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ヤクザのこわさを知らない少女たち

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ヤクザのこわさを知らない少女たち

赤バラヤクザのこわさを知らない少女たち
男女交際に関連して女の子を持つ両親が最も恐れていることは、娘の相手がヤクザや暴力団の組員であったりすることでしょう。そうしたこわいオニイさんたちによってシンナーや覚醒剤の味を覚えさせられた挙句、彼らの管理売春の餌食にされたり、廃人同様にされた例は少なくないからです。

 ところが女の子たちの方では、こうしたヤクザの恐ろしさを少しもわかっていないのです。
 それどころか次のような例が多いのです。

 これは覚せい剤の使用で警察に補導された女子高生ですが、同棲同様にしているヤクザについてこんなことを言っているのです。「ヤクザは怖い、悪い人と思っていたが、彼は全然そんな人ではない。彼は私の事を本気で心配してくれています。私をきびしく𠮟ってくれるし、うるさく指導してくれるし、私にとってすばらしい先生でありお兄さんです。

 私がタバコなんか吸うととても怒るのです。女の子はグレてはいけない、タバコなんか吸ってはダメだと厳しく叱られる・・・・親よりも私の話を聞いてくれるし、気持ちもわかってくれるの、どうしてヤクザがいけないの」(『女子非行』少年非行研究会=学事出版)

 グレてはいけない。タバコを吸ってはいけないという口の下から覚せい剤を教え、家を飛び出させている相手の本心を気づかないほど夢中になっている少女に“親よりも話を聞いてくれる”とか、“私の事を本気で心配してくれる”と思わせてしまうところに、これまでの家庭での彼女に対する育て方についての問題があると思うのです。

 私が相談を受けた例で、高一で中退し、やはり高校中退の暴走族の少年の所に入り浸りっている女の子の場合も「お兄ちゃんはとても優しいの、あたしがお母さんの悪口なんかを言うと“自分の親の事を何だ”と言って、ひっぱたいてくれることもあるし、あのお兄ちゃんはお母さんたちが思っているような悪い人じゃない」と言っていたのです。

 このようにヤクザや暴力団だけでなく、それに近いような男性にひかれる少女たちが、一様に相手のやさしさを強調するのですが、そうしたやさしいお兄さん役を買って出たり、恋仲になるなど、あらゆる手段で自分たちの食い物にしょうとする彼らの恐ろしさについて、折にふれて話しておくことが大切です。

 それとともに、子どもたちがこんなにも優しさに飢え、話を聞いてもらいたがり、しかもそれを家庭内で充たすことができず、外に求めようとしていることを親として考えていただきたいのです。

 性的な問題だけでなく万引きにしても、登校拒否、家庭内暴力などのケースにしても、幼い頃からの育て方、とくに教育面でのお父さんのかかわり方が大きく影響しています。

 非行少年少女たちに親子のふれ合いの様子を聞くと、「お父さんとは接触の機会や話す時間がない」とか「自分はいつもほったらかされているか、お父さんなんかいてもいなくてもよい人だ」と見ている場合が大半のようです。そして話もろくにしないのに、何かあると自分の意見だけを押し付けようとし、それに対して自分の考えを言おうとすると「口答えをするな」叱られるという不満もかなりあります。

 決して猫かわいがりに甘やかせと言うのではありません。この中学・高校生の年頃の子どもには頭ごなしに結論を押し付けることは禁物です。話をよく聞いてあげて、いけないことはいけないと、親としての考え方をはっきり示すことがポイントです。

 そのためには、普段からお互いになんでも話し合える親子関係が大切です。子どものことは全部お母さんまかせでなく、またお父さんに求められないものを外のヤクザや暴力団・暴走族などに求めさせたりしないよう、忙しいことはよくわかりますが、大切な我が子のためにです。お母さんと協力して頑張って頂きたいとことを切に願うものです。
おわり

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