「男同士の会話は『勝負』である」
プライドをめぐる過剰なまでのそうした敏感さは、男が発する言
葉にも強く反映されている。男性の会話スタイルは“勝負型”であり、男性にとって他者と会話するということは、その相手と“勝負”すること・“対決”することイコールなのである(一方、女性の会話スタイルは“共感型”だ。しだいに詳しく述べる)。
男性が会話をしている状況を場所に例えると、ボクシングのリングによく似ている。
リングでのファイトは力と力のぶつかり合い、勝つか負けるかの一騎打ちだ。どちらが勝り、どちらが劣っているのか。
どちらが真の強者なのか、弱者なのか。パンチの応酬によって決着をつける。
同じく、男性にとっては、“会話”という勝負の場で、今度はパンチでなく“言葉”という武器を使って、自分と相手のどちらの主張がより正しいか、どちらが相手を説き伏せることができるか、どちらのほうが物事をよく知ってい
るか、どちらのほうが頭がいいか、さらに究極的にはどちらのほうが優れた人間であるかの決着をつけ、証明しようとするのである。
たとえば、就任間もない森首相がセリエAの中田英寿選手を晩餐会に招いたとき、こんな会話があった。
森首相「日本はまだサッカーでは韓国に勝ったことがないだょ、な」中田「はぁ? 勝っていますよ」
本来なら世界級のサッカー選手である中田に、森首相はサッカーについて様々な質問をし、いかに彼が優れたプレイヤーであるか、世界を舞台に活躍する男の凄さをナマで感じ取る絶好の機会であったはずだ。
しかし、森首相は“オレもサッカーのことはよく知っているんだぞ”と自分の凄さをアピールしようとしてしまった。
しかもそれは間違った知識だった。こうして、せっかくの
中田選手との出会いも、「単なる知識のひけらかし⇒失笑を買う」という、端から見れば非常に無意味なものに終わってしまったのである。
では、具体例から、男性の“勝負型”会話スタイルをもっと深く掘り下げることにしょう。
●男同士のラーメン談議
A なぁ、このあいだ食ったラーメン、すっげえうまかったぜ―
B え、どこどこ?
A 恵比寿
B で、恵比寿のどこだよ
A 西口の“春風堂つて知っている?”
B ああ、西口つていえばさ、“十軒亭“もウマイよな。知っている?
A 知らねえ。で、これがさ、すげえコクっていうか、ダシの旨みが効いているわけ。あんなラーメン食ったことねえよ
B ダシのウマサっていえば池袋の“大将軒”だよね。食った?
A いや、食ったことない
B オマエ、あれ食わなきゃダメだよ。マジでラーメン語れないぜ!
A いや、そこってアレだろう、けっこうアブラっこいしょうゆ味だろう。オレのまわりで行ったヤツがいてさ、あんま大したことないって言っていたぜ
B 何言ってだよ! ぜんぜんわかってねえよ。あれが本来のトンコツしょうゆの味なんだぜ。オマエ、だからダメなんだよ!
A でも、もう有名になっちゃってさ、味、落ちてんじゃないの? 調子に乗ってダメになる店、多いんだよな
B いや、あそこは別格。オレは有名になる前から通ってるんだけど、そこのオヤジさん、前は一流の商社にいたんだ。そこ辞めて横浜で修行して店を開いたんだつて
A へぇー、それって、“小島ラーメン”のオヤジと同じじゃん。あそこのチャシュウーはウマイよな。知っているだろう、あれはさ・・・・
(ラーメンうんちく合戦は果てしなく続く)
男性の会話をよく聞いていると、
「いや、ぼくはそう思わないんですけど…・」
「いや、だからそれは…・」
「いや、やっぱりね…・」
など、“いや=No“で始まる受け答えをしていることが多い。
「いや」という言葉を実際には発しなくても、意味的にはそうなっていることが多い。まず相手の意見を否定し、「そうじゃなくて」と相手のパンチに応酬しようとする。
慣れっこになっている男性同士ならば特に問題はないものの、これを女性に連発すると、相手の女性はなんでもかんでも頭ごなしに否定されているように感じ、不快な思いをすることになるので注意が必要だ。
居酒屋にて、たまたま私の隣に座っていたサラリーマンの会話がある。多少誇張はしているが、これこそが男性型会話スタイルの究極型だと言えるのかもしれない。
●50代サラリーマン同士のビジネス談議
A やっぱり、これからは“IT”の時代なわけじゃないですか。情報こそ命なんですよ
B まったくそのとおり!
A でしょ! 要するに、情報をインテグレードしなきゃいけない時代なわけですよ。
これはね、出井(ソニー会長)さんも言っていることなんですけどね。「もちろん知り会いというわけでなく新聞で読んだだけという感じ」
B ほぉー、そうですか。じつはね、私も先日、ITのコンファレンスに出席したんですがね。
ま、どうしてもというので会社の若い連中を連れて行きまして、そこで孫(ソフトバン)さんがまったく同じことをおつしゃつていたんですよ。
要するにね、これからの企業というのはね、ソリューション・プロバイダとしての実力を試されるときなわけですよ。つまりね、情報を持ってお客さまのサティスファクション、おつと失礼、顧客満足を勝ち取る時代だと。生き残りをかけた、そういったビジョンが必要とされるわけですよ
B いや、まあそうなんですがね、私が考えるにですね、それだけでは不十分なわけですよ。さらにグローバリズム、いや、世界的、長期的な視野に立ってモノゴトを考えていかないと、ほらあの、ウインドウズがここまで爆発的に普及したのもですね、ほらあの、経営者の、えー、ホラ、あの…・
A(得意げに)はぁいはぁい! ビル・ゲイツね
B(ちょっと負けた、という表情を浮かべながら)そうそう。いやぁ、ド忘れですなぁ。ワハハハ。で、彼が優れていた点はですね。まぁ私に言わせれば、若いウチからハードでなくソフトの時代が来るとにらんでいたわけですよ。つまり、これがビジョン。もう一つね…・
A(相手の話を最後まで聞かずに)で、田中さんはウチの会社の今後のあるべきビジョンについて、どのようなアイデアをお持ちなわけですか? わたしはですね、こう捉えているわけですよ。
つまりね、キホンにあるのはナンバーワンでなくてオンリーワンであること。わかります? 要するにひとり勝ちの時代なわけですよ。大前さんの本、ご存じですよね?
B(どうやらその本については全知らなかったようで、完全に無視して)いや、それも確かにひとつのファクターとして重要であるとかと思いますがね、要するに、いわゆるビジネス・ソリューションとしての企業、すなわち、ソリューション・プロバイダとしてのリーダーシップ。あと忘れちゃいかんのは、いかに恐れずビッグバン的な時代に対応していけるかということですね…
A いやいやいや、それもある! しかしね、大前さんが言っているのは、そういうことじゃないんだ。彼はもっと大局的な視点に立てとーと。長い目で見て、オンリーワンになれと。彼はこのように言いたいわけですよ。で、結局のところはね…
B いやぁー、さすがにそれはどんなもんでしょうかねぇ〜。日々のビジネスシーンを生き抜いている我々にはですね、まず第一に考えなきゃならんことは、目の前にいるお客様のサティスファクション、おっと失礼、お客様満足…・
やたら大きな声を張り上げ、自分の仕事とは関係ないくせに小難しいビジネスの話をしたがり、堂々めぐりしたまま結論がみえてこない会話というものは、居酒屋ではおなじみのものだ。
そんな会話のなかでも、男のプライドを賭け、互いに負けまいとして一歩も譲り会わず、“戦っている”のである。これは女性がケーキを食べながら他人のうわさ話や恋愛話をしているのと次元は同じだ。
彼らにとってはこういった小さな争い事はエキサイティングなもので、実に愉快で楽しい時間なのだ。こういう会話を重ね、自分がどれだけ有能かということを試そうとし、確認しようとし、他者に証明・アピールすることは、一種のゲームみたいなものなのかもしれない。
女性にはなかなか理解できないだろうが、男性にとって、これは立派なストレス解消法なのである。
つづく
「男のプライドをくすぐる受け答えをしよう」
煌きを失った性生活は性の不一致となりセックスレスになる人も多い、新たな刺激・心地よさ付与し、特許取得ソフトノーブルは避妊法としても優れ。タブー視されがちな性生活、性の不一致の悩みを改善しセックスレス夫婦になるのを防いでくれます