男縁だろうが女縁だろうが、男女共学縁だろうが、選択縁の世界は、もはやかつてのパワーゲームの社会ではない。トップ画像

煌きを失った性生活は性の不一致となりセックスレスになる人も多い、新たな刺激・心地よさ付与し、特許取得ソフトノーブルは避妊法としても優れ。タブー視されがちな性生活、性の不一致の悩みを改善しセックスレス夫婦になるのを防いでくれます。

選択縁タブー集「男の七戒」

本表紙 上野千鶴子著

選択縁タブー集「男の七戒」

こういう選択縁には人間関係の作法がある。女縁づきあいタブー集、題して「女縁の七戒」を、第2章で紹介したわたしの著書『「女縁」を生きた女たち』からここに再録しておこう。
その1 夫の職業は言わない、聞かない。
その2 子どものことは言わない。
その3 自分の学歴は言わない。
その4 お互いに「奥さん」とは呼び合わない。
その5 おカネの貸し借りはしない。
その6 女縁をカネもうけの場にしない。
その7 相手の内情に深入りしない。
 これを改定して、女縁のつながりに参入したい男性のための「タブー集」をつくってみた。
 選択縁づきあい「男の七戒」
 その1 自分と相手の前歴は言わない、聞かない
 その2 家族のことは言わない、聞かない
 その3 自分と相手の学歴を言わない、聞かない
 その4 おカネの貸し借りはしない
 その5 お互いに「先生」や「役職名」で呼び合わない
 その6 上から目線でものを言わない、その場を仕切ろうとしない
 その7 特技やノウハウは相手から要求があったしきだけ発揮する

その1 自分と相手の前歴は言わない、聞かない
 娑婆(しゃば)じゃナニサマでいらしたかは存じませぬが、引退すれば皆同じ。
 過去の栄光より、現在のありのまま受けとめあおう。聞かれもしないのに、自分の過去の経歴を喋り出す人は嫌われる。それを自慢する人はもっと嫌われる。

 つきあいのあるだれかれの過去や経歴を、本人が言わないのに、第三者にべらべらと喋るのもルール違反。

その2 家族のことは言わない、聞かない
 家族についてはいろいろあるもの。子どもや孫の自慢しても、相手は何の興味もない。
 それに自慢の子どもでも、エライのは子ども自身で、親のほうじゃない。
 子ども自慢を聞かされる相手は、子どものトラブルを抱えているかもしれないし、もしかしたら逆縁で子に死に別れているかもしれない。ヘタに詮索すると、相手から思い出したくもない辛い過去まで引き出してしまう恐れもある。

 既婚者でも事情があって別居しているかもしれないし、妻とは違う女性と同居しているかもしれない。相手が自分の口から言わない限り、余計なことは聞かないもの。
 選択縁は「おひとりさま」が単位、と心得よう。

その3 自分と相手の学歴を言わない、聞かない
 高齢者になるほど、学歴格差は大きい。昔の学歴差は経済格差であって、けっして能力格差ではない。自分が上級学校へ行けたのは、生まれた環境など、ちょっとした幸運のせいと考えよう。
 知らないひとに会うと、あいさつ代わりに「どちらの学校でしたか」と聞きたがる人がいるが、なぜだかほとんどの男性。しかも銘柄大学出身者が多い。
 結局、自分の学歴をひけちらかしたいだけ、ということがわかって鼻つまみになるのがオチ。

その4 おカネの貸し借りはしない
 付き合いを長続きさせるには、けっこう重要なルール。
 女縁のつきあいでは、ランチを食べても消費税の一円に至るまでワリカンにする傾向があるが、男性同士のつきあいでは、「ここはオレが」の見栄の張り合いがある。かつてはこれもナワバリを誇示するパワーゲームのひとつだったが、年金生活者になったらこれはやめよう。

 とくに女性のいる集まりで、男性が女性におごるのもやめよう。女性におごるのは下心があるうちだけ。“純粋異性交遊”では、男女問わずワリカンが透明なルール。

 それに経済力の水準が似ていたり、金銭感覚が共有できることも大事な点だ。ひとりだけケチなひとや、ちゃっかりしたひとがいると、たびかさなれば、そのひとにはお声がかからなくなっていく。

その5 お互いに「先生」や「役職名」で呼び合わない
 男を見れば「先生」か「社長」と呼んでおけばよい、のは酒場のルール。
 そう呼ばれてうれしい男は多そうだが、これもカミシモをぬいだつきあいではタブー。

 娑婆の役職を離れても、男縁の集まりでは、今度は名誉をめぐるパワーゲームが始まる。老人会の「会長」だの、NPOの「理事長」だの、寿講座の「講師先生」だの。
 それをその場面以外のつき合いの場へ引きずるのはやめにしよう。

「先生」にしておけば相手の名前を忘れても困らない、という利点もあげるひともいるが、名前はちゃんと覚えて「ウエノさん」と呼ぼう。そして配偶者がいたら「奥さん」ではなく、ちゃんと「チズコさん」と名前で呼ぼう。

誰かの付属品でなく、おひとりさまとして参加しているのだから、ほかの男性から、妻をファーストネームで呼ばれると、たじろぐ男性もいる。妻が新鮮に見えて、魅力を再発見するかもしれない。

その6 上から目線でものを言わない、その場を仕切ろうとしない
 とくにサラリーマンの定年退職者にありがち。定年前に地位のトップに上りつめるから、たいがいは管理職になっている。そのうえ女ばかりの集まりだと、がぜん張り切って、「オレが仕切りなくては」という気分になる。

 が、注意して欲しいのは、女縁の集まりでは、先にいている人たちがベテランで、あなたは新参者だということ。向こうはサークルや地域活動のキャリアでリーダーシップもじゅうぶんにもっている。

 いまの高齢者は、クラスでも級長は男、副組長は女、を疑わなかった世代。女ばかりの集まりのPTAでも、男が会長に奉られてきた。だが、いまどきの若者のあいだでは、男女を問わずリーダーシップのあるひとがリーダーになるのが当たり前。共学校の生徒会長やクラスの部長にも、女性はたくさんいる。

 男はリーダー、女はフォロワーという固定観念は捨てたほうがいい。でないと、やんわりと拒絶されたり、果てはいじめにあって追い出されることもある。

その7 特技やノウハウは相手から要求があったしきだけ発揮する
  リーダーシップとはいわないまでも、にたいがいの男性は、長い職業キャリアからくる経理事務経験とか法律実務経験。ITリテラシー(パソコンやインターネットを扱う能力)などの特技を持っているひとが多い。

 女縁の集まりで見るに見かねて口も手も出したくなるだろうが、それだって向こうが先輩。提案してみて採用されたら、要請のある時だけ協力しよう。でないと、いつのまにか仕切り屋になってしまいがちだし、そうなればやっぱり嫌われる。
 
 能力の評価は、ニーズと合致したときにだけ評価される。必要もない能力をひけらかしても、イヤミなだけ。要求があったときに発揮すれば、重宝がられるし、頼りにされる。「男ひとりがいるって、いいものね」と、大事にされる。

《ヨロイをぬいだおつきあい》

以上が、女縁のつながりに男性が参加するときのルールだ。
 男同士のつながりで男がどう振る舞うべきかは、わたしのような女に教えてもらうまでもないだろう。だか、浮き世の義理を離れ選択縁のひとつである男縁においても、同じルールはあてはまると思う。

 なによりも大事なのは、男縁だろうが女縁だろうが、男女共学縁だろうが、選択縁の世界は、もはやかつてのパワーゲームの社会ではない、ということだ。

 最後にこういう女縁に参加しながら、うまく溶け込めずに去っていたひとりの男性の、心にしみるエピソードを紹介しよう。

 ヨシカズさん(56歳)は単身赴任、遠方の家には交通費もかかるので、そう頻繁にはかえれない。休日を持て余して、近くの公民館の主婦のおしゃべりグループに好奇心から参加した。グループハシカズさんを排除するでもなく、それまでどおりに続いていたが、彼は数回参加したあと、どことなく溶け込めないまま、またまた転勤でその地を離れた。

 その後、グループのお世話をしていた女性宛てに、彼から長い手紙が来た。
 以下はその一部である。

「・・‥最初は、女が集まって何をくだらないおしゃべりを、と距離をとって聞いていましたが、みなさん方の素直な話しぶりに打たれました。

 私にも、妻のこと、家のこと、みなさん方に聞いてもらいたい悩みがたくさんあります。いま、遠く離れたこの地へ来て、あのとき、私のありのまま素直に自分のことを話して、皆さま方のお仲間に入れてもらえばよかったのに、と悔いています。今度にお目にかかるときには、ヨロイを脱いだおつき合いが出来るようになっていたいと念じています」

 ヨシカズさんに必要なのは、第2章で述べた「弱さの情報公開」だった。
 相手が男同士だとうまく脱げないヨロイも、女性の仲間に入ればもう少しよういに脱げるだろう。
つづく ありあまる時間をどうつぶすか