと思うな。それにお洒落もしたいしね。だって、月に一万円ぐらいしかお小遣いくれなかったんだもん。「何々を買うのに必要だから」って言っても、ぜんぜんくれなかった。「私の年だったら、充分なお金のはずだ」って言って。

 それで真面目に働いてお金を稼ごうって思うけど、いつも無断欠勤、遅刻とかで、なぜか働かなくなっちゃう。だから、いろんなバイトしたなあ。親の知り合いの居酒屋とか、ファミレスとか。でも、どの仕事もいつの間にか行かなくなっていた。特別何をされたって言うわけじゃないけど、人間と接するのが怖いっていうか。そういえば、自閉症って病気にもなった。自分では何とも思っていなかったんだけど、母親が一生懸命「病院に行こう」って言うから行ったの、後で気づいたら、精神科ってところだったんだよ。

 それでまた、元どおり家の中で家事や掃除する生活に戻ったんだけど、その頃から、なんか父親がやけに優しくなってきたの。まあ、私にとっては二人目のお父さんだったからさ、最初はイジメられて学校へも行かなくて自閉症にもなった私のことを、心配してくれてんなあって思っていたから嬉しかった。だって、お父さんって家に帰ってきても、いつもムッッリで、ほとんど喋らない人だったから。

 でも、何か違うなあって思い始めたのが十五歳のとき、私が風呂に入るたびに「新しいタオルを置いておくぞ」って入ってくる。べつに脱衣所を開けるくらいだったらいいけど、浴室のドアを開けて言うようになった。開けられると、やっぱり年頃の女の子だから私もムッときちゃって、「聞こえているよ」って怒っちゃったの。それからお風呂に入ってこなくなったんだけど、今度は私の部屋に来るようになった。最初はドアを開けて、私が眠ってることを確かめるくらいだったんだけど、そのうち頭をなでたり、お布団に入ってくるようになった。でもそのときは、この人なりの愛情表現なのかなあって思っていたの。それにはやっぱり嬉しいものがあった。だって、一人目のお父さんのときは、一緒に寝ることなんてなかったからさ。ドラマとかで見る、お父さんと一緒に眠るのってこういう感じなのかなあって感じていた。

 でも、その次は胸を触り始めたの。私の胸の発育だけはみんなより早くて、お母さんと一緒に大人用の下着売り場で探さなくちゃ入るブラジャーがなかったの。やっと合うブラジャーがあっても、レースも何もついていなくて、ぜんぜん可愛くなかった。だから私にとって、胸の大きいことはコンプレックスだったのね。「なんで私の胸ってこんなに大きくなっちゃったんだろう?」って。だから、そのコンプレックスの胸を触り始めたときって、何よりも先に恥ずかしいと思った。それから、声出しちゃいけないんだって、なんか使命感にも似た気持ちで、ずっと息をするのも気を使ってた。そこからあんまり覚えていない。

 ただ、すごく覚えているのは、お父さんのアソコってすごく痛かったなあってこと。それから何日間かは、自分のアソコにまだ何か入っているみたいで、家の中を歩くのも自然に歩けなかったもの。なんか自分が変な感じ。うーん、なんて言っていいかわかんないんだけど、アソコだけが自分の体じゃないみたいな感じだった。それで次の朝、みんながいつも通りに家を出て行って、お婆ちゃんと私だけになったとき、汗かいたって言ってお風呂に入ったんだ。ずっと長い時間お湯に浸かってて、ボディシャンプーをしこたまつけたタオルで赤くなるくらい体をこすったよ。頭の中は真っ白で、何も考えることができなかった。でもなぜか、自分のアソコだけは、恐くて洗うことも触ることもできなかった。だから、せめてと思って、二時間くらいお湯の中に浸かっていたと思う。

 それから、お父さんとそんなことが続いて、私のアソコも最初ほど痛みを感じなくなってた。三回目のときかなあ、初めてお父さんの硬直したペニスを暗闇の中で見ちゃったの。すごく黒くて、グロかった。うわぁ、これが入っちゃうんだって、びっくりした。お風呂上がりの弟のとか見ていたから、男の子のペニスの形ってこんなんだなあって分かってたけど、そのときのお父さんのは「生き物」だと思った。

 お父さんは、いつもことが済むと、私のパジャマのボタンをちゃんと全部しめて、お布団を肩までかけてくれて出ていくの。でもそれからしばらくして、生まれて初めての生理がきたのね。そのときはやっと十六歳の誕生日が少し過ぎた頃かなあ。小学校で生理が来ていた子もいたから、私、正直いって少し焦ってたの。だから、きたときは、やっと来たって感じで嬉しかった。すぐに母親に言って、生理用のパンツとナプキンを買いにいってもらった。でもそれを機に、お父さんは夜中、私の部屋にぱたっと来なくなったの。あの呻くような声を聞けなくなって、一年前のむっつりした声で「飯」「風呂」とお母さんに言う声しか聴けなくなった。私、なんか悪いことをしたのかなあって、寂しい気持ちになった。

 でも、すんごく仲のいいお母さんにも、あのことは言えなかった。言ったらすごいことになりそうだって、なんとなく分かっていたから。それにお母さんに隠し事しているって罪悪感が辛かった。だからだんだん家にいたくなかったの。今の旦那にナンパされて付き合うようになったのもそのころ。私が欲しいと言ったものをなんで買ってくれたのもあったけど、早く家を出て一人で暮らしたいと思っていたから。だからその男のところへ転がり込んじゃえって思った。修学旅行で使っていた少し大きめのバッグに洋服とか詰めて家を出ちゃったの。親には彼の家に着いてから手紙を出せばいいやって思って。

 でも、意を決して家を出たまだはよかったんだけど、駅で母親にとっ捕まっちゃってさ、荷物は取られたけど、幸い切符だけは取られなかったけど、そのまま電車に飛び乗って彼の部屋まで行ったの。そうしたら両親が、その日の夜に彼の部屋まで来ちゃった。取られた荷物の中に、出すつもりの手紙があって、そこに住所とか書いてあるから、分かるのが当たり前なんだけどさ。

 それでその場で話が始まって、お父さんは「同棲するなら結婚しなくちゃ駄目だ。同棲して子供ができて、できちゃった結婚なんて世間体が悪すぎる」って言うの。今の時代に何を言っているんだと思うけど、それが私の親なのね。「あ~あ、これで男は逃げるな」って思ったら、男は、「それじゃ籍を入れます」って隣で言っているからびっくりしたわ。

 外見は金髪のロン毛で、肌は真っ黒に焼いているから、どう見ても軽いサーファー兄ちゃんなのに、意外としっかりしたのかもね。確かに、その男って十八歳のときから床張りの職人として独り立ちしてて、二十一歳にして月収四十万円ももらってるような男だからさ、根はやっぱり真面目だったのよ。それと親が警察庁に勤めてたのがあるかも知んない。それで、それから三日後には区役所に行って籍を入れたの。区役所には両親と彼と私の四人で行った。でも結婚式は、私が十八歳になるのを待って挙げようということになったの。親が「まだ普通だったら高校に行っている年に、結婚式を挙げたら世間体が悪すぎる。式の費用はちゃんと全部出してあげるから、待ちなさい」って言うからさ。

 それから私、毎日四時半に起きて旦那の弁当を作って、六時には送り出すって生活をしていたの。でもね、三ヶ月くらいで別れたくてしょうがなかった。だって私。結婚したいってわけじゃなくて、ただ同棲ってものをしたかっただけなんだから。それに、その男は結婚して一ヶ月もたたないうちに浮気したんだ。一ミリのずれも許されない床職人って、特殊な技術らしくて、地方まで出張っていうのがあったの。それで一ヶ月くらい出張に行っていて、帰ってきたら、オチンチンの首のところに、赤や白のつぶつぶができていたの。私そういうのよく知らなかったけど、それでもおかしいと思った。でも一ヶ月ぶりだったかエッチしちゃったのね。そしたら私もコンジロームって性病を移されちゃったのよ。結局、外で浮気してたのよね。だから私もナンパされに、夜になると出歩くようになったわけ。

 だから式を挙げる頃にはさ、私は違う男の人を好きになってたんだ。結婚式は、白、赤、青のドレス、白無垢と、四回もお色直しして、親族やお父さんの会社の人たちとか、合わせて百人くらいの人を呼んで盛大なものだったけど、肝心の私の心の中は、この男と今すぐでも別れたくてしょうがなかった。そんな私の気持ちをぜんぜん分りもせず、両親は早く初孫を見せろってうるさかったなあ。

 でもその頃は、旦那の体がだんだんおかしくなってきたの。どんどん青白くなってくし、髪の毛もボロボロ抜けていくし。多分どっか悪くなってたんだと思う。そのうち寝込んじゃって、仕事にも行けなくなっちゃった。ついには病院に行くお金もなくなっちゃったんだけど、そんな旦那をみてても、ちっとも可哀想とは思わなかった。だってこの男は出張だっていって平気で浮気して、性病を持ってくるような男だからさ。

結局、式を挙げてから二ヶ月もしないうちに、別居することにしたの。というか、私が実家に戻りたいって出てきちゃった。でも実家には二日ぐらいかな。両親がバッイチの娘は家に置けないって言ってね。「まだ籍を抜いていないから。バッイチじゃないんだけど」って反論しても、そんなことはあの両親には通用しないよ。それですぐに、母親の妹である叔母の家に、居候する羽目になってしまったの。

 それから狂ったように、私は周りに反発するようになったなあ。今まで溜めて溜めて我慢してきたことが、一挙に爆発したのかも知れない。なんで私ばっかり、周りの人の言いなりになんなくちゃいけないのって。当然、その叔母の家も三ヶ月で追い出されたの。それで実家にずっといてお父さんの顔を見ているのも嫌いだったか、街でスカウトされたクラブに行き始めたの。時給千七百円で、自分にとってはすごくいい時給だったし。

 お水をやり始めた私を、母親はすぐに許してくれた。でも、家のことをやってから行きなさいと言うからさ、部屋の掃除とか、洗濯とか、ご飯の支度とかちゃんとやったよ。私としてはお金を貯めてひとり暮らしをしたいと思っていたから、一生懸命働いたね。そのお店のナンバーワンの女の子ってのが、自分より年下の娘だったことも悔しかったし。でも、やっぱり無断欠勤、遅刻とかで、月に二十万あるはずの収入が、その無断欠勤とか遅刻とかの罰金で引かれて、結局七万円くらいしか残んないの。相変わらず、人間関係が嫌だったこともあったんだけど、いちばんは一目でお水ってわかるスーツを着て歩くのが恥ずかしかったんだよ。だから頑張ろうと思っても、体が思うようについて行かなかったんじゃないかなあ。

 それでまた別の店に移ったの。それでさ、そのとき好きになった男と同棲としようと思って、親のコネで彼の家の近くにアパートを借りたんだけど、私、三ヶ月くらいで赤ちゃんができちゃったんだよ。でも、その男の人って、五年間も一緒に同棲している彼女がいたのね。それに、今まで四回も中絶させてて、二度と子供ができない体にしちゃってたんだ。それでも私は、妊娠したってちゃんと言ったの。でも男は、その彼女のことが捨てられないからって、堕胎してくれって土下座されたんだよね。

 でもさ、その男のことは今でも好きだよ。だって世の中のいろんなことを、教えてくれたからさ。ビリヤードやボウリング、お酒の飲み方、人との付き合い方のコツとか、すっごく頭のいい男で、頭脳系のゲームは特にうまかった。だから、いまだに他の男とはゲームセンに行かない。だって忘れようとしているのに、思いだしちゃいそうだからさ。

 でも、子供ができたときは本当にうれしかったな。好きな男の子供ができると、こんなに嬉しいもんなんだって思った。だから妊娠が分かったときには、この男となんとか結婚して、子供を産みたくて仕方なかったの。でもさ、そのとき私は旦那と別居中というだけで、戸籍上はまだ夫婦だったからさ、なんか方法はないかって区役所に行っていろいろ調べたの。それでね、調べてるときに戸籍抄本を見たらさ。私の欄に「養女」って書いてあるんだよ。私さ、養女なんだよ。でも分かったときにはショックっていうよりも「ああ、これでいつでも他人になれるんだ」って安心した。なんでかな? すっごくホットしたのを覚えている。

 それからしばらくの間は、お水をやって暮らしてたんだけど、近くにその男がいると会いたくなっちゃうでしょ。だから引っ越したくて仕方なかった。それである日、新宿に遊びに行ったら、スカウトの男の子に声をかけられたの。最初は水商売か何かのクラブの勧誘かとおもったけど、話を聞くうちに「風俗」って分かった。だから私が「風俗の人?」って聞いたの。そしたら素直に「ウン」って答えて、その答え方が何か信用できるって思ってOKしちゃったの。そのときは引っ越ししたくてしょうがなかったし、体を売る抵抗うんぬんよりも、今の状況から早く逃げ出したかったんだと思う。

 それでその日のうちに風俗誌に出す宣伝用の写真を撮られて、そのまま仕事にして八万五千円もらった。そりゃあ恥ずかしかったよ。知らない男の前で、裸になるんだからさ。でも初日で、しかも午後三時半ぐらいから夜の十一時までいて、八時間ちょっと働いて、八万五千円でしょ。時給一万円と同じだから、もうこれはやるしかないって思った。

 その店の近くに寮があったの。「今日からでも住めるよ」っていうから、その日から「住みます」って言って、今でも住んでいる。荷物なんて洋服だけだから、実家に電話して「この部屋を出て、違うところに住むから荷物片付けておいて」とだけ言って、行き先は告げなかった。だって、言ったらまた連れ戻されるでしょ。それから働きだしたんだけど、店の看板として、いろんな風俗誌に顔をバンバン出されちゃったの。初日に取材された写真は、今でも店の公告として使われているよ。店長には「私、親にバレると本当に殺されちゃうよ。ほんとヤバイから」って何度も言ったんだけど、風俗誌に出れば指名のお客さんもバンバン来るし、店から二ページのグラビアに出るだけで三十万もらったし、他の女の子よりも可愛がられているからいいかなって。

 でも、いいことばかりじゃないよね。やっぱり親にバレた。ある日、店長が「近くの喫茶店に行って」とだけ言ったの。何かの取材だろうって思ってさ、何の疑いもなしに行ったんだ。そしたら見たことあるオバさんがいるなあって、それが母親だったってわけ。いろいろ話をしたけど「絶対戻らない」って言ったら、母親は「体だけは気をつけてね」とだけ言って帰っていった。たぶん私のきかない性格を知ってるからじゃないかな。父親には本当のこと言っていないみたい。父親が知った日には、私のことを殺しちゃうよ。そのことは、母親も分かっているみたいで、父親にはまだお水だって言っているみたい。

 今は離婚するのに、旦那との闘いに燃えている。これは後から分かったことなんだけど、旦那が今回同棲している十五歳の女の子が妊娠して子供が生まれそうなんだって。逆算してくと、別居前にできている計算になるんだよねえ。母親も私もそれで怒って、慰謝料、最低でも五十万円は欲しいと言ってる。今度、本格的な裁判をやるみたい。まあ、結婚なんかしたくなかった私を結婚させたのは親だからさ、頑張ってもらうしかないよね。

 今はもっと効率よく稼げる、吉原のソープにも行ってるんだ。本当はソープ一本に絞りたいんだけど、今いる寮は新宿のイメクラの寮だからさ、それにマスコミにもいっぱい出ているから、まだ指名の客が来るしさ。あ、でも、吉原でもマスコミに出てるの、だってマスコミに出るだけで、客のバックが他の女子と二千円違うから。二千円って、でかいよ。だって五人ついたら一万円違うんだから。どうせ親にバレてるんだから、出なくちゃ損だよねえ。

 今付き合っている男って、上野でホストやっているの。マスコミにもテレビにも出ているんだよ。私って、今まで有名なホストとほとんど付き合ってきたの。店の女の子は「ホストはやめなよ」って言われるんだけど、なんか楽なのよね。まあ、喧嘩はしょっちゅうだし、殴られるのもしょっちゅうだけど。一般の男とは付き合う気がしないな。だって、みんな二股、浮気、不倫とか、全部自分のエゴだけじゃん。そのエゴを正当化してて、なんかすごく汚いし、ずるい。その点、ホストは正当化しないし、他の女と寝るのだって商売だし、ぜんぜん綺麗だと私は思っている。それに何より、全部、自分を見せて理解してくれるしね。だって、自分たちも同じ業界だから偏見の目で見ないでしょ。

 でも、なんでみんなすぐに別れちゃうんだろう? いつも喧嘩別れ。まあ、お互い分かっているふりをしているだけで、心のどこかでは、お互いをバカにし合ってるのがみえちゃうのかなあ。今もね、付き合っているホストと別れ話が出ているの。ピッ、ピッ、ピッ。あっ、この電話がそうだと思う。やだなぁ。また殴られるんだろうなあ。ピッ。

「もしもし。あ、わかった。今から行くからさ。うん、うん。わかっている。分かってるから…‥」

第三 「私、二回目のセックスで、もうイクことを覚えちゃったんです」

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