デビィツド・M・バス 訳=狩野秀之
若さ
若さは重要な手がかりである。というのは、女性の繁殖価値は、二〇代を過ぎると年と共に確実に下がっていくからだ。四〇歳を超えると、女性の?殖力は極めて低くなり、五〇歳ではほとんどゼロになる。このように、女性が繁殖能力を発揮できるのは、生涯のうち一時期だけに限られている。
男性は、この手掛かりを重視して配偶者を選ぶ傾向がある。アメリカ人男性の大部分は、自分より年下の女性と結婚したいという願望を抱いている。一九三九年から八八年まで、全米のあらゆる地域の大学生を対象に行なわれた調査によれば、男子学生が理想とする結婚相手の年齢差は、つねに二・五前後だった。つまり、二一歳の平均的な男性は、一八・五歳の女性を好むということになる。
男性が女性の若さにこだわる傾向は、西欧文化圏だけに限られたものではない。人類学者ナポレオン・シャノンによれば、アマゾンのヤノマミ族の男たちは、どんな女性に最も性的魅力を感じるかという問いに対し、間髪入れずこう答えている。「それは『モコ・デューデ』な女たちだね」。「モコ」という単語は、果樹に対して使うときは「実をつける」という意味になり、女性に対して使うときは「子供を産める」という意味になる。
そして「モコ・デューデ」になると、果実の場合は「完熟した」をあらわし、女性の場合は、すでに陰毛が生えているがまだ子供を産んでいない女性、すなわちおよそ一五歳から一八歳までの少女を意味する。他の部族について同じことを調査した結果によれば、ヤノマミ族の男性のように少女を好むことは、特に珍しいケースではなかった。
ナイジェリア、インドネシア、イラン、インドの男性も、同じような傾向を持っている。それだけではなく、配偶者選択に関する国際調査の対象になった三七の文化圏のすべてで、男性は自分よりも若い妻を望んでいるのである。たとえば、ナイジェリアで調査対象となった男性(平均年齢二三・五歳)は、自分よりも六・五歳若い女性、つまり一七歳になったばかりの少女と結婚することを望んでいた。
ユーゴスラヴィアの男性たち(平均年齢二一・五歳)は、一九歳ぐらいの妻を求めていた。中国、カナダ、コロンビアの男性も、同じように年下の女性を強く求めている。三七の文化圏全体の平均では、男性より二・五歳年下の女性を求めていることが分かっている。
このように、男性は一般的に年下の女性を配偶者に選びたがる傾向を持っているが、その傾向の強さは文化によってかなり異なる。フィンランド、スウェーデン、ノルウェーといったススカンジナヴィア諸国では、男性は一、二歳年下の女性と結婚したがるのにたいし、ナイジェリアやザンビアの男性は、実に六〜七・五歳も年下の女性を求める。
ナイジェリアやザンビアでは、一夫多妻制が行われている。経済的な余裕さえあれば、複数の女性と結婚できることが法的に認められているのである。一般にも一夫多妻の婚姻システムの中に暮らす男性は、一夫一妻のシステムに暮らす男性より、妻を獲得するに十分なだけの資源を蓄積するまでに時間がかかる。
つまり、ナイジェリアやザンビアの男性が、大きく年の離れた女性を好むのは、かなりの年齢に達するまで妻をめとれないことの反映なのだ
。
新聞に掲載される個人広告を分析した研究でも、男性の年齢と、その男性がどんな配偶者を求めるかの間に強い相関関係があることがわかっている。男性の年齢が高ければ高いほど、年の離れた女性を求める傾向が強くなるのである。三十代の男性は、平均して約五歳年下の女性を好んでいるが、それが五十代になると、一〇歳ないし二〇歳もの年下の女性を求めている。
実際の結婚の事例も、男性が年下の女性を好む傾向をはっきりと示している。アメリカの場合、最初の結婚では、花婿が花嫁より平均して約三歳年上であり、二度目の結婚では五歳、三度目の結婚では八歳ほど離れているのがふつうだ。
他の国々でも、男性が年下の女性を好む傾向は実際の結婚に反映されている。たとえば、一九世紀のスウェーデンでは、一度離婚を経験したのちに再婚した男性は、平均して約一〇・六歳も年下の女性を妻に選んでいたことが教会の記録からわかっている。
実際、結婚したカップルの年齢に関する記録が残っているすべての国で、平均すると花婿は花嫁よりも年上なのである。ただ、国よって年齢差はさまざまであり、ヨーロッパ諸国では、ポーランドの約二歳からギリシャの約五歳までバラツキがある。世界のあらゆる文化圏を平均すると、花婿は花嫁より約三歳年長であり、男性はほぼこれくらいの年齢差を望んでいると考えていいだろう。
ただ、一夫多妻制の社会では、夫と妻の年齢差は大きくなるのがふつうだ。オーストラリア北部のティウィ族では、社会的地位の高い男性は、自分よりも二〇ないし三〇歳も年下の妻を持っていることがある。
以上の事実から、現代の男性は自分よりも若い女性を好んでいることは明らかだ。彼らは、女性の繁殖価値を年齢という手がかりから判断を下す傾向を、祖先の男たちから受け継いでいるのである。そうしてこの心理的傾向は、今でも実際の配偶者選択に応用されているのだ。
つづく
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