人生案内
70代の夫 女性と連日電話
60代後半の女性。夫がカラオケ店で知り合った、私と同年代の女性とほぼ毎日、携帯電話で話をしています。
夫は70代。昨年、その女性とデュエットをして、すっかり意気投合し、何日は有頂天でした。後で知ったのですが、その後、携帯電話で毎日のようにはなしをしていたようです。
わたしの知らないところで、こそこそしていると思うとショックでした。大ゲンカになりましたが、夫は浮気ではないからと開き直り、反省の言葉もありませんでした。
結婚して40年以上。3年前に夫が大病を患って入院した際、私は半年間、片道1時間以上かけて通い、看病しました。やっと元気になり、それぞれ趣味を持って、のんびり老後を送りたいと思っていたのに。
私の存在は何なのかと思うと悲しく、心が折れました。夫は今もほぼ毎日、電話で楽しそうにしており、家庭は壊れました。とは言え、私はこの年齢になって今さら離婚もできません。(滋賀・A子)
人生案内 山田 昌弘 (大学教授)
あなたが長年尽くしてきたことを考えると、確かにひどいご夫君ですね。
ただ、人の心を縛ることはできません。いくら常識や倫理を持ち出して非難しようが、ご夫君が別の女性と会話をするのが楽しいという事実を覆せません。
ではどうするか。離婚はできないと高をくくっているから、つけあがるという面もあると思います。2人で直接話し合うと、罵り合いになるので、第三者に言い分を聞いてもらう必要がありますね。
信頼できる共通の友人や親戚はいませんか。恥ずかしければ、夫婦関係を修復する場として、家裁の調停手続きを利用することを考えてみてはどうですか。
今後、再び病気なったりした場合に誰に面倒をみてほしいかなどと聞き、あなたも希望を述べて妥協点を探る。そうすれば、ご夫君が将来の事を考えて、女性と話をしないことを約束し、つきあいをやめる可能性はゼロではありません。
それで気が晴れないかもしれませんが、ご夫君はルームシェアの相手と思って、趣味などあなた自身が楽しく、生活するところを見せつけてください。
夫が姑の言いなり
40代の会社員女性。今年結婚しました。夫が姑(しゅうと)の言いなりで、何のために結婚したか分かりません。
夫は一人っ子。姑が病気がちということもあり、マンションで夫の両親と同居することになりました。
何をするにも姑が決める状態で、住宅ローンや食費などは、夫の給料からだしています。
姑は身体が弱いのを理由に料理をほとんどせず、コンビニやスパーで惣菜を買います。
そして、みんながいる時は外食に行くなど、お金の使い方が無駄だらけです。
私はローンを早く返済するために、生活をできるだけ切りつめたいと思っています。無駄遣いをやめるよう、姑に話してほしいと伝えていますが、姑が怖いのか、何も言ってくれません。
甘えん坊なのはわかりますが、もう少ししっかりしてほしい。両親のためには一生懸命ですが、私が入院した時は見舞いにも来てくれませんでした。
姑とは別居したいと思っていますが、夫にはその気がありません。離婚した方がいいのか悩んでいます。(東京・S子)
人生案内 久田 恵 (作家)
夫は超のつくマザコンで、母親の言いなり暮らすことに疑問を抱かない人だったんですね。彼のその性格は、たぶんずっと変わらないように思います。
ここは、あなたが攻めに出て、姑に代わって家の主導権を手に入れるか、さっさと逃げるか、そのどちらかしかないと思われます。あなたの夫への愛情次第でしょうか。
責めるか逃げるかの選択に迷った時は、損得を捨て、自分の心身が自然と動いてしまう方へ行く。それがどんなイバラの道でも、後悔はしないと覚悟をするしかないと思います。
もしも、あなたが「攻める」を選んだ場合は、高齢になっていく姑の頼れる友になるなるのが一番いい道かと思います。
夫の家計管理はひとまず姑に任せ、料理の嫌いな姑に代わって、あなたが料理を担当すれば、たちまちみんながあなたを頼りにするようになると思いますよ。
頼れない夫を頼れば、悩みは消えません。自分が頼りにされる人になる、それが一番、葛藤の少ない道のような気がします。
派遣の40代結婚を断念
40代前半の派遣社員の男性。
これから、正規雇用の仕事に就けることはおそらくなく、結婚など、とても見込めません。
バブル経済崩壊後に高校を卒業し、一生懸命に働いたつもりです。いつかは家庭を持ちたいと思っていました。
しかし、正規雇用の仕事に就くことができませんでした。交際していた女性もいましたが、正社員になれない私のために、いつまでも結婚を待たせるわけにはいきません。
2人で話し合って結婚を断念しました。
両親に、結婚を断念することを伝えたところ、母は「お墓はだれが面倒見てくれるのか」と言って泣き崩れました。お墓には、祖父母と、若くして病気でこの世を去った、かわいい弟も入っています。
両親には本当に申し訳ないと思いますが、自分1人だけで食べていくの精一杯な生活です。結婚のことなどとても考えられません。無為に過ごしてきた人生が悔やまれます。
(群馬・R男)
人生案内 山田 昌弘 (大学教授)
結婚して子どもを育てることが、幸せの唯一の形ではありません。独身生活を楽しみたいという人もいます。それはそれでいいと思います。
ご相談から察するに、あなた自身、結婚したいという気もまだありますね。確かに派遣社員の男性は結婚には不利な面もあります。しかし、世の中、そんな側面だけで結婚するかしないかを決めるような女性ばかりではありません。
お手紙からは、あなたの家族思いで誠実な人柄が伝わってきます。交際相手に苦労をさせたくないから、別れたんですね、
女性もあなたのやさしい性格に惹かれたのだと思います。もし間に合うなら、プロポーズしたらいかがでしょう。2人で稼いで生活費を出し合い、家事を分担しながら、楽しい家庭を築くことはきっとできます。
間に合わなくとも、次を諦めないでくださいね、あなたを好きになってくれる女性はきっと現れます。
非正規社員の男性も、幸せな結婚生活を作れるというモデルになって見せる。そんな心持ちでいらしたら「婚活」を提唱した私としてもうれしいです。
次男のコミュニケーション不安
40代の主婦。大学3年の次男にコミュニケーション能力がないことで悩んでいます。
ほかのきょうだい2人は春休み中、友だちと会ったり、アルバイトやサークルで忙しかったりして、ほとんど家に居ませんでした。
しかし、次男だけは、コンビニでの深夜のバイト以外は外出せず、自室でスマートフォンをいじったりゲームをしたりして過ごしていました。私がたまにランチに誘うと、ついて来ましたが。
大学の新年度が始まってから毎日、通ってはいますが、一緒にランチをする友だちもいないらしく、昼過ぎに帰って来て、ご飯を食べます。入学当初から、「友だちはできた?」と何度も聞いていました。最近は嫌な顔をされてしまうため、聞けずにいます。
友達との楽しいおしゃべりもなく一人で過ごしているのかと想像すると、胸が痛くなります。これから社会に出てやっていけるのか、心配でたまりません(神奈川・M子)
人生案内 増田 明美(スポーツ解説者)
ひととあまり交流したくない次男の事が心配なのですね。でもコンビニでちゃんとアルバイトができているのですから、挨拶などコミュニケーションはとれているのではないでしょうか。
ひとはそれぞれ。一人でいるのが寂しくて、いつもグループの中で行動する人もいれば、一人でいるのが好きな人もいます。次男は後者なのだと思います。きょうだいと比べる必要はないと思いますよ。
かわいそうだと思うことを止めて、むしろ一人で、一つのことに没頭できる性性格なのだと前向きに考えた方がいいでしょう。そして、その長所を伸ばせるように応援しましょう。
そのためには根掘り葉掘り質問しないことです。黙って見守ってあげてください。
あなたが、どんな時も次男を受け容れてあげて、帰ってくる場所を用意していれば、そのうち自分から巣立っていきます。
その時もあんまり心配いでくださいね。「お母さんに信頼されている」という気持ちが、きっと社会でがんばるエネルギーになりますから。あなたは台所で鼻歌を歌うくらいがちょうどいいですよ。
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