信田さよ子著
信田さよ子、1946年、岐阜県生まれ。臨床心理士、原宿カウンセリングセンター所長。アルコール依存症、摂食障害、DV、こどもへの虐待など悩む本人やその家族へのカウンセリングを行っている。
はじめに
序章 「夫婦の物語」の落差
夫婦の背景、登山帰りの中年男女、ダンディーな夫、にっこり頷くだけの妻
夫と妻では違う「夫婦物語」、現代版「女三界(さんがい)に家なし」
関係の冷えた両親と、不登校の弟、しあわせな新婚生活、仕事をやめ、夫の家族と同居
夫の変貌、始まった酒と暴力、一変した生活、がんばる妻に嫉妬する夫
逃げるように家を出ていった子どもたち、夫の死
息子からの断罪
第一章「ロマンチックラブ」幻想
女が結婚で手に入れるもの、「結婚」は世代を超えて連鎖する
果てしなく続く女同士の差別化、結婚すれば不幸同盟の一員、過酷なグレードアップ
パッピー育児というおまじない、恨みをもつのはいいことだ
「結婚は人生の墓場」の本当の意味、男と女で違う「墓場」の意味
「嫁に行かせればいい」って?
愛と性と結婚
「男なんてそんなもの」からの前進、浮気されても殴られても
「耐えつづける」という女の王道、妻は所属、夫は所有
夫と妻で異なる離婚の意味、東電OLとの共通点
第二章 夫を救おうとする妻たち
「共依存」のひとたち、勝ち誇った笑み
氷の微笑に涙、いかにしあわせかを語る妻たち
「不幸」と思える潔さ、「オバサンパワー」共依存
すべてをねじ伏せる「母性」、母性と支配と共依存
支配と思わずに支配する、被害者を自認する難しさ
DVの被害者はこうしてあらわれる、救済者になろうとする被害者たち
弱者ほどひとを救おうとする、親兄弟の登場が解決を遅らせる
どんな男が殴るのか、被害者意識なし、加害者意識なし
殴る夫の外の顔、殴る男は変われるか
殴っては土下座の繰り返し、「家族の問題」はアンタッチャブル?
女性嫌悪、ホモ嫌い、DV
第三章「女」が沈むとき「母」が出る
女の支配、男の支配、妻たちの「完璧な支配」
救済か、復讐か、夫に病名をつけたがる
「風俗」という名の救済、「母」というポジション
かつて救済は「母性本能」といわれた、橋田ドラマはなぜヒットする?
苦痛に比例して上がる価値、救済者の罪
「愛情」と「家族」に塗りこめられたもの、なぜそこまで許すのか
生きる力を奪われるひとたち、子どもの問題に見えて
子どもの目に映る「傷つけられた母親」
第四章 女の人生はスマートボール
離婚するひと、離婚できないひと、ペットが「別れない理由」?
「夫への期待」に縛られる、別れてきれいになる女性たち
傷つくのは心ではなく人生、救いたがるひとは傷ついたひと
被害者意識のすすめ、近代家族の犠牲者たち
決められたゴール、二十一世紀のこの時代
「近代家族のあるべき姿」を植え付けられ、「オバサンになる」ということ
日常の中に潜むもの、垂れ流される「家族像」
「家族」の怖さ、ロマンチックラブの夢破れ
第五章 生き延びるための「技術論」
別れられない人のための「しのぎの生活」、「迷う」という前進
「心のもちよう」ではだめ、演技力をみがこう
夫の知らない秘密をつくろう、結婚は壮大なるフィクション
夫との圧倒的な力の差を自覚しよう、「無いものは無い」からの出発
「知」が無ければ操り人形になる、「まだある」と信じているひとたち
取り返しはつかないのだから、愛や性がなくても結婚は続けられる
おわりに