自分が無理な強がりをしていることに気づかず、結局それが原因となって仕事や人間関係がうまくいかなくなったり、病気になるまで自分を追いつめることは避けなくてはならないだろう。

過剰な強がりは“心の病”につながる

本表紙

過剰な強がりは“心の病”につながる

ピンクバラ念のために言っておくが、「歯を食いしばり、ひとり孤独になって我慢し、どんなことにも弱音を吐かずに生きる」、そんな男の強がりを全否定する気は毛頭ない。
 むしろ、一つの生き方としは素晴らしいものであるとすら思う。

 しかし、自分が無理な強がりをしていることに気づかず、結局それが原因となって仕事や人間関係がうまくいかなくなったり、病気になるまで自分を追いつめることは避けなくてはならないだろう。

心理的な観点からすると、男性は特に「男は感情を出すべきでない。

 感情を出すのは弱さの表れだ」という思い込みを捨てるべきだと思う。
 ここでいう“感情”とは、悲しい、つらい、苦しいなどの感情であり、それを外に表したり人に伝えることが男性は極度に苦手なのだ。

 “恥をさらす”とか“自分の弱さをわざわざ宣伝する”ということと同義に捉えてしまうからである。
 第一章で述べたように、男はやたらと「プライド」にこだわる生き物なので、「弱い自分」を他者から極度に隠そうとする。
 俳優であれば高倉健タイプの、何でも黙ってこらえる男こそ男のあるべき姿、男としての理想像だ、という思い込みが邪魔をすると、物事に対する素直な感情表現ができなくなってしまうのである。

 たとえば、ある女性の彼氏のお父さんが突然亡くなってしまった。運悪く、彼はそのときちょうど海外主張に行っていて、帰ってきたときにはお通夜も葬式も終わっていた。

 彼は極度に落ち込み、彼女の前で激しく泣き始めた。
 しかし、一晩中、そしてその後もずっと、一言も自分のつらい気持ちを吐露しなかったのである。

 そのため、彼女はそばにいていいのか、いてはいけないのか、どう接すればいいのかもわからず困ってしまったという。
 何より、つらい気持ちを外に表現すれば、彼自身が楽になれたはずである。彼の心の中では、「弱い自分をみせたくないし」「自分の気持ちを言ってもしょうがないだろうし」「彼女に迷惑かもしれないし」など様々な考えが葛藤していたのであろう。
 ともかく彼はつらく・悲しい気持ちを心の奥底に抑えつけてしまったのである。

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出口を失った感情は

ストレスに直結する  鬱積して出口を失った感情は、ストレスに直結する。
 その行き着く先は、うつ病、バーンアウト(燃え尽き症候群)失感情症、心身症(胃潰瘍や神経性胃炎など)をはじめとする様々な疾患だ。
 どれも感情を抑圧しすぎると大きな原因になっている病気ばかりである。

 無理してストレスをため込み、抑え込めているうちはいいが、何かの拍子に臨界点を超えてしまうと、修復不能になるまで爆発してしまう。
 普段からつらい、悲しい、苦しいなどの感情を表明することで“ガス抜き”をしていれば、致命的な大爆発には至らずにすむ。

 うつ病の患者数は

統計的には女性のほうが多いと言われてるが、実は女性のほうが素直に症状を認め、対処しようとして病院へ相談に訪れているため、統計的には数として多く表れるのだという説がある。

 うつ病などの精神疾患で苦しんでいる人の“実数”としては、男性のほうが圧倒的に多いとも言われている。自分が心の病気で苦しんでいると気づいていなかったり、気づいていたとしても、「オレ病気になるわけがない」と強がったり、「こんなことは人様には言えない」などとネガティヴに考え、病気を放置したり、家族にも隠していたりする。

 男のプライドと強がりが邪魔をして、素直に専門家の相談を受けられないのだ。
 最近の統計データ「厚生省の(人口動態統計).00年」によると、40歳前後と50代後半の男性に目立って自殺者(毎年3万人以上)が増えているという。それも男の無理な強がりが一因になっているともかんがえられるのである。

男性編

“弱さ”を見せる勇気を持とう
確かに最近では、「弱音ばかり吐いていて情けない男が多い」との女性の声も少なからず聞こえてくるが、やはり過剰な強がりによって、自分も周辺も苦しんでいるというケースが多いようである。

 「男ならこうあらねばならない」という思い込みを捨てるためのテクニックもぜひ知っておきたいものだ。何を無理して強がり、自分で作ったワクの中に閉じこもることはない。

 少しずつでよいから、自分の“弱さ”を感情で表明できる勇気をもちたい。単純な言葉が素直に出てくるようになればいいのだ。たとえば、
「つらい」
「悲しい」
「苦しい」
など、自分の弱さを表す一言が素直に言えるようにしよう。あるいは、
「知らない」
「教えて」
「助けて」
「できません」
など、相手に援助を求める一言も大切だ。また、
「すまなかった」
「ごめんなさい」
「申し訳ない」
など、自分に非があったことを素直に認める一言も。そしてさらに、
「ありがとう」
「すごいね」
「気が付かなかった」
「キミに聞いて、(話して)もらってよかったよ」
など、相手の価値を素直に認める一言も、自分のワクや価値観を取り払ううえでは必要だ。

 これらの言葉を素直な感情から言えるようになること、自分の弱さを見つめた・認めたうえで先に向かって努力しようとすること。それができる人こそ、本当の意味で強い人間のだと言えるのではないだろうか。

女性編

 放っておくのも、優しさの一つ

 女性にとっては、男性が強がる態度は理解しにくいものではあるけれども、それを直接的にせめたり、「バカじゃないの?」となじるような態度を示すのは得策でない。

たとえば、「なにを強がっているのよ。素直に“助けて”って言えばいいしゃない!」と相手の男性に言ったとしよう。

それで男性が自分の強がりに気づき、「それもそうだな、じゃあ助けてください」という返事が返ってくる確率は、ほとんどゼロに等しい。そんな言い方をすれば、

「強がってなんかねえよ」
「余計なお世話だよ」
「うるせえな?」

などという拒否の言葉が返ってきて、相手の無意味の強がりを助長するだけだ。弱みを見せたくないから強がっているのに、その弱みをズバリ指摘されてしまうのは男性にとって最悪の事態だ。
 弱みを隠そうとしてさらに高い壁を築き、相手の侵入を阻止しようとするのだろう。


 ではいったい、強がる男性にはどう対処すればいいのだろうか。それはまず、強がりの裏にある男性の“弱さ”を女性がしっかり受け止めてあげることだ。

 念のために言っておくが、受け止めるとはいっても言葉で「強がらなくても大丈夫よ」などといってやることはない。

 そうではなく、男性の強がりに気づかないフリをしてあげたり、「この人はいま強がって、本心でないことを言っているのだわ」と、相手の男性の強がりのセリフや態度を黙認し、受け止めてあげるのである。

 男性が強がっているとき、何よりも相手に望むのは、“放っておいてほしい”ということだ。とにかく弱いところを見せたくない、触られたくない。
 だから強がってしまう。

 だから女性のほうがちょっと大人になって、「ふ―ん。そうなの」と軽く受け流したり、しばらく放っておいてあげるようにするといい。
 そういう女性の包み込むような優しさで接すれば、相手の男性の頑な態度は氷塊していくことだろう。あなたが無理にアクションを起こさないことで、かえって良い結果が生まれることがじつは少なくないのである。

 「男性の強がりを解く方法」

 しかし、どんな場面であっても強がる男性を放っておけばいいのかというと、実際には、そうはいかないケースもあるだろう。
 たとえば冒頭のように、強がる男性を放置しておくと、共同で進めている仕事に支障が起きたり、明らかに現状よりも良くない方へ進んでいってしまう場合には、女性側のアプローチでなんとか男性の強がりの呪縛を解いてあげたい。
 では、具体的にどうすればいいかというと、「大丈夫だよ、一人でできるよ」と男性の強がりの態度を見せたときは、

「もちろんできると思うわ」
「うん、そうよね」
「ええ、私もそう思うわ」
と相手の強がりを黙って認めたうえで、
「わたしにも何かできることはないかな?」
「一緒にやらせてくれない?」
と相手の男性にうかがいを立てたり、
「一緒にやりましょうよ」

と積極的な提案をするのである。相手の弱みには最後まで触れず、プライドを傷つけることなく援助の手をさしのべることがポイントなのだ。
 決して、「あなたはダメな人だから、わたしが手伝わなきゃだめなのよ」とのメッセージを相手の男性に伝えてはならない。
 先に述べたように、あらゆる場面で男性は自分のプライドを“最後の砦”のように守ろうとするからである。
 

OKダイアログ

@ 女性が男性の強がりをうまく受け止める場合
♀ ねえ、明後日のプレゼン用の資料、見せてくれない?
♂ えつ、どうして?
♀ ちょっときになるところがあってね、見ておきたいのよ
♂ あぁ、ソレね。え―と、どうしたっけな・・・・
♀ まさか、まだできていな?
♂ いやいや、そんなわけないでしょ
♀ じゃあ見せてよ
♂ まだ完成していないからさ、ちょっと直したいところもあるし
♀ あつ、そうなんだ(相手の強がりに気づく)
♂ ウン、そうなんだよ(ちょっと安心して)
♀ でも、私にもちょっと手伝わせてくれない? 今時間あるし
♂ そ―お?
♀ じゃあさ、グラフ作らせてよ
♂(そこまで言うなら、という感じで)うん、じゃあお願いしちゃおうかな・・・・

A 男性が素直に助けを求める場合
♀ ねえ、明後日のプレゼン用の資料、見せてくれない?
♂ ゴメン、じつはまだできていないんだ
♀ まだできていないの? ダメじゃない。間に合わないわよ!
♂ そうなんだよ。すまない!
♀ じゃあ私、手伝うから、今やっちゃいましょうよ
♂ ありがとう。頼むよ
♀ 今度から気をつけてね
♂ うん、わかった
“男の強がり”がいかに男性の生きる可能性を狭め、最悪の場合は悲劇的な結末をもたらすかについて述べてきたが、もちろん笑ってすませられる次元の話もたくさんある。

 これは職場が新宿から筑地に変わったHさんの話。
 筑地といえば魚市場である。街のそこかしこに寿司屋があり、しかも比較的安価でおいしい寿司が食べられる。
 ある仕事の打ち合わせの会話の流れで、彼は
「いや―、やっぱり筑地といえば寿司でしょう!
と語り始めた。そこへすかさず若くかわいい女性が、
「え―! いいなぁ! やっぱ違うんですかぁ、筑地の寿司って」
と、たずねた。
「あたりめえょ。もう筑地で食ったらほかでは食えないよ〜」
 Hさんはかなり寿司に詳しくなったのか、すっかり得意になっている。
 じつは私も無類の寿司好きである。ぜひともその筑地の寿司とやらを食べたくなった。ああ食べたい。すぐにでも食べてみたい・・・
「じゃあ今度、そこにぜひ連れて行ってくださいよ。いや、今日このあと!」

と言ったところ、Hさんなぜだか急に気まずそうな顔に。
「え? いやぁ、 今日オレ忙しいから。しばらくしたらまた今度・・・」
と口を濁す。

たしかにHさんは最近仕事が忙しそうで、わざわざ案内してもらうのは申し訳ない。でもその日は午後の予定が空いていた私は、なんとしてもすぐに筑地へ行きたいモードになっていた。
「じゃあ自分で行くので、店の名前を紹介してくださいよ」
 そう言うと、今度はHさん、黙ってしまった。
「・・・・店の名前はねぇ。え―と、え―と、どこだったかかぁ・・」
彼をよく知る私は、ピーンときた。彼はその場の勢いで、つい強がりを言ってしまう性格だったのだ。私にはわかった…・“コイツ”、行ったことがないな!。

「Hさん、本当はまだ筑地の寿司屋、行ったことがないんでしょう? 勢いでいっちゃったんですよね。まあいいですから、まあまあ」

彼は気まずさと恥ずかしさが一緒になったような表情でこう言った。
「ごめん…・。だって、筑地といえば、やっぱり寿司なんだもん…・」
    

 ♀ あのときはごめんね!
 ♀ ううん、いいの。私こそごめんね

という会話があったとする。この場合、重要なことは「私が悪かった」という気持ち以上に、次のようなことに対する謝罪の気持ちが「ごめんね」の一言に込められているということだ。

“嫌な気持ちにさせたことについてごめんなさい”

“意見が衝突したことについてごめんなさい”

“心配させてしまつてごめなさい”

 どちらが正しいとか、どちらが間違っているという話ではない。
 相手に対する“思いやり”の気持ちが「ごめんね」というセリフで表現されているのである。
 何か対立があると、女性は自分のせいでなくともすぐに謝る傾向が強いのはこのためなのだ。

「なぜ男性は『ごめん』の一言が言えないのか」

 一方、相手がちょっと気持ちを損ねたぐらいでは、「ごめんなさい」とはなかなか言えないのが男性だ。男性が「ごめんなさい」というのは、こんな場合に限定される。

・明らかに自分が(常識的、法律的、道徳的に)間違っていることをした。
・明らかに自分が原因で相手に(特に精神的な)迷惑を与えてしまった。
・相手に実質的な被害や損害を与えてしまった。

と自分で認めることができた場合である。自分の非を認め、相手に対する負けを認める状況になって初めて「ごめんなさい」と言える、それが男性なのだ。

「人に負けたくない」「自分は間違いを犯さない優れた人間だ」と思いたい“プライドの男”は、だから「ごめん」の一言がなかなか言えないのである…・「オレは間違ったことをしたわけではない! だから“ごめん”なんて口が裂けても言えるか!」。

たとえ言えたとしても、感情をあまり示さず、ボソとぶっきらぼうに「ごめん}と言うだけで、“本当に謝ってるの?”と相手や周囲に思わせてしまうことも多い。

 男性が「ごめん」というセリフを「あなたは負けました」「私は愚かな人間です」という意味で使っていると考えれば、
「一言“ごめん”って言っちゃえばすむ話なのにね」と周囲をあきれされたり、謝罪をしているようでいて、実はそこに“悔しさ”や“不本意さ”がにじみ出てしまうのも納得できるのではないだろうか。

浮気した彼が悪いのか

♀ ねえねえ、ちょっと・・・・・
♂ ン? なんだよ
♀ あのさぁ、最近、誰か女の人、来た?
♂ えっ、おまえだけだよ
♀ (ロングの髪の毛を目の前に差し出しながら)でもさ・・・ほら、こんなの落ちていたよ。私のじゃないよね・・・・

♂ えっ、なんだよそれ。どれ、みせてみなよ(と、見ているふりをして時間稼ぎをする)こんなもの知らねぇよ。早く捨てろ
♀ でもさぁ、女の人の髪だよね、これ・・・・・
♂ 何言ってんだよ・・・・お前え、オレを疑っているわけ?
♀ ・・・・そんなんじゃないよ。でもさぁ・・・
♂ やっぱり疑ってるんだろう、そうだろう!
♀ 疑ってなんか・・・・そんなんじゃないもん
♂ じゃあ何だよ!
♀ ・・・・ただ聞きたかっただけ・・・・
♂ そんなくだらなえこと聞くんじゃねえよ
♀ ・・・・・ごめん
♂ だいたいさ、オマエ、オレのことそうやっていっつも見張ってるんだろう
♀ ・・・・・・・・・・
♂ どうしてオレのことを信じられないんだ?
♀ お願いだから、そんなこと言わないで・・・・信じているに決まっているじゃない
♂ じゃあ二度とおかしなこと言うなよ。わかったかよ

浮気をとがめようとした彼女が悪いのか

♀ うん、わかった。ほんと、ゴメンね、もう二度と言わないから・・・・
♂ わかりゃいいんだよ、わかりゃ!
 ふぅ〜危ない危ない! あやうくバレるところだったぜ。
あいつにはバレないように気を付けてたんだけど、ベッドの下に髪の毛が落ちているとは気が付かなかったな。

 女なんて、ちょっとデッカイ声出して脅かせば、すぐにおとなしくなっちゃうんだよな。チョロイもんだよ。まぁ、これでまた浮気がバレても、同じ手が使えそうだな。

 彼女は、彼の強気の態度に飲み込まれてしまった。それなのに、自ら問題をうやむやにして、最後には彼に謝ってしまっている。

 そしてついには、浮気した彼が悪いのか、浮気をとがめようとした彼女が悪いのか、よくわからない結末で会話が終わってしまった・・・・。

 彼女は彼の浮気を決して許すことができない。それなのに、不満・怒りの気持ちをダイレクトにぶつけられない矛盾に陥ってしまっている。

 それは、「好かれたい」「嫌われたくない」「衝突を避けたい」という女性に特有の心理が、怒りや不満の爆発を抑えつけてしまったことがまず第一の原因としてかんがえられるのである。

「ごめんね!」の一言が生むすれ違い

 このように、めったに謝罪しない男性と、ちょっとしたことでもすぐに謝罪してしまう女性。「ごめんなさい」というセリフをめぐる両者の誤解、すれ違いといっても大きなものになる。

 たとえば、男女の口論などの場面で、女性が男性に「ごめんね」と言うとき、女性は相手の男性も「こちこそごめん」と言ってくれるものだと思っている。

 しかし、その言葉を全面的な降伏としか受け取れない男性には、女性のセリフは“申し訳ありませんでした負けを認めます”という意味に変換されて脳の中に入ってしまう。だから男性は、
「だろう? だからオレが言ったとおりじゃないか」
「そうやって最初から謝ればいいんだよ」
「わかればいいんだよ、わかれば」
「まあ、今日のことはいいから、次から気をつけろよな」
などと“勝ち誇ったような態度”で女性に向かってしまうことになる。

 一歩譲る気持ちを表したに過ぎない女性にとって、これはあまり予想外の反応だし、まるで“悪者”にされてしまったようでさぞかし不快に感じることだろう。

♀ ねえねえ、ちょっと・・・・・
♂ ン? なんだよ
♀ あのさぁ、最近、誰かん女の人、来た?
♂ えっ、おまえだけだよ
♀ (ロングの髪の毛を目の前に差し出しながら)でもさ・・・ほら、こんなの落ちていたよ。私のじゃないよね・・・・
♂ えっ、なんだよそれ。どれ、みせてみなよ(と、見ているふりをして時間稼ぎをする)こんなもの知らねぇよ。早く捨てろ
♀ でもさぁ、女の人の髪だよね、これ・・・・・
♂ 何言ってんだよ・・・・お前え、オレを疑っているわけ?
♀ いやそういうことじゃなくて、ただ聞いているだけ
♂ やっぱ疑っているんだろう、そうだろう!
♀ いや、そういうことじゃないでしょ。ちゃんと答えてくれればいいのよ
♂ ・・・・・・・ふ、ふざけるな!!
♀ そう、答えてくれないのね。わかったわ
♂ いや、だから、答えないわけじゃないけどさぁ・・・・
♀ そう、じゃあ教えて?
 この女性は単に気が強いのではない。男性の反応に対して冷静に対処し、責めるのでもなく引っ込むのでもなく、女性の髪の毛が落ちている一点を彼に問うていることが功を奏しているのである。

 女性がやたらと「ごめん」というフレーズを口に出すのを見て、男性は女性を「弱々しい」「屈従的だ」「自己卑下的」だと思いがちだ。

 また、責めるつもりなど自分ではまったくなかったのに、相手の女性がやたらと謝りの言葉を口に出すために、「それじゃ、まるでオレが責め立てているみたいじゃないか」「オレの度量が狭いみたいじゃないか」「オレが悪者みたいじゃないか」などと困惑してり不快な気分になってしまうこともあるかもしれない。

「ごめん」というありふれたセリフに潜むこの大きな男女差、それは男と女にとって意外にやっかいなものなのである。
 つづく  男と女のセックス・ファンタジー。 

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