社表

 六年生ぐらいになれば、テレビの画面とか雑誌のさし絵やグラビアなどで、裸の男女が絡み合う姿を見て、それが妊娠に何か関係あることはうすうすながら感じているものです。 トップ画像

超柔らかな避妊用具は膣に挟まる不快感や膣内腔を傷つけることなく精液をブロックし容易に体外へ避妊用具と一緒にほゞ全ての精液を排泄できることで避妊・避妊方法として用いても優れている。性生活には欠かせない避妊・避妊方法です。

受精のしくみ(性交)

本表紙

赤バラ受精のしくみ(性交

六年生に受精のしくみついて授業した時のことです。一人の男の子が私のそばに来て、
「先生、ボクも前からそうじゃないかと思っていたんだけど、自信がなかったんです。それが今日の勉強ではっきりわかって安心しました」と、いった事がありました。

 六年生ぐらいになれば、テレビの画面とか雑誌のさし絵やグラビアなどで、裸の男女が絡み合う姿を見て、それが妊娠に何か関係あることはうすうすながら感じているものです。しかし、はっきりと教えられたわけでありませんから、そうだと断定もできず、もう少し確かなことが知りたいと望んでいるものです。

 前にも述べたように、売春とか乱暴といったことを質問してくるときもありますから、単に受精の仕組みとしてだけでなく、性交の持つ意義について話す必要も出てきます。ただし、後述の話し方の例を見ていただければ分かるように、決して性交のテクニックなど教えるものではありません。

 若い人たちにハウッーセックスということを教えることは、それなりに意味があり、私も否定するものではありませんが、小学校、中学校といった段階で教えるものではないからです。
 だから身近な人の妊娠とか、テレビの場面に関して質問するとか、あるいは、聞きたそうな様子を見せた時をとらえて次の受精の仕組みからはいって話したらよいと思います。
「妊娠ということばは知っているでしょう。女性のお腹の中に赤ちゃんができることですね。それは女性の持っている卵子と男性が持っている精子が一緒になる“受精”ということか始まります。

 この受精が行われるのは、女性の子宮のもっと奥にある卵管という管の中です。男性の精子を卵管に送り込むためには、男性のペニスを女性の膣(ヴァギナ)の中に入れて射精をしますが、このことを性交と言います。セックスと言っている人も多いですね。
女医 ところで、卵子の大きさというと直径が○・二ミリという小さなものですが、精子はこれよりももっと小さくて、長さが○・○六ミリの、オタマジャクシのような形をしています。一回の射精で出される精液の量は三CCから五CCで、その中には三から五億の精子が含まれています。
 膣の中に送り込まれた五億もの精子は図
子宮図
の膣から子宮へ、子宮から卵管へと進んでいきます。その時、卵子がタイミングよく卵巣から出て卵管の中にいればよいのですが、まだ来ていない場合は、精子は七十二時間ぐらいは卵子の来るのを待ちます。しかし、それでも卵子が出てこなければ死んで消えてしまいます。

 これは卵子の場合も同じで、卵巣から出て卵管に来ても、二十四時間以内に精子に出会わなければ、やはり死んでしまい
生理と一緒に体の外へ出てしまいます。
 さて、精子が卵管に来た時に卵子がいれば、この三から五億もの精子の中で、最も強く優れたものが一つだけ卵子に結びつくことが出来るのです。

 あなたが運動会の徒競走で一等になるのも大変ですが、でもあれは五・六人で走るのですね。ところが精子は、三・五億もの中で一等になるようなものだから、これはもう気の遠くなるほど大変なことですよ。

 あなたは、受精するためには一つの卵子と一つの精子があればよいのに、なぜ五億もの精子が必要なのか不思議になると思うでしょう。でもね。射精された五億の精子が、みんなすんなりと卵管まで行かれるわけではありません。途中にいろいろと難所があるのです。

 まず第一が膣の中です。ここは酸性の強い分泌液があるので、酸性に弱い精子は、早く子宮の中にいらないと死んでしまいます。ところが子宮の入り口は、子宮頸管といって細くなっている上に、バイ菌などが入らないように頸管粘液という濃い液を滝のように出しているので、ここを通り抜けるのはとても大変なのです。

 でも、お母さんも人間の身体って本当に不思議だなと思うんだけれど、卵巣から卵子が出てくる日(これを排卵日といいます)の二・三日前から当日までは、この頸管粘液の滝が少し通りやすくなるので、射精された時のおよそ千分の一、つまり三○万から五○万の強い、優秀な精子たちがここを通り抜けることが出来るのです。

 こうして子宮の中にはいると、ここは精子が大好きなアルカリ性の世界なので、また元気を回復して卵管の方へ進んでいくのですが、卵管の入り口でまた通せんぼをされます。そして、ここでもまた、たくさんの精子が犠牲になりますが、五百分の一から線分の一の一、つまり五百から千ぐらいの精子が生き残り、卵管の中へはいれるのです。

 そして卵子が出てくると、精子たちがこれを取り囲みますが、卵子の表面には卵膜というものがあって中に入るとことができません。そこで、ここまで頑張ってきた数百の精子が力を合わせて、自分たちが持っているヒアルロニダーゼという酵素を出して、この卵膜を溶かしにかかります。

 こうして表面が柔らかくなると、そこから精子が一つだけ中に入ります。すると不思議なことに卵子の表面はまた固くなって、ほかの精子ははいれなくなります。だから、一つの卵子には一つの精子しか、絶対に入れないのです。

 そして、卵管で精子と一緒になった卵子(これを受精卵といいます)は、子宮の中に用意された柔らかいベッドへ行って、赤ちゃんへと四十週間かけて成長して行くのです。

 一回の射精で女性の体内に入った五億もの精子の中で、卵子と結びつくことのできるのはたった一つの選び抜かれた精子だけど、その他の精子もむだに送り込まれたのではなく、その精子のために協力し、犠牲になっているといわけです。

 こうしてあなたの生命は始まったのよ。あなたの生命は、そのかげに、こんなにたくさんの精子たちの努力と協力があったということが分かったでしょう。

 あなたも大人に近づいているのだからお話しておきますが、大人は受精のためだけに性交しているのではないということです。もちろん、性交すればその度に必ず妊娠するわけでないことは、今の話で分かった通りだし、またいつ卵子が出てくるのかを正確に知ることはなかなか難しいことです。
 だから、子どもが欲しい人たちは何度も性交をしますが、性交はそれだけではありません。愛し合っている大人たちは性交することで、もっともっとお互いの愛を深め、幸せを確かめようとするものです。お父さんお母さんだってそうです。
つづく 性器の発育についての不安と悩