デビィツド・M・バス 訳=狩野秀之
協調性
長期にわたって配偶関係をうまく維持していくためには、配偶者と協力し合って、双方の利益になる目的を追求していく必要がある。絶えずいさかいを繰り返しているような関係では、目標達成が遠のくばかりだからだ。異なった性質をもつふたりをうまく?み合わせるには、配偶者の協調性が必要不可欠になる。
それは、ある場合には相補的な性質なものになる。例えば、どちらかが配偶相手をはるかにしのぐ資源や技術を持っている場合には、男女間である種の分業が行われる。こうした専門化と分業によって男女双方が利益を得ることができる。
しかし配偶者との協調には、もうひとつ別のかたちも存在する。それは、ある個人の性質ともっともうまく調和できる人間、すなわちもっとも性質の似た人間を配偶者にすることだ。男女の間に、価値観、興味、性格の大きな違いが存在すれば、軋轢と不和が生じる。
心理学者ジック・ルービンとその共同研究者たちは、202組の男女を数年にわたって観察し、どのカップルが関係を維持し、どのカップルが別れたかを調査した。その結果、価値観、興味、性格などに不一致が見られるカップルは、一致しているカップルよりも破局を迎えやすいことが明らかになった。
破綻した一〇三組のカップルと長続きしている九九組を比較してみると、男女の役割分担についての価値観や、婚外セックスやロマンティシズム、宗教的信条といったものに対する姿勢において、前者の方に大きな不一致が見られたのである。
したがって、配偶者との協調を実現するための一つの方法は、自分と似た性質の配偶者を探せばいいということになる。アメリカのみならず世界中で、さまざまな面で似た男女同士が結婚しやすい傾向がみられる。とりわけ、価値観、知性、社会グループなどが共通する男女が結婚する傾向は顕著だ。人々は、自分と似た政治的・社会的価値をもつ配偶者を求める。
たとえば、中絶や死刑の是非については、カップル間でプラス〇.五〇の相関が見られる。こうした問題をめぐる意見の不一致は、軋轢をひきおこす確率が高いのだ。人種・民族・宗教といった点でも、自分と共通する配偶者を求める傾向が強い。また、知的水準が近い相手と結婚するケースも多く、ぷらす〇.四〇の相関がみられる。さらに、外向性・協調性・堅実さといった性格的な特徴が共通しているかも重要で、配偶者間でプラス〇・二五の相関を示している。外向的な人間は、いっしょにパーティに入ってくれる配偶者を求め、内向的な人間は、家で静かに過ごすのが好きな配偶者を求める。
好奇心旺盛なタイプは、上等なワインや美術、文学、珍しい異国の食物などに興味のある配偶者を好む。堅実な性格の人間は、請求書が来ればすぐに支払い、将来に備えて貯金を怠らないようなタイプを配偶者に選ぶ。反対に、享楽的な性格の人間は、日々の生活の楽しさを優先させるような配偶者を欲しがるだろう。
上手く協調しているカップルがたがいに似通っているのは、ある程度は、人間は身近にいる相手と結ばれやすい傾向があり、そうした相手とは共通性があることが多いという事実の副産物でもある。
たとえば現代において、同じくらいの知的水準の相手と結婚するケース多く見られるのは、同レベルの知性の持ち主は同じ学校に集まりやすいという事実に起因しているのだろう。とはいえ、こうした論法では、人間が自分と似た配偶者を好むという傾向が、あらゆる場所で見られることを説明しきれない。
私は、マサチューセッツ州ケンブリッジで交際中のカップルを対象にしてある調査を行った。交際中の一〇八人を選び、性格と知的レベルを調べたのである。さらに、被験者たちに指紋表を配り、どのような性格。知的レベルの配偶者が理想的かを答えてもらった。その結果、女性の多くの点において、自分と似た配偶者を好むことが明らかになった。
似ているほうが望ましいとされた項目には、大胆さ、指導力、行動力、人柄の暖かさ、協調性、優しさ、責任感、堅実さ、勤勉さなどがあり、特に知性、理解力、創造性が重視されている。そして、自分は何らかの資質が劣っていると自認している人々は、やはりその資質が劣っている配偶者を好む傾向が見られた。
自分と似た配偶者を求めることは、配偶者間で協力しあうという適応上の課題へのすぐれた解答となる。共通の目標に向けて、双方の関心をもっと効果的に折り合わせることができるからだ。外向的で、にぎやかなパーティが好きな女性が、家で夜を過ごすことを好む内向的な男性と結婚したとしよう。たとえ毎晩別々に行動することを決めたとしても、二人の性格の不一致はやがて軋轢を生む事になるだろう。
それにたいし、二人共内向的もしくは外向的なカップルは、したいことが共通しているため、対立が生じない。民主党支持者と共和党支持者、あるいは妊娠中絶賛成派と反対派が結婚した場合、夫婦間で興味深い激論を繰り広げることはできるだろうが、結局はたえまない口論のために貴重なエネルギーを浪費する結果に終わる。
たがいの目標が成立せず、ふたりの努力が相殺逸れてしまって実を結ばないからだ。
さらに重要だと思われるのは、性格の一致したカップルは、子どもを育てたり、親戚や周囲の人間とうまくつき合うという共通の目的が存在するとき、もっとも効率のいい形で協力し合うことが出来るという点である。子供の育て方について意見を異にする夫婦は、貴重なエネルギーを空費するばかりか、父親と母親がそれぞれ異なったことを教えるせいで子どもを混乱させてしまう。
自分と似た配偶者を選ぶことは、こうした余分なコストを軽減させてくれる。
自分と似た配偶者を求める戦略のもうひとつの利益は婚姻市場(マリッジ・マーケット)における自分の価値がどの程度であろうと、適当な配偶者を得ることができ、無駄な努力を払わずにすむという点にある。協調性・堅実さ・知性といった、配偶者選びの際に重視される資質を多く備えている人々は、配偶者にもそうした資質を要求できる。
一方、そうした望ましい資質に恵まれていない人々は、あまり多くを求めることはできず、配偶者選択の対象を、自分と似たレベルの相手に限定しなければならず、同レベル相手だけに的を絞れば、とても手の届かない相手に求愛して時間と金を浪費したりせずに済む。
競争に打ち勝って自分よりも価値の高い相手と結婚できたとしても、相手のほうが自分よりも配偶者を選択の幅が広いので、いつ見捨てられるかわからない。優れた資質を多く備えた人々は、よそでもっといい相手を見つけることができるので、釣り合わない結婚は破綻することが多くなる。
このように、自分と似た配偶者を選べば、複数の適応上の課題が同時に解決される。婚姻市場において最大限のものを求めることができ、ふたりでうまく力を合わせて、よけいな軋轢を避けることが出来る。ふたりの目標が両立しないことから生じるコストもなく、成功を手にする確率が最大に高め、しかも離婚の危険性も軽減されるのだ。
つづく
体格と体力・健康
煌きを失った性生活は性の不一致となりセックスレスになる人も多い、新たな刺激・心地よさ付与し、特許取得ソフトノーブルは避妊法としても優れ。タブー視されがちな性生活、性の不一致の悩みを改善しセックスレス夫婦になるのを防いでくれます。