デビィツド・M・バス 訳=狩野秀之
野心と勤勉さ
私はリーザ・カイル=ヘクと協力して、日常生活において見られる競争についての研究を行ったことがある。この研究の目的は、人々が職場社会で、より高い地位を得るためどんな戦略を用い身の周りの人間が、高い地位や権力を得るためにどんな行動をとっていると思うかを列挙してもらった。
その回答をさまざまな方法で集計した結果、社会的なコネづくりや嘘、性的な魅力、教育、勤勉など二六種類の異なる戦略が存在することが明らかになった。このうち、勤勉という戦略は、他人より多くの時間や労力を仕事に費やしたり、時間を効果的に活用したり、いちばん早く目標を達成させたり、まわりの人間に強い印象を与えるほど熱心に働くといった行為として現れる。
さらに、二〇歳後半にさしかかろうとしていると二一二人を対象に、より高い地位を得るための戦略を採用しているかを訊ねた。またそれとは別に、彼らの配偶者たちにも、自分の夫や妻が出世するためにどんな戦略を用いていると思うかを答えてもらった。
次に、そこで得られた回答と、調査対象者のこれまでの収入と昇進速度、および今後期待される収入と昇進との相関関係を調べてみた。どの戦略が、実際に高い地位に結びついているかを知るためである。
その結果、あらゆる戦略のなかで、勤勉に働くことが、過去から将来にいたる収入・昇進を最も確実にもたらすものの一つであることが明らかになった。自分は熱心に仕事をしていると答えた人々、および勤勉だと配偶者に評された人々は、そうでない人よりも教育水準や収入が高く、将来さらに高い収入と昇進が期待された。一般に、勤勉で野心的な人々は、怠惰で労働意欲の乏しい人々より、職場で高い地位を得ている。
アメリカの女性たちは、将来出世しそうな男性を求める傾向が顕著なので、こうした勤勉さと出世との関連を熟知しているようだ。一例をあげれば、一九五〇年代に、大学生五千人を対象として、未来の配偶者にどんな資質を求めるかについて調査が行われたことがある。
そのとき、女性は、仕事熱心ではっきりしたキャリア志向をもち、勤勉さと野心に溢れる配偶者を好む傾向が、男性に比べて著しく強いことが解った。また、前述した配偶者選びに関する調査で、対象となったアメリカ人の未婚女性八五二人と既婚女性一〇〇人は、配偶者の野心および勤勉さという要素を、例外なく「重要」ないし「必要不可欠」なものと評価かしている。
さらに、一時的もしくは永続的な配偶関係について行った調査では、次のような結果が出ている。女性が、向上心に欠ける男性のことを「夫としてもっとも望ましくない」という評価を下しているのに対し。男性は、妻が向上心を持っていよう持っていまいと特に問題にしていなかった。
また女性は、夫が失業したり職業上の目標をもっていなかったり仕事に熱心でなかったりした場合には、結婚を解消しようとする傾向が見られる。
野心と勤勉さをなえた男性が女性に好まれる傾向は、アメリカや西洋諸国に限られたものではない。ほとんど全ての文化で、女性は男性に比べ、配偶者の向上心や勤勉さを重視しており、平均すると「重要」と「必要不可欠」の中間という高い評価を与えている。
たとえば台湾では、女性は男性に比べ、向上心や勤勉さを二六パーセント以上重要視しており、この数字はブルガリアでは二九パーセント、ブラジルでは三〇パーセントに達する。
こうした、あらゆる地域や時代で共通に見られる証拠は、女性が、資源を獲得する能力を備えていそうな男性に惹かれ、野心を持たない男性を嫌う傾向を進化させてきたという。重要な進化上の推測を裏づけてくれている。この傾向は、祖先の女性たちが、生活に十分な資源を入手するという重要な課題を解決するうえでプラスに働いた。
されは、ある男性が将来どの程度の資源を得られるかを予測する助けになった。特に、その男性が、どれだけの資源をもたらしてくれるかが現時点では容易に判断できない場合には有効だった。また男性が資源を持っていることがわかっている場合でも、その男が野心と勤勉さそなえていることは、資源の供給が将来も続くことを保証している。
つづく
頼りがいと安定性
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