リズ・ブルボー 著 浅岡夢二 訳
〈マゾヒスト〉は自由になるのが怖いので他者に奉仕す
自由になることへの恐れは〈マゾヒスト〉にとって最も大きな恐れです。そのため、マゾヒストは、親しい人たちの世話を焼くことによって忙しくて、自分を自由から遠ざけるのです。そうすれば、罪悪感を感じなくてすむし、自分が自由でないことを自覚せずにいられるからです。
ほかの人たちにとって、自分は不可欠な人間だと思うことは、あなたのエゴを肥大・増長させるという意味で、非常に有害なものです。〈侮辱による傷〉に苦しむ人は、一見すると謙虚で控えめに見えますが、実際には、
傲慢な側面、他者に対する優越感を、非常にうまく隠しているのです。とはいえ、他の人たちの世話を余りにも焼きすぎるので、その人たちは、子ども扱いされているように感じることもあるでしょう。
身近な人たちの世話を焼くために大変忙しくしているので、〈マゾヒスト〉は、自分のための食事を作る時間さえなくなることもあります。そんな時にも罪悪感を持つために、どんどん太っていくのです。
また、〈マゾヒスト〉は、食べ過ぎないようにするために、正式な食事をせずに、小分けに少しずつ食べるということをします。そして、しばしばこう考え、また、他人にも言うのです。「ほかの人たちたより食べる量が少ないのに、どうして私は太り続けるのかしら?」
とはいえ、〈マゾヒスト〉は、肉体的にも、精神的にも、他人のニーズはよく考えるのに、自分自身のニーズにはほとんど考えません。ほかの人たちの視線を見て、彼らが自分をどのように考えているかを感じ取ります。その結果、屈辱感を持ち、さらに自分を責めることになるでしょう。他者は、〈マゾヒスト〉自身の考えを、まさに鏡のように映し出しているわけです。
以上の状況が自分に当てはまるなら、カンタがどれくらいの頻度で自分に話しかけているかに注意してください。おそらく、一日に何度も話しかけてくるはずです。そんな場合、すでに示したようなやり方で、カンタに答えるようにしましょう。
食べ物、セックスなど、感覚にかかわる面で〈行きすぎ〉があったために、罪悪感が表面化した場合には、カンタに次のように言いましょう。
「ねえ、カンタ、私が感覚を濫用したことは知っているわ。あなたは正しい。でも、それは、私が、もともと感受性が鋭い人間なの、それで、今世での私の人生の目的は、自分のニーズを満たしながら、なおかつ感覚を統御するということなの。
でも、それはまだ実現されていないので、私はこれからもいろいろな状況を経験しなくてはならないでしょう。だけど、どうやって人生の計画を達成するかについては、私自身に任せてほしいの、不愉快な状況に遭遇するかもしれないけれど、私はそれらを引き受けることが出来るでしょう。だから、あなたは休んでいてちょうだい。そして、私に、人生の舵とりをまかせてほしいの。これまで一生懸命、私を助けてくれたことを監視やしています。でも、これからは、自分で自分の人生を生きたいの」
また、〈侮辱による傷〉に苦しむ人たちは、特に、歩いたり、走ったりすることにおいて、自分があまりにものろいと考えています。それは、感覚の喜びをより多く味わうためだと、
それらの人たちから聞いたことがあります。でも、やがて、その人たちは、いつも必ずそうしなければならないわけではない、時には早く動いてもいいのだ、と言うことを理解するでしょう。もしあなたがそういう人だったら、時間はあなたのものであり、その時間の使い方を決められるのはあなただけである、と言うことを知って下さい。
〈侮辱による傷〉が活性化されるとどうなるか
まず、ある人が、エゴに影響されたとき――つまり、仮面をつけたとき――どのように振る舞うかを見てみましょう。次に、同じ人が、センターに入ったととき――つまり、ハートに従ったとき――どう振る舞うかを見てみます。そうすれば、同じ状況であっても、仮面に支配されずに、〈侮辱による傷〉を感じ取ることが可能である。ということが分かるでしょう。
では、数年前から、魅力的な男性であるアランと結婚しているモニックの例をあげましょう。彼らには友人が多く、そのつき合いも盛んです。友人同士のパーティーがよく開かれますが、そんな時に、アランはいつもほかの女性たちとばかり話をし、しかも、モニックの前で、平然と、彼女たちの腰を抱いて口説くのです。自分が持っている誘惑者の面を、しっかり妻に見せておく良い機会だと思っているからです。モニックは平静を装いつつ、心の中で次のように呟きます。「私に隠れて何かをされるより、私の目の前でやってくれた方が、ずっといいわ」
とはいえ、ある時、彼女は私に、「少なくとも、ダンスは私としくれてもいいと思うんだけど」と言いました。あとで彼女が、夫のアランにそう言ったとき、彼はこう答えました。「君とは踊りたくない。だって、君は太り過ぎているからね。もし、僕と踊りたいなら、もっと?せなくちゃ」
この場合、普通の女性だったらどう反応するでしょうか? 当然、怒りますよね? モニックも、もちろん怒りを感じました。でも、それを表に表せませんでした。なぜなら、細身の女性を好む夫とダンスをするには、自分は全く適さないと思ったからです。
この時、モニックは、ただちに〈マゾヒストの仮面〉をつけました。そして、カンタが彼女にこう思わせたのです。
「夫の言うことは正しいわ。確かに、私は太り過ぎているもの。こうしたパーティーに連れて来てくれるだけでもありがたいと思わなくちゃ。ほかの女性たちが何を考えているか、よく分かる。彼はもう私とセックスしていないはずだ、と考えているに違いないわ。
確かに私は、不快なほど太っている。本当にその通り。私は意志が弱くて、いつも食べ過ぎる、特に、甘いものには目がないんだから。いつも、もっと?せなきゃいけないと思うのに、絶対にそうできない。それに、以前の、もっと痩せていた時の私は、男性たちにとって魅力すぎたわ、結婚した今では、むしろ太っているからこそ、浮気する心配はないの。?せていたら、きっと自分の気持ちを抑えることはできないでしょう。痩せていれば、たぶん火遊びの危険がある。でも、これだけ太っていれば、みんな私を不快に思うだけでしょう?」
もしあなたが似たような状況にあるのなら、あなたに絶えず話しかけてくる声を聞いて、それを信じ込むのではなく、その声に、次のように反論すればいいのです。
「おやおや、またあなたなのね、カンタ。あなたが、私に、太っていれば男性たちの気をそそらないからいいことだ、と言って私を助けようとするのはよく分かるわ。確かに私は痩せたいと思っているけれど、その前に、このままで自分はキレイだと思い、しかも、素敵なセックスを楽しむことが必要なの。
夫について言えば、彼は、私が自分について考えていることを映し出している鏡に過ぎない。私が自分に可能的であることを許せば、夫も私を望むはず、でも、官能的になったら、私がそれを濫用するに決まっている、と貴方は思っているのよね。
でもね。しばらくは、この体重しているの。もう、私の事は心配しなくても大丈夫だから。これまでのあいだ。ずっと私を助けてくれたことに感謝します。これからは、自分の事は自分で決めるから、あなたは休んでいてね」
こんなふうに、少しずつ、エゴの影響から離れて、ふたたびセンターに入れば、ハートの声を聞くことが容易になるでしょう。あなたは、前述したような状況を、静かに観察できるようになるはずです。ついつい傷に反応してしまったら、静かに深呼吸して、次のように考えましょう。
「この状況、またはこの人が、私の〈侮辱による傷〉に触れたことを認めます。私は、自分が弱さを持つ人間であり、癒すべき傷がまだあることを受け入れます。まだしばらくは、自分が侮辱されたと感じるでしょう。でも、やがて、こうした状況が私を苦しめることは、少なくなっていくと思います」
このように、善・悪の判断をせずに、自分が経験していることを冷静に観察するようにしてください。それが傷を癒すことになるでしょう。自分を裁き、批判する代わりに、傷を持っていることをありのままに受け入れるのです。それこそが、自分を愛しているしるしなのです
次の章に入る前に、これから言うことを、ぜひ行ってください。
まず、数日のあいだ、〈侮辱による傷〉が活性化されて、〈マゾヒストの仮面〉をつけたら、その経験をすべてノートに書き出してください。そうすることによって、エゴがあなたに囁くことに対して、意識的になることが出来まるでしょう。
次に、あなたがエゴに応えることにした内容を書き出してください。この実践を繰り返すことによって、あなたがやがて、エゴと、ごく自然に対話できるようになるでしょう。特に、エゴと話をして感謝した後では、それ以前と、感じ方がどのように違うかを確かめてください。そうすれば、ふたたびセンターにいれて幸せを、しみじみと感じることができるでしょう。
つづく
第八章 どの傷が活性化したのかを知る方法は?
エゴに支配された夫婦生活・性生活は倦怠感・性の不一致となる人が多い、新たな刺激・心地よさを付与し。避妊方法とし用いても優れた特許取得ソフトノーブルは夫婦生活での性の不一致を改善し、セックスレス及びセックスレス夫婦になるのを防いでくれます。