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夫の「イヤなこと一位」って知っていますか?
主婦の日常は、小さな”事件”でいっぱいだ。
息子は関係ないのにクラスのボールがなくなった事件の”共犯者”にされてしまったり、ママ友とランチしたら自分の頼んだものがなかなか出てこなくて幼稚園のお迎えに送れそうになったり、お友達を家に呼んだら娘の集めていたシールがごっそりなくなっていたり。
急に夕飯の買い物をしなければならないのに、近所のおしゃべり好きなおばさんにつかまったり、そこであることないこと自分の噂を聞かされたり、結局三十分もたってしまって予定していた献立が作れなくなったり。
主婦業や子育てには日々、ちょっとしたトラブルがつきもの。些細なことと言っても、誰かに愚痴のひとつも言いたくなるだろう。
そこに夫が一日の仕事を終えて帰宅する。
ひと息つかせる間もなく、いいところに帰って来たとばかりに「ねえ、聞いて、今日こんなことがあったの」と、一日の出来事を片っ端から聞かせてしまう。あなたにもこんな経験はないだろうか?
「夫婦なのだから、妻の話を聞くのは夫の役目でしょう」と思うかもしれない。だから夫が上の空の生返事などしようもなら、「どうせ私の話なんてくだらないと思ってるんでしょ」とむくれてしまう。
でも、ちょっと考えてみてほしい。それは本当に夫に話さなければならないようなことなのだろうか?
たしかに子育てや生活の中で「これは本当に夫婦ふたりで話しあわなければ」という事柄も多々あるだろう。それを聞かないのは夫が悪い。
でも、仕事から帰って来るなり、子供同士の些細なケンカやクラスの問題、先生の悪口、近所の噂話などを始められたら、どんなに優しいダンナ様でも家に帰ってくるのが億劫になってしまう。
日本の夫たちが家庭のイヤなこととして一位にあげるのは「仕事から疲れて帰ってきて、妻に『今日あったこと』を延々話されること」なのだ。
「夫はいつも私の話を聞いてくれない」と嘆く前に、その会話の内容を見直してみてはどうだろう。
今日のこまごましたトラブルはママ友とのメールで発散して、夫や本当に話したいことを考えてみよう。同じ「今日あったこと」でも、子供の成長や新たにできるようになったことを報告するなら会話もはずむ。
「今日あったこと」以外に何か話すことが見つからなければ、夫の話に耳を傾ければいい。いつもは「お前に仕事の話をしても仕方ない」と強がっているご主人でも、あなたが聞き役にまわってくれたら、意外と話したいことがたくさんあるかもしれない。
本当の意味の会話とは「その人とでなければ話せないことを話す」ということ。
誰にでも話せる噂話やおしゃべりを夫にぶつけず、夫婦でなければ話せないことを話そう。夫でなければ話せない、ふたりでなければ楽しめない、そんな会話をするように心がけよう。
それが「夫ときちんと向き合う」ことにつながっていく。まず妻であるあなたが変われば、夫も必ず変わってくるはず。
大事なことはとことん話しあう
そしてあなたが「これから夫と話しあうべきだ」と思ったことはとことん、納得いくので話し合うこと。
あなたの夫が「子供のことはきみがいちばんよくわかっているだろう」とか、「家のことはお前に任せているんだから」なんて逃げようとしたら、妻として断固、抗議すべきだ。話し合わないでお互い責任を押し付け合うのが一番よくない。
だって、家庭を守ることや子供を育てることは「主婦の仕事」ではなく「夫婦の一大事業」なのだから。
受験の問題、いじめや非行、学校崩壊、インターネットトラブルなど、子供の教育現場では深刻なテーマが次々と出てくる。身近な福祉の問題でも、お年寄りの介護を自宅で行うのか、施設にまかせるかといった判断もあるだろう。
たとえばニュースでしょっちゅう取り上げられている。「子供に携帯電話を持たせるかどうか」という議題をひとつとっても、その決断はひとりではなかなかむずかしいものだ。
そんなときは夫婦で話し合い、徹底的に考えることが大切だ。責任を人や社会や時代に押し付けない。夫婦で話し合って、「わが家の方針」をしっかり定めておけば、いざというときも困らない。
夫との話し合いをする上で気を付けたいのは、仕事に行く前のあわただしいときや、仕事で疲れ果てて帰ってきたときなどは避けること。
「仕事の前もあともダメ? 休みの日は子供がいて話す時間なんてないし、じゃあ一体いつ話せばいいの?」と思うかもしれない。でも、話し合う時間はつくろうと思えば必ず作れるもの。
いくら夫婦でも、一緒に住んでいるからいつでも会えると思ってはいけない。夫にも、ちゃんとアポイントをとること。
「今度の週末、ちょっといろいろ話したいんだけど、あなたはいつがいい?」とまず夫のスケジュールを押さえよう。
休日が子供との時間や外出で終わってしまうのなら、ときにはどちらかのお母さんに孫を預けて、ふたりで食事に行くのもよし。交代でお友達の家に行かせてもらって、その時間カフェでデートするのもよし。
夫婦の時間はお互いに「つくろうとしてつくる」ことが大切。恋人同士のときは毎週、そうやって時間をつくって会っていたのだから。
夫をほめて伸ばす
「子供はほめて伸ばそう」とよくいうが、夫こそ「ほめて伸ばす」のが主婦の知恵だと思う。
最近は料理自慢のダンナ様や家事を喜んで手伝ってくれるご主人も多いが、ごく一般的な夫の本音は「家ではできれば何もしないでゴロゴロしていたい」だろう。
そんな夫に「ゴミ出しはあなたの仕事でしょ!」なんて役割分担を強いたり、「私は全部やっているんだからそれぐらいやってよ!」などと命令したり、「休みの日ぐらい子供たちと遊んだらどうなの!?」なんて、強制したりしてもうまくいかない。
あなたにうるさく言われるのがいやで、ご主人が休日家に寄りつかなくなってしまったら大変。かといって、ゴロゴロしている夫を横目に見てイライラしながら猛然とひとりで家事をこなすなんてひどいストレスだ。
あなたの夫が家事を協力的でないなら、今日から「夫をほめて伸ばす」作戦をはじめよう。
まず、ダラダラしている夫を何と顔たてて、なだめすかして家事を手伝わせたら、たとえヘタでも「すごい! 上手、あなた、そんなこともできるのね」と、とにかくほめちぎる。
しぶしぶ作ってくれた料理がさんざんな出来でも、「おいしい! あなたって意外と料理の才能があるんじゃない?」と、絶賛してみる。
壊れた棚を不器用に直してくれたら、「私の力じゃうまくいかないけど、やっぱり男の人って違うのね」と、おだてる。
お風呂掃除をしてもらったら、「わあ、ピッカピカ! 私だったらそんなきれいにできない、ありがとう!」と、大喜びする。
少々わざとらしいかな、と思うくらいでちょうどいい。いくら誉めてもほめ過ぎるということはない。あなたに誉められたら、顔には出さなくてもご主人はきっと嬉しいはず。
男性は、外でなかなか誉めてもらう機会がないから、家でいっぱい誉めてもらえると思うとどんどん手伝ってくれて、いつしか本当の料理上手になってくれたりする。男性のこんなシンプルなところを生かして、家庭での夫をどんどん伸ばしていこう。
わたしの友人はこの方法で「十二月の大掃除はダンナの仕事」というところまできた。以前、そのお掃除ぶりを拝見させてもらったが、これがプロ並みでびっくり。
料理でも掃除でも、洗濯やアイロンかけでも、男の人は凝り性だから、やり始めると道具にこだわったり、プロ仕様の材料をそろえたりする。女の私たちはとてもかなわない。
結婚前からこの方法で彼氏をほめて育てておくと、結婚後も家事や子育てに協力的な夫が出来上がるのである。
夫の出番を奪っていない?
うちのリビングルームの照明は、電球を取り替えるのがとても難しい。デザインが気に入って、使い勝手も何も考えずに選んでしまったのがいけなかった。
一応、ひとりでも替えられるように説明書を読んだし、天井まで手が届く脚立も手に入れた。でも、結局まだこの電球をひとりで替えたことは一度もない。もし男手がなくなったら、ひとりでがんばらなくちゃいけないんだとドキドキしながら、今のところ彼や男友達に感謝する日々である。
そんな難解なものでもなくても、高いところの電球を替えるのは「男の仕事」である。「電球なんて私だって替えられるわよ」と思うかもしれないが、やっぱり男にまかせたほうがいい仕事なのだ。
ほかにもテレビの接続などの電気系統、パソコン関係のトラブル解決、害虫の退治、重い物を持ったり家具を運んだりする力仕事も、真っ先に男性に頼るべきこと。たとえあなたのほうが早く上手くできたとしても、夫に頼むのが主婦の心得。
なぜならそれが、家の中での「夫の出番」をつくってあげることになるからだ。
主婦だから、母親だから、何でもできなくちゃ、なんて思い過ぎていないだろうか。大抵のことはひとりでできるというのは男女問わず素晴らしいことだが、そんなあなたの長所が図らずも夫の出番を奪っている可能性もあるのだ。
忙しい夫に、いちいちそんな家の中のことを頼んだら悪いかな、なんて思わず、どんどんお願いしよう。恋愛中の若い女の子みたいに「できなぁい」とカワイコぶって男の気を引くのとは違う。もうあなたには喜んで出番を待っている夫がいるのだから。
「子供部屋の電球が切れたから早く帰ってきて」もらったっていい。「ジャムのびんの蓋が開かないから早く起きて」もらったっていい。「ベランダにセミの死骸があるから始末をしてきて」もらったっていい。そして、やってくれたら「ありがとう!」と笑顔で言おう。
あなたの願いに迷惑そうな顔をしながらも、ご主人は家の中に「自分の出番」があることに満足するはずだ。些細なことだが、それがいつまでも「夫が男でいること」につながる。
もちろん、ひとりでは何もできず何から何まで男性に頼る関係でいいといっているわけではない。あなたも日曜大工や運転が得意で、ご主人も料理や掃除が得意。お互い、ひとりで何でもできるふたりが気持ちよく暮らす方法としても、こんなコミュニケーションはかなり有効だと思う。
留守中に部屋の家具を動かして模様替えすませてしまったとき、帰って来たご主人がちょっと寂しそうにしていることはないだろうか?
いくつになっても妻の可愛げがなくなってはいけない。強くなりすぎて威張ってはいけない。妻はいつまでも夫に頼ることを忘れてはいけないのだ。
夫が偉くなっても、自分まで偉くならない
この間、「私、トロフィーワイフになりたいんです」なんて言っている若い女の子がいた。どうやら彼女は「熟年のお金持ち男性の若くて美しい奥さん」というような意味で言ったらしいが、本来そんないい意味合いの言葉はない。
ご存知だと思うが、トロフィーワイフとは金や地位、名誉を手に入れた成功者が、長年苦楽をともにした妻を捨てて再婚する若くて美しい奥さんのこと。だから「あの人の奥さんって典型的なトロフィーワイフよね」と言われたら嫉妬や軽蔑が入り混じった陰口ということになる。
富や権力の象徴として「若くて美しい彼女や妻を連れ歩きたい」という男性の願望もさることながら、女性たちの「成功する彼氏を持ちたい」という願望も相当なものだと思う。
そして、夫の成功や出世にともなって、奥さんもどんどん「えらく」なっていってしまう。自分も一緒になって部下をアゴで使ったり、見下した態度で人に接したり、急に金遣いが荒くなったり、生活レベルを引き上げたりする。
「富裕層のことなんて関係ないわ」なんて思わないで、あなたの中にもそんな願望がないかどうか、ちょっと考えてみてほしい。
夫が部長になった、夫の事業が成功して収入が増えた、夫の地位や名声を得たなど、夫の出世にはもちろん、妻の功績も含まれるだろう。
けれど、夫が偉くなったからといって、自分まで偉くなったような気持ちになってはいけない、ということなのだ。これも、父がよく母に言っていた言葉だ。
それも、貧しいときから二人三脚で夫と支え合って来た結果、巨万の富をつかんだというならまだ頷けるが、そういう本物の奥様は決して尊大な態度はとらないものだ。
お金持ちの男性と結婚したとたんに、自分も偉そうにふるまう女性も多い。恋愛中から「女友達に自慢できる条件のいい彼氏」を持っただけで得意げに上を向いて歩く女性もいる。夫の功績をまるで自分の手柄のように自慢する女性もいる。
そういうふるまいは端から見ると物凄く恥ずかしい。ああいうふうにだけはなりたくないと常々思うが、この感情のどこかに羨望の気持ちが交じっているのだろうか。
とにかくお金持ちは経費をいっぱい使わなきゃいけないとか、わたしには理解不能な事情はあるのだろうが、「主人が社長なのに私がタクシーに乗るわけにはいかないわ」などと、短距離なのにわざわざハイヤーを呼ぶような奥さんはやっぱり格好が悪いと思う。
彼や夫を陰ながら支え、それで成功したらふたりで喜びを分かち合う。夫の出世を謙虚に受け止め。そんなときこそ地に足をつける。それが妻の役割であり、母として子供の手本になるのではないだろうか。
夫を自分の言いなりにしてはいけない
ある年、娘の小学校の運動会が土曜日、日曜日とともに雨天順延になった。何回も人数分のお弁当の材料を揃え、早起きして支度しながら学校からの連絡を待つのはなかなかきつい。
毎年、「今年は一回ですんでほしいよね~」というのが、お母さんたちの挨拶がわりの言葉になっていたが、その願いもむなしく運動会は最終候補日まで延び、開催が平日の火曜日になってしまった。
わたしの友人や母は残念ながら仕事の都合でこられなくなり、これはきっと、お父さんたちの出席率も悪くなるんだなあと、と思っていた。
ところが、わたしの予想は見事にはずれた。当日の校庭は朝からビデオカメラを片手に子供の競技を見守るお父さんたちでいっぱい。もちろん、土日休みでない仕事もあるだろうが、会社勤めの方は大抵土日休みが基本だろう。
雨天順延を見越して最初から有休をとっていたのだろうか。それとも火曜日開催がわかってから大慌てで休暇願いを出したのだろうか。それとも当日になってからこわごわ会社に休む連絡を入れたのだろうか。
いずれにしろ、働き盛りのお父さんたちが簡単に平日に休みをとれるとは思えない。となると相当努力をして、お父さんたちは「火曜日の運動会」「に参加しているのだろう。
もちろん、そうまでしても子供の晴れ姿をみたいから、というお父さんも多いだろうが、いかにもつまらなそうにビデオを撮り続けている姿をみていると、どうも内情はそれだけではないような気がする。
子供の運動会や学芸会に”皆勤賞”というお父さんが多いのを見ると、家の中で「お母さん」がいかに強いかがうかがえる。この中にも「まさか来られないなんて言うんじゃないでしょうね?」「じゃあ誰がビデオ撮るっていうの!?」なんて奥さんに怒られて参加している人がいるんじゃないかなあ‥‥なんて思うとちょっと切ない気持ちになった。
あなたのご主人がとてもやさしい人で、あなたの言う事を何でも聞いてくれたとしても、「夫を言いなりにする妻」にだけはならないほうがいい。もともと恋愛中から、男性を言いなりにしていい気になっているとロクなことはない。
牙は隠していても、やっぱり男は男。女にはかなわない部分がたくさんあるのだから。
父親の存在は、子育てのここぞというときに力を発揮する。あなただけではどうにも手に負えなくなったとき、ビシッと叱って子供の道を正すことができるのは父親だけなのだ。
たとえあなたが間違ったことや理不尽なことは何ひとつ言ってもなくても、何から何までで指図しているうちに、夫は少しずつ自信をなくしていく。長年にわたって夫をいいなりにすることで、子供の父親に対する敬意もなくなってしまう。これでは「ここぞというとき」がきても手も足も出ない。
夫を言いなりにすることは結果的に自分の首を絞めることになる。結局あなたがソンをすることになるのだということを忘れてはならないでおこう。
夫のためにお洒落をしよう
突然だが、「あなたの夫好みの服」とは、どんな服だろうか?
この質問に即答できるようだったら、あなたは文句なしの幸せな主婦ではないだろうか。
逆に「夫好みの服なんてぜんぜん思いつかない」というなら。もう一度ご主人とつきあいはじめたころを思い出してほしい。
結婚前、毎週デートに出かけていたときは、あなたも「彼好みの服」がちゃんとわかっていたはず。かれはスカートが好きだから今日はこれにしよう、前にピンクが似合うと言ってくれてたからあれにしよう、などと、彼の好みに合わせながらお洒落を楽しんでいたはずだ。
ところが今の、夫がどんな服が好かかもわからないのではいけない。「だって私の服のことなんか何も言ってくれないもの」「私が何を着ているかなんて見ていないんじゃないかしら」と不平を言う前に、長い間、夫に向けておしゃれをしていなかったことをちょっと反省してみよう。
思えば、結婚してからというもの、おしゃれするといえば女友達とのディナーや同窓会など、夫の目を意識しない場合が多かったのではないか。そして無意識のうちに「男性の目」よりも「同性の目」を意識したファッションばかりしていないだろうか。これにはご主人も密かにつまらないと思っているかもしれない。
欧米風に、会社のパーティに夫婦そろって出席する機会も少ない日本では、なかなか夫婦でフォーマルな装いで出かけるチャンスがないのは仕方ない。でもチャンスがないなら作ればいいのである。
同性向けのコーディネートばかりしないで、ときには夫のために夫好みのおしゃれをしよう。男性のファッションの好みはそう簡単に変わらないから、恋人時代の彼の好みを思い出してみれば参考になる。
ただ、夫が昔、ミニスカートが好きだったからといって、それをそのまま取り入れるわけにもいかない。夫好みのテイストを残した今のあなたに似合う服を選ぶ。夫がショッキングピンクを好きだったのなら、ワンピースではなく差し色に使う。
女性向けのファッションは、ブランドや流行が影響するからお金もかかるが、ブランドも流行もよくわからない男性向けのおしゃれなら、ワンシーズン前のものでもツーシーズン前のものでもぜんぜんかまわない。
彼らにはその服があなたに似合っていて、あなたがきれいにかわいらしく見えるかどうかしかわからないのだから。
口ベタでシャイな日本の男性たちは、「その服を着たきみは、いつもの何倍もきれいだよ」なんて欧米人みたいなことは言ってくれないけど、ふだんのあなたとは違う雰囲気にきっと内心、ドキッとしているはず。
「なんだよ、急にそんな気合い入れちゃって。熱でもあんのか?」なんて憎まれ口をたたくかもしれない。でもそんなことでめげてはダメ。
「夫婦で出かける時は、思い切っておしゃれをすることにしたの」とさらりと言って、ニッコリ笑おう。
それでも、どうしてもあなたが「夫のためになんておしゃれなんかしたくない!」というのなら、頭の中に「夫以外の男」を思い浮かべててもかまわない。
とにかく同性に向けてではなく、男性向けのおしゃれをすることが大事。それが結果的にご主人をハッとさせることにつながればいいのである。
夫が変わる魔法の言葉
「私ばかりおしゃれしたって、ダンナの私服があれじゃあね?」という声が聞こえてきそうだ。
仕事のときはスーツをパリッと着こなしていても、プライベートはゴルフウェアかジャージのみ、という夫に不満を抱えている主婦も多い。
「ダメよ、うちの夫なんてファッションセンスがないんだもん」と言うが、あなたの夫は本当にファッションに興味がないのだろうか?
独身のころは、センスがないならないなりに、あなたとのデートに精一杯かっこよくキメて来たのではなかったか。
もともとファッションに興味がないわけでも、買い物が嫌いなわけでもなかったのに、結婚を機に、自分の服装をはじめ、自分のプライベート全体がどうでもよくなってしまう。そんな男性を女性以上に多い。
自分が稼いでいるお金なのに、「自分のものなんて買う金があるなら、子供たちに必要なものを買ったり、家族で旅行を楽しんだりするために使った方がいい」と考えるご主人たちは本当に多いのだ。
それなら、以前テレビでよく見かけた「亭主改造計画」のように、あなたが選んだファッショナブルなカジュアル服一式、夫にプレゼントすればそれで解決するかというと、そんなこともない。
あのやり方ではただ「着せられている」だけで、男性の意識が何も変わっていない。だから「亭主改造計画・その後」を確認したわけではないけれど、きっと数日後には、いつものTシャツとジャージに戻ってしまっていると思う。
一回こっきりの「変身」ではなく、本当にあなたのご主人にかっこよくなってほしいのなら、彼の意識そのものを変革させなくてはならない。
ここでわたしの知人の女性が実際に使って効果バッグンだったセリフを紹介しょう。彼女はこう言ってご主人を買い物に連れ出したそうだ。
「私のために、変わって。もう一度惚れ直したいの」
まさに「夫が変わる魔法の言葉」ではないか。夫たちは悪い気がしないどころか、こんなかわいいことを言う奥さんに惚れ直してしまうのではないか。
「あなたのため」と言うからカチンとくる。「あなたのため」というのは子育ての中でも気をつけなくてはならないワードだが、実は相手をコントロールしようとする言葉だ。
わたしも娘に「あなたのためだから言っているのよ」と言いつつ、めぐりめぐって「自分のため」に言っていることに気づいて反省することがよくある。
「あなたのためよ」と言っても夫は変わらない。でも「私のため」とお願いすれば、いくら面倒くさがり屋の夫も重い腰を上げてくれるのだ。
セックスレスにならないために
あまり大っぴらに言うことでもないが、夫婦が仲良くいられるために重要なのは「セックスレスにならいこと」だと思う。
欧米の夫婦は十年以上連れ添っていても「週に二三回」男女の営みがあると統計で出ているから比較にならないが、それにしても日本の夫婦はセックスを大事にしていない。
まだ恋愛中、別々に暮らしているときは「一緒に住んだらいつでもエッチできるんだなあ」なんて夢見ていた彼氏たちも、実際結婚するとだんだんトーンダウンしてしまう。
そして出産を境にめっきりセックスの回数が減り、「あっても半年に一回」とか、「もう一年以上していない」とか、「下の子が生まれてから一回もしていない」とか、「今さら恥ずかしくてできない」なんていう声もよく耳にする。
この手の話を聞くたびに、わたしは「せっかく好きで一緒になった相手がひとつ屋根の下に暮らしているのに、なんともったいない!」と思ってしまう。ほかの部分でどんなに満たされていても、セックスレスでは心身ともに幸せな主婦にはなれないのではないだろうか。
もちろん夫婦の愛情表現にはいろいろな形があるだろうが、妻が「女性として」愛されていることをいちばん実感できるのはセックスだ。それをないがしろにしているから、主婦は夫に愛されている自信をなくしてしまうのだ。
夫の方も、自分がまだ「男」であることを確認する貴重な場を失ってしまうことになる。それが人によっては浮気に結びつき、ゆくゆくは家庭崩壊らつながる事だってあるのだ。
まだセックスレスになっていない人も、夫とのラブライフを取り戻すためにいろいろな工夫をしていくべきだ。
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誰にも見られたくない下着は今すぐ捨ててしまおう
セックスレスを予防するにはまず、家での食事の内容を見直すこと。
「どうしてセックスのことなのに食事?」と思うかもしれないが、独身時代のデートならいきなりセックスするなんてことはない。かならずディナーから始まっていたはずだ。
何も、スタミナをつけるための特別な献立にしようとしているのではない。セックスレス防止メニューのポイントは、「毎日夫の好きなものを一品作る」こと。
毎日というのが大変なら、夫が今日はかならず早く帰って来るという日だけでもいい。子育ての忙しい時期、ついつい子供の好きなものばかりつくってあげることになるからだ。しまいがちだが、子供には出さなくていい、夫の好物を用意しよう。
子供には食べられない、ピリ辛のきんぴらごぼうや酒蒸にした魚介類、香味野菜をたくさん添えた冷奴などが自分の席にだけ添えられていたら、夫は昔ながらの男の沽券(こけん)を取り戻す。自然と夫が早く帰ってくる日も増えるはずだ。
そしてもうひとつは、「誰にも見られたくない下着は今すぐ捨てる」こと。
自由恋愛の独身時代の女性たちは、エッチの予感のあるデートにだけとっておきの「勝負下着」を身につける。そして、誰にも会わない休日は「誰にも見せられない下着」で過ごしているかもしれない。
でも、結婚しているあなたはどうだろう。気合を入れた勝負下着が必要なくなったかわりに、毎日「いつ見られるかわからない」下着が必要なのだ。ともに暮らしている夫婦だからこそ、下着姿をいつどんなタイミングで見られるかわからない。
何かの拍子にちらっと見えた妻の下着が、実用重視のベージュのオバサン下着では、セックスレスも仕方ない。
今すぐクローゼットの引き出しを整理して、「これは絶対に誰にも見られたくない!」と思うよれよれのショーツや型崩れしたブラジャー、肩ひもの伸び切ったキャミソールなどは思い切って捨ててしまおう。
そのかわりに。「いつ見れてもいい」下着を買いに行こう。決して高価なものは必要ないから、ブラとショーツが上下お揃いで、あなたのボディをなるべく美しく見せてくれる可愛い下着を揃えよう。
いくら便利でも、実用的な黒やベージュの下着ばかりではダメ。できればあなたの気分が華やかになり「ちょっと見せたくなる」ような、ピンク系や赤など暖色系のランジェリーがおすすめ。
そして最後は「あなたの体型を愛する」こ
たとえあなたの体重が結婚前より五キロも増えてしまっていても、「痩せなくちゃ恥ずかしくてエッチなんかできない」なんて思う必要はない。たしかに自分のベストの体型をなるべく維持することは女の理想かもしれないが、誰もがそんな完璧に自己管理できるわけではない。
大事なのはあなた自身が今の体重の自分を認め、愛してあげることだ。もちろん何事も投げ出してしまったら終わりだが、日々あちこちの贅肉が重力に負けていくのも仕方ない。
「瘦せてきれいになったら」ではなく、「今の精一杯のきれい」でいい。あなたが自分の体型を愛してあげれば、それは必ず夫にも伝わる。
それに実は、スーパーモデルみたいなスタイルの女性とセックスしたい男はそんなにいない。ちょっと胸やお尻が垂れていたり、脇腹や背中に少々贅肉がついていたり、二の腕がたぷたぷしているくらいがちょうどいい、と思う男性の方がずっと多いのだ。
とにかく女性は完璧でなくてはダメと決めつけるものだが、男の採点はもっと甘い。
「ちょっとだらしないくらいのほうがセクシー」という人がいっぱいいるのだ。
夫とのセックスが充実したものになれば、自然とあなたの体型はベストに近づいていくのだから。
あなたが思っているより、夫はあなたを愛している
あなたの夫は欧米人の男性のように、いつも「愛しているよ」なんて言ってくれないかもしれない。「好きだよ」「かわいいね」「大切だよ」なんて言葉を聞いたのも、もうずっと前のような気がするかもしれない。
それでも、あなたの夫はあなたのことを深く愛している。言葉はなくても、夫は必ずあなたを大切に思っている。たとえ、外に愛人がいたとしても。
外にどんなに恋焦がれる女性がいたとしても、夫はあなたを誰よりも大切に思っているのだ。
「そんなの、私がいなきゃ家事や子育てをやってくれる人がいなくて困るからでしょ!?」と思うかもしれないが、夫があなたを大切に思う理由は決してそれだけではない。
心の底から「妻さえいなければ‥‥」「結婚なんてしなきゃよかった」と思っている男性は滅多にいないのだ。
その証拠に、不倫関係でどんなに深い恋に落ちても、実際離婚に踏み切る男性は非常に少ない。ときに離婚にいたるケースがあっても、それは男性の本意ではなく、関係が妻にバレてしまい仕方なく応じるという形が多い。そしてその新しい相手ともまた、うまくいかなくなってしまうというのが典型的なパターンだ。
十数年前、わたしは不倫の恋のテーマにした『愛人の掟』というエッセイを出版していたので、読者の声や手紙を通してその現実をイヤというほど見てきた。
独身女性と既婚男性との恋愛において、愛人側の立場から見ると「妻の座」というのは遥か高みに燦然(さんぜん)と輝く、たったひとつの憧れの場所なのだ。
たくさんの女性たちが手を伸ばしてもなかなか届かない「妻の座」についている主婦たちが、どうしてもっと自信に満ち溢れていなのだろうと思うことがある。
主婦たちは、夫の携帯電話をドキトギしながらこっそりチェックする必要なんてないのだ。怪しいメールや背広についた長い髪の毛に、いちいち過剰反応する必要もないのだ。
夫はかならずあなたのもとに帰って来るのだから。もし、出来心で寄り道したしても、あなたと家族を失ってまで手に入れたいものなんてひとつもないのだから。
それでも夫の愛を信じられなくなったり、疑心暗鬼になったり、自分だけ家の中にひとりぼっちで取り残されたような気持ちになったりするときは、出会ったころのふたりの思い出してみよう。あなたがどれだけ愛し愛されてきたかをひとつひとつ思い返してみよう。
そして、今の夫との関係に、その蘇ってきたあなたの気持ちを反映させてみよう。
何も急に手を繋げて出かけろといっているのではない。欧米とは文化も愛情表現も違うのだから、そこだけ真似しても日本の住宅街では何となく浮いてしまうこともあるし、端から見ていてもちょっとわざとらしい「幸せアピール」に見えてしまうときもある。
あくまでも自然体でいいから、自分たちにぴったりの距離感、スキンシップ、愛情表現を見つけていくこと。それが幸せな夫婦像につながっていくのではないだろうか。
つづく
第七章 主婦業は素晴らしい職業である