とはいえ、ある程度、“今の自分”が恋愛に対してどう考え、なにを望んでいるのかは、はっきりさせておく必要はあるのではないでしょうか。
まず、私は本当に今すぐ、恋愛をしたいのか。恋人が欲しいのか。
もし、「実は今はちょっと」という気持ちだとしたら、それは恥ずかしい事でも何でもありません。
世の中には、恋愛をしていない時にしかできないこと、読めない本がたくさんあります。恋愛すると人はどうしても、見たもの聞いたものに自分を重ねすぎたり、感情移入をしすぎたりして、客観性を失ってしまいます。また、恋愛している自分に関係ないものはなるべく見たくない、という気分になってしまいます。
だから、恋人がいないときこそ、美術館に行ったり映画を観たりしたほうがいいのです。幸い、日本はアメリカのように「カップルじゃないと映画館にも入りにくい」という社会ではありません。
恋人や夫のいないシングルの人たちは、「これは天から与えられたギフトの時期」ととらえて、もっと積極的に生活を楽しんで欲しいと心から思います。
でも、いろいろ考えて「いや、私はやっぱり恋愛がしたいだ」 という結論に達した人。その人たちは次のステップとして、「恋愛で何がしたいか」を考えるべきです。
「なにをしたい? ‥‥うーん、すべて」「私のことをぜーんぶ分かって欲しの」といった現実離れした答えしか思い浮かばない人は、まだ恋愛をする段階にはないのかもしれません。
“アメリカ式”に割り切って考えろ、とは言いませんが、恋人がいないメリットとともに「恋人がいたら何と何を一緒にしたいか、そして何は独りでしたいか」きちんと考えてみたほうがいいと思います。
そうすると自然に、「…‥ということは私の場合、仕事のサイクルが私と同じで、週末はきちんと休める人がいいな」などと具体的に“出会いたい人”のイメージがわいてきます。
どういう恋愛をしたのかも決まっていないのに、「とにかくステキなカレが欲しい」と思っている時こそが、いちばん出会いから遠いのではないでしょうか。
私の別の友だちは、仕事を忙しくこなしながらも「恋人がほしいな」とずっと言っていました。ある日、年下の友人の前でそうつぶやくと、「それなら、条件を五つ書いた紙をお財布に入れておくといいですよ」と言われたそうです。「条件なんて、なんだか打算的」と言うと、
「どんな恋人が欲しいのかわからなまま、ただ恋愛したいと言っているだけじゃ、永遠に恋人はできないです」ときっぱり言われたとか。
彼女は冗談のつもりで、その「五つの条件」を考えてみました。
「仕事を優先させてくれる、一年に一回は休暇を取って一緒に過ごす。家族とも仲良くしてくれる・・‥」とあげていくうちに、はじめて、
「そうか、私ってこういう恋愛がしたかったんだ。もし仕事よりオレを取って、何て人が現れたら、いくらステキな人でも恋人にはできないんだ」と自分の恋愛観がわかったそうです。
そして、実際にそのメモをお財布に入れておいたところ、数ヶ月後にはその条件にぴったりの恋人ができました。メモが奇跡を呼んだ、ということではなく、自分の恋愛観をきちんと見つめた結果、それに合った人が現れたときに「あ、この人だ」と気づくことができたのでしょう。
もし、そのメモを書く経験がなかったら、彼との出会いも「ああ、感じがいい人だな」くらいで見過ごしてしまったかもしれません。
「出会いがない」と呟いている人は、もう一度、とにかく「本当に出会いたのか」と自分に聞いてみることから、はじめたほうがいいでしょう。
つづく 第二章恋は人生の万能薬?