儀式の中では歌や踊り、そして贈り物も披露される。その贈り物の一つが、このヴィーナスの像だったのではないだろうか? 男性の技術力を表すため、そして子孫繁栄を祈って、この像が贈られたのではないだろうか?トップ画像 ピンクバラ煌きを失った性生活は性の不一致となりセックスレスになる人も多い、新たな刺激・心地よさ付与し、特許取得ソフトノーブルは避妊法としても優れ。タブー視されがちな性生活、性の不一致の悩みを改善しセックスレス夫婦になるのを防いでくれます。

結婚の起源

本表紙
サイモン・アンドレアエ/沢木あさみ=訳

結婚の起源

1995年、ウィーンを30マイルほど上がったドナウ川の岸辺で鉄道工事をしていた作業員が、奇妙な小さい物体を掘り出した。手のひらの大きさで、背の低い太った女性のような姿をしていた。

頭の形はプリンの型のようで、胸は垂れ、尻と太ももが極端に太かった。これは偶然女性によく似た形の石ころだと思った作業員は、それを捨て去ろうとした。だが念のために、近くの現場で働いていた考古学者の元に持って行った。

 その“石ころ”をウィーンに持つ帰った考古学者は仲間と話し合い、これが30年ばかりヨーロッパじゆうで発掘されている一連の像の最古にして最良のサンプルだという結論を下した。

 最初に発見されたのは南フランス、パヨンヌの近くあるホープの洞穴で、二番目に見つかったのはグリマルディの洞穴だった。この像の容貌に余り感心しなかったフランス人たちは、皮肉を込めてこの像をヴィーナスと名付けた、そのためオーストリアで発見されたこの像にも、ウィレンドルフのヴィーナスという名がつけられた。ウィレンドルフとは、彼女が発見された場所にほど近い町の名である。

 それ以降、さらに二百近いヴィーナスが発見された。場所を見てみると、東はロシアの草原地帯から、西はスペインのピレネー地帯に達している。見つかった範囲の広さも驚きだが、それ以上に驚きなのはデザインが共通しているということだ。どの像も、念入りに彫られていた。
人形
石灰岩を彫ったものもあれば、動物の骨や緑色岩を彫ったものもあった。髪や服が彫られているものもないものもあった、どれも形は同じだった。極端に大きな乳房とヒップ。そして、妙に描写の細かい生殖器。

恥部の膨らみはどの像にもはっきりと彫られ、陰部の襞(ひだ)まで妙にくっきりと描かれているものさえあった。にもかかわらず、どの像にも顔がない。頭部はつるんとしていて、これは誰が何の目的で作ったものなのか、議論が起きることになった。

 最初に出された意見は、これは強力な母系制社会での強い女神の像ではないかということだった。命を与え、死を司り、再生を可能にする性として、女性が社会に君臨していた時代があったのではないか。

 だがこの像の中に、こうした活動をしている姿のものはない。むしろどの像も、受け身で静かな雰囲気をたたえていた。おまけに、顔がないのである。それに前章で見た通り、そもそもかつて母系社会があったという考古学者の裏づけはあまりないのである。

 二番目の意見は、これは石器時代のポルノグラフィではないかというものだった。男たちはマスターベーションをしながらこれを見ていたのではないか。男根をかたどった像も多数発見され、考古学者たちはこれをディルドではないかと解釈していた(中には二股のものもあった)そのため、この説はいささか突飛とはいえ、まったくありえないことではないだろうと思われた。

女性のオナニー道具が三万年前にあったとするならば、男性用もあったのではないだろうか?

三番目にして最も説得力のある説は、ヴィーナスの像は妻の到着を待つあいだ、人類最初の夫たちが自分の手で彫ったプレゼントではないかというものだった。女たちは遠くの部族から、かぞくや友人たちを連れてやってくる。それから男性と一緒になる儀式を行う。

儀式の中では歌や踊り、そして贈り物も披露される。その贈り物の一つが、このヴィーナスの像だったのではないだろうか? 男性の技術力を表すため、そして子孫繁栄を祈って、この像が贈られたのではないだろうか? 

これを、女性の両親が持ち帰る。そして、娘を思い出すときの像として大事にするのである。像に頭がなくても、両親にとって娘の顔を思い描くのは難しくもない。片や夫の方は、それまで娘に会ったこともなったのだ。

この説が他の二つの説より強い根拠を持っているわけではない。だが、人類は紀元前三万年ごろから自分の部族以外の者と交わってきて、その際性の使者となってきたのは女性たちであるという考えは、色々な面からみて根拠があるのである。

戦利品となりがちな女性はまた、平和のシンボルにも、平和の使者にもなる。狩や戦いのため男子が必要なら、男たちの機嫌を取らなくていけない。近隣の男に毛深く戦闘的な男たちを出すより、年頃の娘を送った方が、印象がいいのは当然だろう。また、気を付けておきたいのは他にもある。

この時代、耐久性のある材料で作られた人間の像はこのヴィーナスたちだけだった。男たちの姿は洞窟等にも描かれているが、そのどれもがいずれは消えてしまいそうなものだった。

 耐久性のある像がつねに女性だということは、女性が交換したり与えたりできるものに対し、男はそうではないということをはっきり示しているように思われる。

それに、いったん出来上がった狩の集団を崩すのはあまり賢明なことではない。それぞれの技量が結束して、初めて集団が成り立つからである。そしてこの集団は、主として男性で構成されている。
一方女性が集まっている採集の集団は比較的緩やかな組織で、一人欠けても致命的にならない。

考古学上の記録を見ても、これは裏づけられる。南西フランスのテヴィエで発見された人骨を調べてみると、男性が地元の海産物を食べて育ったのに対し、女性のほとんどは内陸部の食物をとって育ったことが解る。女たちは発育の途中、シーフードを食べていなかった。明らかに、内陸からここへやってきた、あるいは連れてこられたのである。

また、ヨーロッパで発掘された遺跡は、この時代人間がすでに埋葬の儀式を行ったことを示している。そのための場所や芸術品もある。埋葬の儀式があるのなら、他にも通過儀礼を行ったと仮定してもおかしくないはずである。

すべての証拠が示唆するとおり、三万年前すでに、部族間での結婚が行われている。そして、生まれた部族を離れ、新しい集団に入っていくのは、つねに女性の方だった。

だが、結婚はたしかにライバル同士。敵対しかねない者同士の絆を築くが、近隣の部族から年頃の女性がやってくれば、問題も相当引き起こしただろう。部族と部族を結びはしても、一つの部族の中では問題を抱え込む事になったかもしれない。

男性ができるだけたくさんの受胎可能な女性と性行為をしたいという欲望をプログラミングされていることはすでに見てきた。男性がセックスするためなら、筋力、知力、あるいはその両方を遺憾なく発揮するのである。

だが男性が、自分の女性が狙われたときにどう振舞うかはまだ見てこなかった。そして結婚というものが生まれたての頃、まさにこの問題が起きてきたのである。夫にとって所有物だった妻が、他の男にとっては獲物だったのである。
 つづく 21、赤い三人 姦通 
遺骨をもっと見てみると、手がかりが浮かんでくる。女性の生殖器付近と三人の頭のあたりに、粉を撒いたような跡がある。その粉は、赤土である。そのうえ、左側の男、女性に手を伸ばしているほうの男の尾骨は鋭いもので貫かれている。おそらく槍だろう。