心と快楽と身体のすれ違いを、どうやって埋めていくのか。たかがセックス、されどセックス、といつも思う。そして、寿命が延び、いつまでも女、いつまでも男と願っても叶えられない現実を打開し、今まで女として成熟しきれていなかった。成熟するための、男と女…セックスをめぐる五つの心理 トップ画像

第7 妻を他の男にゆだねる快感

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妻を他の男にゆだねる快感

 実は、今まで私が知り合って話を聞いたカップルの中には、パートナーが他の男性とセックスすることを認めている男性がかなり多くいた。男は女性より嫉妬深い面があると思っていた私には、非常に意外だった。

「実は、僕は自分の妻を他の男に抱かせるのが、好きなんです」
 そう告白したのは、豊田茂紀さん(四十四歳)だ。彼は三十二歳のとき、五歳年下の女性と結婚、小学生のふたりの子どもがいる。

 彼の場合は、他の男性を好きになってしまう妻を認めるのではなく、自ら、妻を他の男に抱かせるのが好きなのだ。

「もともとは、スワッピングに興味があったんです。彼女となら、そういうことも一緒にできそうだと思って付き合い始めた。ところが、彼女は、興味があったものの、実際にスワッピングパーティに行ったら、引いちゃってね。

僕、屈折していると自分でも思うけど、そこで引かずにがんがん楽しむような女性だったら、きっと付き合ってはいかなかったと思うんですよ。引いちゃうような普通の女性でありながら、彼女にはきっとそういう素質があると思ったから、いろいろ説得して、そういうパーティに誘い出した。

だけど、彼女は、あるとき、真面目な顔をして、『あなたが他の女性とするのを見たくない』と言う。僕は、自分はどちらでもいいんです。主な目的は、彼女が他の男としているところが見たいということだから。それで、スワッピングパーティはやめました」

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 手法を変えて、知り合いで素敵な男性、あるいは街で見かけたいい男に、豊田さんが声をかけるようになった。「うちの妻をだいてくれないか」と、当然のことながら、多くの男性は驚いたという。走って逃げた男もいるそうだ。

 だが、豊田さん自身が、男から見ても、何とも魅力的な人柄なのだろう、詳しく話を聞かせてほしいという男性も少なからずいた。

「そうやって、男を探してきて、妻を抱いてもらう。僕は、それを見ている。最初のうちは妻も、僕に遠慮があるから、感じても素直に表現しない。だけど、僕は感じている妻を見たいわけですよ。そのへんは、本当によく話し合いました。

愛しているからこそ、他の男に抱かれた彼女を見たい。その気持ちを、彼女がどこまでわかっているのか、今の自信はないんですが」

 豊田さんも、もちろん、嫉妬はする。だが、妻の自制心が外れるときがある。深い快感だけに酔いしれている妻の表情を見ると、嫉妬の黒い渦が、心の中で、愛しさへと変換される。

 不思議で複雑な心理だと感心していたのだが、たまたま出会った別の男性からも「パートナーが他の男性に抱かれているのを見ると、とても興奮する。パートナーへの愛情も増す」と言う話を聞いた。その男性の紹介で、同じ趣向をもつ、他の男性にも会うことができた。

 何人かの男性から、そういう話を聞いて思ったのは、同じことをしていても、彼らの心理は微妙に違うということだ。

 自分の妻や恋人が楽しんでいるのを、自分も心から「よかったね」と思える男性もいる。彼女が幸せなら、自分も幸せだから、嫉妬は感じない、というタイプだ。もうひとつのパターンは、豊田さんのように、嫉妬を愛情や自身の歓びに転換させていくタイプ。

こいう心理を抱く男性は。まさに「脳でセックスするタイプ」なのだろう。豊田さんのところは、非常に夫婦仲がいい。おしなべて、こういう、ある種の特徴あるセックスを好きなカップルは、他人が分からない部分で、結びつきが深いように感じられる。

 どうやらこれは、男性の屈折した特質なのかもしれない。女性は、自分のパートナーが他の女性とセックスしているのは見たくないはず。好きだからこそ見たくないし、万一、見てしまった場合、パートナーへの不信感が渦巻くだけだ。

 それは、もしかしたら女性の方が、相手を独占したいと思っているからだろうか‥‥。と考えているうちに、実は男性の方が、より深く相手を独占したいと願っているから、このような行為に出るのではないかと思いに至った。

 たとえパートナーが、どんなに性的テクニックにたけた男性と寝たとしても、彼女が自分のものであるということを実感したいために、彼らは嫉妬心さえ、ふたりの関係のスパイスに変えようとするのではないか。ということは、彼らにはパートナーをとてつもなく深く愛していて、「彼女がどんなことをしても、自分は受け入れることができるか」を、自ら実証したい気持ちをもっているのではないだろうか。

 独占して束縛するのも愛情の一種かもしれない。だが束縛していしまったら、相手の本当の感情は分からない。むしろパートナーが他の男性とセックスした方が、彼女の真意は白日のものにさらされる。

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パートナーがその中の誰かに恋するかもしれない。恋に落ちて自分から逃げていくリスクも、常に抱えているわけだ。

 だが、本当に自分を愛しているなら、どんな相手とセックスして、どんなに強烈な快感を得たとしても、彼女は去ってはいかないはず。最後にはいつも自分の元に戻ってくるなら、彼女を、完全に自分のものと思うことができる。さらに、自分たちのより強い絆を、実感できるのかもしれない。

 もしかしたら、彼らは女性が本来、男性より性的欲求が強くて深いことを知っていて、それを素直に認めているとも考えられる。だから自らの手ではなく、他の男に肉体を借りて、パートナーに肉体的な満足感を与えることで、彼女の性を満たそうとしているかもしれない。そして、自分自身は、そこに被虐的な歓びを見出そうとするのではないだろうか。

 いずれにしても、そういう嗜好をもつ彼らの、パートナーに対する愛情は深い。パートナーもそれを分かっているから、絆はより強まる。もちろん、その裏には想像もつかない多大なリスクもあるのだが。

「刺激」は「嫉妬」を越えられるか

 では再び翻って、女性が同じ状況に置かれたら、どう感じるのだろう。
 岡野暁美さん(二十九歳)は、三歳年上の彼のことを、とうとう理解することができず、最近、別れたばかりだという。

「三年間、つきあっていたんです。一年ほどで、お互いの間では、結婚の話も出ていた。でも、付き合い始めて二年くらい経ったとき、彼が、『他の人を交えて、エッチしてみたくない?』と、言い出したんです。

私はセックスも好きだし、好奇心も強い方だけど、そんなことは、考えてもみなかった。だから最初は驚くだけでした。彼が特に望んだのは、他のカップルと一緒にすることだったんです。つまり、スワッピングみたいなものですよね。私は思わず言いました。

『それってどういうこと? 私に飽きたからそんなことを言い出したの?』って。だけど、彼は、『きみが嫌なら、他のカップルと、お互いのセックスを見せ合うというのはどう?』って。

もう呆れるしかありませんでした。彼は、『それをしたかったからといって、僕たちの関係は変わるわけじゃない。むしろ僕は、今までよりもっと深く、きみを愛すると思う』と説得されました。『とにかく一度やってみよう、嫌なら止めてもいいから』と言われて‥‥。承諾するしかなかったんです」

 彼はもともと、そういうことに興味があったようだ。ひょっとしたら、過去につきあった女性とも、そういう経験があったのかもしれない。

 彼がセッティングして、「秘密を守れる安心なカップル」と、ホテルの部屋で待ち合わせた。「私もう緊張しっぱなし。だけど、お酒を飲みながら話してみると、そのカップルはとてもいい感じでした。なんとかく、それぞれが自分のパートナーと絡んでいるうちに、気づいたら私は彼じゃなくて、もうひとりの男性に愛撫されていたんです。

私の彼も、女性と絡んでいる。そのとき急にカッとして、『それなら私も楽しんでしまおう』と、わざわざ大きな声を出して、感じていることをアピールしたりしていました。最初の体験は、何が何だか分からないうちに終わったという感じでしたね」

 その後も彼は、同じような場をセッティングした。女性をひとりだけ連れてきたり、男性ふたりと女性をひとり連れてきたりしたこともあった。

「だけと、私は、いつも彼が別の女性とセックスしているのが、嫌いで仕方がなかった。彼は自分が他の女性としたいから、私にも他の男をあてがっているのではないかいう疑いが拭えなかったんです。

確かに慣れてくると、複数でセックスするのって、楽しくないことはない彼とふたりきりでするより刺激はあるし、意外なことに、こんな状態で自分が感じるんだという発見もありました。

男性ふたりにされたときなどは、本当に体がどうにかなってしまうほど感じて‥‥。そういうことをしても、彼が言うように、私たちの仲は変わらなかった。彼は前にも増して、私を大事にしてくれていたし・・・・」

 ふっと暁美さんが口を閉ざした。彼女の顔を見ると、何かに耐えているように眉を絞り、口をへの字に結んでいる。きれいに口紅が塗られた薄いピンクの唇が、苦し気に歪む。

 こういう趣向は、向き不向きがある。刺激を求める行為はエスカレートしていくものだから、本当に向いている、もしくはそういったことが好きな人でなければ、途中で何か決定的なことが起こるはずだ。

 私は、暁美さんの次の言葉を待つしかなかった。言いたくないことを無理に聞き出すこともないかもしれない、と思い始めたとき、彼女はようやく口を開いた。その声は震えていた。

「実は、そういうことを始めて十ヶ月くらいしたころ、私にとって、ショッキングなことがあって…‥。私たちと、もう一組のカップルで、パートナーを替えてセックスしていたんです。

私の相手の男性が途中で萎えてしまって、急に白けた気分になった、それで、見るともなく、ふたりで、自分のパートナー同士がセックスしているのを見ていたけど、私は、そんなふうには見ていられなかった。

彼が彼女の胸を愛撫してキスして…‥。私が見ていたのは、彼が私としているときより丁寧なんじゃないか、気合が入っているんじゃないか、そんなことばかり。彼の指先まで目を凝らして見つめてしまったんです。彼が挿入したとき、彼女の体がぐわっと反って‥‥。

今でも、目に焼き付いています。それまでは、お互いに誰かとセックスしていたから、彼が他の女性としているところをじっくり見る余裕はなかったんですよね。そのときは、私が手持ちぶさただったから、私の時とはどう違うのか、ただそれだけを見ていた。彼はあとから。

『きみが嫉妬の目で見ていてくれているのが、うれしかった』と言っていましたが、私には、やはりそういう感覚はよくわからない。私は、体中、痛くなるような嫉妬と闘っていたんです。本当は叫び声をあげて、その女を殴りたいような気分だったんだから・・・・」

 声は、最後まで震えたままだ。彼女の目を見たが、涙ぐんでいるわけではない。おそらく、悲しみよりももっと深い、言いようのない孤独感と嫉妬心に、当時の彼女はがんじがらめになっていたに違いない。

 十ヶ月間、彼女は彼のセックスに付き合ってみた。行くまでは気が重いが、現場に行ってみれば、彼女自身、確かに肉体的に感じることが多かった。だが、それと同じくらい、嫉妬にも苦しめられた。それは彼には言えなかったという。そして、あの決定的なできごと。

「その後すぐ彼から、正式にプロポーズされたんです。でも眠れない、食べられない状態になるほど悩んで迷って。結局、この人とは一緒になれない、という結論を出しました。

一生嫉妬しながら生きていくのは、辛すぎるから。だけど、彼には意外だったみたいです。『きみも楽しんでいるとばかり思っていたのに』と言われました」

 彼は、「僕たちの関係は何だったんだ」と、肩を落として呟いたという。「きみとなら、特別な関係で愛し合っていけると思ったのに」と涙ぐみさえしたらしい。彼女だって、嫌悪感を催しながら、彼の趣味につきあっていたわけではない。

彼女自身、彼に説得されて、実際に行ってみたら、感じもしたし興味もわいた。恋人の前で、乱れに乱れる自分に酔った瞬間もあったかもしれない。だが、それは、彼女にとって、非現実でしかなかった。

 昼間、明るい太陽の下で昨晩、自分がしたことを考えただろう。どこかがおかしい、これが恋人同士の関係といえるだろうか、と、ごく普通のセックス観をもつ女性なら思うはずだ。ましてや、恋人が他の女性とセックスしている現場を見ざるを得ないなんて、拷問に等しい、と感じただろう。

 それでもまた、かれから誘いが来る。内心、複雑な思いを抱えながらも、彼のことが好きだから受け入れる。現場に行けば。また快楽に溺れてしまう。そして、同じくらいの嫉妬心に身を斬られる。自分の快楽が深まるにつれ、嫉妬も深く厳しくなっていく。自分が引き裂かれるような気分になっていくのではないだろうか。

アイデンティティが揺らぐとき

 男の性的な快感は、ごくシンプルなものだ。女性の快感は深く、そして尾を引く。これが最高の快感だと思っていても、次にもっと淫らな彼の要求に応じたとき、より深い快感が深まると同時に、嫉妬も強まると言っているのだから、天国と地獄、両方同時に足を踏み入れてしまったようなものだ。

こういう状況では、自分のアイデンティティさえ、揺らいでしまうかもしれない。

「私、こう思ったんですよね。『自分が知らない男性とセックスして、これほど感じているのだから、彼もまた、相手の女性にこれほどの快感を与えているに違いない』『彼は、私とするより別の女性とした方が感じるんだ』と。

そう考えると、私の中で、彼との関係自体が崩壊してしまった。だって、彼とするより他の男性の方がずっと感じる、彼もそうに違いないと思ったら、精神的にも合わないのかもしれないような気がしてきて‥‥。

彼は『そうじゃない。体は他の人でも感じても、それは僕たちの関係にとって、単なる刺激に過ぎないんだよ』って言ったけど、なんだか説得力がなかった。いろんな意味で、自分たちがしていることが怖かったし。

これ以上、道を踏み外したくないという気持ちもありました。ふたりの関係にも、不安ばかり付きまとっていたから」

 彼が、彼女の複雑な揺れ動く心理を察して、もっと細かくフォローしていればよかったのかもしれない。そもそも、通常のセックスの関係だったカップルが、いきなりスワッピングやグループでのセックスをするのは無理がある。

彼自身が慣れていたとしたら、なぜもっと順序を踏んで、彼女をそういう世界に踏み入れさせなかったのだろう。女性はセックスで感じれば、どういう状況にもすぐに慣れると思っているとしたら、彼は女性心理を甘く見ているとしか言いようがない。

 こういう趣味嗜好を、ふたりの関係に取り入れていくのは、実は非常に難しい。ほんのちょっとお互いの気持ちがすれ違ったら、そしてそれを迅速に軌道修正しなかったら、破局はすぐに訪れる。彼らは危ない綱渡りをしているのかもしれない。

 特に女性の嫉妬心は、男性のそれとは違う。嫉妬がそのまま愛情に結びついてしまうから、通常のセックス以外の関係に踏み込むのなら、お互いよく話あって、その違いを納得しなければならない。そうでなければ、こうした悲劇は起こりがちだ。

どこまで一対一の関係を重視するか

 梶原美奈さんという二十三歳の女性と、ある場所で知り合った。彼女は看護師をしている。まだどこか幼さの残る女性だ。美奈さんは、同い年の彼の求めるままに、他のカップルとスワッピングをしたりするという。他の男性として、本当に楽しいと思っているのか、と聞いてみたことがある。

 美奈さんは、小さい声で呟くようにこう言った。

「私自身は、本当は他の男性とはしたくない。だけど、彼は私がしないと怒るんです。それは、彼自身が他の女性としたいから。自分だけするのは不公平だという思いがあって、私にもしろって強要する。

 彼のこと好きだけど、これでいいのかなあっていつも思っているんです。彼が他の女性とセックスしているのを見るのは、本当に嫌。彼は見ろって言うけれど、私はすごく辛いんです。

どうしてセックスみたいな大事なことを、ふたりきりでしないんだろうって、不思議に思う。もちろん、ふたりだけでするほうが多いんですけれど、でも私で満足しいるなら、他の女性としたいとは思わないはずでしょう?」

 不安そうに、一語一語、区切るようにして話す彼女が、とても痛々しく感じられる。おそらく、ふたりの関係は長くは続かないだろう。彼女は決して、その状況を楽しんでいないし、むしろ苦痛に感じている。彼の意向をくんで我慢しているだけなのだから。

 今の時代、スワッピングをしたい、複数プレイをしたいと思えば、それが可能な場所はどこにでもある。探そうと思えば、インターネットで、たちどころにできる。

かつては、そういう趣味を持った人たちは、ひっそりと同好の士を募り、人目を忍んで集うしかなかった。

自分の中にある、やむにやまれぬ思いに背を押されて、決死の思いで特定の趣味の人に向けた雑誌などを買い、そしてさらに覚悟を決めてコンタクトをとり、ようやくスワッピングパーティに出向いていったのだろう。さまざまな苦労と葛藤の果てに、自分たちの「特殊な趣向」を満たす歓びを得ていたわけだ。

だが、今ではそういう情報はいながらにして手に入る。それが「特殊な趣向」とさえ、誰も思っていない。ごく簡単に、ごくカジュアルに、他のカップルと相手を替えてセックスしたり、乱交パーティに参加したりできるのだ。

ネットでちょっと検索する気さえあれば。セックスのバリエーションが一般化し、あらゆる形態のセックスについて、ハードルが低くなったといえるだろう。

 それだけに、自身の資質を見極めないままに、単なる「遊び」としてそういった場所に出向く人が多い。体験としては悪くないだろうが、心の底に暗い何かを抱えてやむにやまれず、自分の嗜好を満たそうとする人とは、どこか違っている。

 一般論として、二十代という若い時代に自分のセックスの領域を広げ過ぎていいのか、と疑問に思う。そもそも二十代で、自分の心の底に潜んでいる。ある種の趣向に気づけるものだろうか。

 断わっておくが、私はスワッピングや乱交を好む人を、決して、「特殊」だと差別しているわけではない。一対一のセックスに満足しきれないという趣向そのものを、一般論から考えて、

便宜上「特殊な趣向」と言っているだけだ。セックスについては、本人たちの合意さえあれば、タブーはないと思っている。同性愛、SMからスカトロに至るまで、自分がするかどうは別として、偏見はないつもりだ。

 美奈さんの彼のように、「オレは他の女性とセックスしたいから、オマエも他の男としろ」と強要するのは、どこかおかしい。彼女は彼を失いたくない一心で、他の男性としているのだ。隣で彼が他の女性としているのを見て、内心、嫉妬で気が狂いそうにさえなっているのに。

 お互いに、嫉妬など無駄な感情だと割り切っているならいいだろう。あるいは、嫉妬という感情を乗り越えて、ふたりで「禁断の世界」に一緒に行こうというなら、それもいい。

だが、自分がどうしても「一対一の関係でなければ、受け入れられない」「私だけを愛してほしい、私だけ見てほしい」と思っていて、嫉妬に耐えられないなら、一度は相手にきちんとぶつけてみた方がいいと思う。

 ただし、「私だけ見てほしい」という気持ちだけが、崇高な愛情なのかというと、これもまたよく分からない。

 実際に、「複数プレイ」を好む多くのカップルに、話を聞いてみた。パートナーの女性が他の男性とセックスしているのを見ているのが大好きという男性もいれば、乱交状態から次から次へとお互いに相手を替え、最後にパートナーとすると非常に感じる、と言った男性もいる。

 恋人が他の女性としても、それが自分の目の前で「プレイ」として行われている限りは、嫉妬はしないと言い切った女性もいる。

「だって、彼が気持ちよくなれば、それはいいことだと思うから」

 と、三十代のその女性は、にっこり笑った。彼女と、そのパートナーである彼とは、非常に仲がいい。いつもお互いに、相手が望むことは何なのかと考えているという。

「複数プレイ」を好むカップルで、うまくいっている人たちは、自分たちが危うい橋を渡っているという、確固たる認識がある。お互いの思いやりを失ったら、その関係があっという間に壊れることを、わかっている。彼らには、非常に強い愛情と信頼関係にあるのだ。

 一般常識や「嫉妬」や「愛情」の概念からさえも自由になれたとき、人は、より強固な、ふたりだけの信頼関係を築ける可能性があるのだということを、私は目の当たりにした。

そこに至るまで、ふたりがどうやって心のつながりを緊密にしてきたのか、細かいことは分からない。だが、そういうカップルには、誰にも入り込めないふたりだけの世界があるような気がしてならなかった。

つづく 第8 三章 葛藤