尖圭コンジローマ

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ピンバラ尖圭コンジローマ 
(せんけいコンジローマ、ラテン語: condylomata acuminata)あるいは尖圭コンジロームとは、

ヒトパピローマウイルス (HPV) の感染によって発症する性感染症。ウイルスのうち主にHPV6型と11型が原因となる。
陰茎・亀頭・陰嚢・肛門・小陰唇・大陰唇・膣内・会陰部・大腿・まれに口唇・口腔内に、乳頭状・鶏冠状の疣贅(ゆうぜい)、俗に言うイボを形成する。
視認により診断されたり、検査では採取して鑑別される。治療には、液体窒素による繰り返しの凍結や、軟膏が用いられる。大きなものにはレーザーなどが用いられることもある。予後はよいが完治するまで長期となる場合がある。

病因[編集]

HPVは100種類以上のウイルス型があるDNAウイルスで、そのうち、尖圭コンジローマの主な原因ウイルスとなるのは、主にHPV6型と11型である。

臨床像[編集]

一般に1ヶ月から2ヶ月の潜伏期間を経て、陰部に先の尖った「イボ」を形成してくる。自覚症状はなく、痛みも痒みもない。しかし最初のイボを形成してから短期間で次々と新しいイボを形成し増殖していく。

また治療しても他の部位への接触転移が多く再発を繰り返すことが多い。まれにサウナや公衆浴場などからも感染することもある。
しかし、感染しても無症状のまま、約1年ほどで自己の免疫力によって自然治癒する場合がある。すなわち必ずしもイボとして出現しない場合もあり、それがまた感染を容易に拡散させる原因でもある。潜伏期間は1か月から8か月になることがあり、感染源を特定できないこともしばしばある。

鑑別[編集]

よく、亀頭周辺にイボができ尖圭コンジローマかと悩む男性が多く居るが、その殆どはフォアダイスや真珠様陰茎小丘疹と呼ばれるものである。

フォアダイスとは大体1mm未満で大きさの比較的一定のイボが竿から亀頭のくびれまでに発症するもので、脂線の独立したものである。
 成人男性の65%に見られるウイルスとは全く関係のない生理現象である。

また真珠様陰茎小丘疹とは、陰茎の環状溝に沿って大きさの揃ったブツブツが並んでいる状態であり、これも全く無害の生理現象で、成人男性の20%に見られる。

 性交経験が無いのにぶつぶつが出来たと言う場合、殆どフォアダイスか真珠様陰茎小丘疹である。

なお、女性の膣入り口やその周辺(膣前庭部)のひだ状、あるいは、乳頭状のできもの「前庭部乳頭」を尖圭コンジローマと誤診されることがある。

 これは「妖精のひだ」ともよばれる正常変化である。

 誤診して治療されてしまうことがあるが、HPV感染による尖圭コンジローマとは全く関係がない。

小陰唇の内側などに左右対称に発生することや、乳頭が規則的で、内部に血管がみえないなどが鑑別点となる。

検査[編集]

検査は男性と女性では方法が異なる。一般に尖圭コンジローマは表皮や粘膜上皮に感染するため、体内組織に移行することはなく、血液検査等はない。
しかし、手術などを要する場合、健康状態の確認のために採血をする場合がある。

女性[編集]

最も確実な方法は組織を採取して行う病理診断である。局所麻酔をして組織を採取する。上記、前庭部乳頭と鑑別できる。尖圭コンジローマはlow riskグループのHPV感染によるため、子宮頚がんの原因であるhigh risk HPVを検出する検査(ハイブリッドキャプチャー法やクリニチップ法)では検出できない。HPV6, 11型を検出する必要があり、一般の婦人科では検査できない。

 しかし、外陰部に尖圭コンジローマのある女性では、高率に子宮頚部にもHPV感染がある (ハイリスクHPV) とされている。

男性[編集]

検査については、男性の場合も女性と同じ。男性の場合はHPV感染による陰茎の癌は非常にまれである。

治療[編集]

? 薬剤治療
1. ヨクイニン(漢方薬のハトムギ):抗腫瘍効果がある。
2. ポドフィリン液:毒性の強い樹液を精製した薬剤(組織腐食作用)
3. 5FU軟膏:抗がん剤の軟膏(DNA合成阻害作用)
4. ブレオマイシン軟膏:抗がん剤軟膏(DNA合成阻害作用)
5. ベセルナクリーム:尖圭コンジローマ治療薬
? 外科手術
1. 液体窒素凍結手術
2. 電気メス切除手術
3. 電気焼灼手術
4. レーザー光線蒸散手術
自然に治癒する場合もあるが、パートナーに感染させる危険性があり、また、再発と増減を繰り返しながら症状が長期に及ぶ場合も多いので、性病科などの医師の診断を受けたほうがよい。
これまでは、凍結療法、外科的切除、蒸散治療が主体であったが、2007年12月に持田製薬から尖圭コンジローマ治療薬としてベセルナクリームが発売された。日本初の尖圭コンジローマ治療薬「ベセルナクリーム5%」は、免疫を活性化して治療する薬であり、サイトカインの産生促進によるウイルス増殖抑制作用と細胞性免疫応答の賦活化によるウイルス感染細胞障害作用を示し、患者の持つウイルス感染防御機構を利用して、病変を消失させると考えられている。

ポドフィリン、5FU軟膏、ブレオマイシン軟膏は正常の皮膚細胞にもダメージを与え、皮膚炎・皮膚糜爛(びらん)・皮膚潰瘍などの副作用が出現する可能性がある。また、ブレオマイシン軟膏は抗生剤としての作用も持ち合わせているので、菌交代現象としてカンジダなどの真菌が増殖し、カンジダ性亀頭包皮炎やカンジダ性膣炎を併発する場合がある。

予後[編集]

一般に予後はよいが完治するまで長期となる場合がある。女性も男性も、症状がなくなり、病変が消えて半年以上再発がなければ完治と考える。次々と再発する場合には根気が必要となってくる。再発の多くは完治していないことが原因である。

 HPVはいぼの周辺の正常組織にも潜伏していることがあるからである。外科切除の場合は、やや大きめに切除する必要がある。なお、AIDS患者など免疫が抑制されている患者や免疫抑制剤を内服している患者では難治性であり、再発を繰り返す。

予防[編集]

一般にコンドームの使用による予防効果は極めて高いが、性器の周囲にもウイルスが潜伏していることがあるため、最近の疫学調査では必ずしも完全ではないとされている。よく、相手の性器を確認することが重要とされているが、無症候の潜伏期間である場合も多く不完全である。完全な予防法としては、以下があげられる。いずれもお互いに1年以上誰とも性行為を行っていないことが最低条件である。

女性

感染の可能性があるパートナーに出会ってから1年以上、そのパートナーが自分を含めて一切誰とも性行為を行っておらず、1年以上何の症状も示さなかった場合には、そのパートナーとコンドーム無しで性交しても99%感染はない。

男性

感染の可能性があるパートナーに出会ってから1年以上、そのパートナーが自分を含めて一切誰とも性行為を行っておらず、この間何の症状も示さず数か月の期間をおいて2回以上の細胞診で陰性であった場合には、そのパートナーとコンドーム無しでSEXしても99%感染は無い。

ワクチン[編集]

メルク社より尖圭コンジローマと子宮頸癌の原因ウイルスであるHPV6,11,16,18型のワクチン、商品名「GARDASIL(ガーダシル)」が開発され、2011年8月、日本国内でも承認され、接種可能となった。
さらに9月から、中1から高2生を対象が助成対象となり、原則無料接種が可能となっている。
HPVに感染していない女性を対象にした大規模臨床試験では80%近い予防効果があったと報告されている。すでにHPVに感染した人に対する治験は行われていないが、HPVを排除する効果はない。英国グラクソスミスクライン社の開発ワクチンが2009年10月に日本でも認可された。ソース元wikipedia
 つづく 子宮頸癌