デビィツド・M・バス 訳=狩野秀之
カジュアル・セックスのコスト
あらゆる性戦略にはコストがかかるものであり、カジュアル・セックスも例外ではない。男性の場合は、性病をうつされたり、女たらしという悪い評判を立てられたり、相手の嫉妬に狂った夫から暴力を振るわれたりといった危険を覚悟しなければならない。どんな社会でも、殺人事件の大部分は、嫉妬深い男が浮気を疑ったことから起こっている。
また、浮気性の夫には、妻からの仕返しに浮気されたり、離婚を被る危険が付きまとう。短期的な性戦略も、時間とエネルギーと経済的資源を要するものなのだ。
女性は、場合によっては男性以上に多くのコストを支払う羽目になる。もし男出入りが激しいという評判を立てられると、その女性の評価は大きく下がる危険性がある。
男性はふつう妻が貞淑であることを好むからである。スウェーデンやインディオのアチェ族のような性に比較的寛容な社会でさえ、淫乱というレッテルを貼られた女性は社会的なダメージを受ける。
身体的保護を提供してくれる永続的な配偶者をもたず、短期的な性戦略だけをとりつづける女性は、より大きな身体的・性的虐待のリスクを冒さなくてはならない。
もちろん、結婚している女性でも、夫から暴力を受けたりレイプされたりすることはあるが、女子大学生の実に一五パーセントが、デート・レイプを受けていることがあるという驚くべき統計は、長期的な配偶関係を結んでいない女性がかなりのリスクにさらされていることを如実に示している。
前述した配偶関係に関する調査の結果、女性には、身体的・性的な虐待を加えたり暴力的だったりする男性を激しく拒絶する傾向が見られたか、これは女性たちが虐待を受ける危険性を自覚して入ることを意味しているのだろう。
女性の配偶者選択の好みが危険な男を排除するように組み立てられていれば、危険を最小限にとどめることができるからだ。
われわれの祖先が暮らしていた時代では、そうやって生まれた子どもたちは、病気にかかったり、傷を負ったり、。あるいは命を落とす危険が大きかった。投資してくれる男性を持たない女性が、自分の子どもを殺してしまうことさえある。
一例を上げれば、カナダで一九七七年から八三年のあいだに独身の女性が産んだ子供は出産数全体の一二パーセントにすぎないが、警察に通報があった母親による嬰児殺し六四件のうち、じつに五〇パーセント以上が未婚の母によるものだった。
この傾向は、アフリカのバガンダ族をはじめさまざまな文化で見ることができる。しかし、嬰児殺しという解決策も、女性が九ヶ月の妊娠期間に費やした莫大なコストや、社会的評価の下落、結婚する機会の喪失を償ってはくれない。
一方、既婚女性が浮気する場合には、夫からの資源の提供を失う危険がある。子孫を残すという見地からすれば、夫以外の男と関係し、?殖に必要のない精子を得るのは、貴重な時間の浪費でしかない。さらに、父親の違う子どもを産んだ場合には、その子どもたちの間の絆は弱くなるので、兄弟姉妹間で競争が起こる危険性もある。
このように、男女どちらの側にとっても、カジュアル・セックスには落とし穴がある。しかし、それが大きな利益をもたらしてくることも否定できない。だからこそ、女性も男性も共に、カジュアル・セックスのコストを最小限に減らし、その利益を高めるような状況を選択するための、心理メカニズムを進化させてきたのだ。
つづく
カジュアル・セックスに適した状況
煌きを失った性生活は性の不一致となりセックスレスになる人も多い、新たな刺激・心地よさ付与し、特許取得ソフトノーブルは避妊法としても優れ。タブー視されがちな性生活、性の不一致の悩みを改善しセックスレス夫婦になるのを防いでくれます。