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第三部 ゆかいな子どもたち

本表紙

ゆかいな子どもたち

1 魅力を感じる子供たち
テレビを見ていて、私が魅力を感じる人の一人に、藤田まことさんがいます。ドラマ“必殺仕掛人”の中の中村主水役で出ておられる人です。
どこに魅力を感じるかいえば、どこか抜けたような、フワァーとした感じ。そして、いざというときに、きりっとしまって自分の本領を発揮するところです。

 自分に欠けているもの、自分に無いものをもっておられる人に魅力を感じる場合と、自分と同じタイプで優れている人に魅力を感じる場合とがあると思うんです。が、私はどうやら前者のようです。中村主水のような強さの一面を自分が持っていないために、いいなあと思うのです。

 子どもの中にも、そういう子どもがいると、いいなあと思います。
例えば、通知簿やテストを渡すとき、見てシュンとなる子どもはあまり好きになれません。
そういう子どもを見ると、私の方がめいり込むのです。一生懸命にやったと思うと、気の毒になるんです。
涙をためる子どもなどを見ると、私は暗くなってしまいます。ところが、通知簿やテストを見てから、返す子もいるんです。
「ね、もうちょっとまけといて」
 と言います。
「あかん、まからん」
 と、私がいいますと、
「先生、けちゃなあ」
 と、あきらめて、持って帰っていきます。こういうものの考え方をもてる人がうらやましいのです。私にはこれが出来ないのです。

 とにかく「あかるい」ことに魅力を感じるのです。
「子どもには、暗い面もあります。悲しい境遇の中にいる子もいます。かわいそうな生活を送っている子どももいます。そういう子どもたちの話をもっと取り上げて欲しい」ということをテレビ寺小屋の放送のあとで、批評してくださる方があります。

 でも、そういう子どもの世界を取り上げて話をして下さる先生もたくさんいらっしゃるのです。私は私なりの考えで、私の魅力を感じる子どもの話を取り上げていこうと考えています。

にくめない子どもたち

子どもの中に、どうしてかにくめないという子どもが何人かいます。
 あなたはいかがですか。ご近所の人の中にでも、にくめない方って、いらっしゃるでしょう。

 子どもの中にも、同じことをしても憎めない、腹が立たないという子どもがいるのです。
 宿題を忘れてきたときにも、子どもによって、とる態度がいろいろあります。

・何とか、ていよくごまかそうとする子ども
・見つからなければ、自分からは先生に言いに行くまいと思っている子ども
・見つかってから、あやまる子ども
・自分から、あやまりに来る子ども
・顔をひきつらせて、涙ぐんで、小さい声で「忘れた」とあやまる子ども
・元気よく、いつもと変わらない動作で、出てくるなり、「忘れてしもた」と大きい声で言うなり、頭をかきながら、ニコッと笑う子ども
 まるで、他人が忘れたのを言いに来たような言い方です。

 私が話そうとすると、先に、
「なあ、先生あんなに忘れたらあかんと言うたのに…ぼく、忘れてしもうた」
 と言うので、腹が立たなくなってしまいます。

 ゲンタくんはそういう子どもでした。見るからに子供らしい子どもです。元気ないい子です。少しもじっとしていません。朝学校に来た時に、もう顔や手足がうす黒く汚れているのです。
学校に来るまでに、ひと遊びしてきたのかもしれません。
「ゲンタくん、腕が汚れているよ。何か黒いものがついているよ、洗ってきたら?」
 と言いますと、ゲンタくんは笑いながら、
「いいよ、いいよ。ぼく、いいんだ」
 と言うだけです。

 このゲンタくんは、友だちをつくることが上手でした。
 例えば、あるとき、休み時間に運動場で遊んでいる子どもを見ますと、ゲンタくんがあまり見たことのない子どもと遊んでいるのです。
私がそばへ行って、
「ゲンタくん、この子、誰?」
 と聞きますと、
「えッ、この子? ぼく、知らん」
 と、答えます。
「知らんって、今いっしょに遊んでいたじゃないか」
「ああ、遊んでいたよ。一生懸命遊んでいたよ。ねえ」
 するとその子が大きくうなずきました。
「ゲンタくんは、この子を知らないの」
「うん、知らん。この子に聞いてみ見てよ」

 そこで聞いてみますと、この子どもは昨日学校へ転入してきて、となりの学級に入ったのです。初めてきたものですから、休み時間に、運動場に出てきたのです。そこへ、ゲンタくんが来て、
「遊ぼうと。来いよ、さ、早く」
 と、ひっぱって来て、一緒に遊んでいたと、その子どもが話してくれたのです。このように、ゲンタくんは人とすぐに友だちになれる子どもです。
 あるとき、ゲンタくんのお母さんにお会いしたとき、
「ゲンタくんって、いい子ですね」
 と、私が言いますと、
「どこがですか」
 と、たずねられるのです。
「どこがって‥‥まず、友だちと仲よく出来るでしょう」
「あの子って、ちょっと変じゃないですか」
「どうしてですか」

「もういろんな友達を連れて来るんです。そして、いつも違った友だちで、新しい子どもばっかりなんです。
たいていのお子さまは決まった友達と遊んでいるのに。やっぱり少しおかしいんじゃないかと思うんです」

「そんなことはないですよ。学校で勉強しているときの態度もいいし、何事もはっきりしていて、私はいいと思いますがね」
「そうですかね、きのうもね、夜、大きな声で、ひとりごとを言っているのです」
「どんなことを言っているのですか」
「晩ごはんがすんでから、自分の部屋に行って、窓をあけて、空に向かって何か言っているんです。何を言っているかなと思って、後ろに行って聞いてみますと、お星さまと話をしているんです」

「何を言っているんですか」
「“おうい、お星さま、たくさんいるね、そんなにたくさん友達がいたら、楽しいねえ。いいなあ。仲よくしろよ”と、お星さまを見ながら、話しています。

それから、お月さまを指して、“お月さまを見てみい、ひとりぼっちで、さみしそうやぞう。そばにいるんやから、遊んでやれよ。仲よくね”と言うんです。大きな声で言うので、近所の人が変に思わないかと思います」
 私はお母さんの話を聞いて、ゲンタくんは、星も月も人間と同じように思っているんだ、友だちなんだ、こういう気持ちは、いいなあと思いました。

子ども同士のふれあい

そのゲンタくんのことで、次のようなことがありました。
 その日は朝から雨模様でしたが、降りそうで降らない日でした。
子どもが学校から帰っていったあと、私は隣の学校の研究会に出かけることになりました。その後、私はケンタくんと二回出会いました。

 私は傘を持たずに学校を出ました。となりの学校に行く道で、ケンタくんと会ったのです。ケンタくんは、四、五人の子どもたちとやって来ました。
「先生」
 ケンタくんが大きな声で、声をかけます。
「先生、どこへ行くんの。な、もう帰るの、早いな」
「先生はね、これから勉強会に行くんだよ」
「勉強をしに行くの」
「ああ、そうだよ」
「先生、えらいな」
「ケンタくんは何処へ行くんだ」
「これから、みんなで探検ごっこに行くんだよ」

 見ると、ケンタくんだけがこうもり傘を持っていました。
「ケンタくん、こうもり傘を持って遊びに行くの」
「お母ちゃんが持って行け、持って行けと言うんだよ。持って行かないと、行かしてくれへんねん。だから、しかたなしにもってきたんや」

 ゲンタくんは傘を振り回しながら、友だちと歩いて行きました。
 その日、二回目にゲンタくんに会ったのは、研究会がすんで、帰ってくるときでした。私が途中まで来たとき、急に雨が降り始めました。

そして、今までためていたかと思うほど、烈しく降り出しました。しばらく雨の中を走りましたが、雨があまりにも烈しいので、私はカメラ屋さんの店先のテントが張りだしている軒先へ飛び込んで、雨宿りをしました。

しばらく降っている雨を見ていますと、向こうからゲンタくんが雨の中をタッタ、タッタと走って来るのが見えました。ずぶぬれになって走ってきます。
「おうい、ゲンタくん、ゲンタくん」
 と私が呼びました。私に気づいたゲンタくんは、軒先に飛び込んできました。
「先生また会ったね」
 と言って、笑っています。

「そんなに雨の中を走らずに、もう少し小降りになるまで、ここで先生と待とうよ」
 と、私が言いますと、ゲンタくんは頷きながら、私のそばに来ました。
「急に降ってきたから、ぬれたね」
 と言いますと、
「うん、先生もぬれたね」
 と、笑っています。
 フッと気がつきますと、ゲンタくんは傘を持っていません。さっき会ったときは、傘を振り回していました。
「傘はどうしたの。忘れてきたの」
と、たずねますと、ゲンタくんは首を横に振って、
「ううん、忘れないよ」
 と答えます。
「じゃ、どうしたの」
「ユウちゃんに貸したよ」
ユウちゃんというのは、ゲンタくんと一緒に探検ごっこにいった子どもなのです。
「ユウちゃんに貸したって?」
「うん、ユウちゃんは風邪をようひくんや。こんな雨の中、ぬれたら、またユウちゃん風邪をひくやろ。かわいそうやろ、ぼくはぬれても平気やもん。ユウちゃんに傘を貸してあげてん、先生、雨少しましになって来たわ。ちょっとぬれる方が気持ちいいから帰るよ」

 と、ゲンタくんが言うので、「じゃ、先生もぬれていくか」
 と言って、二人は小降りになった雨の中を走っていきました。
 友だちに傘を貸しても、いかにもぼくは親切にしてあげたといった気配など、ゲンタくんには感じられませんでした。

ただユウちゃんは体が弱くて、風邪をひきやすいから雨に濡れたらいけない、ぼくは雨ぐらい平気だという気持ち――大事なことだと思います。と同時に、こんな気持ちになれるゲンタくんに感心してしました。
 こうした友だち同士の温かいふれあいを大事にしたいと思います。


 ヒロシくんと友達の“友情”
 友だち同士と言えば、思い出す子どもがいるのです。
 ヒロシくんは成績もよく、子どもの間でも人望があって、好かれていました。あるとき、理由は何だったか思い出せないですが、放課後、掃除をしている時、ヒロシくんを廊下に立たせたことがありました。

 ところが、掃除が済んだ後、私はうっかりして、ヒロシくんを立たせたことを忘れて、職員室に行ってしまいました。
職員室で、先生方と打ち合わせをしていました。打ち合わせが済んで、一度教室の戸締りなどを見に行こうと思ったととき、フッと、ヒロシくんを立たせたことを思い出したのです。

「しまった」と思いました。かわいそうなことをした。はやく行ってやらないと思って、私は速足に廊下を行きました。
(もう大分時間がたつているから、帰っているかもしれない。一人で、こんなに遅くまで立っていることはないだろう)などと、自分の都合のいいように考えて、急ぎました。

 廊下を曲がると、すぐに私の教室です。廊下を曲がった瞬間、私は立ち止まってしまいました。
 私はヒロシくん一人だけ立たせたのです。ところが、見ると、ヒロシくんのまわりに何人かの子どもたちがいるのです。

まるでお地蔵様のように、まん中にヒロシくんが立っていて、そのまわりに男の子二人と、女の子が二人とりまいて、すわっているのです。そして、一人が声を出して本を読んでいるのです。

 私はヒロシくんに何と言おうか――立たせて忘れてしまったのは私ですから、あやまらないといけないのですが…・いい言葉が見つかりません。
その上、眼の前に見た光景が予想もしなかったことですか、驚いてしまって、思わず、
「きみたち、何をしているんだ」
 と、たずねました。
 子供たちもびっくりしたような顔で私を見上げて、
「本を読んでいるのです」
 と言うのです。
 そこで、わけを聞いてみました。

 ヒロシくんと四人の子どもは、みんな近所に済んでいて、大の仲良しなのです。いつも五人いっしょになって遊んでいるのです。
でも、今日は学校から帰ってみると、ヒロシくんだけいません。
まだ、学校で立っているのです。ヒロシくんが欠けて、四人だけで遊んでも面白くないというので、四人そろって学校に来たのです。
ヒロシくんが一人廊下に立っていました。
「先生、きっとわすれているんや、もう帰ってもいいやろう」
 と、四人が言ったのですが、ヒロシくんは、
「先生が帰れと言わないので、帰ったらわるい」
 と言って、聞かないのです。

 そこで、四人が相談して、ここへ宿題を持ってきて、みんなでしようと言うことになって、いったん家に帰って、宿題を持って、また、ヒロシくんの立っている廊下に来たのです。
廊下に座り込んで、主題を始めました。ヒロシくんはよく出来るので、ときどきみんなが困ったところがあると、教えたのです。こうして、宿題は全部してしまったのです。

「童話のほんでも読もうか」
 と、一人が言い出して、学級文庫の中から本を持ってきて、順番に声を出して読み始めました。ヒロシくんに聞かせようというわけです。
 そこへ。私が行ったというわけです。
 私はヒロシ君だけでなく、四人の子どもたちにも、平身低頭して、あやまりました。
 私が忘れていたのですから、どう考えてもわるいのは私でした。
「先生、そんなにあやまらんでもうええよ。みんなで宿題したり、本を読みあったりしたから、楽しかったよ」
 と、ヒロシくんが笑いながら言ってくれました。私もホッとしました。
 この子どもたちの友情の温かさを大事にしたいなと、つくづく感じたのです。
 つづく 2、一行作文