佐橋健次 著
親から子への性の話し方佐橋健次 著
誤解の多い性教育批判
それは、伸びようとする性教育の足をひっぱる性教育批判が、一方で次第に高まる必要論に対抗するかのように増えていることです。そうした批判の多くは、性教育の実態を知らないための誤解に基づいているのです。
批判の一つに「性教育は性器のメカニズムだけを教える性器教育だ」というのがあります。学校では決して性器のメカニズムだけを教えているのではありません。もし、そのような教育があるとしたら、性教育のなに価しないものです。
子どもの悩みがわからない大人
大人たちが戸惑っている一方で、子どもたちも体の成熟についての個人差にともなう悩み、たとえば発毛や月経、乳房やペニスの発育についての悩みを誰にも相談できずに、いろいろと苦しんでいます。
自分だってかつてはそれで悩んでいたのに、それを忘れてしまった大人たちは、子どものそうした悩みがわからずに、「あんたはいつまでもペチャパイね、○子ちゃんなんかあんなに大きいのにね」など、グサリと痛いところを突き刺すようなことをいいます。
子どもの質問に答える時の四原則
いても優れている。性生活には欠かせない避妊・避妊方法です。
子どもの悩みがわからない大人
大人たちが戸惑っている一方で、子どもたちも体の成熟についての個人差にともなう悩み、たとえば発毛や月経、乳房やペニスの発育についての悩みを誰にも相談できずに、いろいろと苦しんでいます。
自分だってかつてはそれで悩んでいたのに、それを忘れてしまった大人たちは、子どものそうした悩みがわからずに、「あんたはいつまでもペチャパイね、○子ちゃんなんかあんなに大きいのにね」など、グサリと痛いところを「
性教育は難しくない
性教育の必要なことはよく分かるが、生理的な話はどうも難しくて」と言う人がとてもたくさんいます。
しかし性教育、とくに生理的の話は決して難しくありません。
突き刺すようなことをいいます。
夫婦の性生活は子どもに見られぬように
これは、子どもの年齢の如何にかかわらず、絶対にあってはならないことです。とくに子どもが幼いほど、その意味が分からないのでショックが大きく心の傷として残ります。
幼児期には、質問について正しく答えることも大切ですが、同様に、この時期よく見られる性的な遊びなど行動についての指導もとても大切です。
・性器いじり 前にもふれたように、性器いじりそのものは別に害があるわけではありませんし、子どもが十分に体を動かして遊ぶようになればだいたいしなくなるものですが、幼児期になってもまだそれが見られる場合は、大切なところだから傷をつけたりしてはいけないということを指導する必要があります、
それは「そこはおしっこの出る大切なところですね。汚い手で触ったりして傷がついたりバイキンがはいったりしたら、おしっこが出なくなるかも知れませんよ。そんなことになったら大変ね」と注意します。この時、強く叱らないことは勿論ですが、「絶対にさわってはいけないの」などと言わないでください。
これもトイレのぞきと同様に、ただ性別のちがう子の性器が見たいというだけのことで、とくに心配したりする必要はありません。私にもおぼえがありますが、一人っ子だとか異性の兄弟のいない子が、比較的したがる傾向はありますが、これも一過性で、いつまでも続くというものではありません。ただ不潔な手でさわったり、注射だの浣腸だのといって、肛門や性器に割りばしなどなどあぶないものを入れたりすることがあるので、気をつける必要があります。
この小学2・3年生時期から、女子では乳房がふくらみはじめる子が多く、また三年生ぐらいから初潮を迎える子もボツボツ現れます。男の子も幼児的な体型から少年らしくなってきますが、そうした発育や性的成熟にともなって、性別意識も低学年自分に比べて、いっそうはっきりし、異性に対しての関心も芽生えます。しかし、いわゆるギャングエージと呼ばれるように、それが素直に出せないで逆に女の子をばかにしたり、いじめたりといった現れ方をすることが多い時期です。
夫婦間の営みを子どもに見られるということは、あってはならないことですが、「気がつかないうちに子どもが部屋に入って来て見られてしまったがどうしょう」という悩みはまま聞くことがあります。
性への質問を幼い頃からはぐらかしに会ってきた子どもは、この時期になると普通は聞いてこなくなりますが、テレビや新聞など見たり聞いたりした言葉や、できごとについて質問してくることも少なくありません。
月経 受精の仕組み
質問や目につくような行動がなくても、事前に必ず話しておかなければいけないことは月経のことです。何も知らない子が突然、月経を迎えた時のショックは、大人の想像できないほど強烈なものです。そして、それが前にも述べた女性の性意識をマイナスに追い込む大きな理由にもなっていきます。から、その時期が近づいた、一対一でゆっくり話しておきましょう。
受精のしくみ(性交)六年生に受精のしくみついて授業した時のことです。一人の男の子が私のそばに来て、
「先生、ボクも前からそうじゃないかと思っていたんだけど、自信がなかったんです。それが今日の勉強ではっきりわかって安心しました」と、いった事がありました。
中学生時代というのは思春期ということばで代表されるように、文字通り悩みの多い時期です。それは子どもから大人になっていくための生理的、心理的な変化が急激に現れることにともなって起きるもので、古今東西を問わず、およそこの年頃の子どもたちがみんな経験したことです。だから、大人になるためには誰でも一度は通らなければならぬ、いわば関所のようなものです。
残念なことに大人の中には、そんなことはまるで無かったような顔をしたり、あるいは全く忘れてしまっている人が少なくありません。そして、子どもたちの悩みや不安の解消にも手を差しのべようともしてくれないのです。
マスターベーションは、生理的にも心理的にも何の害のないものである。
もしも害があるとしたら、それは本来少しも悪いことでもないのに悪いと思い込まされ、止めようとするがどうしても止められないために、精神的に悩むことにあるだけだ」ということは、現在欧米の性科学者の間では、ほぼ一致した見解となっています。
まず、男女交際は中学生のすべきものではないとか、出来ることならしないでほしいという偏見は持たないことです。現在小学校から中学、高校と男女共学が行われていることは、男女とも小さい時から相互に理解し合い、敬愛、協力していくことが人間形成の上で極めて重要だからにほかなりません。だから少年少女たちが異性と交際していくことはごく当然のことで、禁止すべきものではないのです。
一度恋をしてしまうと、人はみなスタンダールが恋愛論の中で言っているように結晶作用が始まり、目にふれ耳にするあらゆることから相手を美化し続けますが、またその裏返しで自分をつまらない者だと矮小化してしまうので、すばらしい相手に愛される喜びも大きいけれど、また本当に自分のようなつまらぬ者を愛してくれるのだろうかという心配も大きくなるものです。
男女交際に関連して女の子を持つ両親が最も恐れていることは、娘の相手がヤクザや暴力団の組員であったりすることでしょう。そうしたこわいオニイさんたちによってシンナーや覚醒剤の味を覚えさせられた挙句、彼らの管理売春の餌食にされたり、廃人同様にされた例は少なくないからです。
ところが女の子たちの方では、こうしたヤクザの恐ろしさを少しもわかっていないのです。