
梅田みか 著
妻の妊娠中に私との恋をはじめた彼はひどい人?
私は高校の教師をしています。不倫の彼も七歳年上の同じ学校の三十一歳の教師です。私が新任でやってきたときは、すでに結婚していました。
しかしそれにもかかわらず、私を異性として意識していたようです。それでも初めの一年半はあくまでもよき先輩、後輩の関係でした。しかし、私が進路指導などのことでパンクしそうに悩んでいたとき、支えてくれたことがきっかけで、男女の関係となりました。
どちらがつき合おうと言ったのでなく、月に一度ほど私を車で送ってくれてそのまま…と言うことがあったという感じです。
しかしそのうちだんだんと私は仕事に関しての自信がついてきました。もちろん、この不倫のことは公になれば教師としてやっていけなくなるかもしれません。でも私は彼と結婚することなど考えてもいません。
これまで努力して築いてきた自分の人生、仕事も絶対に手放したくないから、女らしくないかもしれませんが、彼も同じだし、彼は私のそんな望みを理解してくれています。
一度奥さんにバレかかり、お互い抱きたい抱かれたいというのを必死でこらえたこともありました。
そんなとき、私は学校をかわることになりました。環境が変わったこともありますがますふたりのその気をおおきくさせたのでしょう。電話ではなしているうちに、お互い会いたい気持ちが我慢できなくなってきました。
彼は「会ったらきっと抱いてしまう」。私は「それならそれでいいよ」と。私の中でも自分の将来を大事にする自分と、彼に会って抱かれたい自分がいました。案の定、抱かれました。でもその直前まで彼は迷っていたようです。私の人生を振り回している…と。
彼は決断したようにはっきりこう言いました。「あなたが割り切った付き合いにするなら、自分も楽な気持ちであなたと会うことができる」と。
「でもそれはセックスフレンドのような関係になってしまうだろう。自分の都合のいいように聞こえてしまうだろうが、あなたの幸せになるべき将来をこわしたくないんだ。
あなたにそれ(割り切った付き合い)ができる?」と。そうではなくては辛いけど会わないというのです。私はできると思うと答えました。
変わっているかもしれませが、私にとっては恋より仕事が大事なんです。彼が私と結婚したいなんて言ってきても、受け入れたくないほどなのです。
ただ、梅田さんの本を読んで気になることがひとつ。彼と私、初めてキスをしたのが、奥さんの妊娠五ケ月だったんです。
梅田さんの本によるとひどい人なのでしょうか?正確にいえば、わたしに最初にアプローチをしてきたときは、まだ妊娠していませんでしたが。彼が妻の妊娠中に私との恋をはじめてしまった、それだけで彼の人間性を判断できてしまうでしょうか?
(二十四歳・?県)
この恋は終わりにしていいのではないですか?
「私にとっては恋より仕事が大事」。こう言い切ってしまえる自分自身を、あなたは「女らしくない」とか「変わっているかもしれません」と気にしていますが、そんなことはないと思います。
女性にとって、恋も仕事も両方、とても大事なものですから、優先順位をつけるとしたらどちらになるのかは難しい問題です。でも、「仕事より恋が大事」という人が女らしく、「恋より仕事が大事」という人が変わっていると決めつけられるはずがありません。
ただ、今はあなたの中で「恋より仕事」という明確な順序がありますが、それは揺るぎないものではなく、その時々で変化していくものではないでしょうか。二十四歳の今は「恋より仕事」でも二十六歳や二十九歳のあなたはもしかしたら「仕事より恋」かもしれない。
そんなことはありえないとい思うかもしれませんが、絶対に変わらないものなんてないのですから。それに、そのくらいニュートラルな気持ちでいたほうが、自分で自分の考えに縛られないですむということもあります。
あなたが「恋よりも仕事が大事」という明確な姿勢をもつているからでしょうか、あなたの文面からは、彼に恋い焦がれるあなたの姿はほとんど見えてきません。
彼のあなたへの気持ちに対してもどこか人ごとのようで「結婚しいるにもかかわらず私を異性として意識していたようだ」とか「その直前まで彼は迷っていたようだった」とか…彼があなたを意識したり、迷ったりしているとき、あなたのほうはどうだったのでしょう ?
あなたの中では、彼を異性としてとらえているよりも、仕事に悩んでいるあなたを支えてくれたり、助言をくれたりする教師の先輩としての彼の存在のほうが大きいように見受けられます。もし彼がアプローチさえしてこなければ、あなたは彼と男女の関係にならなくてもよかったのかもしれません。
それに対して、彼は「あなたの人生を振り回している」とか「割り切った付き合いをしなければ、つらいけど会わない」とか「都合のいいように聞こえて」しまわないとか、あれこれ悩み、最後は「あなたの幸せになるべき将来をこわしたくない」という決断に至っています。
でも、そんな彼の切実な言葉も、あなたの前ではあまり意味をもたないようです。だってあなたは「彼が結婚したいと言ってきても、受け入れたくないほど」なのですからね。
ふたりの関係は、なんだかちぐはぐで、バランスが悪いような気がします。この先お互いが望むように割り切った大人の付き合いを続けようとしても、ふたりにとってそれが意味のあるものかどうか疑問です。彼が心配しているように「セックスフレンドのような」関係になるのなら、あえてこの恋を続けていかなくてもいいのではないでしょうか。
だんだん仕事に関して自信がついてきたあなたは、もう以前のようにむ彼に助言者としていないようですし、「不倫のことが公になれば教師としてやっていけなくなるかもしれない」というのがいちばん不安なのでしょうから、あなたにとってこの恋はもう終わりに向かっていくものと考えた方がいいのではないでしょうか。
最後に、「彼が妻の妊娠中に私との恋を始めてしまった、それだけで彼の人間性を判断できてしまうのでしょうか?」というあなたの問いに答えるとすれば、ある程度は判断できると思います。
もちろん、それだけで彼がひどい人だ、とまでは言い切れませんが、奥さんが妊娠中だったことが、彼の心があなたに向かわせるきっかけなったのは確かです。妻の妊娠中にほかの女性と親しい関係を持つことは、やはり男性として許されざる行為だと、私は思います。
「一度奥さんにばれかかった」あなたと彼との関係が、実際ばれなかったことは幸いでしたが、もしばれていたらそれこそ彼は「ひどい人」になっていたところです。でも「ばれかかる」などということが起こる自体、彼のキャパシティーのなさを感じさせます。
でも、これもあなたにとってはあまり関係のないことなのではないですか? あなたは彼の奥さんの立場になってものを考えたこともないし、彼の奥さんになりたいと望んだこともないのですから。
ただ、彼があなたにとってどんなにその人間性を信じられる男性であったとしても、彼が自分の妻に対してそのような裏切りができる人間であることには変わらないのです。
つづく
さよならしたのに、もう死ぬほど後悔しています