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第七 しっかり稼いでさっさと辞める

本表紙 酒井あゆみ著
第七 里歌<身長・フリーサイズ>T155 B87 W57 H87 21歳
 埼玉県出身。姉1人。高校在学中に援助交際を経験。卒業後はAV女優に。姉は短大卒業後、ヘルス嬢に。友人の紹介で知り合った彼と都内で同棲中。将来一緒にアロマショップを開くのが夢。

 しっかり稼いでさっさと辞める。それで、やりたい仕事をすればいい。
 里歌(二十一歳)は、深夜二時に彼から呼び出された。神奈川の都心に近い駅。ロータリーに停めた車の中で彼は待っていた。遠くでセミが鳴いている。

 寝ても覚めても彼のことを思っている里歌は、この夜もドキドキして車の助手席に滑り込んだ。なんでこんな夜中に呼ばれたんだろう、どこに連れて行ってくれるんだろう。
 しかし、普段は明るく屈託のない彼の横顔は、曇っていた。深刻そうに見えた。
「ど、どうしたの?」
 里歌が聞いても、彼はうつむいたままだった。何分経ったのか。彼は突然、泣き出した。おいおいと声を上げた。自分の膝を何度もたたきながら、「ちくしょう、ちくしょう」と泣き続けた。里歌は慌てふためいた。何があったの? どうしたの? と何度も聞いた。

「お前、何をした? 人の気持ちを考えないのか!?」
 息をのんだ。
 ああ。バレたんだ。全身の力が抜けた。
 AV嬢をやっていた期間は四ヶ月。気がつけば二十本近い作品に出演していた。一年前には辞めていたが、家族や友達など周囲の人間には絶対に隠しておきたかった。しかし、いつかはこんな日が来るかもしれない。彼にだけは自分から話そうと思っていた。

 一つ年上の彼とは、三年前に友達の紹介で知り合った。専門学校に通う素朴な青年だ。
 バレた原因は、里歌の左腕の付け根に小さく刻まれたタトゥーだった。紫のラベンダーの花。その縁も含めてメイクでは消しきれない濃さだった。彼の友人が「あれ? 里歌ちゃんに似てる女優だなあ」とレンタル店で見つけたビデオを借り、家で見てその「印」を確認した。この話はすぐに彼に伝わった。

「彼は泣きながら『出たんでしょう?』って言うから、『出ました』って認めて、私も泣いちゃった。『ごめんね、ほんとごめんね』って。私、嘘ついたわけでないから『こんな女。振っちゃいなよ』っ言ったら、彼が『考えさせて』って」

 それから二人は里歌の家に行き、彼女の部屋に泊まることにした。両親公認の仲だった。
 布団に入っても彼は泣き続けた。彼女は初めて、自分がしたことでいかに彼を傷つけたか、そして彼の自分への思いの深さを知った。

 翌日、二人は向き合って話し合った。どちらも自然と床に正座して背筋を伸ばしていた。
「俺は、ふる気はない。隠し続けたのも辛かったと思う」
 彼は口を一度固く閉じてから言った。
「お前と最初に会ったときからの夢があるから」
 アロマテラピーのショップを一緒に開こうと約束していたのだった。
 熱いものが里歌の胸に込み上げてきた。夜中に流した涙とは別の種類のものだった。
 二年前の夏の出来事だった。

 里歌は身長一五五センチ、スリーサイズは八七(Eカップ)、五十七、八七。スリムで小さいながらも男好きする身体を持ち合わせていたストレートに近い、ゆったりとしたウェーブのかかった黒髪。小さな顔にくっきり二重のまぶたと、小作りな鼻、口が乗っかっている。女優の小田茜似の美貌の持ち主だが、AVの世界とは無縁の「地味さ」を感じさせる。

 インタビューの場所は新宿のカラオケボックスにした。私は里歌に取材の依頼をした時、彼女は承諾の返事とともに次のようなメールを送ってきていた。

「自分がAVをやったこと事が、他の人に知られることが怖いです。これからどう言うことが起きるのか、正直ビビッてる私が居て、先輩である酒井さんに活を入れていただけたら嬉しいです」

 取材場所に里歌はおずおずと現れた。
「らしくないよね。AVに出たなんて見えないよ」と、私が言うと、
「撮影現場に行っても、初めてのスタッフの人たちは『君、メイクさん?』とか言われちゃうんです。女優には見えないみたい」
 ぎこちない笑みを返した。
 インタビューを受けるのは、これが初めてという里歌。言葉を選びながら時折、しばらく考え込んだ後、話していく。

 もどかしかった。つい、こちらから「○○なんでしょ?」と水を向けて、里歌が「うん」とか「違うなあ」‥‥と答えるパターンが続いた。

「地元は埼玉の田舎なんだけど、大宮とか大きな街でキャバ嬢やりたかったんですよ。でも、友だちの先輩に水商売や風俗に関わってる人がいて、『早くお金が欲しいんだったらAVやんなよ』って言われて。で、高校卒業したら、すぐにAVの事務所に行ったんです」

 しかしこの時、既に別の就職先が決まっていた。憧れのアロマショップだ。AVを紹介してくれた人は「働きながら出来るから」と言っていた。ところが、事務所に行って「就職が決まっている」と里歌が言うと、面接の担当者の顔が曇った。

「企画単体でって言われて。私、やるんだったら単体でやりたかったから」

 将来、彼と開業するための経験にと入ったショップを、里歌は一ヶ月で辞めてしまう。企画単体とは、エキストラ扱いの企画女優と主演を張る単体女優の中間的な立場の女優のこと。売れなければ、同じ裸になっても「その他大勢」の一人で終わることも多い。一方、単体は最初からきちんと自分の芸名を用いてって、売れれば何本も初演作を出し続ける。ギャラも扱いも、前者に比べ後者は格段に高い。里歌の希望通り、単体での仕事が始まった。

 AV初体験の撮影場所はホテルだった。
 カメラマンとアシスタント、そして「カッコよくないオジサン」男優が部屋で待っていた。里歌は、生まれて初めてカメラの前で服を脱がされた。カラミ(本番)を一回含めた撮影は朝から夕方まで続いた。

「ああ、こんなものかーって感じ。抵抗はなかったですね。AVってあんまり見たことなかったけど、紹介してくれた人とかから、何をどうするのは聞いていたし」

 あどけない顔して、さらりと言った。初の日給は十五万円。二十歳を超えて間もない女性の手取りとしては破格だろう。しかも里歌のように、初回からためらいもなく女優として現場で振る舞えたのだから、おいしい仕事には違いない。

 私は、おずおずとした態度とは裏腹のその度胸に疑問を感じた、ふと思い立って、里歌に援助交際の経験を聞くと即答だった。

「あります。高校一年の時とか‥‥。エンコーやっていた友達がいて、話も聞いていたんです。でもエンコーしたの、二回だけです。学校が終わった後、コンビニで夜十時までバイトしていましたから」

 そのバイトの時給は八百円。いちにちひ五時間働いて四千円、土日にプラス何時間かやったとしても、AVの日給に届くには一ヶ月以上かかる。

「エンコーを初めてした時? 抵抗はなかったんですねー。『どうせ一回しか会わない相手だから、まーいっか』みたいな。でも、恐いニュースとか結構見ていたから、心を決めていくわけじゃないですか。だから『お金はもらわないと』って」

 初めてついた客からは五万円、二番目の客からは三万円を手にした。客と別れた後に、すぐメールアドレスを変えた。

 里歌は堅実な経済感覚の持ち主でもあった。エンコー、コンビニ、AVで得た収入のほとんどを貯金した。彼との将来のために。

「お金に困ったことってないんですよ。でもね、やっぱエンコーやAVで、どっかーんって稼げるお金よりも、コンビニでコツコツやってもらう給料の方が、実感がありますよね。働いたぞーっていう」

 両親は共働きで、同じ食品加工会社で事務作業と力仕事もしている。里歌は三歳年上の姉とともに大切に育てられ、「いい学校」「いい就職」をと期待されてきたらしい。
「お姉ちゃんは今、何しいるの?」
「ヘルス嬢です。最強姉妹です」
 私は思わず吹き出してしまった。
「お母さんも昔、そっち系だったとか?」
 冗談で聞いたつもりだった。しかし、
「お母さんは、元スケ番系ですね」
 里歌はニヤリと笑った。私はそれに応えるように、手を叩いて笑い転げた。彼女は笑いのセンスも抜群だ。そんな面もまた、外見から想像できないことだった。

 子供の頃から、欲しいものは何でも買ってもらった。けれども、両親が汗水たらして働く姿を見ていた幼い姉妹は、それぞれに「いい子になろう」「いい学校に入ろう」と努めて来た。

 しかし、姉は短大卒業後、折からの就職難で一般企業に入れずに風俗へ、妹は高卒でAV業界に飛び込んでしまった。

「私が小学校の高学年の時、親が『中学受験しろ』って言われてきたんです。私はバスケやってきて、近くの公立中学でも続けたかったんだけど、親はもっと上の中学に行ってほしかった。そんな時に『あ、これ、この人たちのエゴだ、プライドだ』ってお思ったんですね。お姉ちゃんへの期待は、もっときつかったと思う」

 中学は、里歌の思い通りの学校に入ったが、親の要求は高校受験でも続いた。

「結局、親が行けと言った学校より、少しレベルの低い私立に行って。私、バカなんですよ。そんな頭よくない。親のプライドってゆーか、自分にはできなかったことを押しつけられて。だから高卒で就職したいと言ったら、すごく嫌な顔された。『アロマやりたいから』って言うと『だったら、その道でトップを目指せ』みたいな」

 両親の期待というものに触れたことがない私に、里歌の話は羨ましく思えた。

 しかし、彼女の環境で育ったなら、初めは親の言うことを聞いていて、途中からブチ切れ、我が道を行くという例は少なくないだろう。家族の関係が希薄になった今という時代なら尚更だ。

 里歌がアロマに惹かれたのは、まだ幼稚園に通う頃、海に近い神奈川の町、その幼稚園の周りには、スミレ草、タンポポ、ツツジと四季折々の花が咲いていた。

 よく先生に連れられ散歩に出掛けた時、里歌は花々に立ち止まっては、その匂いを嗅ぐのが好きだった。それ以来、いろいろなものの匂いに、つい鼻を近づけてしまうことが癖にになった。
「子供の時は、今思うと、それぞれの花に違う匂いがあるのが面白かったと。高校の時にアロマをやっている先輩にショップに連れて行ってもらって、気分を高めたり、逆に安らげたり、香りに作用があるって知ったんです。『私はこれを勉強して、将来ショップを持ちたい』って思った。人に元気になってもらったり、優しい気持ちになってもらえたらって。遣り甲斐ありそうじゃないですか」

 今、里歌は彼と一緒に都内のワンルームマンションに住み、専門学校に通おと準備中だ。彼は経営学を学び、自分はアロマセラピーを勉強して、卒業したら店を持とうと。

 しかし、そんな里歌の悩みは、やはりAV嬢だった彼女を知っている人が学校にもいるんじゃないか、という不安だ。

「怖いですよ。割り切れば『出てたよ。すごいだろ』みたいに言えるんだけど。なんか、それを言える勇気が今はないなあ」

 AVをやったことで、地元の友だちの多くは里歌から離れていったという。小さな町だから、噂が広がるのも速かった。

「人それぞれ考えが違うのは確か。『別に何も構わないよ』って子もいるけど、『うわーっ、ヒクわ―』って子もいた。新しい学校に行って、また噂が広がって、引いちゃう子が大勢出てきたら‥‥。やっぱり怖い」

 私は里歌に、AVは消耗品であり、今や特別な仕事ではないこと。自分もAV女優をしていた時、地元で大騒ぎになり、身内にも友達にも白い眼で見られたこと、そして、そうこうするうちに蔑むヤツには自由にさせておけばいい、私を食べさせてくれるわけでない人たちに何を言われても構わない、という感覚になったことを話した。実際、そういう人たちには集団で悪態をつき、そのうちそれぞれの家庭を持ち、疎遠になっていった。

「そういう風に強くなりたい」。里歌の目は少し潤んでいた。
 里歌の不安を和らげようとしたわけじゃない。自分の経験をありのまま彼女に伝えただけだ。そして、人は他人のことにかまっているヒマがある人は少ないということを言いたかっただけだ。人の噂も七十五日とはよく言ったもので、最近は時の流れが早すぎて、凶悪な殺人事件があっことすらすぐに忘れてしまう世の中だ。

 彼女の話ぶりが気になった私は、取材者という立場を忘れて思わず腹の中に抱えてきたことをそのまま吐き出してしまった。

「それって、みんなに自分をよく見せてほしいだけじゃない? 自分が注目されているのが当然だと思っていない?」
 彼女は少し考えて、ぽつりと話し始めた。
「ああ、そうかなあ‥‥。自分がどう見られているのか、すごい気になっちゃう方なのかも」
 百人中、百人によく思われることは無理だとしても、八方美人的な性格が里歌は強そうだ。AVに出ていたことを後悔しているのか。

「すごく後悔しているってことはないけど‥‥。あるかな。まだどっかにビデオや宣伝用のポスターが残っているんじゃないか? とか。でも、楽しいこともありました。撮影で房総の方へ行った時、同い歳の子たちも一緒で。ワ−ワー。キャーキャー、修学旅行みたいだった(笑)」

 里歌の舌が滑らかになっていく。
「えっと、レイプのシーンでは、お芝居と分かっていながら、異常にコーフンしちゃった(笑)。あとは、監督さんでアソコに真珠を入れている人がいて、最初はすごく驚いたけど、フェラだけしたの。優しい人だったかし。それから、カラミじゃないシーンで普通のお芝居をしたり、きれいな映像になるイメージショットを撮ってもらったときとかは、ちょっと普通の女優さん気分になれて、嬉しかったな」

 表情がほぐれきたように見えた。
 彼女はわずか四ヶ月のAV体験で得たものはなんだったのか。彼女の十倍は経験している私でも、?みかねていた。そんな短期間では、白も黒も結論めいたものは出てこないだろう。いや、期間の問題ではないのかもしれない。まして二十一歳の彼女には出しづらいだろう。とはいえ、自分がしたことを後悔だけで終わらせてほしくないという気持ちが私にはあった。それは、業界を否定だけで終わってほしくないという願望も含んでいた。

 私はお腹が空いていないかと聞いた。里歌は素直にメニューを取った。しばらくして店員がチャーハンを運んできた。緩んだ顔のまま、それを頬ばった。なぜか、私は胸を撫で下ろした。やっと取材が始まった、そういう気がした。

「年上の人と話すのが好きなんですよ。自分より人生経験が長いから、いろんな話を聞かせてもらえる。撮影現場って年上の人ばっかりだから。ああ、こういう生き方の人もいるんだな、とか学んだり、人間としてのキャバが大きくなったかもしれない。世の中には、こんな人もいるんだって」

 里歌は自分がしたことを肯定してくれる人と会いたかったのかもしれない。もしくは、自分のしたことをじっくり話す場所に来たのかもしれない。

 結婚して子供ができて、その子がAVに出たら? と尋ねた。
「ああ、私の子供なんだなあって思うでしょうね」
 少しだけ時間を置いて。里歌の頬が少し染まったのが分かった。
「私、もともとセックスが好きなんです。肌と肌が振り合う感じがいい。で、AVやっていろんな男優さんとカラんだり、いろんな場所でエッチして、こう動けばいいのか、とか、こんなテクニックもあるんだ、とか。男の人を攻められるようになったのも、AVに出たから」
 ふと、私はバレた後の彼とのセックスがどうなったのかを聞いた。

「三回まで、彼のが勃たなかったんです。無理ないですよね。他の男の人たちとエッチしてたことを知っちゃった後だから。しばらくたって。彼が『AVで何されたの?』『どういうことをしたの?』って聞いてきて、それで『俺にもやって』って(笑)。言葉攻めとかも、ですね」

 セックスの時、どうすれば男が喜ぶのか、里歌は彼女なりに学んだらしい。けれども、やはり彼とのセックスの時が一番いいと話す。
「いろんなオチンチンを見て来たけど、彼のが一番落ち着く。地元に戻ったような安心感ってゆーか、一番ノーマルだと感じるんですよ」

 逆に失ったものを聞くと、即答だった。
「地元の友だち」
 しかし、それは彼女の方から距離を置いたからと言う。バレていても、そうでなくても、里歌から連絡を取らなくなった。

「これから私の過去を知らない友達を作ればいいやって。友達だったけど、嫌なことを言う子もいたから。それに、AVやって楽しかった思い出をその世界を知らない子に潰されたくないから」

 その言葉を聞いて、私はなぜかほっとした。
 両親の期待という重荷と闘い、AVの世界に飛び込んで、楽しさと後悔の両方を抱えた。里歌にとってAVは「消したくない」過去なのだろう。彼女を悩まさせるきっかけになったタトゥーのように。彼女は、また葛藤している。学校に通い始めれば、嫌な思いをすることが、またあるかもしれない。

 けれども私には、そんな素直な葛藤を持つ彼女が羨ましかった。私はAVや風俗を散々やってきて、今それを看板にして物書きをしている。彼女と同じような葛藤を持っていたはずの私は、知人の勧めで未知の世界だった物書きの道を歩き始めた。AVや風俗を、今度は取材して世間の人に読んでもらうものを作る立場になってしまった。

「そこで働く女性たちの心理や、この業界をもっと正確に知ってほしい」
 という表向きの動機の裏側に、自分だけでなく人様の秘めるべき過去を曝け出してお金をもらって生活している自分がいる。義務感から始めた仕事だが、やはり異常なことをしているという葛藤や観念に囚われることが多々ある。

 里歌に改めて聞いてみた。これからAVをやってみたいという友達が相談に来たら。どう言うのか。

「うーん、まあ、がっつり稼いで、いつか引き返す勇気を持った方がいいよ、かな、女だったら一度は入っても見てもいいと、勝手に思っています」
 引き返す、とはどういう意味なのだろうか。

「AVを辞めて、自分が何をしたかを振り返ることかな。どうしたって後悔する部分もあると思うから。短い期間にしっかり稼いだら、さっさと辞める。それで、その人が本当にやりたい仕事をやればいいんじゃないかな」

 つまり里歌は、AVだけを職業にしない方がいい、早めに足抜けしたら、その稼ぎや経験を活かして「本業」に進め、と言いたいのだ。私はふと、数十年もの間、この業界にしがみ続けている女性たちの姿が浮かんだ。

 約三時間のインタビューが終わり、カラオケボックスの前で里歌と別れた。
 彼女は、のほほんと何も考えていないようでいて性的には大胆で、金銭感覚や人生設計はしっかりしていそうだった。彼女はまだ強さを持っている。大丈夫、歩いて行けるはず。
 そう自分にも言い聞かせ、私は新宿のネオン街を見上げた。

つづく 第八 春菜<身長・フリーサイズ>T162 B82 W56 H83 40歳
 広島県出身。兄弟なし。医師として働きながら、並行してヘルス、デートクラブを経営。夫とはテレクラで知り合う。2児の母。

 自分は医者をしてるとは言っていなかった。お客さんにも、誰にも。