おそらく、「アメリカでは相手がいない男女は自分の新聞広告を出してまで、パートナーをゲットするらしいけれど、そこまではちょっと…・」というためらいが私たちの中にまだ残っている トップ写真赤バラ煌きを失った性生活は性の不一致となりセックスレスになる人も多い、新たな刺激・心地よさ付与し、特許取得ソフトノーブルは避妊法としても優れ。タブー視されがちな性生活、性の不一致の悩みを改善しセックスレス夫婦になるのを防いでくれます。

だれとも出会えない理由

本表紙 香山 リカ=著=

ピンクバラだれとも出会えない理由

先ほど私は、80年代に“アメリカ式”の恋愛観が急激に日本社会に広まったと言いましたが、お気づきのように、ここで私たちに植え付けられた新しい恋愛観はなんとも中途半端なものでした。つまり、「恋人はいた方がいい」という“思考編”だけが広まり、「なんとしても見つけるべき」という“実践編”は置き去りにされたのです。

 おそらく、「アメリカでは相手がいない男女は自分の新聞広告を出してまで、パートナーをゲットするらしいけれど、そこまではちょっと…・」というためらいが私たちの中にまだ残っているため、“輸入”はなんとも半端な形になったのでしょう。

 つまり、恋愛がそれほど必要で大切なものかどうかを考える余地もないまま、「恋愛はしたほうがいい」という考え方だけが、実践のためのマニュアルをつけずに私たちの生活に入り込んできた、ということです。

 ここで混乱が生じるのは、あたりまえです。冒頭で紹介した「出会いがない」「このまま一生、恋愛できないかも」と呟いている人たちは、本当に切実に恋人が欲しいのでしょうか。
 もしかすると今は自分の仕事と生活で手いっぱいで、恋愛にエネルギーを注ぐ余力などない時期なのではないでしょうか。

 実際に毎週、連絡したり会ったりする恋人ができたら、それはそれで面倒くさいな、と心のどこかで思っているということはないでしょうか。そして、それにもかかわらず、「恋愛? まぁ、今はいいわ」というのはいかにも“変人”めいていると自分で思い込み、「恋人が欲しいのに出会いがないの」と自分への言い訳として呟いている、という可能性はないでしょうか。

 あるいは子どもの頃から、「恋愛ってすばらしい」恋人がいない人生なんてつまらない」という考え方になじみすぎていたため、恋愛を必要以上に美化しいるのかもしれません。
 恋愛ってある日、突然、雷(かみなり)に打たれたようになって、それから世界の色がすっかり変わるような体験だと思う。そんな出会いが私にも早く、訪れないかしら・・‥と、頭の中で劇的でロマンチィックな恋愛シミュレーションを重ねすぎた結果、そういう出会い以外は恋愛ではない、と思い込んでいるのです。

 おそらく、私の友だちが体験した、“アメリカ式”の恋愛観は、もっと現実的なイメージだと思います。恋愛は自分を丸ごと変えてくれるからした方がいい、というよりは、「恋人がいないと、週末にバスケットボール観戦を楽しむこともおしゃれなレストランに出かけることもできないじゃない? だからいた方がいいに決まっている」という感じです。

 日本の若い女性は、恋愛に対してもう少し内面的、観念的な捉え方をしようとしているのではないでしょうか。そこがまた、「出会い」の機会から人を遠ざけてしまうのです。

 もちろん、恋愛に関してはいくら綿密な計画を立てても、その通りには行きません。「私は一生、恋なんてしないで仕事に生きる!」と言っていた女性が、ある日、20歳年下の男性と出会って大恋愛・・‥というケースもありました。

どんな恋がしたいか

 とはいえ、ある程度、“今の自分”が恋愛に対してどう考え、なにを望んでいるのかは、はっきりさせておく必要はあるのではないでしょうか。
 まず、私は本当に今すぐ、恋愛をしたいのか。恋人が欲しいのか。
 もし、「実は今はちょっと」という気持ちだとしたら、それは恥ずかしい事でも何でもありません。

 世の中には、恋愛をしていない時にしかできないこと、読めない本がたくさんあります。恋愛すると人はどうしても、見たもの聞いたものに自分を重ねすぎたり、感情移入をしすぎたりして、客観性を失ってしまいます。また、恋愛している自分に関係ないものはなるべく見たくない、という気分になってしまいます。


 だから、恋人がいないときこそ、美術館に行ったり映画を観たりしたほうがいいのです。幸い、日本はアメリカのように「カップルじゃないと映画館にも入りにくい」という社会ではありません。

 恋人や夫のいないシングルの人たちは、「これは天から与えられたギフトの時期」ととらえて、もっと積極的に生活を楽しんで欲しいと心から思います。

 でも、いろいろ考えて「いや、私はやっぱり恋愛がしたいだ」 という結論に達した人。その人たちは次のステップとして、「恋愛で何がしたいか」を考えるべきです。
「なにをしたい? ‥‥うーん、すべて」「私のことをぜーんぶ分かって欲しの」といった現実離れした答えしか思い浮かばない人は、まだ恋愛をする段階にはないのかもしれません。


“アメリカ式”に割り切って考えろ、とは言いませんが、恋人がいないメリットとともに「恋人がいたら何と何を一緒にしたいか、そして何は独りでしたいか」きちんと考えてみたほうがいいと思います。

 そうすると自然に、「…‥ということは私の場合、仕事のサイクルが私と同じで、週末はきちんと休める人がいいな」などと具体的に“出会いたい人”のイメージがわいてきます。
 どういう恋愛をしたのかも決まっていないのに、「とにかくステキなカレが欲しい」と思っている時こそが、いちばん出会いから遠いのではないでしょうか。

 私の別の友だちは、仕事を忙しくこなしながらも「恋人がほしいな」とずっと言っていました。ある日、年下の友人の前でそうつぶやくと、「それなら、条件を五つ書いた紙をお財布に入れておくといいですよ」と言われたそうです。「条件なんて、なんだか打算的」と言うと、
「どんな恋人が欲しいのかわからなまま、ただ恋愛したいと言っているだけじゃ、永遠に恋人はできないです」ときっぱり言われたとか。

 彼女は冗談のつもりで、その「五つの条件」を考えてみました。
「仕事を優先させてくれる、一年に一回は休暇を取って一緒に過ごす。家族とも仲良くしてくれる・・‥」とあげていくうちに、はじめて、
「そうか、私ってこういう恋愛がしたかったんだ。もし仕事よりオレを取って、何て人が現れたら、いくらステキな人でも恋人にはできないんだ」と自分の恋愛観がわかったそうです。

 そして、実際にそのメモをお財布に入れておいたところ、数ヶ月後にはその条件にぴったりの恋人ができました。メモが奇跡を呼んだ、ということではなく、自分の恋愛観をきちんと見つめた結果、それに合った人が現れたときに「あ、この人だ」と気づくことができたのでしょう。

 もし、そのメモを書く経験がなかったら、彼との出会いも「ああ、感じがいい人だな」くらいで見過ごしてしまったかもしれません。
「出会いがない」と呟いている人は、もう一度、とにかく「本当に出会いたのか」と自分に聞いてみることから、はじめたほうがいいでしょう。
つづく 第二章恋は人生の万能薬?