著書 河野美代子
無月経・月経痛・タンポン
半年も月経がなくて心配
Q 私はここ半年、生理が来ません。妊娠なんかしていないし、体もどこも悪くありません。不安になって一度病院で診てもらいましたが、貰った薬を毎日飲んでいてもやっぱり生理が来ないのです。どうすれば生理が来るようになるのか教えてください。もしかしたら、これは子宮がんの一種ではないでしょうか?とても不安です。
(高3/LIN)
無月経は半年が限度、放っておかず治療を
A LINさん、半年も月経が来ないのですね。あなたの年齢では、そろそろ月経も規則的になってもいい頃です。でも、なにも毎月、きちんと計ったように来なければならないものではありません。
特に女性の排卵、月経、妊娠などはとても微妙なホルモンによって起こります。それも、脳から出るホルモンによって。ですから、ちょっと憂鬱(ゆううつ)になっただけでホルモンの出が悪くなったり、興奮するとわっとホルモンが出たり、常に左右されているものなのです。だから、むしろ不規則なのが当たり前と考えてもいいのです。
でも、不規則にも限度がありますよね。月経が来ないのは、半年が限度です。あまり長い間無月経のまま放っておくと、治療がなかなか難しくなってしまいます。あなたの場合、もっと詳しく、たとえば体重が減っていないか、何か重いストレスがないかとか、お話聞いていないので、何が原因だろうということは言えません。病院で貰ったお薬が何なのかもわかりませんし。
でも、半年もないのですから、あなたはきちんと治療をすべきですね。ちゃんとホルモンの検査をして原因を探ってもらってください。そして、治療をしてもらうことですね。前回かかった病院でいいでしょう。お薬を飲んでも、まだないということを言えばきちんと対応して下さると思います。なお、子宮がんの心配をされているようですが、月経不順と子宮がんは何の関係もありません。
まだ生理がないのですが…
Q 私は今、高校二年ですが、まだ一度も生理が来ておりません。病院へ行って今までにホルモン注射を四本打って、やっとそれらしきものが出ましたけど、いったい原因は何でしょうか? また、ちゃんとくるようになるのでしようか?
(鹿児島・高2/S・M)
検査の結果をきちんと医師に聞いて!
A S・Mさん、高2でまだ初経がないんだったら、少し心配ですね。すでに病院に行ったとのこと。いろいろな検査は受けたのでしょうか。それとも。検査はあまりしないで、ホルモン注射を受けたのでしょうか。もし、検査を受けたのであれば、その結果を知りたいし、受けていないのであれば、いつか時間を取って、大きな病院でしっかり検査を受けた方がいいでしょうね。
月経がないといっても、まだあなたがホルモン的に未成熟で、ただ待っていればそのうちちゃんとあるようになる場合と、なかなか難しい場合もあるからです。だから「ちゃんと来るようになるでしょうか?」と聞かれても、「大丈夫ですよ」とは、簡単には言えないのです。
冷たいようだけど、検査結果も何も知らないままに、一時的な気休めを言うのはかえって不親切だと、私は考えているのです。もうあなたも高二で、自分のことは、自分で考えられる年になっていると思うからです。検査してもらった医師に、その結果と、将来の見通しなどをちゃんと伺うこと。私に聞くよりも、その方が大切だと思います。
十六歳で月経がなく心配
Q 高一(女子)です、五月に満十六歳になりました。いまだに生理がないのでやや心配しています。友達のほとんどが生理がありますが…。お医者さんに行った方がよいでしょうか。または、もうしばらく一、二年経ってからがよいでしょうか?
(愛知/Y)
本人が望み、心配なら病院へ
A 文面、筆跡から、お母様からのお手紙と思います。今の時代は昔と違って、ほとんどの女性が中学卒業までに初経を迎えるようになりました。が、実際は高校生になってから始まる女性もそれほど珍しいことではありません。でも、まわりの多くの友人が始まっているのに、自分だけがまだとなると、やはり誰でも少しは焦り始めるようです。
あなたの場合、親として心配されるのは当然なことだと思うのですが、問題はお嬢さん本人が心配しているのかどうかということでしょうか。もし、本人もとても心配で、調べてもらいたいという希望を持っているのなら、どうぞ、産婦人科へ連れて行ってあげてください。
本人はさほど心配していないのだったら、そっと待ってあげた方がいいと思います。医学的に言えば、十八歳までに月経があれば、何の問題がないからです。
高校を卒業する頃になってもまだなければ、その時には病院に行った方がいいでしょうね。ただし、これは言いにくいことですが、その時には、親などの周囲の方はある程度の覚悟が必要です。
十八歳までに月経がない、それは原発性無月経と言いますが、その場合、深刻なことが含まれていることが多いからです。具体的なことは言えませんが、例えば染色体の異常であるとか、性器の奇形であるとか。外観らは何もわからないけれど、そういうこともあり得るのです。そして、そのような場合、医学の対応もとても限られたことでしかできません。自力で、自然な排卵・月経があるようにすることは困難なことが多いのです。
私は、そのような人たちに何人も出会ってきました。そして、その時は、本人に話すのは苦慮します。だって「女は幸せな結婚して、子供を産み、育てるのが一番」という風に思い込んで(思い込まされて)育っている女性がほとんどだからです。
それが叶えられないとなった時の衝撃は想像を絶します。思春期の真っ只中、気持ちがいろいろ揺れ動くときに、それを知った方が良いのか、もう少し大人になって、将来を自身でしっかり考えることが出来るようになってから知った方がいいのか、それをとても悩みます。
もちろん、対応は個人によってそれぞれ異なります。もし、女性も男性もさまざまな生き方があり、きちんと自立して自分の人生を歩むように、という子育てがなされていたなら、事態はもっと違うでしょう。
こんなことを知らされると、お母様はさらに心配され、早く事実はどうなのか知りたいと思われるかもしれません。以上のことをしっかり考えた上で、自分の気休めのためではなく、お嬢さまの将来を考えるために、事実をはっきりさせたいと言うのであれば、今、病院に行かれるのもいいでしょう。
ただし、先ほど言ったように、お嬢さんも希望されるのであれば、ということは絶対条件です。嫌がる娘を強引に病院に連れて行き、本人がひどく傷ついて、そのために親子の仲がこじれてしまう、冷静に話し合うことが出来なくなってしまうことにならないように。
もし、「異常なし、待ちなさい」と言われることを期待して行くのであれば、このまま待っていても同じことではないかと思うのですが。「病院に来るのが遅すぎた、もう少し早く来ていれば、何とかなったのに」というケースは、全くと言っていいほどありません。いつかはっきりさせるかという問題だけなのです。
こんなことは専門家の間だけで知っていればいいのかもしれないと悩みながらお答えしました。あまりに厳しい言い方をしてしまったかもしれません。でも知ったうえで選択するというのも、患者さんの大切な権利であるということを意識して、お答えしました。もちろん、ほとんどの女性は、自然に月経は来るものだということを、もう一度念を押しておきます。
二週間もつづく生理で心配
Q 私の悩みを聞いてください。私、生理が一週間で終わらないのです。毎月、完全に生理が終わるまで二週間くらいかかるんです。一週間くらいは普通(?)の
生理なんですけれど、八日目からとかは、おりものに血がまじっているって感じなんです。体がおかしいんでしょうか? 病院に行った方がいいですか?
(高2/K★N)
激しい部活が生理に影響?
Q 私が悩んでいるのは、生理が少なくなったということです。中学の時は五日間ほど、量も多いタイプだったのですが、高校に行ってからは三日間ほど、量も少ないというようになりました。よく激しい運動で生理が止まるなどとあります。私の場合は部活(激しい)をしています。これも関係しているのでしょうか。そのまま放っておいてもいいのでしょうか。
(高3/N・S)
無月経、長く続くときは要注意
A 高校生ともなると、初経から何年かった、そろそろ月経も安定してきた人も多いでしょう。でも、お二人のように、まだ何となく不安定という人も、珍しくないと思います。そして、それでも決して心配はないのです。ホルモンの巡りがまだ十分に安定していないだけのことですから。
まずK★Nさん。月経がいつまでも終わらない、少しの量がだらだらと長く続くというのですね。たくさんの量が長く続くのは貧血を起こす恐れがあるので、治療しなければならないのですが。少量ですから心配なものではありません。ほんの少し卵巣からのホルモンの出が足りないのでしょう。
でも、いつまでもナプキンをしておくのも、痒くなったりして、いささかうっとうしいですね。この状態で貴方が何とかやり過ごすことが出来るのであれば、かまわないのですが、困るのであれば、病院に行かれたいいと思います。少し治療をすれば、すぐよくなると思います。治療も短期間お薬を内服するだけですからも苦痛なものではありません。
N・Sさん。以前は量もしっかりあったのが、最近、少しになったということ、それも、激しいスポーツと関係ありそうですね。スポーツ性の無月経は、確かに問題視されています。でも、あなたの場合、無月経でなく、少量でも定期的にありますので、心配ありません。また、そのうち戻って来るでしょう。
激しいスポーツで月経がなくなるのは、単に激しく運動することが原因というだけでなく、そのために体重が減ってしまう、いわゆる体重減少性の無月経の要素が強いと思います。あなたもそれには十分に気を付けてください。痩せないように。このまま様子を見ていていいのですが、もし、とても気になるようでしたら、基礎体温をつけてみてください。きれいな二相性でなくとも、短期間でも高温があれば「下記のグラフ参照」大丈夫です。
もし、数ヶ月つけても全く高温がないようでしたら、やはり治療が必要でしょう。治療の内容は、K・Nさんと同じです。病院を恐れないでください。つけた基礎体温表持って行ってくださいね。
高校生の月経異常で治療しなければならないのは、先ほど述べたように、まず、量が多いのが長く続く場合。それから、ずっと無月経が続く場合、これは、半年が限度です。それ以上ないままにしておくと、子宮も委縮してなかなか月経が戻らないようになってしまいます。
特に、多くの高校生の皆さんが試みているダイエット、体重が減って無月経となった場合はいつまでも放っておいてはいけません。体重を戻す努力をすると同時に治療をしないと、本当に戻らなくなってしまいます。
あとは、多少不規則でもかまいません、基礎体温を付けた場合でも、毎回高温がなくても、一相性と二相性が混じり会っても構いません。それから、不規則なのと同時に、不正出血がある場合、これも卵巣の働きが不十分なためですから、慌てずに経過を見ればいいのです。ゆっくりとでも発育して、そのうち正しくしっかりしてくるものなのです。
もう一つ、月経は規則的だし、量もしっかりあるけれど、月経と月経の間に、いわゆる中間期出血があると心配して受診する人がいますが、これは排卵に伴うものですから、心配はいりません。排卵期出血はあってもなくても異常ではないのです。
月経後の出血が心配
Q 私は、月経以外の出血について悩んでいます。月経は五年生の冬になりました。その後、現在まできちんと二八日周期で順調です。でも昨年七月ごろから、月経が終わってちょうど一週間後に、一日だけ必ず出血があるのです。七月以来毎月あります。でもただ少し出血するだけで、他には何の支障もありません。
血の色は月経の時と同じです。怖くて病院に行く気がありません。SEXしたことに関係があるのでしょうか、初めてSEXしたのは、中三の冬です。もしかしたら子供が産めなくなるのではないかと心配です。母にはこればかりは相談できずに河野先生に相談しました。これは一体何なのでしょうか。病気ですか?
(高1/A子)
心配しないで!「排卵期出血」です
A あなたのお手紙読んで、こんなつまらないことをこれほど悩んでいるのが、かわいそうになりました。体の勉強もチョットすればなんてことないことなのですよ。きっとこれまであまり女性の身体の事は教えられていないのでしょうね、だから、この場でお教えしましょうね。
女性の卵巣からは、二種類のホルモンが出ています。排卵前は主に卵胞ホルモンが、排卵後は主に黄体ホルモンが図参照↑ということは知っていますね、ちょうど排卵の時、ホルモンが入れ替わる時に、少量の出血がよくあるのです。それは「排卵期出血」と言って、全く生理的なことで、異常でも何でもありません。排卵期にこのような出血がある人も無い人もいます。
それから同じ人でも、出血がある時と無い時もあります。要するに、排卵期に出血があってもなくても異常でないということ。あなたの場合、時期から見て、出血は排卵期出血と考えてよさそうです。もう心配しないでください。
もっとも、排卵期の出血でもとも量が多かったり、長い間、二週間も続いたりするようだったら、産婦人科に行って、治療して貰った方がいいですね。
ついでに、他にも悩んでいる人がいるかも知れませんので、もう少し月経時以外の出血についてお話しておきます。
あなたのように、まだホルモンが成熟していない年齢ではよくあることなのです。例えば、月経が終わったはずなのに、いつまでも少量の出血が続く、または月経前に少しずつ出血があって、その後、本格的に月経が始まる人、いずれも先ほど説明した二種類のホルモンの出が不十分のためです。成熟してくると、落ち着いてきますので心配はいりません。
もし、それがうっとうしくて嫌なのなら、病院に行ってください。ほんの少しのお薬でよくなるでしょう。また、いったいいつが月経なのかわからないくらい、ずっと出血が続く人もいます。この場合、貧血になってしまいますので、早く病院に行って止めてもらいましょう。
腹痛があり、月経が長引く
Q 私は高校一年生です。生理は小六頃、始まったのですが、中二頃から長い期間続くことが多くて、三週間連続の時もありました。量は初めは多く、だんだん少なくなって、少ないまま結構長く続くという感じでした。中二の時は、お腹がときどき痛くなって、内科の病院に行くと、「神経性のものでしょう」と言われたけど、それからも時々腹痛があります。
これは生理が長引くのと関係があるのでしょうか? フラフラするとか、貧血気味とかは全くありません。長引くのはどこか悪いからでしょうか? 放っておいて大丈夫でしょうか?
(高1/女子)
発育途上のトラブル、心配ない
A 月経が長く続くことが多い、年に二回くらい三週間も続いた、時々お腹が痛くなる、ということですね、日頃はだいたいどれくらい続くのでしょうか。それから、周期はどうでしょうか。周期というのは、月経の始まった日から、次の月経が始まる前日までを言います。だいたい、一ヶ月くらいで始まっていますか?それとも不規則なのでしょうか。
お腹が痛くなるのは、どうでしょう。時々、ということですが、これも定期的に痛くなる、たとえば、月経がはじまった直前とか、周期の真ん中あたり、とかいうことはありませんか? このあたりを少し整理して、考えてみましょうね。まず、月経の仕組みについて、学びましょう。
女性の身体は、とても面白いリズムを持っています。そのリズムは、卵巣を中心としたホルモンの巡りによってつくられます。卵巣の働きというのは、排卵――卵を定期的に出すことと、もう一つ、二種類のホルモンを出すということです。排卵前は、おもに卵胞ホルモンを、排卵後は、おもに黄体ホルモンというものを出します。
もし、排卵後、妊娠すると、黄体ホルモンがどんどん出て、月経も起こりません。しかし、妊娠しなかった場合、二週間足らずで黄体は委縮(いしゅく)し、黄体ホルモンも出なくなります。そうすると、黄体ホルモンに支えられていた子宮の内膜がくずれて、血液と共に排出されます。これが、月経ですね。
さて、これらの卵巣の働きは、脳から出るホルモンの刺激によっておこります。ですから、脳に何らかの変化があった時――ストレスとか、大変なショックを受けたとか、ダイエットで痩せてしまったとか――そんな時に、月経がくるってしまう、というのは、誰もが経験していることでしょう。
ふつう、このような卵巣を中心としたホルモンの働きが順調に行っているときは、月経も規則的におこりますし、量もしっかりあり、また一週間で終わります。しかし、ホルモンの巡りが上手くいかなかったり、卵巣から出るホルモンの量が十分でなかったり、卵胞ホルモン、黄体ホルモンのバランスが悪かったりすると、月経不順になる。不正出血がある。ダラダラといつまでも続く、ということになるのです。
あなたの場合、何か原因があって、というよりは、まだ高校一年生で、身体が成熟しきっていない。ホルモンの巡りが確立されていない、という風に考えた方が良さそうです。
このような訴えの人は、中学生や高校生にはとても多いのです。発育途中にはよくあることですので、心配いりません。そのうち身体が充分成熟すれば、治まって来ると思います。
月経不順でも、月経が飛んでしまうとか、数ヶ月後に一回しかない、というのも全く同じ理由で起こるのです。しかし、あまりにたびたびある、いつまでも多い量が長く続くという場合、だいいち、うっとうしいですし、時には知らないうちに貧血になっている、ということもあります。
そんな時は、どうぞ、産婦人科に行ってください。注射一本で、または数日の飲み薬で、きれいに止まってしまうものなのです。
お腹の痛みについては、痛みが起こった時をメモしておいて(もちろん、月経の月日もともに)、規則的なものかどうか、チェックしてみてください。それを持って、産婦人科を受診するのが、何よりだと思います。
月経のメカニズム
○1卵胞期
卵巣では、原始卵胞の中から数個の卵胞が成長し始め、やがて成熟卵胞へと変化する。この成熟卵胞から分泌する卵胞ホルモン(エストロジェン)の作用で、子宮では内膜の厚みがましていく。
○2排卵期
2週間ほどすると、左右どちらかの卵巣の最も成熟した卵胞から卵子が飛び出す。これが排卵。卵子は卵管に取り込まれる。ここで精子と出会い受精すれば、受精卵となって子宮へ向かい、着床すると、妊娠が成立。受精しなければ、約24時間で卵子は死んで、分解・吸収される。
○3黄体期
卵子が飛び出したあとの卵胞は、黄体と呼ばれる組織に変化し、黄体ホルモン(プロジェステロン)を分泌する。この作用により、子宮の内膜はますます厚くなって、受精卵が着床しやすい状態になる。受精卵が着床しないと、黄体はしぼんで白体となり、黄体ホルモンの分泌は急激に減る。
○4月経期
黄体ホルモンの分泌が衰えると、子宮内膜の血管に変化が起こり、血液の供給をストップする。こうして内膜の一部が壊死すると、はがれ落ちて血液とともに膣から排出される。これが月経である。
月経がちゃんとこないのです
Q 私はここ二、三ヶ月生理がおかしいんです。三ヶ月前は二ヶ月くらいしてやっと来て、二ヵ月前と今月はありましたが、一日だけなんです。だから“血”らしいものでなくて、もう終わりかけたころの生理なのです。前は生理の来ない人はラクでいいなと思っていましたけど、今はきてほしいです。生理が来たと喜んだのに一日で終わってビックリ。ダイエットはしているような、していないようなというくらい。ちゃんと三食たべています。便も毎日出るし…。過激なダイエット何てしていません。何とか来て欲しいんです。なぜなんでしょうか。
(長崎/かすみ草)
知っておいてほしい月経の知識
A 月経って、女性であれば長い間、ほぼ四〇年近くもずっとつき合っていかなければならないもの。毎回、結構わずらわしいものだけれど、でも遅れたり、いつもとは違う状態だったら、不安になってしまいます。そして、自分でも、いつの間にか健康や体の調子のバロメーターとしていたことに気づいたりします。
ところで、私は日々多くの患者さんに付き合っていて、女性たちがあまりに月経についての知識がないのを、嘆かわしく思っています。ずっと付き合うものだから、きちんと知識を持ちましょう。今回は、代表で長崎のかすみ草さんの質問を載せますが、全ての読者に知ってもらいたいものとして、お答えします。
○1まず、月経は、排卵に伴って起こるものです。月経が遅れてある時は、排卵が遅れてあったということです。
○2しかし、排卵がない、すなわち無排卵でも月経は起こり得ます。その時、つまり無排卵性の月経は、遅れたり、量が少なかったり、だらだらといつまでも続いたり、排卵した時とは様子が異なります。また、少し不正出血があったりもします。
○3排卵があっても月経がないのは、妊娠した時だけです。
○4排卵は、脳の視床下部や脳下垂体という所から出る、卵巣に命令をするホルモンによって起こります。だから、悩みがあったり、健康がすぐれなかったりすると、容易にホルモンの出方がかわってしまい、月経も止まったり、遅れたり、狂ってしまいます。
○5中でも、痩せる、すなわち日々の活動に必要なカロリーが補えない時には、あっという間にホルモンの出が停止して、無月経になってしまいます。ダイエットは要注意です。
○6あなたたちの年齢では、まだ、体が確立していないので、多くの人は、排卵性と無排卵性が混在しています。月経のリズムがおかしくなっても、何の心配もありません。(ただし、妊娠の心配がない時だけですよ)量がいつもと違うのも同じです。ただし、あまり頻回だったり、いつまでも続いていたりすると、貧血になる恐れがありますので治療をした方がいいでしょう。
○7月経の周期は、始まった日から次の始まる前の日までを言います。終わった日は関係ありません。例えば私の周期は、二五日から四〇日の間とか、それくらいのことは把握しておきましょう。
○8月経痛を無理に我慢している人がとても多い。それも、女性の先輩から、「薬は飲んではいけません」と言われて。出産を経験していない人の多くは、月経痛があるのは当たり前なのです。固くて狭い子宮の出口を粘っこい血液が通りにくく、子宮が押し出そうと収縮するためです。痛い人は、さっさと鎮痛剤を飲んで楽に過ごすこと。痛いのを我慢していると、痛みのストレスで、子宮を収縮させるプロスタグランディンという物質がさらに出て来て、どんどんひどくなってしまいます。
ただし、市販の鎮痛剤が効かない人、クスリのアレルギーがある人、痛みが月経がはじまる前から何日も続くような人は、病院で何か病気がないか、調べてもらった方がいいでしょう。
以上、ざっと月経について説明しました。もし、どうも調子が悪くて不安な人は、基礎体温を測ることをお勧めします。(薬局で婦人体温計をかうと、説明書がついています)。自分のホルモンがどうなのか、実に良くわかるものですから。
生理痛で苦しむ友、なぜなんですか?
Q河野先生にお聞きしたいです。どうして生理痛があるんですか?
私の友達など二日目の時は死んだようにぐったりとしています。よほど辛いのか顔面蒼白で話すことも力が必要でイヤだとか。どうしてそんなに痛くなるのでしょうか? 私などそういった体験がまったくなく、どうしてだろうと首をかしげるしかないのです。
(高3/LIN)
生理不順、間が空くほど酷い生理痛
Q 私は高二の女の子ですが、生理不順で困っています。始まってから三年くらいで生理の時期が安定するって聞いたんですが、私はもう三年経つのにまだ不安定です。友達には「月の初めに来る」と分かっている子もいて、とても羨ましいです。時には五〇日以上も空くことがあって、そういう時は本当に不安です(間が空くほど生理痛がひどくなるので)ただでさえ、いつくるかわからないので、前月の最終日から約一ヶ月は毎日ビクビクの状態です。どうしたらよいでしょうか。やはり基礎体温をつけることが一番でしょうか?
(高2/いちごみるく)
月経痛の起きるメカニズム
A月経痛についてもう一度詳しくご説明しましょうね。まず、お産したことのない女性に月経痛があるのは、当たり前と考えた方がいいのです。前にも述べましたが、子宮の頸管(けいかん)と呼ばれる部分、月経の時、そこを血液が通るのですが、お産をしたことのない人は、鉛筆の芯ぐらいの太さしかありません。
しかも、成熟した子宮より頸管は長いのです。水のようにさらさらだったら抵抗なく通ることが出来るでしょうが、粘っこい血液が細くて長い管を通らなければなりません。量が多い時には、子宮の中で固まってしまうこともあります。それらが通る時の頸管の痛みと、押し出そうとする子宮の収縮の痛み、これらが痛みの原因と言われています。
月経時には、プロスタグランディンという物質が血液中に増えているということもわかりました。これは子宮を収縮させ、同時に腸管も収縮させます。月経時にどうも便通が良くなる、下痢をするという人もあります。
ほとんどの人は、お産をすると、月経痛はけろりとなくなってしまうのですが、中には、子宮内膜症や子宮筋腫などの病気があって、痛みが続く人もいます。この頃、若い人たちの中に、これらの病気が増えていると言われています。子宮筋腫だと月経の量も増えて、いつの間にか、強い貧血になったり、内膜症がひどくなると、不妊になることもあります。
今は、筋腫でも内膜症でも、手術だけでなく、お薬でもかなり治療ができるようになりました。いたずらに恐れることはありませんが、早めに治療した方がいいのです。
普通、どんな強い痛みでも、鎮痛剤を使えば楽になるはずですが、病的なものでは、お薬もなかなか効きません。もし、痛み止めのお薬を使っても楽にならないようでしたら、産婦人科に行って調べてもらった方がいいでしょう。
月経は病気でないのだから、お薬は使ってはいけないと考えている人がよくあります。これは間違いですよ。痛みを我慢していると、痛みのストレスで、プロスタグランディンという物質がどんどん増えて、ますます月経痛は強くなってしまいます。ひどい痛みが起こる前に、月経が始まる前兆でもあれば、その時から痛み止めを飲んでおくことです。
強くなってから内服すると、効かないこともあります。一ヶ月に何回か飲むくらいでは、お薬の副作用も心配することはありません。それより、痛いのを我慢することの弊害の方がうんと大きいともいいます。お薬は市販の鎮痛剤でもいいのですが、アレルギーのある人は病院で出して貰った方がいいでしょう。
LINさん、痛みの強いお友達は無理して我慢しているのではないでしょうか。お薬を使ってもいいのよ、ということを教えてあげてください。毎月こんなひどい痛みに耐えるのは、百害あって一利なしですよ。
いちごみるくさん、月経が不順で周期が長いほど、痛みが強いのですね。あなたの場合、不順でも排卵はあるようです。なぜなら、無排卵の月経の時は、ほとんど痛みが起こらないからです。この程度の不順であれば全然心配はありません。
でも、いつ始まるか解らないのが不便であるのなら、あなたが言っているように、基礎体温を測るのが一番ですね。これで排卵を確かめれば、月経が来る日は自らわかって、準備もできるというものです。自分の身体の調子を知るためにも、ぜひ基礎体温を付けることをお勧めします。
女性のみなさん、これからも永く付き合わなければならない毎月の月経を、できるだけ快適に過ごすように心がけることも大切なことだと思います。
基礎体温について教えて
Q 私は二六歳だというのに、基礎体温の付け方や、その意義など知りません、どうぞ教えてください。
(一女性教師)
基礎体温でわかる女性の身体の不思議
A 基礎体温とは、女性のみにある不思議なホルモンのリズムと言えるでしょう。卵巣からはほぼ一ヶ月に一回、卵が排出されます。卵巣の仕事は卵を造り出すこと、もう一つホルモンを作り、血中に排出することです。
卵巣の出すホルモンは二種類あって、卵胞ホルモンと黄体ホルモンと呼ばれます。(注・前項、月経のメカニズム参照)このうち、黄体ホルモンは、おもに排卵後にできる黄体で作り出されるものなのですが、体温を上げる働きがあります。ですから、排卵と月経を境として、女性の体温は微妙に変化します。
基礎体温のモデルパターン
排卵前は低温、排卵後は高温に、そして妊娠すれば高温が続きますが、しなければ黄体が委縮して黄体ホルモンが出なくなりますので、体温は下がり、月経となります。すなわち体温は二相性となります。それが一番はっきりとわかるのは、眠って体を安静にした後、すなわち朝、目が覚めた時なのです。体を動かしてエネルギーを使うと、それで体温は上がるからです。
朝、目覚めた時、布団の中で、舌下で測ります。それをグラフにすると、上写真のようになります。ただ、写真図に示したのはあくまでも典型的、きわめてホルモン的に健康な方の表です。多くの女性は、低温から高温へ移行がゆっくりだったり、高温がもっと短かったりします。
さて、このグラフをどう利用するかということですが、無月経や不妊の方の治療には欠かせません、排卵があるか否かだけでなく、性交を持つタイミングを見るのにも使われます。逆に、避妊にも応用するのはなかなか厄介です。
基礎体温で高温になって四日たってはじめて性交可能となります。低温のうち、また、はっきりと高温になったと確認できないうちは性交不可ということですから。せっかく毎日体温を測っても、その応用の仕方、読み方を間違えると何にもならないことになってしまいます。
ところで、ご存知ですか? これらのホルモンのリズムは女性の身体にさまざまな変化を作っていることを、月経前、すなわち高温期はいらいらしたり、眠かったり、体調があまりすぐれません。これは、黄体ホルモンが体温をあげると同時に、体に水を貯め込む働きがあり、体も脳もむくむからです。
性欲はばったりとなくなり、逆に食欲が増します。ご飯やケーキなど、たくさん食べ、便秘ガチで尿も少なくなりますので。この時期と月経後とでは二キロ以上体重が違う人もいます。
体温が下がると、体は活き活きの時期、尿の出も、通じもよくなり、食欲は抑えられます。逆に性欲は高まり、それがピークとなるのが排卵期なのです。
さて、これらの変化を見ると面白いですね。排卵期には性欲が高まり、それがすむと異性を近づけたくなくなる。ご飯を一杯食べて、ひたすら眠って、体を休めさせようとする。まるで生殖に適した変化だと思いませんか。私は、こんな自分の身体と気持ちの変化に気づいたとき、愕然としました。
だって、女の私に「妊娠しろ、妊娠しろ」と言っているようなリズムなのですから。まあ、しょせん、人間も生殖動物なのだと考えればとても自然なことでしょう。女性も男性もこれらの変化を知ったうえでうまくつき合って行くことが必要なのでしょうね。
質問なさった先生も、ぜひ基礎体温をつけてみてください。少々めんどうですが、私は初めて基礎体温をつけた時、自分の身体の不思議に感動しました。
タンポンで処女膜は破れたりしないですか?
Q 私はまだSEXの経験は無いんですが、今度生理ナプキンのかわりにタンポンを使って見ようと思っています。でも、タンポンを使って処女膜が破れたりしないんでしょうか。それが心配なんですけど…。
(高二/みづち)
初めての人はミニサイズがお勧め
A みづちさん、タンポンを使って見たいとのこと、タンポンは上手に使えばとても快適なもの。特に月経の量が多い時、ナプキンと併用すれば、洩れる心配がないというのが、なによりですね。
処女膜って、まるで入り口に膜が張っているみたいで、誤解されがちです。それは入口にあるほんの二ミリ程度の襞(ひだ)に過ぎません。指一本は楽に入ります。それも、この頃の若い女性は栄養が良いんでしょうね、伸びが良くって、性交でも傷つかない人も多いのです。
初めての人は、まずミニサイズを使ってみること。それも量が多くて滑りの良い時に。ついている説明書をよく読むこと。それらの注意を守れば、心配ありません。ただ、くれぐれも出し忘れだけはしないように。というより、そんな人は、使わない方がいいということですね。
よく、大人の中には、タンポンについて余計な心配をする人もいますけど、タンポンをきちんと使いこなせるということは、自分の身体を良く知って、自分で自分の身体を管理できる、しっかりした大人になる第一歩だと、私は考えています。
タンポンについて教えて!
Q タンポンは誰でも出来るのですか。なんか。怖い気がするのですが‥‥。タンポンのことについて詳しく教えてください。
(F)
タンポンを使うときの条件
A Fさん、毎月ようにある月経を、できるだけ快適に過ごすために月経用品もさまざま工夫されています。いわゆるナプキンが血液を外で受け止めるのに対し、タンポンは膣内で受け止め、吸収するものです。
ですから、血液やナプキンにかぶれて皮膚炎を起こしやすい人や、量が多くてナプキンだけでは不安な人などに向いています。水泳などのスポーツをする人にも好まれています。
あなたの質問は、「性交の経験がなくても使えるのか」という意味かと思います。そのような人や、初めて使う人には、ミニサイズのものがあります。これだと大丈夫でしょう。処女膜と呼ばれているものは、膣の入口にある単なる「ひだ」です。この頃の若い人は栄養状態がいいためか、そのひだの伸びがよくて、指一本くらいは軽く入ります。
タンポンは誰でも使えるのですが、ただ、条件があります。「自分の身体、特に性器の構造をしっかり知って、自分の身体を管理できる人」。初めて試してみる時は、製品に入っている説明書をしっかり読み、書いてあることを守ること、月経の量が多い時に試してみること。その方が滑りが良くてスムーズに入ります。
怖いものではありません。でも、無理して使わなければならない物でもないでしょう。これからも、長く付き合う月経ですから、より快適に過ごす工夫をするのも、大切なことでしょうね。たくさんある製品から選び、使いこなすのかは、全くの個人の選択なのです。
つつく
[ エイズ。性感染症
煌きを失った性生活は性の不一致となりセックスレスになる人も多い、新たな刺激・心地よさ付与し、特許取得ソフトノーブルは避妊法としても優れ。タブー視されがちな性生活、性の不一致の悩みを改善しセックスレス夫婦になるのを防いでくれます。