サイモン・アンドレアエ/沢木あさみ=訳
完璧な平均値
テストステロンは、生殖に関して二つの大きな効果をもたらす。テストステロンは、まず力を生み、そして免疫システムに働きかけ、肉体がホルモンの分泌量を調整するように促すのである(男性ホルモンが過度に分泌される思春期にはニキビができることもある)。
プロポーションのいい肉体と光沢のある髪。そして、きめ細かく透明な肌。このわかりやすい三つの特徴はつねに、若さ、健康、生殖能力のしるしと信頼されてきた。男性の場合でも、この三つは確かに大事な基準のようである。男性の理想的なWHRは80パーセントから90パーセントの間であり、さらに男性の場合背が高くなければならないが(最近「ウォール・ストリート・ジャーナル」の記事によると、一インチ背が高くなると6千ドル収入が増えるそうである)。
またいくつかになるまで頭髪を保っていられるかどうかも重要になってくる。ただし男性の場合、こうした肉体的な要素よりもむしろ、地位や収入にといった目に見えない要素の方が重要視される傾向がある。
だがさらに目を凝らしてみると、他にもシグナルは山ほどあるのもわかる。とくに、もっとも目に付きやすい性のビルボード、すなわち顔に刻み込まれたシグナルは、男性にとっても女性にとっても大事なものになっている。
19世紀の後半、ダーウィンのいとこで優れた科学者であり、同時に悪名高き人種差別主義だったサー・フランシス・ガルトンが“究極の悪人の顔“を作って見ようと決心した。何人もの悪漢、犯罪者の写真を集め、それを重ね合わせてみたのである。こうしてできた顔はきっと将来の悪党を見分ける手掛かりになり、矯正不可能な悪党が増えていくのを防げるだろかと考えたのである。
ところが残念なことに、すべての顔を混ぜ合わせてみると生まれたのはガルトンが望んでいた奇怪な悪党の顔ではなかった。混ざり合った悪人の顔はなぜか平均的になり、個性には欠けるがどこか魅力的な顔が出来上がったのである。
ちょうど一世紀あと、テキサス大学のジュディス・ラングロイス率いる研究チームが、美の認識を研究するために同じ手法を使った。ラングロイスは自分のコンピュータ・プログラムにたくさんの顔インプットし、究極のテンプレート、完璧な平均的な顔を造り出したのである。
それを彼女は、同僚や学生、そして友人たちに見せた。皆それぞれの顔より、それがすべて一つに合わされた顔のほうが美しいと言った。
ラングロイスはこういう結論下した。人間は美を認識する手段を持って生まれてくるだけではなく
一種の理想の顔として、平均的な顔に反応するようにできているのだと。その平均値は、とても幼いうちに学ぶのかもしれないし、あるいは生まれつき知っているのかもしれない。
これが事実かどうか確かめるために、ラングロイスは以前のテストで、魅力的、あるいは魅力的でないと判断された人々の写真をさまざまな文化やバックブランドをもつ人々に見せた。また、幼い子供にもみせた。子どもはまだ、何を美しいと思うか文化の影響をさほど受けていないと思ったからである。
結論を言えば、誰が美しいと思うかについては文化の違いを超えて意見の一致を見た。幼い子たちも意見は同じだった。美しい顔の方を長い感じっと見ていたり、美しい人形とずっと遊んでいたりしたのである。
ラングロイスの研究は確かに興味深い。だが、平均が最も美しいという考え方には、異議をさしはさむ専門家もいる。平均的であることは、確かに美しさにつながる。だが、それだけではいけない。平均的でありながら、いくつかの点では特徴を出さなければいけないのである。具体的に言うと、それは、下あごのサイズ、顎先、そして眉である。
特にニューメキシコ大学のヴィクター・ジョンストンは、フェースプリントというゲームまで考案した(これはウェブサイトからもアクセスできる)、このゲームのあるバージョンではプレーヤーにまず、全部男か全部女かの顔が30見せられる。
プレーはその美しいと思えるものを、一位から九位まで選ぶ。上位の顔はお互い混ざり合い、デジタルの子孫を二つ生み出す。そうするとそれが、下位の二つに取って代わる。これを続けていると顔はどんどん魅力的になり、やがて一人のプレイヤーが十点満点をだすと、ゲームは終わる、するとジョンストンは、一代目の顔の平均値と、十点満点を出した顔を比べて見るものである。
男性の場合いつも10点満点の顔は下あごが広く、顎先が鋭く、眉が立派になっている。女性の場合、これが逆になる。下あごの小ささが特にものを言うようだ。顔の上半分の長さに特徴がある。目が大きく、頬骨が発達している。
下あごと顎先と頬骨はとくに思春期、テストステロンとエストロゲンの影響を受け安い場所だということを示す
ジョンストンによるとこれは、下あごと顎先と頬骨はとくに思春期、テストステロンとエストロゲンの影響を受け安い場所だということを示す。同じょうに男性の広い下あごも、健全なテストステロンの影響を示す。人類の祖先にとっては――力と保護とを求めていた女たちにとっては――好ましいサインだったのだろう。
実際テストステロンは、生殖に関して二つの大きな効果をもたらす。テストステロンは、まず力を生み、そして免疫システムに働きかけ、肉体がホルモンの分泌量を調整するように促すのである(男性ホルモンが過度に分泌される思春期にはニキビができることもある)。
つまり広い肩や力強い眉、顎の持ち主は、テストステロンの作用が強い男盛りであることを知らせていると同時に、肉体的にも強いことを誇示しているのである。
つづく
53、陽気なシンメトリー
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