リズ・ブルボー 著 浅岡夢二 訳
許しのための七つのステップ
あなたが、いろいろな人間関係において、似たような状況を繰り返し体験し、しかもあなたの怒りがますますおおきくなり、苦しみがますますひどくなるようなら、あなたの傷はとても深いということを知って下さい。心を乱さずに傷を観察することが出来るようになるには、さらに、いくつかの段階を経る必要があるでしょう。〈真の許し〉のための段階です。
この〈真の許し〉については、私の本、ワークショップ、講演会などで、常に説明するようにしています。というのも、状況を完全に変えるためには、どうしても真の許しが必要だからです。その結果は、まさしく奇跡と称してもいいくらいでしょう。
ETCにおいて、私たちは何千もの報告を得ていますが、そこには、数多くの、肉体の癒し、感情の癒し、精神の癒しが見られます。だからこそ、私は、〈許しの七つの段階〉について――それは、私たちの教えの核心をなしています――繰り返し言及することに喜びを感じるのです。では、以下に、それをのべておきましょう。
○1感情および非難の内容を意識化する
この段階は、第八章(アドレス)において、どの傷が活性化しているかを知るために説明されています。
○2責任を引き受ける
この段階では、あなたは、自分に関する恐れを――それはエゴによって維持されています――発見し、さらに、現実を歪めているのはその恐れであることを理解する必要があります。問題となっている状況において、あなたが相手に期待するのは、まさにこの恐れがあるからなのです。
責任を引き受けるとは、この世の中に、あなたの期待を満たさなければならない人はただの一人もいない、ということを受け入れることです。そして、あなたのその期待は、自分自身に対する愛の欠如に由来する、ということを認めるのです。
責任を引き受ける段階は、多少の時間を必要とするかもしれません。しかし、絶対にあきらめないでください。というのも、あなたのハートが、それを達成したがっているからです。傷が深ければ深いほど、エゴの影響は大きく、したがって、状況をあなたのハートの目でみるには、より多くの努力が必要となるでしょう。
○3相手と仲直りする
さて、あなたは、自分の恐れを意識化し、自分の期待を認めましたので、次の仲直りの段階は、より容易になるでしょう。仲直りするためには、相手は自分の鏡であるという事実を認めることがどうしても必要です。
この方法を、私たちは30年以上も教えていますので、あなたもたぶん知っているかもしれません。しかし、それでも、私はそれをここで繰り返したいのです。
こうした方法を何年間も実践した後で、ようやく自分のやり方が間違っていたことに気づく人は結構いるものです。それは、あなたがそれらの段階をしっかり実践したら自分は消えるしかない、と考えたエゴが、あなたに巧妙な罠を仕掛けたからなのです。
《鏡の技法》をしっかりと身に着けるために、もう一度、すでにあげた例をみてみましょう。
・いったい何度繰り返して言えばいいの? どうしてわからないのかしら? 私が言っていることは、とてもはっきりしているのに。【私はもっと相手の言うことをよく聞くわ。私はもっと注意深いし、もっと早く相手を理解する】
マリは、娘のリュシーに対して、もうこれ以上繰り返して言いたくないと思っています。マリは、娘が自分の言うことを聞かない振りをしている、あるいは、自分に対して反応しているので聞いたことを忘れている、と思い込んでいるのです。しかし、実際には、リュシーは、母親が、弟に対してより、自分に対して、より要求がましいので、それを不当と思っているわけです。
もし、マリが、こうした状況によって傷を活性化させたくなければ、彼女は、許しのためのすべての段階を実践する必要があるでしょう。前述の第一段階を実践するために、マリは静かに座って、水を飲んでから静かに呼吸をし、心をリラックスさせるといいのです。
それから、自分がどのように感じているのか、娘の〈在り方〉の、どの点を非難しているのかを、自分に関して何を恐れているのかを自問して、返ってきた答えをノートに書くといいでしょう。
答えをノートに書き、さらに自分の中に湧いてくる感情を時間をかけて感じ取ったら、次の段階に進みます。自分の感情、自分の恐れは、娘に対する自分の期待に由来している、ということを認めて、責任を引き受ける必要があるのです。責任を引き受けるとは、自分の中にあるもの、自分に属するものを、娘が鏡のように映し出してくれている、という事実を受け入れることです。鏡を見て、もし自分の顔に汚れがついていた場合。
その汚れは鏡ついている、と考えている人は、どこにもいないでしょう? その汚れは自分の顔についているはずです。
マリは、どうして娘という鏡を必要としているのでしょうか? それは、自分が時々娘と同じようになっていることに気づくのを、エゴが邪魔しているからです。エゴは、マリにそんなことを認めさせたくないのです。苦しまないための唯一の方法は、許しがたい面を、自分にではなく、相手にだけ認めることである、とエゴは思い込んでいるのです。
《鏡の技法》は、〈在り方〉の面に関する非難のみに適用されるべきものです。この例をみると、マリは、
○1自分のあらゆる努力に対し、娘が、不当で、自己中心的で、恩知らずであると非難している。
○2自分は、拒絶された、きちんと評価されていない、愛されていない、と感じている。
○3悪い母親である、能力不足の母親である、と非難されるのを恐れている。
○4娘が自分を愛しているという証拠を示すのを、ものすごく期待している。
まず、マリが自分の責任を引き受けることが必要です。そのようにした時に、リュシーもまた、同じ感じ方を持っており、同じょうに彼女を批判している、ということが分かるでしょう。リュシーもまた、彼女に対して期待を持っており、その期待が満たされないから〈反応〉していることが分かるのです。
この第三段階をうまくやり遂げるのには、マリは、完全に娘の立場に立って、娘が本当にどんなふうに感じているのかを、しっかり感じ取らなくてはなりません。ハートを開けば、リュシーに対する思いやりで満たされるでしょう。その時、マリは次のようにノートに書くことが出来るはずです。
「リュシーが私にしてくれたことのすべてに対して、私が、不当であり。自己中心的であり、恩知らずである、と彼女が考えていることを私は知っている。私と同様、拒絶されている、評価されていない、愛されていないと感じているのが分かる。リュシーもまた、満たされていないのだ。なぜなら、自分が、悪い娘であり、評価のない娘であると裁かれることを恐れているからである」
この《鏡の技法》は、きわめて微妙な点を含んでおり、使用するには繊細な心掛けが必要です。特に、エゴがわなを仕掛けてきて、それを他人に対して使わせようとするので注意してください。たとえば、相手が、あなたの欠点を指摘したり、批判したりするとき、それは、相手があなたという鏡に自分自身の欠点を映しているだけなのだ、などと指摘してはいけません。
この技法は、自分自身に対してだけ使うべきなのです、その人は、あなたがその人を通して自分を見ることが出来るようになるために、あなたの人生に登場してくれたのです。あなたを通してその人が自分を見るためではありません。エゴは、自分が批判されると、必ず相手が悪いと考えるものです。
○4自分を許す
この段階は、すべての段階のうちで最も大事なものです。この段階をやり遂げられれば、あなたは今後、似たような状況で、同じ人と、同じことを経験することがなくなるでしょう。この段階を習得すると、奇跡的なことが起こります。すなわち、たとえ、いやな状況が起こっても、私たちはそれに対して別な見方をしますので、もう二度と苦しみを感じることはありません。
なぜでしょう? それは、私たちが、エゴ、つまり傷を通して状況を見るのではなく、ハートを通してそれを見ることになるからです。
そのためには、マリは、原因が自分の満されなかった期待にあったからことを認めつつ、自分が娘を怨んだことを自分に対して許す必要があるのです。
さらに、自分の傷はまだ癒されていないので、自分があれほど非難したリュシーと同じ振る舞ってしまうことを、心静かに受け入れなければなりません。この例においては、マリとリュシーの双方において、〈拒絶による傷〉が活性化されたのでした。二人は、したがって。〈逃避する人〉の仮面と〈頑固な人〉の仮面をつけざるを得なかったのです。
マリは、自分は人間なのだから、簡単に活性化されてしまう傷を持っているのは当然なのだ。と言うことを受け入れるでしょう。自分で自分を愛していなかったために、娘の愛を求めてしまったのだ、ということを認めています。
マリが自分自身を愛するようになり、自分は、常に娘の期待に応える良い母親でいられるわけではない、ということを受け入れれば、自分もまた、娘に対して過度の期待をしなくなるでしょう。
ところで、自分を受け入れるということは、それほど簡単なことではありません。その主な理由を述べましょう。それは、自分の責任を引き受けて、相手もまた自分と同じくらい苦しんでいる、ということを認めると、私たちの〈拒絶による傷〉がひどく痛むからです。たぶん、カンタはマリに次のように囁くでしょう。
「あなたは良い母親でない。あなたもリュシーと同じであるにもかかわらず、あなたは娘をひどく非難した。だから、リュシーがあなたを拒絶するのは当然なのだ。
彼女があなたと同じくらい苦しんでいることに、どうしてもっと早く気づかなかったの? リュシーは、あなたがどんな人間であるかを映し出すためにいてくれる、ということをどうして理解しなかったのかしら。それは、あなたがどうしようもない人間だからよ。あなたは、何て悪い母親なの!」
まず、マリは、自分が人間的な弱さ、また、傷や恐れを持っていることを認めて、この段階、そしてその先の段階を通過するために、充分な時間を自分に与える必要があるのでしょう。
やがて、マリは、愛されないのではないかという恐れに苦しむ、自分のイナー・チャイルドに対して、少しずつ、慈しみの気持ちを持つことが出来るようになるでしょう。その恐れをずっと前から持っていたのだから、娘に対しあのように振る舞ってしまったのも、仕方ないことだ、と思えるようになるはずです。
自分の大きな恐れ自覚できていなかったのだから、それ以外の振る舞いはできなかったのだ、ということが分かるでしょう。
○5親との仲直りをする
燃えの段階に続いて、この段階を実践すれば、マリは、自分のインナー・チャイルドの苦しみを感じ取り、自分の受容の程度を確認することが出来るでしょう。この仲直りは、傷の原因となった同性の親との間でなされるべきです。
マリの場合であれば、自分の母親が原因となった〈拒絶による傷〉と〈不正による傷〉を、娘との不和によってふたたび経験した、ということを理解するでしょう。自分が、母親から拒絶され、愛されないことを、どれほど恐れていたかが分かれば、彼女のハートはさらに開かれるでしょう。
次に、自分が娘との間で経験しているのと同じ苦しみを、母親と自分が経験したことも理解するでしょう。つまり、この本でも何度か言及した〈人生の三角形〉が、ここでも適用されるのです。
マリ魔母親が、自分の母親との間で同じ苦しみを感じていたのはほぼ確実です。このように、真に許すことをしないと――つまり、無条件の許しを経験しないと――世代から世代へと、同じ問題が引き継がれていくのです。なぜなら、〈傷〉が癒されていなからなのです。同じ非難、同じ気持ち、同じ恐れ、同じ期待が、連綿と、先祖から子孫へと伝えられていくわけです。
ゆるしの段階を、一段一段と進むにつれて、マリのハートは少しずつ開かれていくでしょう。そして、やがて、自由と感謝の思いに満たされて、幸せの思いから、彼女は涙を流すはずです。自分を許すというのは、それほど素晴らしい事なのです。
○6自分が発見したことを相手に伝えようと決意する
あなたが発見したことを、相手に伝えようと決意してください。この段階を経ることで、あなたは、自分を本当に許したかどうかを知ることが出来るでしょう。
マリの例でいうと、彼女はまず、自分が経験した不快な状況を通して、自分自身について発見したことを、すべて、自分の母親と娘に対して伝えている場面をありありと思い浮かべます。
すると、カンタがしゃしゃり出て来て、次のように言うでしょう。「とんでもない、それを、全部、彼女たちに言うなんて! 彼女たちには絶対、理解できないはずよ。彼女たちは、〈真の許し〉なんて知らないんだから、あなたの言うことなんか聞きたがらないでしょう。
むしろ、あなたに敵対して、悪いのは彼女たちでなくて、あなたであるという可能性の方が高いわ。自分たちは、そんな恐れを持ったことがない、恐れを持つのはあなただけだ、と言うことでしょう」
もし、このような抵抗が生じたとしたら、それはマリがまだ自分を本当に許していない証拠です。〈拒絶による傷〉にまだ支配されているので、エゴの影響を受けて、〈逃避する人〉の仮面をつけてしまったわけです。恐れと傷をありのままに受け入れる代わりに、自分を責めて、自分が悪い、自分が娘と母親を傷つけた、と考えているわけです。
ETCが提供しているワークショップにおいて、私を含めた講師たちは、自分の発見を伝えることに対する、別の形の抵抗を目にします。「どうして相手に会わなくてはいけないの? 手紙や電話で伝えてはいけないの?」といったものです。
しかし、もし、私たちが自分を本当に許したなら、その喜びがあまりにも素晴らしいので、私たちは一刻も早く相手に伝えたくなるものなのです。
なんらかの抵抗がある限り――それは、無意識の恐れがあることを示しているのですが、――、〈許し〉は部分的なものでしかない、ということを知るべきでしょう。ですから、さらにワークして、許しを完全なものにしなければなりません。
ここで繰り返し言っておきますが、許しの段階のどこかで困難を感じるのは、きわめて当然かつ人間的であることなのです。最も大切なことは、自分を充分に愛して、それぞれの段階に必要な時間を自分に与えてあげることでしょう、自分を本当に許すということは、それくらい難しいし、また、それは途方もない進歩なのです。というのも、それは、エゴが望むこととは正反対のことだからです。
ですから、エゴの抵抗を受けるのは当然でしょう。ゆえに、あなたが発見したことを相手に伝えに行こうと思ったときに、あなたがどう感じるかということは、非常に大事なことであるのです。
○7実際に相手に会いに行って自分の発見を伝える
マリは、自分が発見したことを、娘と母親に同時に伝えることもできますし、それぞれ個別に伝えることもできるでしょう。
とても素敵なことを話したい、彼女たちのおかげで自分が発見した素晴らしい教訓を伝えたい、と言えばいいと思います。《鏡技法》を使って自分が発見したことを応用しても自分が、娘や母親とのあいだで取り戻した絆について、話をすればいいでしょう。
許しの段階を実践するにあたって、対象となる相手のひとに、自分と同じ恐れを持っていたかどうかを尋ねることがとても大事です。相手があなたを受け入れてくれるようであれば、さらに続けて、相手があなたに対してどんなことを感じたかを話してもらえればいいでしょう。さらに、相手が同じことで貴方を裁いたどうか、また、あなたと同じように感じたかどうかを尋ねてください。
もし、相手が、自分の経験を話したがらないようであれば、相手にそれ以上強要しないようにしましょう。あなたが相手と分かち合うことによって、相手もまた、あなたと同様に大切なことを学び、なおかつ、その分かち合いによって、あなたが相手と和解できるとしたら、こんなに幸せなことがあるでしょうか。
とはいえ、それが、分かち合いの目的であるわけではありません。相手が、自己表現をしたがらない場合、それは、相手が動揺しているか、または、自己表現がうまく出来ないことを恐れている可能性があります。そんな時は、期待すぎないようにしてください。
相手は相手で、自分のペースに従うでしょう。あなたがそうだったように、相手もまた、自分に必要な時間をかけて、ことを進めたいのです。
つづく
〈真の許し〉は、あなたに何をもたらすか
エゴに支配された夫婦生活・性生活は倦怠感・性の不一致となる人が多い、新たな刺激・心地よさを付与し。避妊方法とし用いても優れた特許取得ソフトノーブルは夫婦生活での性の不一致を改善し、セックスレス及びセックスレス夫婦になるのを防いでくれます。