女のウソは生きていくための知恵
男の実(じつ)をためす。このほかにも、女のウソの出所はたくさんあります。たとえば「男をおだてるとき」。いいわ、上手ね、最高よ、こんなのは初めて・・・・とくに行為の最中や事後の女のセリフにはウソが多い。ものすごく多いといっていいでしょう。
「自分かをうぶに見せたいとき」。やめて、そんなつもりじゃないの。そんなつもりのときでもとりあえずそう拒否してみる。「男の同情を誘いたいとき」「男からお金を引き出したいとき」。あるいは「生い立ちを隠したいとき」。野村サッチーなんかはこの部類かもしれません。
さらに「魅力を失いかけたとき」。化粧を厚くなったり、整形手術というかたちでウソをつくことがあります。「捨てられたくないとき」「男の愛をつなぎとめたいとき」。
男の愛情をカネでつなぎとめようと風俗勤めをしたり、勤務先の信用金庫のお金を横領したりする。また「嫌いな男の誘いにを断るとき」「男に二股かけているとき」もあります。
ディテールまであげていくとキリがありませんが、女性のウソはその理由も目的も方法もバリエーションが豊富です。
もう私も年だから、そろそろこの商売も切り上げて田舎へ帰るわ。そう悲しげにため息をつくので、客の男がそのホステスを食事に誘い、餞別のプレゼントまであげた。
しかし半月後、別の店へ行くと、そのホステスがいらっしゃーいと迎えに出てきた。むろん昔の名前は変えていた――そんな煮え湯を飲まされた男もいます。
ちなみに、この田舎へ帰る。郷里に戻るというセリフも女がよくウソに使用するものですから、要注意です。
もっとも女が男につくこうしたウソ、その責任の半分は男の助平心にもある。男が断る女を必死で説得して、やっとホテルにチェックインする。
さて、やっと思いを遂げられるぞと男がはやっている矢先に、女はお腹が痛くなってきた、生理がはじまっちゃったかしらとミエミエのウソをつく。男は怒りのもって行き場がないが、しかしこんなウソは男の助平心が誘発しているようなものです。
いまでも見かけることがありますが、アパートで独り暮らしをする女子大生で男物の靴下やシャツをひとそろいもっているケースがあります。
それを洗濯物として窓に干しておくことが、男の性の暴力から身を守る、あるいは押し売り対策として防波堤の一つになっているのです。
こういう「ウソ」はもちろんのこと、男の助平心を寸止めでかわすウソは、女がひとりで生きていくうえで必要不可欠な「悲しい」知恵や機知であると、ほとぼりがさめたら男はそう考えて、許してやるべきでしょう。
女のウソには六つの特徴がある
それなら、男には見られない女のウソの特徴はどんなものでしょう。ここでまとめておきましょう。
一、ためすウソ
これは前述しました。
二、じらすウソ
男の欲望を誘ってきながら、鼻先でそれをかわし、さらに男を興奮させるようなウソです。女の「いや、ダメ、よして」はすべてイエスの別言であるという古典的洞察(どうさつ)は、このじらし言葉のわかりやすい例です。
三、泣くウソ
いわゆるウソ泣き、空(から)涙です。やってみるとわかりますが、笑う、怒るは演技でできても、泣くこと、とりわけ涙を流すことはウソでやれるものではありません。役者だった目薬を使います。ところが、女性はこれを案外簡単にこなしてしいます。
ワニはエサとなる動物にかわいそうだと同情して、涙をためて獲物を食うという言い伝えがあり、そこから英語では、女の空涙のことをクロコダイル・ティアーズといいますが、女性の涙にはこういうこわさがある。
まったくの演技で流す場合もあれば、自分で自分のついているウソに感情移入してしまい、いっていることはウソだが涙は本物という場合もあるからややこしい。いまは別れをつげられて男が泣く時代ですが、こういう男の涙は空涙ではない。そこへいくと女の涙はときにウソの泉であり、またマコトの滴(したた)りであるのです。
四、目でつくウソ
ねえ、よく見て、これがウソをついている目に見える? そういって女はうるんだ目で正面からあなたの目を見据える。あなたはちょっとドギマギしつつ目をそらし、わかった、キミを信じるよ・・・。しかし、それは真っ赤なウソだったということがあります。
目は心の窓です。口ではうまいこと言っても、その虚実はかならず目にあらわれるもの。まばたきを繰り返す、視線をそらす、目が泳ぐ…・ウソは目でわかるものです。
しかし女性はその「目からウソを隠す」ことが得意です。男にはできないウソを出さない目の表情ができる。ウソがバレそうなときにもち出す、女の必殺の最終兵器といえます。
五、たたずむウソ
たとえば、繁華街の待ち合わせ場所に心細げにひとりポッンと女性がたたずんでいる。あるいは壁に寄りかかり、うなだれてつまらなさそうに自分のつま先に目を落としている。そんな風情の女は男心をそそるものです。
要は男の目に寂しげに映るからですが、それが男を誘う女の演技であった場合、たたずむ女も二枚舌の持ち主である可能性が高くなる。そして女性の多くは、こうした寂しさの演出効果を本能的、かつ経験的に心得ているものなのです。
六、フフフという謎めいた笑い。あるいは沈黙。
女がこれをすると、男はいったい何があるんだろう、何を考えているんだろうと、おそろしく想像力をたくましくします。それであれこれ思考の一人相撲をとったあげく、その女に関する想像を勝手にふくらましてしまう。
女は何もいっていない、したがってウソはひとこともついていない。しかし男のなかで女の虚構が肥大するといういみで、男は結果的に、女にミステリアスなウソをつかれたような気になる。
女のウソを見分ける七つの信号
では、どんなしぐさや言動からウソがわかるのか。どういう点に着眼すれば女のウソが見抜けるのか。そのウソ信号を見分ける七つのポイントをあげておきましょう。それはまた、男を巧みにだますさげまん女をつかまないための方法論でもあります。
まず、
「饒舌(じょうぜつ)すぎる」女性は、そのひっきりなしのおしゃべりで知られたくないことをカムフラージュしている可能性が高いので要注意です。話が途切れる。その短い沈黙のすきまからウソがこぼれでることを恐れるため、次から次へと話をついていくのです。
おしゃべりはもともと女の特技ですが、木を隠す場所として森が最適なように、ある場面で急に「早口や饒舌になったとき」は、そのあたりのどこかにウソの一行が隠れていることを男は疑ったほうがよさそうです。
虚偽は声高に、真実は低く語られるのがふつうです。饒舌な女性はまた、男をうんざりさせるという意味でもさげまん女の可能性が高い。
この点、男はこれと反対の反応を示すことが多い。いつもはおしゃべりな男なのに、急に女の聞き役に回って、うんうん、それで? などと短くあいづちを返すだけになる。
こんなとき、男は心に何かを隠匿しているものです。あるいは応答がぎこちなくなって柔軟性を欠いてくる。これはウソをつかなくてはならない場所が近づいてきた証拠です。 ろくに返事もせず、上の空でうなずくばかり。心ここにあらずという男の偽りの心理を表明しているようなものです。
二番目は「さわるしぐさ」にあらわれやすい。
これは男にも共通することですが、ウソは手の動きに出やすく、手で口や鼻なんかをそわそわとさわりはじめたら、ウソ信号だと考えて間違いありません。眉毛をかく、耳たぶを引っ張る、髪の毛に触る…さわるしぐさはウソにともなう不安や緊張感をやわらげようとする動作でもあるのです。自分の体だけでなく、相手の体をさわってくる女性もいますが、これなんかもあやしい。
また、
手はそれ自体の動きもウソ信号になっています。手を握ったり離したり、あるいは手をテーブルの下に隠したり、男ならポケットに突っ込んだりして相手の目から隠そうとする。手を通じてウソが相手に伝わってしまうのを、無意識のうちに恐れているのです。
三番目は「足の動き」
ウソをついているときの足は微妙に動いているものです。貧乏ゆすりをする、せわしなく動かす、位置をしきりに変える、足を組み直す。こうした足の動きは、ウソをついているその場面から早く逃げ出したいというサインでもあるのです。
四番目は「距離をとる」ウソ
ウソをついているやましさ、心理的負い目から、相手との対人距離を必要以上にとろうとしています。面と向かって話さないで、遠くから話しかけてくる。こういう場合は、ウソを疑ったほうが賢明と言えます。
それまで向かい合って話をかわしていた場合から立ち上がり、何歩か遠ざかってから、突然思い出したかのように振り向いて、
「ああ、そうそう、忘れていたよ。少しお金がり入用なことがあるんだけど…・」
と、おでこのあたりに指をあてながらさりげなく切り出す。その口から出てくる話には虚偽がまじっている可能性が高いものです。
高等技術を駆使し、強力な武器を使う
ウソ信号の
五番目は、相手から「視線をそらさない」。これは先にも述べましたが、目からウソを隠すことはできないものです。したがってウソをつくときは相手から目をそらすことがほとんど。
しかし女性は逆に大胆に、あえて相手の男の目を直視しながら、きっぱりした態度でウソをいうことがあります。ウソだと思うんなら、この目を見て――というだましの高等テクニックです。
このバリエーションに、
六番目の「のっけから本音を明かすふりをして、あきらめさせる」という複雑な手口もあります。
「私って、ぜいたくな女だけど、それでもいいの?」
実はそれほどぜいたくでもないのに、あたかも本心を打ち明けるようにホントめかしてそういう。つまりマイナスの方向にウソをつくことで、男をたじろがせ、一、二歩後退させるのが狙いのハイプロウなウソです。
「浮気性の女って、私のことよ」
そういわれて、たいていの男はそんな自分から告白するわけないから、悪ぶってはいるが、ホントはひとりの男に尽くすかわいいタイプの女だと勝手に想像してしまう。だが、この場合は本音だったというケースもあります。ホントをウソと思わせることで自分のいいイメージを相手に植えつける――これもまた女のウソの高等戦術です。
最後の女のウソ信号は「女の武器を強調する」
豊富なバストが目立つ服や太腿あらわなミニスカートで男の目をくらます。それで男の判断力を曇らせる、というより、ウソでもいいや、こちらが先決と男の興味をウソから色香にそらしてしまう方法です。強引だが女性のもっとも強力な武器、最初にして最後の武器ともいえます。
ネオンの世界でも、すぐ客の横に座ってくるホステスにはウソが多いという説があります。横に座れば客と目を合わさなくてすむという利点に加えて、体を男に接触させたり、男に自分の体をさわれさせたりして、男の動揺を誘いやすいからです。
このほかにもさまざまなウソ信号があります。まばたきが多くなる。空咳や咳払いをする、やたらとタバコをふかす。またしきりに唇をなめるしぐさも、ウソの緊張感から体温が上昇して口中が乾いていることを示すもの、ウソ発見器と同じメカニズムです。
さらに、笑いが少なくなる。逆に、大声すぎたり長すぎたりする誇張された不自然な笑いを見せる。どもったり、あのう、そのうという”つまずき言葉”を頻出する。同じことを何度もいう反復言葉や前後の文脈がつながらない不明言葉を口にするなど、あげていけば一冊の本が書けそうなくらい、ウソを示すサインは男女共通で豊富です。
つまりそれくらい人間はしょっちゅうウソをつく動物であり、男女はだましあう仲であるといえる。
ただし、女のウソは男をだまし、窮地に陥らせるさげまん要素である反面、男をじらし、楽しませる色気の一部でもあり、それは男と女の関係に陰影を与えるあげまん要素の一つでもある。
その二面性が女のウソの一大特徴なのです。
つづく
男のウソは打算的だがバレやすい