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男が不倫の恋で得るもの、失うもの

本表紙 著者=亀山早苗=

ピンクバラ男が「不倫の恋」で得るもの、失うもの

うまく不倫する男とは
女性同士が線で結ばれないようにすることが最低限の男の器
不倫は、一般的には、「三角関係」と表現される。だが、不倫は本当に三角関係なのだろうか。
 配偶者、当事者、恋人を三点を線で結んで、三角形にするからもめ事が起こるのではないか。私には不倫はむしろやじろべえや天秤というイメージが強く、また、そうでなくてはならないという気もしている。やじろべえであれば、家庭ある男がまん中、そして両方の重しがそれぞれ妻と恋人、天秤であればまん中で天秤棒をかつぐのが男、そして秤にはやはり妻と恋人。

つまり、家庭ある男が独身女性とつき合おうと思ったら、それなりに両方の女性に配慮し、女性同士が線で結ばれることだけは避けなければいけないのだ。それが最低限の男の器ではないだろうか。

 もう時効だと思うから書くが、過去、私もつきあっていた男性の妻に罵(ののし)られことがある。こういうときは、お定まりのように「泥棒猫!」という言葉を、妻という人種は吐くのだなとぼんやり感じた記憶がある。若かった私は、
「罵る相手が違う」

 と心の中で思っていた。私が、嫌がる男性とつき合い始めたわけではない。ふたりの合意の下で始まったことだ。彼女がまず罵るべきは、自分の夫なのではないか。取り乱して、「子供から父親を奪わないで。あんたみたいな下品な女は見たこともない」

 と叫ぶ妻を冷ややかに眺め、同じ女として勝負せず、「子供の父親を返せ」というのは卑怯ではないか、と思った。そして私はそのことを男性に告げ、自分から去った。ああいう女性を妻にしている男に失望したのだった。

 その後、因果は巡るというか、私自身が今度はその妻と似たような立場に置かれることになる。のちに正式に結婚する相手と一緒に住んでいたころ、彼が急に、
「明日から一週間、どこかに行ってほしい」
 と言い出したのだ。理由を訊くと、学生時代、つきあっていた女性が上京してくるという。

彼女は東京の大学を卒業後、関西方面の実家に戻っていた。私もその彼女のことは多少聞いていたけど、なぜ今さら上京してくるのか、そのことがなぜ一緒に住んでいる私が出て行かなければいけないのか、わからなかった。彼は自分の邪心を正直に私に暴露してしまったようなものだ。
そのとき、私はふっと相手の女性を憎んだ。「出て行ってくれ」と言っている目の前の彼より、見たことのない女性への憎しみがわきおこったのだ。
 彼女自身は、どういうつもりで上京してくるのかわからないにもかかわらず。しかも私は相手の言いなりに出て行き、一週間、死にそうな嫉妬と苦しみ耐え、食事も喉を通らずに体を壊してしまう。それなのにその後、また彼のところへ戻ったのだ。

 その時点で、私は以前、「泥棒猫!」と叫んだ妻の気持ちを初めて理解した。彼女もまた、自分の夫を愛していたのだろう。だから夫には何も言えず、私に怒りと憎しみの矛先(ほこさき)が向いたのだ。

妻を冷ややかな目で見ていた自分が恥ずかしかった。人間は、自分の大切なものを奪われそうになったら、どんなことでもするし、どんなことにも耐える。ただ、それらを通して思ったのは、やはり三点を線で結んではいけない、ということだ。線で結んだ時点で、人は理性を失ってしまう。

ピンクバラ女ふたりが線で結ばれてしまったとき

私の友だちにも、三角形を結んでしまつたために、泥棒不倫を経験した女性がいる。
 彼女は、職場の五歳年上の男性と恋に落ちる。春に仲良くなったふたりは、夏を迎えるころには、毎日、仕事帰りに食事をし、彼女のひとり暮らしのアパートに彼が泊まるという生活になっていた。夏が終わるころ、彼がふと漏らした。
「今まで言えなかったけど、実は僕、秋に結婚するんだ」
 彼女は息が止まるほど驚いた。そんな話は聞いていない、と彼をなじった。だが、彼が言うには、それは学生時代から親同士が決めた結婚で、もう覆(くつがえ)せないという。彼の父親と彼女の父親はともに実業家で、その結婚は両家にとって大きなメリットがあるらしい。長男として彼はその結婚を蹴飛ばすことができなかった。

結婚前の彼がなぜ彼女とべったりつきあっていられたかというと、婚約者が独身時代の最後の半年で、留学したいと言い出したから。夏の終わりに彼女は留学先から帰国したのだ。
 そもそも彼は自分からあまり女性を熱烈に好きになったことがないので、結婚も親同士がいいなら受け入れようという程度の気持ちだったらしい。

「でも今は違う。こんなにきみのことが好きになってしまった。だけど立場として、結婚を断ることはできないんだ。僕が結婚してもきみへの気持ちは変わらない。このままつきあっていこう」
 彼は泣いた。彼女は、泣きたいのはこっちのほうだと思いながら呆然とするだけだった。その後、彼女は悩み悩んで、彼が結婚してからもつきあうことを了解した。

 だが、ふたりの関係は新妻にほどなく露見、妻は半狂乱になって家出した。双方の親が間に入ってなだめ、とりあえず結婚生活は続けていくことになった。彼も彼女のことが忘れられない。週に一度は定時に会社を出る日を作って、せっせと逢瀬(おうせ)を重ねていた。あるときから、彼が彼女のアパートに寄った日に限って、彼女のところに無言電話がかかってくるようになった。最初はわけがわからなかったが、よく考えると、彼が彼女の部屋を出て自宅に帰り着いたころに電話が鳴る、という法則を発見。

「これは妻から私への挑戦状だと思ったわね」
 と彼女はよく言っていた。女同士のバトルは怖い。脅えていた彼女はしだいに開き直り、ある晩、彼が彼女のアパートを出て行った瞬間、彼の自宅の電話のベルを三回鳴らして切った。するとその約一時間後、彼女の部屋の電話が三回鳴って切れた。

「私が奥さんに電話したのは、『あなたの夫はもうぬけの殻状態で、今、帰りました』という気持ち。奥さんからの電話は、『最終的に彼が帰る場所はここなのよ』という意味だと思う」
 彼女はそう分析していた。その電話のやりとりはそれからもずっと続く。私などは、そうなると彼女と妻との間に、妙な連帯意識が出てくるのではないかと思ったが、彼女にしてみれば、徹頭徹尾、ふたりの女の間には『彼を巡っての憎悪しかない』ということだった。

その恋愛は、彼の海外転勤の物理的にふたりが会えなくなるまで三年間続いたが、彼が帰った、今帰宅した、という電話のやりとりも途切れることはなかった。お互いに電話をとることはなかったし、言葉を交わしたこともなかったけれど、電話が鳴るとき、火花が散るような気がしたと彼女はのちに話していた。

女の意地のぶつかりあいだったんだろう。この例では、三角形というよりは、むしろ彼そっちのけで。女ふたりが線で結ばれてしまつたような関係である。彼自身は、女二人の間にそんなバトルが繰り広げられていたことは知らないのだから。それだけに、ふたりの女がそれぞれの立場でいかに彼を愛しているかがわかるような気もする。
つづく うまく不倫できる男は、手間を惜しまない男