短期の性関係を求める女性にとって、役に立つもうひとつの戦術は、外見をセクシーに見せることである。シングルズ・バーの男性を対象にした調査によれば、「セクシーで露出度が高く、タイトな服を着る」背中や胸が大きく開いたブラウスを着る」「複を片から少し刷り落として着る」」「短いスカートをはく」「挑発的に踊るトップ画像

性的なサインを送る

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デビィツド・M・バス 訳=狩野秀之

性的なサインを送る

男性の大部分は、一時的な男女関係に、主にあるひとつの利益、すなわち魅力的な女性とセックスを期待している。したがって、こうした関係の場合には、ちょっと性的な身ぶりをしたり、セックスの可能性をほのめかしたりすることは、女性にとっては強力な武器となる。

男子学生を対象にした調査でも、一時的な関係において女性が男性を惹きつける最も効果的な手段は、男性からの性的な誘いを受け容れることだった。また、効果の高さを七点満点で採点したとき、「男性にセックスしたいか訊く」「自分とセックスしたくなるように仕向ける」「いかにも男好きに見えるように振舞う」「きわどい会話をする」「セックスのきっかけを作ってやる」といった戦術がトップ近くにランクされた。

こうした種類の誘惑戦術はすべて、男性よりも女性が、永続的な配偶者より一時的なセックス相手を探す場合に、より有効であると判断された。

シングルズ・バーに通う男性たちも、この発見を裏付けてくれている。彼らは、一〇三種類の誘惑戦術を、その効力に応じてランクづけさせたところ、上位にランクされたのは以下のようなものだった。「女性が腰や下半身を男の体にこすりつける」「物欲しげに男を見つめる」男の首に腕を回す」「男の髪をなでる」「唇をすぼめて投げキッスをする」「ストローや指を吸うそぶりをする」「前かがみになって胸の谷間をのぞかせる」「身体をのけぞらせてボデーラインを強調する」。

まったく対照的に、女性たちは、男がこれと同じような行動をしてもなんら魅力を感じない。男性がセックスに誘うような身ぶりをすればするほど、女性たちはその男性に魅力を感じなくなっていく。たとえば、男性は、「女性が腰や下半身を男の体にこすりつける」戦術を、七点満点で、六・〇七点に評価している。これは一〇三種の誘惑戦術のうち、「セックスに応じる」に次いで第二位の高い評価だった。

しかし女性は、男性が同じ行動とった場合の効果を、一・八二点にしか評価しない。つまり女性にとっては、「男性が腰や下半身をこすりつけてくる」行動はまったく魅力的ではなく、むしろ忌避すべものに近い。

短期の性関係を求める女性にとって、役に立つもうひとつの戦術は、外見をセクシーに見せることである。シングルズ・バーの男性を対象にした調査によれば、「セクシーで露出度が高く、タイトな服を着る」背中や胸が大きく開いたブラウスを着る」「複を片から少し刷り落として着る」」「短いスカートをはく」「挑発的に踊る」「身体を誇示して歩く」といった戦術はすべて、男を惹きつける点で上位二五パーセント以内に入るという。

ジンルイガクシャエリザベス・キャシュダンは、これらと同種の研究を行って、きわめてよく似た結論を到達している。キャシュダンの研究は、一時的なパートナーと永続的なパートナーのどちらを求めているかに応じて、資源のディスプレィや投資の意志、貞節や性的振る舞いがどう変わるかを調べたものだった。

それによれば、カジュアル・セックス戦略を取っている女性は、永続的な配偶戦略にしたがう女性より、露出度の高い服を着る傾向が高いことが示されている。

外見をセクシーに装うことの効果は

服のスタイルと肌の露出に関する研究から、さらにはきりと示される。この調査では、男女それぞれに、異性のモデルのスライド(モデルは、タイトさと肌の露出度がさまざまな異なった服をまとっている)を何枚か見せた。

そして、スライドを一枚見せるたびに、そこに写っているモデルが、デートの相手。結婚相手、その場限りのセックス相手として、どの程度望ましいかをそれぞれ採点させた。

男性はタイトで露出度の高い服をまとった女性の方が、きちんと服を着た女性より、デートのおよびセックス相手としては魅力的でないと答えた。おそらく、派手な服装は、男性がその場限りのセックスしか求めていないことを示すものと受け止められる。っ

セクシーさを演出することは、シングルズ・バーにおいてさらに顕著に見られる。シングルズ・バーでの男女の行動を調査した研究の報告によれば、バーにいる女性たちは「背筋を伸ばして、ウェストをへこませて胸を突き出し、手でもう片方の腕や髪を撫でながら、店の中を歩き回っていることが多い。それはまるで、男性客の前で自分を見せびらかしているかのようだ」。

場合によっては。セクシーの外見があまりに効果的なために、男性の注意がすべてそれに釘付けなってしまうことさえある。先ほどの研究者は、きわめてスリムで、胸が大きく、魅力的なひとりの女性についてこう報告している。
その女性はときおり支離滅裂なことを口走り、ヒステリックな笑い声をあげていた。しかし、シングルズ・バーという場においては、彼女がどんなことをしゃべり、常軌を逸した笑い声をあげようと、大した問題ではなかった。彼女と話している大部分の男性の視線は彼女の胸に注がれ、彼女が身体をくねらしたりかがめたりして胸元を誇示するしぐさに釘付けになっていた。一部の男性は、彼女の言うことなどほとんど耳に入らなかった。いやそもそも聞く気さえなかったと語ってくれた。彼らは、その女性の話すことに耳を傾けるより、彼女の胸を観察しているほうが良かったのだ。

セックス・パートナーを惹きつけようとする女性にとって

視線でアプローチを始めることも有効な戦術である。男性の目をじっと見つめ、男性の視線を向けられても目をそらさずいることは、一時的なセックス・パートナーを誘惑するうえで効果的な戦術の上位一五パーセントに入っている。一方、結婚相手を求める場合には、この戦術はさほど効果的ではなく、七点満点で採点したとき、ちょうど中間の三・五点程度に評価されているに過ぎない。

 男性は、カジュアル・セックスの可能性の高さにきわめて敏感に反応する。女性が視線でアプローチしてくることは、セックスの可能性が高くなったことを強く示すシグナルなのだ。ある研究では、複数の男性と女性の交流の模様がビデオに撮られた。しばらくして、ひとりの女性がある男性の目を見つめ、微笑みかけた。このシーンをビデオで見た男女の被験者に、女性の行動は何を意味しているかを判断させてみたところ、男性は性的関心と誘いかけを示すものと解釈した。

 一方女性は、この行動は親近感を示すものであり、性的な意図や誘いかけを示すものではないと考えた。こうしたことから、視線よるアプローチや微笑みが、しばしば両面的な意味を持っていることがわかる。性的関心の存在を示す場合も、示さない場合もあるのだ。

 女性が一時的なセックス相手ではなく長期的な配偶者を求めているときは、視線によるアプローチはさほど効果を発揮しない。そうしたアプローチは、配偶者としての価値の低さを示すものと男性に受け取られるからである。逆に、身持ちを固くすることし、男を寄せ付けない態度を取る戦術は、配偶者としての価値の高さを示し。したがって結婚相手を探している女性には有利にはたらく。

視線でアプローチすることは

セックスを受け入れる用意を示すシグナルとして、男性の心理メカニズムを起動させる。しかし夫を求める女性の立場からすれば、積極的にセックスを受け入れることは、戦術として逆効果になってしまう。そうすることは、配偶者としての価値の低さを示すと同時に、将来における不貞の可能性を示唆するからだ。

 女性は、自分がセックスに応じるつもりであることを知らせると同時に、ライバルの女性はその気がないとほのめかすことで、相手の足を引っ張ろうとする。女子学生を対象にした調査によれば、短期的なパートナーを得ようとする場合、ライバルを貶めようとする手段としては、「あの女はただ男を焦らしているだけだ』「男を振り回して喜んでいる」「不感症みたいだ」などと告げ口することがあげられた。

 こうした行動は全て、ライバルの女性はセックスに応じるつもりがなく、まったくの無駄であるというメッセージを言外に伝えようとしている。

 ライバルがセックスに応じる気がないとほのめかす戦術は、男性より女性が用いることが多い。ライバルのことを「お高くとまっている」「気取っている」「男嫌いらしい」などと中傷するこの戦術は、主として短期的な情事を求める場合に効果を発揮し、結婚相手を得ようとする際にはあまり役に立たない。

 ライバルがセックスに応じる気がないと告げ口する戦術は女性にとって有効なのは、カジュアル・セックスを求める男性から見れば、落とせそうもない女性を口説き続けることは高くつく行為だからだ。セックスできるかどうか疑わしいのに、時間と資源を注ぎ込むことになりかねない。また、そうした女性から公衆の面前ではねつけられれば、自分の評判を落とすおそれもある。

 ライバルのことを「男を焦らすのが好き」「男を振り回して喜んでいる」などと中傷し、最初からセックスに応じる気などないのだとほのめかす戦術は、きわめて巧妙なものといえる。なぜなら、そういういいかたをすれば、ライバルの女性が潔癖で身持ちがかたく、永続的な配偶者としてふさわしいと受けとられる心配がないからだ。

 むしろ、そのライバルが、セックスを餌に男の注意を惹き、資源を投資させながら、結局セックスに応じないという戦略を取っていると思い込ませることができる。さらに、ライバルの女性を男嫌いだとか不感症だと中傷することは、その女がセックス・パートナーとして不適格であると同時に、結婚相手としても望ましくないと思わせる効果がある。

 男性はふつう、自分の妻がセックスに冷淡であることを望まないからからだ。このように、ライバルの短期的および長期的な配偶者としての価値を同時に下げるような誹謗戦術は、配偶市場での競争においてきわめて効果的である。

 かつて、メイ・ウエストはこんなことを言っている。「頭の良さは、女にとって武器になる――もし、それを隠しておけるなら」。この言葉は、カジュアル・セックスの場合には、おそらく正しい。

女性は、一時的なセックスで相手を惹きつけようとするとき

しばしば受動的に、頼りなげにふるまったり、わざと愚かなふりを装うことさえある。いかにもおとなしそうに振る舞って会話の主導権を男に握らせ、無口で頭の回転が遅いように見せかけて、従順そうに見せるのだ。

 大学生を対象にした調査によれば、この「受動的にふるまう」戦術は、女性が一時的なパートナーを獲得しようとする場合には、七点満点で三・三五という、そこそこの効果を発揮するが、永続的な配偶者を得ようとする場合には、一・三一と、どちらの場合にもきわめて効果が低い。

 女性が受動的にふるまうことは、「この女ならいい寄っても手厳しくはねつけられることはないだろう」と男性に思わせる効果はある。受け身の振る舞いは、いわば言外のうちに、男性にアプローチの許可を与えているからである。最初にアプローチするのは男性である場合が多いので、女性が受け身でおとなしそうに振る舞うことは、アプローチの障壁を低くするサインだと考えていいだろう。

 そうすることで、多くの男性に誘いをかけさせ、パートナー候補の数を増やすことが出来る。選択の幅を広くし、最終的に獲得するパートナーの質を高くできるのだ。

 また、受け身でおとなしそうにふるまい、無口な振りをすることは、男性に「この女なら、目的のためにうまく操り、言うことを聞かせるだろう」と信じ込ませる。短期的な関係の場合、この「目的」とは主にセックスだけなので、女性の受動的な態度はセックスの可能性の高さを示すシグナルとして機能することになる。

 女性が見るからに無力そうであれば、それだけ性的に利用することが容易に思える。献身というコストなしに、セックスを行うことが可能になるわけだ。「頭が空っぽのブロンド美人」というステレオタイプのイメージは、男性をそうした誤解に導く役割を果たしていると思われる。

 世間に流布しているこのイメージは、実際の知性の欠如を表しているのではなく、アプローチが容易で、セックスに応じる可能性が高いことを示唆する戦略的なシグナルとしてつくりあげたものだろう。

 実際、セックスの可能性の高さを示すシグナルは、男性を永続的な配偶関係に引きずり込む戦略の一環として、いわば疑似餌(ルアー)の役割を果たすことが多い。女性が男性の注意と関心を惹く唯一の方法が、みずからを性的な餌として、男性の前に(ただし、釣り糸がついていることが解らないように)差し出すことである場合もある。

 一般的に、必要とされるコストや資源が少量ですむならば、大部分の男性はセックスの機会を逃さない。そうやって、ひとたび女性が自分で選んだ男性と性的交渉をもてば、今度は身近にいることを利用して、その男性との関係を深めることが出来るようになる。

 さまざまな面で、その男性が自分に依存するように仕向け、二人の関係を維持することで男性が得る利益が徐々に大きくなり、関係を解消することで被るコストが高くなるようにするのである。こうして、最初はなんのあと腐れもなく得られる利益に思えたものが、結局は献身という代価を支払う羽目になる。

 男性も、永続的な配偶者を得ようとする場合には、これと似た戦術を用いて、最小のコストで効率よく女性を惹きつけようとする。女性がセックスを餌とするように、男性は資源を餌にする。しかし、男性は短期的なセックスの機会に目を向けやすい心理メカニズムをそなえているので、女性は男性を結婚に誘い込む第一段階として、そのメカニズムをうまく利用できるのである。
つづく セックスを餌にする 

煌きを失った性生活は性の不一致となりセックスレスになる人も多い、新たな刺激・心地よさ付与し、特許取得ソフトノーブルは避妊法としても優れ。タブー視されがちな性生活、性の不一致の悩みを改善しセックスレス夫婦になるのを防いでくれます。