
デビィツド・M・バス 訳=狩野秀之
女が力をもつとき
女性が資源を持つ男性を好む傾向には、もうひとつ別の説明がなされることがある。それは、女性が「構造的弱者」の立場に置かれているという考え方にもとづく説明だ。この見方によれば、ふつう権力や資源の獲得手段はほとんど男性に支配されており、女性はそうしたものに近づくことさえできない。そのため、女性は権力や地位、経済力のある配偶者をもとめることになった。
資源を手に入れるためには、資質的・経済的に高い地位にある男性と結婚しなくてはならないのだ。一方、男性は女性と違って、結婚相手が経済的資源をもっているかどうかなど気にかけない。すでに資産のほとんどは男性がコントロールしていて、女性の自由にはならないからである。
しかし、西アフリカのカメルーンにあるバクウェリの社会は、女性たちが実際に権力を握った場合、どんなことが起こるかの格好の事例であり、「構造的弱者」理論に対する反証を提供してくれる。
バクウェリの女性は、個人的にも経済的にも大きな力を持っている。彼女たちは男性よりも豊富な財産をもち、しかも支出が少ないからである。女性は農園で働くことによって収入を確保しているが、それと同時に一時的なセックスという大きな収入源をもつているのだ。
バクウェリでは、女性一〇〇人あたりに対し、約二三六人もの男性がいる。この人口の不均衡は、農園で働くためには他の地方からたえず男たちが移り住んで来ることから生じたものだ。男女の数が極端に違うために、女性は配偶者を思い通りに選ぶことができる立場にある。
にもかかわらず、彼女たちはやはり、財産を持った男性と結婚したがっているのだ。既婚女性たちは、夫の収入が少ないことに不満を抱いているケースが多く、実際に妻から離婚申し立ての理由としていちばん多いのは夫の経済力が十分でないことだった。
バクウェリの女性は、もし夫の収入が少なかったり十分な婚資を用意できないとわかった場合には、ただちに夫を取り替えようとする。つまり、女性たちは、資源をもった男性を求めるという進化が生みだした方向性を実現する機会に恵まれれば、迷わずそうするのである。経済的資源を手に入れたからといって、この配偶者選びの大原則は変わらない。
同じように、職業的にも経済的にも成功したアメリカ人女性たちも、男性がもっている資源を重視ている。前述した新婚夫婦に関する調査では、給料や収入を基準にして、経済的に成功している女性たちを選びだし、彼女たちの配偶者の好みと、低収入の女性たちの配偶者の好みを比較してみた。
経済的にも成功していると判断された女性の多くは、年収五万ドル以上、なかには年収一〇万ドルを超える者もいた。そうした女性たちは高等教育を受け、大部分は専門的な資格をもっており、自分を高く評価していた。しかし、調査の結果明らかになったのは、経済的に成功した女性たちも、そうでない女性たちと全く同じように、専門的な資格と高い社会的地位、すぐれた知性をもち、背が高く、自立心旺盛で、自信に満ちたタイプの配偶者を好んでいるということだった。
そして、何にもまして注目すべきことに、経済的に成功した女性たちは、そうでない女性たちにくらべ、高い収入の男性との結婚をより強く望んでいたのである。心理学者マイケル・ウィダーマンとエリザベス・オールジァーが行った別の調査でも、収入のいい仕事に尽きたいと望んでいる女子学生は、そうでもない女子学生にくらべ、未来の配偶者の経済力を重視する傾向が強いことがわかっている。
また、医学専攻や法律専攻といった、将来職業的に成功しそうな女子学生たちも、配偶者の経済力へのこだわりが特に強い。一方で経済力や社会的地位の劣っている男性が、社会的に成功している男性に比べて、配偶者の経済的資源を重視するといった傾向はみられなかった。こうした事実は、「構造的弱者」仮説の裏づけにはならず、むしろそれを真っ向から否定するものだ。
大部分の社会で男性が資源を支配し、女性は権力の座から遠ざけられているという点では、「構造的弱者」理論も一面の真実をとらえてはいる。しかしこの理論では、男性には、女性だけでなく他の男たちをも権力の座から遠ざけようとする傾向があるという事実や、なぜ資源を男性がコントロールするようになったのか、なぜ女性は、資源を力ずくで奪い取るために大きく強靭な身体に進化させなかったのか、あるいは男性の配偶者選択の基準が謎に包まれている理由を説明できない。
それにたいし、進化心理学は、こうした一連の問題に解答を与えることができる。男性が資源を独占することを望み、他の男立に渡すまいとするのは、女性の配偶者選択の基準を満たすためである。
人類の進化の歴史において、資源を蓄積することが出来なかった男性は配偶者を得られなかったからだ。男性が逞しい体格とより大きな権力を求める傾向は、少なくとも部分的には、女性が数百万年にわたって理想の配偶者を追及してきた結果なのである。
つづく
女の好みの多様さ
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