社表

煌きを失った性生活は性の不一致となりセックスレスになる人も多い、新たな刺激・心地よさ付与し、特許取得ソフトノーブルは避妊法としても優れ。タブー視されがちな性生活、性の不一致の悩みを改善しセックスレス夫婦になるのを防いでくれます。トップ画像

男おひとりさま道 目次

本表紙 上野千鶴子著

男おひとりさまが増えている。

男おひとりさまが増えている。
 65歳以上の女おひとりさまは292万人、対して男おひとりさまは113万人と半数に近い(2005年)。この人数はこれからますます増える一方であろう。

 これまで男のひとり暮らしは、「男やもめにウジがわく」だの、さんざんなイメージで語られてきた。ひとり暮らしにかぎっては、女ひとり暮らしより、男のひとり暮らしのほうが同情と憐憫(れんび)の対象になってきた。

 若い人がひとり暮らしていても、はたからなにも言われないのに、高齢者がひとり暮らしていると、あいさつ代わりに振ってくる言葉に、「おさみしいでしょう」である。

 自分で選んだヒトリ暮らしなら、おさみしいでしょうは大きなお世話。その反発心が、私に「おひとりさま老後」を書かせた理由の一つだった。

ピンバラ男性の場合には、これに「ご不自由でしょう」がつく。

「ご不自由」は、家事などのご不自由に加えて、アチラのほう、つまり下半身のご不自由。「ご不自由が」が理由で再婚など望まれては、興ざめる。

ピンバラ「愛ある離婚」はなぜむずかしい

夫婦はもともと他人だが、親子は離婚しても親子、日本では共同親権が認められていないだけでなく、離婚した父親の面会権が強く主張されることも少ない。
 別れた父親が、もとの家族とここまで縁が切れてしまうのは、離婚のハードルが高く、憎悪の圧力が相当高まらないと離婚しにくい、という日本の離婚事情が背景にありそうだ。

ピンバラ非婚シングル・キヨシさんの場合》

キヨシさんは54歳。末っ子でお母さん子として育ってきた。大学入学を機に都会へ出て、いったんはそこで就職したが、勤め先は不況で倒産。父親が高齢になりつつあり、母親が心細がって「帰っておいで」というので、40代で地元に戻った。独り者だったので、Uターンも気楽にできた。

ピンバラ《増えている男性の家族介護者》

このところ増えているのが、家族介護者の男性比率。2009年版の高齢社会白書をみると、同居の家族介護者の28%が男性と知って、おどろいた。在宅で家族を介護している人の4人に1人以上が男性ということになる。

ピンバラセックスは封印?

「いつまで、できるのか?」という男性のセックス現役志向は“悲願”といってよいほど強そうだが、妻が寝たきりになったら、“家事要因”がいなくなるではない。“ベッド要員”のほうはどうなるか。

ピンバラ息子の介護

夫の介護ばかりでなく、息子の介護はどうか、と思ったら、これも徐々に増えている。
 というのも、先に述べたように、高齢者とその未婚の息子からなる世帯が漸層(ぜんそう)傾向にあるからだ。
 たいがいは女性の方が長生きだから、こういう世帯はいずれ、高齢の女性とその初老の息子からなる世帯となる。ほかに家族がいなければ、同居の家族介護者の息子が介護者になるのは自然だろう。これまでも最後まで残った未婚の娘が、親の介護要員となってきた。

ピンバラ妻に先立たれるとき

配偶者に死に別れあとの平均生存期間は、妻が約10年間、夫が約3年間。夫の方が圧倒的に短い。とはいえ、男性シングルと有配偶者をくらべた平均寿命をみると、
夫婦そろっているほうがシングルより長生きすることが解っている。

ピンバラ《生き抜いた妻に恥じないように》

ジャーナリストの田原総一朗さんは、最愛の妻をガンで失った。闘病中に『私たちの愛』(講談社、2003年)という、まるで相聞歌(そうもんか)のような夫婦愛の本を共著で執筆。
 帯には「ぼくはきみが死んだら、すぐに後を追うよ」とあった。節子さんが亡くなっても、総一朗さんは死んでいないではないかと揶揄(やゆ)する向きもあるようだが、わたしはそういう気にはなれない。

ピンバラこの先、「おふたりさま」になる可能性は? 

このところ男性向けの雑誌が、「男の向老学」特集を組むようになってきた。そのひとつ、『週刊ポスト』2009年2月6日、小学館が、わたしに「誌上特別指南」をせよといい、著名人のなかからモデルになる「おひとりさま」に登場して頂こうという企画を立てた。

ピンバラ第2章 下り坂を降りるスキル

人生のピークを過ぎたとき
 あなたの人生のピーク(頂点)は、思い返せば、いつだったのだろう。
「いまがいちばん。人生のピークです」と答える高齢者がいる。
 ほとんどが、女性である。残念ながら、男性のお年寄りで、そう答えるひとに会ったことがない。

ピンバラ男の定年、女の定年

どんなに仕事愛していても、仕事には必ず定年がある。とりわけサラリーマンには、いやおうなく定年が来る。
 どんなに職場に忠誠を誓っていても、いつかはある日、「明日からはあなたは来なくていい」と宣告される日が来る。地位と収入のピークに、惜しまれて花束を抱いて拍手のなかを去ってゆくのが「男の花道」だろう。

ピンバラ老いを拒否する思想

上がり坂半分・下り坂半分の人生10年時代を迎えたのに、「降りる」のをどうしても拒否する人たちがいる。
 昔から長寿は人間の切ない望みだったのに、それを実現した社会で、どうして老いを拒否し、嫌悪しなければならないのだろうか。PPK(ぴんころり。死の直前までぴんぴんしていて、ころりと逝くことを理想とする生き方)と聞くたびに、わたしは老いを拒否する思想を感じ取ってしまう。

ピンバラ弱さの情報公開

下り坂を降りるスキル、といえば、まず、「弱さの情報公開」だ。
 この言葉は、北海道浦河町にある精神障碍者のための生活共同体「べてるの家」の標語のひとつ。「安心してさぼれる職場作り」「病気を治さない医者」「あたりまえの苦労をとりもどす」など、数々の「べてる用語」を生んできた。

ピンバラ定年後にソフトランディングする

早すぎる余生を迎える女性が老後へと、“ソフトランディング”するのに比べて、定年というぶっちぎりの変化する男性は、老後へと“ハードランディング”すると書いた。いきなりドスンと落ちれば、痛みも大きい。

ピンバラ生きいきと暮らすシングルの先輩たち

団塊世代の大量定年を目前にして退職準備用ノウハウ本がいくらでも出版されたが、企業の側も定年後の男性の「その後」が気になるらしく、夫婦を対象に「退職準備講座」などを提供するところもある。

ピンバラ居場所づくりは女に学べ

30代後半から「早すぎる余生」を迎えた女性は、過程でもなく、職場でもない、「第三の空間」を求めて、ネットワークをつくってきた。わたしはそれを、脱血縁、脱地縁、脱社縁の「選択縁」と名付けて、フィールドワークしたことがある。
 女性の間で先行しているから、「女縁」と呼んで、1980年代末のことである。

ピンバラパワーゲームはもう卒業

 男って「死ななきゃ治らないビョーキ」だね、とつくづく思うことがある。
 それはカネと権力に弱い、ということ。
 女は女であることを証明するために男に選ばれなければならないが、この反対は成り立たない。男は男であることを、女に選ばれることによって証明するのではなく、男同士の集団の中で男として認められることで証明する。

ピンバラ「おひとり力」をつける

ひとりで「おさみしいでしょう」は、ひとりでいられないひとが、ひとりでいなければならないときのせりふ。逆に、ひとりでいたいのに、ひとりにさせてもらえない不幸もある。ひとりでいたいときに、ひとりでいられる至福が、おひとりさまの暮らしにはある。

ピンバラ第3章 よい介護はカネで買えるか

男おひとりさまのふところ事情
 女おひとりさまと男おひとりさまの老後の暮らしは、とりわけカネをめぐって対照的だ。
 高齢の女おひりさまの問題のトップに来るのは、貧困。80代以上の女性の貧困率は、55.9%、対して同世代の男性は42.6%(2007年国民生活基礎調査)。

ピンバラ《ワンマンな親父はめんどうな患者》

妻による夫の介護のもうひとつの特徴は、要介護者が重度の傾向であることだ。
というのも、ぎりぎりまで在宅で、と妻が頑張るのと、施設に入るのを本人がイヤがるからだ。
 なかには、ヘルパーさん家に入るのをイヤがる夫もいる。自分のカラダを妻や娘以外がさわるのを拒否する夫も多い。

ピンバラいくらあれば施設に入れるか

家族が頼りにならないとすれば、案死して最後まで看取ってくれる老人ホームに入って、3食昼寝付きですごすには、いくら必要か。

ピンバラ個室か、雑居部屋か

介護施設に全室個室のユニットケアが導入されたとき、ユニットケア憎し、とばかりに口をきわめて批判した介護業界のカリスマがいる。理化学療法士の三好春樹さんだ。
 三好さんによると、年寄りは個室など望んでいない、他人の気配のある雑居空間の方がずっと落ち着く、とりわけ自我の境界が溶解していく認知症の年寄りを個室に入れるなどもってのほか。

ピンバラ《ちょうどいい他人との距離は?》

昔の農村の日本家屋では、田の字型の配置の広い屋内で、納戸と呼ばれる狭い部屋に家族が布団を並べて雑魚寝した。そこに忍んできた夜這いの青年が、まっくらやみのなかの姉妹と妹娘を取り違えた、という笑い話もあったくらいだ。

ピンバラケア付き住宅はおすすめか

ケア付き住宅や介護付き有料老人ホームは、住まい(ハード)とケアがセットになっているから安心という考え方もあるが、セットになっているからこそ、切り離すことができなくて不便ということもある。

ピンバラ在宅単身介護は可能か

家族がいるばっかりに、家にいられない。とりわけ男おひとりさまだと、家族にもてあまされる。家族がなくてよかった、と思うのは、こんなときだ。わたしに家から出て行ってくれと言うものは誰もいない。

ピンバラ第4章 ひとりで暮らせるか

男は自立しているか
《自立の3点セットとは》
 自立の概念は、これまで、○1経済的自立、A精神的自立、B生活的自立の3点セットで考えられてきた。
 それに、C身体的自立を付け加えることもできる。カラダが思うように動くこと、家事や暮らしの能力があることはべつだからだ。

ピンバラ「食」のライフラインを確保する

高齢者の自立度を測る目安の一つにADL(日常生活動作)の自立という指標がある。食事、着替え、移動、排泄、入浴など、通常の生活を送るために必要な身体の能力を測る尺度の事である。なかでも人間の暮らしの基本は、食べること、出すこと。このふたつが他人の介護なしにできたら、だいたいひとりで暮らしていける。

ピンバラカネ持ちより、人持ち

カネさえあればなんでも買える、わけでないことを強調した。それならカネでなく、何か安心のもとなのだろうか。

カネ持ちより人持ち、というのは、「おひとりさまの老後」を書いたあとに、評論家の吉武輝子さんから書評を頂いた有り難い言葉がある。調べてみると、ジャーナリストの金森トシエさんの著書に『金持ちよりも人持ち・友持ち』(ドメス出版、2003年)があった。
この「人持ち」とは、もちろん家族以外の人持ちのことである。

ピンバラ友人は人間関係の上級編

旧友の深澤真紀さんが、『自分をすり減らさないための人間関係メンテナンス術』(光文社。2009年)という本を出した。日経ビジネスオンラインのウェブ上の連載をまとめたものだが、男性の読者がたくさんついた、という。ご本人も経営者。“血中オヤジ濃度”が他界と自認するだけあって、オヤジ族の共感を呼んだのだろう。

ピンバラ選択縁タブー集「男の七戒」

こういう選択縁には人間関係の作法がある。女縁づきあいタブー集、題して「女縁の七戒」を、第2章で紹介したわたしの著書『「女縁」を生きた女たち』からここに再録しておこう。

ピンバラありあまる時間をどうつぶす

 おひとりさまは、「時間持ち」だ。
 浮世の義理も職場も拘束されない、ありあまる自由な時間。
 その時間はもはや「会社時間」でもなく、「家族時間」でもなく、「自分時間」だ。

ピンバラヒマつぶしの達人

その2 時間はひとりでにつぶれない。
 ヒマをじょうずにつぶすには、ノウハウもスキルも、そのうえインフラ(基礎づくり、初期投資)もいる。ここではふたりの男おひとりさまの例を紹介しよう。

ピンバラ初期投資が高いと、安いコストで楽しめる

文化資本をみにつけるにも投資がいる。時間待ちのリッチなヒマつぶしをみていると初期投資が高くつくことがわかる。

ピンバラ男おひとりさまの生きる道

 男おひとりさまの生きる道はあるか?  
 ある、というのが本書の答えである。
 なぜって、充実した「男おひとりさま道」をきているひとたちを、わたし自身が何人も知っているからです。

ピンバラ男おひとりさま道10カ条

ススムさんにならって、わたしも「男おひとりさま道10カ条」を考えてみた。
第1条 衣食住の基本のキ
男おひとりさまにとって、衣食住の自立は基本中の基本。とりわけ「食べる」ことは生きることの基本。365日、外食や中食ばかりでは栄養が偏るし、健康管理もできない。

ピンバラ第5章 ひとりで死ねるか

生の延長線上にある死
 寝たきりや認知症になってしまえば、女も男もない。他人さまのお世話になって従容(しょうよう)と生きるしかない。男女問わず、おひとりさまの老後は施設で、というのが、これまではたった一つの選択肢だったけれど、ようやくそれ以外の選択肢「在宅ひとり死」の可能性が見えてきた。

ピンバラ在宅看取りを支えるひとたち

さて、どの死に方がいいか。
 残念ながら、死に方だけは選べない。亡くなる前に、数ヶ月間は他人さまのお世話になることをかくごして、それを受け容れる備えさえあれば、恐れることはない。

ピンバラ家族という“抵抗勢力”

日本では、現在でも在宅死より病院(施設)死が87%(2003年)と圧倒的に多い。
もともと家で死ぬのが当たり前だった前近代以降、急速に病院死が増加し、1970年代に在宅死を上回り、最近になって少しずつ在宅死が増える傾向にある。

ピンバラ介護保険を「おひとりさま仕様」

在宅看取りを実践している関係者の証言を総合すれば、
 第1に、終末期の痛みのコントロールは、今日の医療水準では、完全にできる。
 第2に、家族がいなくても、多職種の連携があれば、おひとりさま世帯でも看取りはできる。

ピンバラ和解のススメ

死が時間をかけて訪れることの恵みは、「旅立ちの準備」を、本人も周囲もできることだ。
身の周りの整理や遺言の書き方については、ノウハウ本が山のように出ている。わたしはここでは、他に誰も言いそうでないことを、とくに男のおひとりさまに向けて、かいてきたいと思う。