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頭のなかまでゼイ肉がついている

本表紙女29歳は生き方微妙どき はらたいら =著=

ピンクバラ頭のなかまでゼイ肉がついている

そのスポーツクラブは、ビルの最上階にある。私の友人は、競泳用の海水パンツをバッグに忍ばせて、いつもと同じように一階からエレベーターに乗った。エレベーターはスポーツクラブに行く男女で込み合っていた。一番最後に乗り込んだ彼は、操作ボタンの「閉まる」を押した。

 ところがそのとき、ドアの向こうからドタバタという足音とともに「開けなさい」というヒステリックな太い声がとどろいた。羞恥心を全く感じさせない、その迫力に圧倒された彼は、無意識に「開く」のボタンに手をやっていたという。
 
 案の定、エレベーターに乗り込んできた声の持ち主は、丸々と太った中年のオバサンであった。
 エレベーターが最上階につき、ドアが開いた、するとオバサン、小走りに重い身体を揺すりながら、いの一番にスポーツクラブの受付をめざしたのである。受付で会員証を出してロッカーの鍵を受け取らないと、中に入れないシステムになっている。

 オバサンの後ろには、五、六人の列ができた。サッサとやれば、ものの一分もあればできる手続きだが、そのオバサンは自分の気に入ったロッカー以外は、使いたくないらしい。番号を指定し始めた。

 ところがあいにくの土曜日、混雑しているために、ヤバサンの指定するロッカーがあいていない。するとそのオバサンは周囲の迷惑も顧みず、モタモタとバッグから手帳を取り出し、再び「51番はないか」「じゃあ83番は」とやりだした。
 私の友人が言っていた。
「いまの若い連中は、他人の事を考えないというけれど、世の中で、もっとも無神経で自分勝手なのは、中年のオパサンだ。頭の中まで、ゼイ肉がついている」

女が化粧しなくなったとき

「少しでも美しくなりたい」という動機から化粧し始まったわけではない。あるがままの姿を人にさらけ出していると、何か不都合が起こるのではないかという心配が、化粧の生みの親であるらしい。それがいつの間にか、女の美しくなりたいという願望と結びついて、いまに至っているという考えるべきなのだ。

 ところが、女がある程度年をとって、化粧をすることを忘れはじめると、不都合が生じてくる。図々しさを前面に出して、闊歩(かっぽ)とはじめるのだ。
 あるスーパー開店の日の事であった。どこの売り場も大安売りだから、近所の主婦が殺到し、スーパーのなかはごった返ししていた。
 薬を売っているコーナーにさしかかると、いまはやりの紙おむつが山と積まれている。その前には大きな段ボールの箱が置かれ、中には紙おむつの試供品がたくさん入っている。
「ご自由に、「お持ちください」
 段ボールの箱には、そう書かれていた、もちろん、そのすぐ横には、但し書きがついている。
「おひとり様、一つ」
 そこに、三十代くらいの奥さんとその母親と思しいき二人の女性が通りかかった。その二人は「ご自由にお持ちください」と言うところだけしか目に入らなかったのか、いきなり持っていた紙袋に、紙オムツをいくつもいくつも押し込め始めた。

 そばにいた若い店員が「困ります」と小さい声で制止しても、二人は気にするでもなく、押し込む手を休めようとしない、袋が一杯になるとや、何事もなかったようにその場を去っていく。

 もちろん、その二人は化粧をしていなかった。ありのままの姿をさらけ出してしまって、だから不都合が起こった。

心とスタイルは反比例する

女心とスタイルとのあいだには、面白い関係がある。
 あえて言うならば、反比例の関係ということになるだろうか。

 結婚前の女は、腰が細くて心が広い。これに対して、結婚後の女は、腰が太くて心が狭い。
 何たる変化!
独身の乙女は、当然スタイルに気を遣うし、そのためには、あらゆる努力を惜しまないから、腰の線もスラリと美しい。
 そのうえ映画を観たり、旅行したり、いろんな人と話したりで、男を見る目も寛大である。

「私にバレなければ、浮気ぐらいしてもいい。浮気もできない男じゃね‥‥」
 なんて言葉が飛び出すほど。
 ところが、どうだ。結婚して半年、一年と過ぎていくうちに、ドデーッと家の中に居すわり出す。

 無節操な食欲と日頃の運動不足が災いして体型までがドデーッとなってくる。腰の線は太く膨れ上がり、線から面へと変化してしまうのである。

 入ってくる情報と言えば、テレビか、たまに読む週刊誌からの情報だから、どうしても世間が狭くなる。
 世間が狭くなった分だけ心も狭くなる。
 世の亭主族が、これはいかんと、あの手この手で歯止めを掛けようと思っても、その時はもう手遅れの場合が多い。
 毎日顔を合わせているだけに、徐々に進行する変化にはなかなか気がつきにくいものである。

 行きつくところまで行ってしまってから、ある日突然その変身ぶりに驚愕(きょうがく)するというパターンが多いらしい。
 ドデーッという状態を、“精神的よりどころ”というらしいが、その拠りどころを支える男はつらい。妻が地主で、夫は小作人ということになろうか。

 スポーツマンじゃなきゃイヤと言って結婚した女が、夫の運動している姿を見て。ひと言、
「保険掛けなきゃ!」

LL特大サイズが堂々と

なぜかというと、階段を昇ったり、降りたりしていると体力が多少なりとも消耗する。ちょっとでも疲れると、人間の身体は塩分が欲しくなるから、つくる料理の味が、しょっぱくなってしまうからだ。階段を駆け上がるなんてことは、最悪なわけで、健康のためのジョッキングなんてのもだめだそうである。

 したがって、名コックの条件は動かない事。だから一流ホテルのコック長は、みなさん、丸々と太っている。しかし肥満を職業病にとするのは、何も名コックだけではない。むしろ数の上で圧倒的なのは、主婦だ、中年の主婦にとってこそ、「肥満が職業病」と認定されるべきだろう。

 とにかく、ウエストを喪失してしまった女が多い。ワンピースの上からベルトでもしょうもなら、ベルトがお腹に食い込んでしまう。
 ひと昔前なら、太り過ぎと、おしゃれをしても、LLサイズの品数が少なくて、どうしても?せなくてはと思ったのに、近ごろのデパートでは、LL特大サイズが、堂々と品数も豊富に並んでいる。

 だから実際に着たときに、他人の目にどう映るのかを考えなければならない、十分に流行を取り入れたおしゃれが、体型のいかんにかかわらずできるようになってしまった。近頃はやりのエアロビクスをはじめとする色々なシェイプアップ教室をみても、ほとんどの女性が、なぜか若くてスタイルがいい。いまのままでも充分美しい体型の子ばかりだ。
 
 これでは本格的に?せる必要のあるオバサンは、とても一緒に踊れない。?せなくてもオシャレが出来るから、痩せる教室には通う必要はない。これでは中年女の職業病は解消されそうもない。

オジサンの心・オバサンの心

彼の年齢は40歳そこそこだ。見た目には、若い。ネクタイ姿であるが、スーツではなくて、白っぽいブレザーを粋に着こなしている。ヘアスタイルも少し長髪で、ラフな感じにしている。俺は若い、バリバリの編集者だと相当自信を持っていた。

 ところが私と酒を飲むほどに、その彼から腐り始めた。しきりに「僕は若いでしょう」とこちらの同意を得ようとする。よくよく話を聞いてみれば、旅行をしたとき、若い女の子に「オジサン写真撮って」と言われた。それが彼のプライドをいたく傷つけたらしい。
 「面と向かってオジサンと言われたのは生まれて初めてだ」
 腐っているのか、怒っているのか分からない状態である。しかし考えてみれば、初対面の人間に向かって、「オジサン写真撮って」とは言い方に失礼な話である。

 そこで同席していた女性の編集者が、彼を慰めるつもりでひと言。
「確かに今の若い女の子は礼儀を知らないわね、私ならオジサマ写真撮って頂けませんか、と言うわ」

 まったく女は鈍感な動物である。しかし自分の年齢や、若く見えるかどうかについては男よりもよほど女の方が敏感だし、男と全く違う感じ方をする。
 あるとき、車の中でラジオを聞いていたら、「オバサン特集」というのをやっていた。
「あなたは自分がオバサンになったと思うのは何時ですか」
 と言うような質問を、聴衆者に尋ねたのである。
「風呂上がりに鏡を見たとき」とか「裸になったとき」とか、いくつかの回答があったのだか、一番多かった回答が傑作だ。
「化粧を落としたとき」
 これは男に理解できない瞬間である。
 つづく  9――時には男の弱さを許す寛容さを