第一章
「最後の恋」に落ちる男たち
★きっかけ
★大事にしたい思い
★誰もが抱く欠落感
★家庭での顔と男としての顔
★彼女しか見えない
★役割から逃れられない
★恋は感情を豊かにする
★楽な生き方はない
★恋にのめり込んでいく過程
第二章
悩める現代のアラフィフ世代
★男たちを取り巻く環境は激変
★妻の不機嫌が怖い男たち
★居場所を求めて
★相手の気持ちを測りかねて
★若い女性に弄ばれて…‥
★男が恋に落ちるとき
★恋の初期に、はしゃぐのは男?
第三章 恋愛感情とセックスに惑う 男たちの証言
★三十歳年下の独身女性にのめり込んで
★社内でひと目惚れ
★セックスに溺れて
★二股をかけられても別れられない
★SNSで中学の同級生と再会して
★再婚して幸せだったのに
★自分の恋心に気づいたとき
★プラトニックを貫き通して
★彼女に心が傾いた瞬間
★意外な場所で彼女に会って
第四 家庭での居場所がなくなって
★あちこちに?をつくように
★別れようと思っても別れられない
★彼女の夫によってすべてが露見
★いくら話し合っても決着がつかない
第五 四章 女たちから見た「最後の恋」と「婚外恋愛」
★アラフィフ男性と恋をする女性たち
★自分から誘い
★関係が変わるとき
★同世代妻の心理
★恋愛相手には「女」を全開
★夫婦は家族、恋愛は外で
★夫の恋愛がわかったとき
★疑惑があっても放っておく
★夫婦とは……
第六 五章「最後の恋」のゆくえと決断
★恋が終わるとき
★苦しくても耐えるしかない別れ
★自分から別れを告げて
★恋に未練を残すのは男
★離婚して再婚
★気遣い合いながらの再婚生活
★再婚したことを後悔
★未練と執着
★執着心にとりつかれて
★思い出だけで生きていける
★死んだ恋はよみがえらない
★あとがき
初めに
愛について、こうしたら愛されるとか、こうすると彼や彼女の気持ちを惹きつけられるといった、具体的な方法論があるわけじゃない。
いうまでもなく、愛は多彩で千差万別で、人それぞれによって好みも愛し方も違う。それに、たとえひとつの方法が見出されたとしても、それをみんなが一斉に使いだしたら、すべてが同じやり方になり、その方法自体、意味がなくなってしまう。
要するに、愛に決め手はないのだが、といって初めから投げ出し、諦めることもない。
たしかに、愛に絶対という方法はないが、代わりに愛について考え、想像し、学ぶことも大切である。表面のきれいごとだけでなく、男や女や愛について、その本質と実態を知れば、彼や彼女に対してもう少し素直に接し、それなりに理解し合えるのではないか。
第一章 恋して愛して
この章では、
男女の出会いから恋にはじまり、
互いに愛し合い、
ある場合は結婚まですすみ、
ある場合は不倫の関係に陥り、
さまざまな喜びと哀しみを経て、
ときには別れに至る。
その一連の流れのなかで生じる、
さまざまな問題について考察、描写された文章が集められている。
1 言葉の力
(1) 口説く
すべての恋は、まず自分の気持を正直に告げることからはじまる。なにもいわずに、相手がわかってくれるはずだと思うのは、自己中心的な怠け者にすぎない。
2 タイミング
男と女はタイミングである。行くと決めたら行くべきで、それに失敗しても、行かずに悔いるより傷は浅い。
3 恋の効用
恋すると、女は美しく、男は生き生きとしてくる。まさしく、恋はその人を内側から輝かせ、引き立たせる最良の化粧品である。
4燃えあがる愛
ともに燃え上がったとき、二人は愛の絶対を信じ、このままともに果ててもいいと思う。こんな熱い二人に、ありきたりな常識や道徳を説くのは、獣に道を説くのに似て無意味である。
5愛とエゴ
愛が深まるにつれて、エゴ(自我)も深まっていく。圧倒的な愛を成し遂げるためには、エゴイストという名の才能が必要である。
6 移ろう愛
強いと思われた愛も離れすぎると薄れるように、二人が近づきすぎても、愛は徐々に萎えていく。
7 結婚の実態
結婚することがハッピーエンドなのではない。結婚して夫婦ともに過ごすうちに。二人は確実に老い、やがて死にいたる。
その最後のとき、私は幸せだと思えたら、その結婚は初めてハッピーエンドであったと胸を張っていうことができる。
8 不倫の内側
恋の焔はまわりの条件が悪ければ悪いほど燃え上がる。
まさしく不倫はこの条件に適った煌めく焔だが、それを保つには圧倒的なエネルギーと、もっとも愛する人を愛して何が悪いという、反社会的な開き直りが必要である。
9 別れと再生
愛はいつか終りが訪れるが、といって悲しむことはない。たとえいっときでも愛したいという事実は、その人をより豊かにするし、そこから立ち直る勇気もわいてくる。
第U章 女という性
この章では、
女性の精神と?、
さらにその行動から性の内面まで、
さまざまな角度から考察し、描写された
文章が集められている。
むろん一口に女性といっても、
生きてきた背景や体験から感性までさまざまで、
同じ言葉でくくれるわけでなはない。
それは承知のうえで、
なお女性を理解するうえに
参考になると思われるものが、
中心になっている。
1 女の武器
素直さも一途さも、知性も教養も忍耐力も、泣きごとも嘘も媚態も、女の場合はすべて武器になる。だがそれもつかいようで、下手なときに打算だけで使うと、自らの卑しさをさらすだけの、自分を傷つける武器になる。
2 女体の美
若いときは誰でも美しく、それゆえに、若くて美しいことは才能ではない。だから四十から五十、さらに六十から七十と、歳を重ねてもなお美しければ、それこそまさしく、美しいという名の才能である。
3 女の未練
愛しているから未練が残る。だがその未練の裏には、憎しみが反発、復讐など、さまざまな思いが絡み合っていることを忘れるべきではない。
4 結婚願望
とやかくいっても、女は確実に身近にいて、つねに愛してくれる男に傾いていく。さらにその男が結婚という形を示したら、もはや鬼に金棒である。
5 女と仕事
仕事に有能な女性と美しくセクシイな女性とは、必ずしも一致しない。ときにそれを嘆く女性もいるが、それだけ女性の生き方は多彩で、変化に富んでいるともいえる。
6 愛人の立場
結婚はしていないが、経済的に自立して、かつ深い愛にもつつまれている。こういう女性をフランスではメトレスというが、そこには暗い影はなく、むしろ自立した女性のプライドと前向きの意欲が表れている。
7 女の妖しさ
女のからだは微妙だが、精神は必ずしも繊細とは言いかねる。むしろある面では男より逞しく、だからこそ、女は生理、妊娠、出産という大きな嵐に耐えて、生きていけるのであろう。
8 女のからだ
女性は多彩で複雑で、常に流動的である。その動きは必ずしも論理的でなく、それがまた女の魅力となって、男たちを二重に驚かせ、惑わせる。
9 強き性
最も気の強い男も、もっとも気の弱い女性に勝てないように、どんなに秀れた理論家より、ごくごく平凡な女性のほうが、はるかにラディカルで革命的である。
第V章 男という性
この章では、
男性の精神と?、
さらにその行動から性の実態まで、
さまざまな角度から考察し、描写された
文章が集められている。
女性に比べて男性はバラツキが少なく、
いわゆる型にはめやすいが、
反面、男性は意外に自らの内面をさらさず、
本音がみえにくい。
ここではその隠された心の内側に踏み込み、
男を理解するうえで参考になると思われるものが、
中心になっている。
1 少年の性
少年の股間には、自分で抑制のきかぬもう一人の男が潜んでいて、これの制御にエネルギーの大半を費やしている。
2 男の成長
性に目覚め、女性を知り、それに溺れ、自信を得ていくことが男の成長である。いいかえると、男はそれだけ性にこだわる性的ないきものである。
3 男の浮気
しかるべき経済力と自由度とチャンスがあれば、ほとんどの男は浮気する。もししない男がいれば、ごくごく稀な愛妻家か、女性に迫る勇気まではない、精神的な不能者である。
4 男の欲望
懸命に働き、地位を得て金を得る。その目的はただひとつ、女にもてて、素敵な女性を自分のものにすることで、原点を探れば、自然界のオスがしていることとなんら変わりはない。
5 男の夢
地位も権力も名声も、それぞれに夢見るが、その奥で男がさらに夢見ているのは、最愛の女性と淫らなかぎりを尽くした性の饗宴である。
6 男の本音
男は自尊心が強くプライドが高い生きもので、これを揺さぶられたときに最も反撥し、打ち砕かれてたときに最も深く落ちこむ。いいかえると、自尊心とプライドをくすぐれば、男を巧みに操ることもできる。
7 愛育する喜び
強く力のある男は、多くのお金と時間を費して、若く稚い女性を自分好みに愛育する願望を抱く。なんと馬鹿なことをと呆れる女性もいるが、女はそういう無駄なことをしないところが、男との違いでもある。
8 男の弱点
男は根は保守的で、そのくせいっときの感情に酔って見栄を張り、いい恰好をしてみせる。要するに情に脆く、泣き虫なのだが、それを見せずに強がる分だけ、心も体も疲れて弱っている。
第W章 男と女のはざま
この章では、
男と女の違い、
とくに資質や心情、行動、
さらにセックスから結婚観の違いまで、
さまざまな面から観察し、描写された
文章が集められている。
むろん男と女は共通する面は多いが、
同様に異なる面も無数にある。
この根本的な違いを
まず知ることによって、
本当の意味で男と女は理解し、
許し合えるようになる。
1 資質の違い
男は瞬発力は強いが、持続する力では女性に勝てない。待つ力も耐える力も弱いから、つい先に手を出し、最初に暴力をふるったのはあなただ、ということになり、まわりも同情し、気がつくと男はいつか女の軍門に下っている。
2 心情の違い
男は自分に酔う。自分と環境と、近視と遠視との二人では、愛について語っても意見が合わないのは無理もない。
3 行動の違い
男は短距離走者で、女はマラソンランナーである。当然のことながら、初めは男が先行するが、中盤から後半は確実に女が抜いて、ゴールでは男はかなり差をつけられて、負けている。
4 性の違い
女の?はひ弱だが、性は多彩で逞しい。かわりに男の?は頑健だが、その性は直線的でぜいじゃくである。複雑な分だけ、女の性は導く男が必要だが、気が付くと、その男は女を悦ばせるだけの奉仕者となっている。
5 エロスの違い
快楽の頂点で、女はこのまま死にたいと願い、男は射精のあとで、このまま死ぬかもしれないと怯える。
6 結婚観の違い
結婚に当たって、女は愛を優先し、男は形を優先する。いいかえると、女は好きな男性となければ結婚を続けられないが、男は多少好きでなくても、結婚と言う形は保つことができる。
7 愛の違い
男の「君が一番好き」という台詞は、他に二番や三番目も少し好きということの意味だが、女の「あなた一番好き」はほぼ一人を意味する。要するに、男の愛は比較級だが、女の愛は絶対級に近く、そのあたりが男と女の揉める原因でもあ。
8 別れの違い
女は別れるまではおおいに迷うが、一度、別れると決めたら、もはや振り返りはしない。これに反して、男は別れるとは簡単にいうが、実際は容易に別れず、ただひとつ、男が毅然と別れるときは、後任がいるときにかぎられている。
第X章 愛の万華鏡
1 セクシイ
美しい女は少なくないが、セクシイな女は少ない。同様に、姿のいい男は多いが、セクシイな男は少ない。なぜなら、美しさやハンサムは外見の問題だが、セクシイは内面から滲むものだけに、一朝一夕には成り立たないからである。
2 前戯
時間をかけて丹念に優しく愛撫する。性急で我慢のきかない男にはいささか苦手な作業だが、それが豊かなエロスへ通じる第一の扉である。
3 エクスタシイ
エクスタシイを満喫した女性と、していな女性とでは、男というものへの愛着と認識はまったく異なっている。同様に相手の女性をエクスタシイに導いたことのある男と、導いたことのない男とでは、女に対する愛着と怖れがまったく違っている。
4 後戯
情事のあと、肌と肌を触れあわせたまま燃えた余韻に浸っている。それこそまさにボディランゲージで、声に出す言葉はすべて不要である。
5 変貌
結ばれる度に悦びは深まる。このままどこまで墜ちていくのか、女は強しその深さを想像して目を閉じ、男はその怖さに怯えて目をつむる。
6 性の不思議
男女の愛は、性で結ばれた当事者の二人にしかわからない。その性の実態を知りもせず、二人の愛に介入するのは、本の知識だけで人間を知ったと思いこむ、学者の愚かさと同じである。
7 エロスの力
男女のあいだでは性愛まですすんで、初めて相手の実態が見えてくる。そこまで行かずに見える相手は、人間というより、外見だけで装われた人形にすぎない。
8 愛は不変
自然科学がこれだけ進んでいるのに、男と女は相変わらず、好きだ嫌いだと、つまらぬ痴話喧嘩をくり返している、といって嘆く人がいる。
しかしだからこそ人間なのであって、そういうところがなくなったら、単なるロボットかコンピューターにてなってしまう。
所詮、男女の愛は体験と実感でしか知り得ない一代かぎりの知恵で、それ故に千年も前もいまも変わらず、これからも大きく変わることはないだろう。
あとがき
一九九九年八月 渡辺淳一
はじめに、未来はおもうほど悪くない
五十は生き方が多様に
人生の中間点で
人生は後半がおもしろい
あれは人生の梅雨の時期
五十代は大きなステップの年代
先入観に負けてはならない
二〇一一年には、東日本大震災が
絆に感謝する、そんな時代の始まり
第一章 女五十代、人生の花道へ
○1元気を出して、シニアスタート 本の読み直しが元気をくれた
・更年期は葛藤を経て光年期へ
・歳を重ねることの美しさと幸せ
・五十代は「貯金」と「貯筋」
・「参加」と社会的つながり
・江戸時代だってシニアスタート
○2願いの貯蓄 欲求する力
・願いを実行する
○3発光する頭脳 生活の重みから発想
・加齢によって脳も進化?
○4「尊厳生」を求めて プライドを支えて
・「尊厳生」の思想
・社会への遺言
○5人生への再挑戦 高校生になりたい!
・学び始め、学び直しの時
・幸福と不幸を捩(ねじ)り合わせて
第二章 絆の発見、感謝の時
○1母を偲び、運命を思う 愛情は遺伝する
・母を愛する理由
・母親像も時代の変化を受けて
・敗戦の年に生まれた赤ちゃんが、六十五歳に!
○2母親は最後まで人生の師 困った時は助けてもらった
・「親風吹かすのよ」
○3家族が崩壊しないために 優しかった義母の他界
・認知症がすすんで
・夫はキーパーソン
○4感謝が生む家族の絆 父親と夫、二人の優しさ
・夫と母親の板挟み
・今日もまた三つの背中が
○5仕事を守り、親を守る 世代をつなぐ流れの中で
・姑は恩人
・休職の決意
・「立派なお骨です」
第三章 夫婦もまた新しい季節
○1元気を出して、シニアスタート 本の読み直しが元気をくれた
・妻も変わる!
・夫婦の十字路
・人生の意味を求めて
・亭主元気で留守番がいい
・八人の仲間あり
○2度胸の女房、ちょいとホレ直し 高い理想と過酷な計画
・修行僧のような日々
・天に恥じないように
○3純情オジジの愛妻物語 妻が先に倒れたら
・昨日まで元気だった!
・罪滅ぼしか愛情か
・待ってました! 純情オジン
・カイゴメンの時代
・愛情の尊さを
○4温泉に行って、愛を養って! もう一つの体温が…‥
・妻こそが「元気よく機嫌よく」
・これもまた夫婦のロマン
・夫のプライドを守る妻の手
・老いてこそ夫婦本番
○6妻の人間宣言 半年でプライドを捨てよ
・介護する妻への暴力
・立ち上がった妻
第四章 優しさという宝を抱いて
○1ヤンババは純情満開 初孫ちゃんがやってきた!
・「孫可愛い陣営」に陥落
・三十年前と変わっていないのか
・純情オババ、研究会を立ち上げた!
・実現するか、この提言
○2オババの道も楽じゃない 正しき? オババの知恵
・世間の常識と闘う
・みんなニコニコ
○3あのオシジジが泣いた 妻の仕事を嫌って
・オジジの涙
・「うちの人、変わったのよ」
・孫は大泣きした
○4このオジジが笑った 怒りの四十代と五十代
・奇跡が起こった!
・オジジも笑っている!
・人生の落とし物を拾う
・一人の人生を救えば
○5愛情は遺伝する? おばあさん伝説
・すばらしきは女の友情
・老いて自立する愛の深さ
・老いたればこそ冒険
○6優しさという宝を抱いて 忍耐力の持続を
・「老いの神話」に負けない
・晩節を守って
プロローグ 私のたちに訪れた、生き方 の転機
哀しみに同化するよりも、サバイバルすることを考えた
避難する自由としない自由、「自分だけが」という罪悪感
諦めと思考停止
「人間は抑圧し抜くと、抑圧に慣れる生き物」なのか?
社会を変えるチャンス到来? 上野流フェミニズムに解を求めて
第1章 3.11以前のリア充女のサバイバ ル1
民主主義と戦闘性の源は「小学生共闘
自由を得るために、体制側の論理を学ぶ
旧男類を黙らせる、技術としての「女装」パワー
武器としての文化資本
家父長制と女/上野千鶴子の場合
「女の子の居場所は助手席」のウソ
第2章3.11以前のリア充女のサバイバル 2
「女を排除する論理」を目の当たりにした会社員生活
おカネと研究、おカネと文化における「黒いネコと白いネコ」
「泥にまみれておカネを取る」というニヒリズム
クリエイティブの世界も、学歴偏重のオヤジ社会
3.11以降明らかになった、クリエイタ―誤謬の
第3章 女と女の溝、女と男の溝
「フェミでも、オシャレしていいんですか?」
エコ系フェミニスト、母性礼賛系フェミニストとの相性
「お母さん」への反発と大同小異
強制モラルを強いる、母という役割強制モラルを強いる、母という役割
閉ざされた子育ての憂鬱をタックルで吹き飛ばす
子どもかキャリアか。女の生き方を分けた百恵ちゃんと聖子ちゃん
披露宴でのパワーゲームで、オヤジの攻撃をいなす方法
フェミズムの系譜、反逆のDNAを持つ二人
第4章 女のサバイバルを阻む 病
フェミズムとネオリベの、決定的な違いとは
カッマー型のアプローチの限界
構造の問題と認識するが、フェミニズム
おカネは自由の条件ではない? おカネは自由の条件ではない?
「承認欲求」という病
ルサンチマンを発散し始めた女たち
子どもに犠牲を強いる、母というエゴイスト
母との相克を語られるようになった女、語れない男
「ロマンチッククラブ」への根強いニーズ、その理由
第5章 幻想大国ニッポンの恋 愛と結婚
ザ・幻想カルチャーは日本人の十八番?
男と女、恋愛における妄想カルチャー
結婚の制度疲労と、フェミニストたちの結婚
子ども部屋から出たがらない若者が増えている
継承すべき文化を失った「成り上がり」の悲しさよ
地雷の上で、「絶対の安心」「絶対の信頼」を求める不幸
ネオテニーなニッポン人が、大人になるとき
第6章 快楽とセクシャリティ
タブーと結びついた、初めての「光合成」体験
性の眼覚め、『セクシィ・ギャルの大研究』への道程
「性」という親離れの推進力
『ハイト・リポート』が明かした、女のマスタベーション
マスタベーションと相手のあるセックスは「別腹」である
セックスの頻度とその人の幸福感。その相関関係は?
「生涯に性交した相手は3人以内」という事実
セックスよりも強固な、マスタベーションのタブー
自分の女の体を愛することと、アンチ挿入主義
多様性を楽しむ、セックスのすすめ
「予測誤差」があるほど快楽の刺激は強い
マグロ化する男たち。果たして人生の果実は得られるのか
男と女がイーブン、かつ、気持ちいいセックスを求めて
第7章 加齢という平等
加齢は誰にも選択できない
30代後半から40代にかけて、女の性欲はマックスになる
更年期について語り合わない、女心のトラップ
抗うべきか、女の賞味期限
「頭を下げてでも」という熟女の新機軸
半径3メートルのストレスフリー
ベストセックスは、生涯を回顧したときにわかる
日本人の性愛コミュニケーションの質
物語性をなくした老いらくの性欲は、純潔なるものか
加齢とセクシャリティ、エクスタシーの到達点は?
第8章 ニッポンの幸福問題
「最強の社会関係資本は地縁と血縁」は本当か
「絆」の二面性。助け合いと縛り合い
トラネコカップルの幸せ
「不安」の増大と、村上春樹の小説に見える男子の受動体質
3.11であらわになったオヤジギャルの真実
テレビと大衆と原発と
テレビ不信の一方での「強いヒーロー」待望論
リセット願望と鎖国メンタリティ
失敗を恐れる「前例がない」ロジックの閉塞感
おひとりさま最期を支え抜いた、30人の女たち
血縁よりも、女たちの選択縁が、女を救う
第9章 3.11以降のサバイバル 術を考える
ラン・ランに見た日本の近代文化史
滅びゆく種族になるのか、「好奇心」と「遊び」を味方にすねか
「村の外人戦略」というサバイバルテクニック
上野千鶴子式「省エネ殺法」
女化することに新天地を見つけ始めた男たち
異形細胞のススメ「社長になりなさい」
応援団作りとソーシャルネットワーキング
「芸が足りなくて、申し訳ありません」
気の弱いDNAの持つ主が進言する、「年に一度は旅に出よ」
女の生存術はボーダーレスである
寂聴さんに学ぶ、予測誤差への対応能力
美魔女のくびれたウェストより、女を輝かせるものは
「生きていて良かった」という実感を得るために
湯山玲子・上野千鶴子 著
多美子さんは五歳年下の横川に夢中になった。セックスの相性は抜群だった。いつも横川さんは時間をかけてゆっくりと前戯を楽しむ。そして驚異的な持続力があった。スポーツで鍛えた身体は逞(たくま)しく、セックスは激しかった。それに応える多美子さんも熱く燃えていた。
だからといって、夫との関係が終わるわけではなかった。夫とも定期的にセックスはしていた。「なぜ?」と私が問うと、「さあ、どうしてだったのかしら。まだ主人のこと愛していたんでしょうね、私の中では二人の男性は対立しなかったのよ」
セックスは真利子さんが四十代の半場になったころから途絶えた。ちょうど俊雄さんが会社で部長職に就いた時期であった。
最近、性欲というものについて考えてみた。男性には性欲があるが、女性にはないという人もいる。では、自分の場合はどうかというと、五十八歳の現在はともかく、三十代や四十代の頃はたしかにセックスしたいという欲望を感じたことがあった。
しかし、それは相手が誰でもよいということではなかった。好きな人がいて、その人とセックスをしたという欲求だった。
「微妙な小さなことから、綻(ほころ)びがわかるのね
いつものように卓也さんは妻を抱き寄せた。沙織さんはそっと夫のペニスに手を伸ばした。そのとき彼がブリーフを履いたままなのに気づいた。こんなことは初めてだった。ベッドに入ってくる沙織さんを全裸で待っているのが、もう何十年も続いている習慣だった。
どうして、ブリーフ履いているのだろうと一瞬怪訝(けげん)に思ったが、沙織さんは「これ邪魔よ」と甘い声でいって夫のブリーフを脱がせた。それから手で優しくペニスを愛撫した。通常ならすぐ大きくなるペニスがなかなか勃起しない。
疲れているのかなと思った沙織さんは、今度は夫のペニスをそっと口に含んだ。ようやく固くなったところで、卓也さんもお返しに沙織さんの敏感な部分を愛撫すると思ったが、それをせずに一挙に挿入してきた。
何か変だと沙織さんは感じたが、抵抗せずに夫を受け入れた。すると卓也さんはすごい勢いで往復運動を繰り返し、あっという間に果ててしまった。セックスを楽しむというよりも、射精だけが目的みたいだった。
行為が終わると、なぜか卓也さんはふうとため息をついて、安心したように目を閉じた。沙織さんの肩に手をまわし、そのまま寝入ってしまった。
「あれが、いわゆる世にいうところの義マンっていうものだったのね。もちろん、私はその瞬間は気付かなかったですよ。ちょっとおかしいと思ったけど、セックスをしたという事実はあるわけだから、その意味では満足していたんです。
あっ、満足はしませんでしたね。してなかった。中途半端に火をつけられて、完全に燃焼しないで終わってしまったんですから、悶々としていました。夜中に眠れないまま考えていました。夫は変わった、小さなことだけど、以前とは確実に違っていまっている。それは女ができたからじゃないかって思いました」
須賀さんが彼女ができたのは四十七歳のときだという。それまでは、浮気をしようなんて夢にも考えていなかった。ところが、ある日、仕事が遅くなって後輩の家に泊めてもらった。そこで翌朝見た光景は彼にとっては大ショックだった。
「そこんちの奥さんが、朝、甲斐甲斐しく和食のご飯を作っていた亭主に食べさせているわけ。もちろん俺もお相伴にあずかったけど、これが美味しかった。味噌汁に焼き魚だぜ。それと漬物」
「そんなの悪いけど普通の朝ご飯じゃない。うちだって亭主にそれくらいのものは食べさせているわよ」
「そこそこ。そこなんだよ。後輩の奴に、お前んちの母ちゃんはすごいなあって言ったら、涼しい顔して『普通です』っていいやがったんだ。それで俺考えこんじゃってさあ。だって、うちの女房は朝なんて起きたことがなかったよ。下の娘が生まれてからは寝室も別だったからね。
結婚して二十年以上たったけど、もう十年目くらいからは、寝室は別、食事も別っていうか、作ってくれなかったし、ようするに俺って、まったくかまってもらえなかったってことなのよ」
急に須賀さんは妻の態度が腹立たしくなった。といって今さら喧嘩をする情熱もない。よし、絶対に女を作ってやるぞ。お前がそういう態度なら、こっちだって、遊んでやると一人で復讐心を燃え上がらせたのだという。
・“カレセン”の若い女の子との初々しいセックスに耽溺
里奈ちゃんは、手足がひょろりと長くて、顔が小さく、どこか眠そうな目をしている。それが色っぽいと須賀さんは感じた。
「もうベットの中ではオジサンは大サービスよ。女房にもしなかったような奉仕をしまくり。そうしたら、里奈ちゃんのいうことが可愛いんだよ。『あたし同じ年の彼がいて、最近別れたんですけど、その人のときは一回しかイカなかったのに、須賀さんだと三回もイッちゃいました』なんていうんだよね」
「ふーん。相性が良かったわけね」
「違うよ。俺の努力のたまものよ。そいでね。里奈ちゃんに聞いたんだよ。俺みたいなオジソンでもいいの? って」
すると里奈ちゃんが「あたしカレセンなのかもしれない」と答えた。
漢字で書くと『枯れ専』かなあ。
敦子さんが閉経したのは四十六歳のときだという。その一年前から性交痛がひどくなっていた。とにかくペニスを挿入されると、膣が引っ掻かれるような痛さだった。しかも痛みは翌日まで残った。
私の推測では夫の誠一さんは、あまり前戯をしないで、いきなり挿入したのではないだろうか。どうも二人が情熱的なセックスをしたとは思えない。
そこで薬を処方され、性交痛は緩和されると聞かされた。ホルモン剤を服用し始めて一ヶ月後に誠一さんと性交渉を持った。
「ところが、あなた、全然治っていないんです。相変わらずすごく痛くて、ひりひりしました。主人にいったら物凄く落胆した顔をしていました、『お前嘘言ってんじゃないだろうな』とまで言われて、私だってムッとしましたよ」
「はあ、そんなこともあるんですか」私は驚いた。だいたいホルモン補充療法によって性交痛は改善されると、更年期関連の本には書いてあるし、私もそう信じていたのだが、必ずしも万能というわけではないらしい。
「それでも主人は諦めないで、今度は自分で産婦人科の病院へ行ったんですよ。まあ、あの見栄っ張りの人がよく行ったと思いますけどねえ。それでまた医師が男の先生だったから相談しやすかったでしょ。なんか違う薬を貰ってきたんですよ」
それを膣に直接挿入するとエストロゲンの錠剤だった。これを二日おきくらいに膣に入れると内部が潤うのだという。
それが二年ほど前のことで、静香さんは五十二歳だった。私は自分の感じたことを、素直に述べた返事を書いた。離婚とは、不思議なもので、迷っている間は成立しない。
とにかく五十歳を過ぎて独身になったときに、工藤さんが書いていらしたことを思い出したのよ。女性は閉経するとセックスが難しくなるっていってましたよね。あれ、何でしたっけ、あの身体に問題がでること」
「そうそう、その性交痛が自分の場合だっていつ起きるかわからないじゃない。そう気づいたら急に不安になりましてね。今のうちら、男の人とセックスしておかなかったら、できなくなるっていう恐怖感に取り憑(つ)かれたんです。焦りみたいなものですね
離婚の”後遺症”は激ヤセとリストカット文章を入力してください。
「ほんとにね、男に関しては、謎だらけで、私も相手を見抜く自信はありません」
そう答えると、友恵さんは嬉しそうに言葉をつづけた。
「でしょう。そうなんです。よく身の上相談なんかで自信たっぷりにああしなさいとか、こうしなさいとか答えている先生がいるじゃないですか。私はいつも思うんです。
あなたは、どうして他人のことがわかるって確信しているのですかって。男というものは‥‥なんて講釈を垂れているのを聞くと腹立たしくなりますよね」
「ええ。男って女にとっては永遠の謎です。わからなくて当然ですよ」
二人目の子供ができたと同時に、ぱったりと夫婦生活がなくなった。秀雄さんが求めてこなくなったのである。
「私はすごく悩みました。あらゆる原因を頭の中で考えてみたんです。
もしかして子供を産んで、私の容姿がすごく衰えて、彼が抱く気にもならないんじゃないかとか、ほかに女がいるのだろうかとか、
何か会社で悩みがあって不能になったのではないかとか、本当にあれこれとかんがえてみても、どうもぴったりこないんです。
そこで友恵さんにはある晩、思い切って秀雄さんのベッドに入っていった。二人はツインのベッドに寝ていたからだ。すると夫は友恵さんの肩に手をまわして、「ごめん。俺、本音をいうと、どうしてもその気になれないんだ。だってお前は麻衣や洋介のお母さんだろう。なんか、そう思うとダメになっちゃうんだよね」と落ち着いた口調でいった。
「あいつは、もの凄い勘違い女なんですよ」
「さあ、別に何も驚くほどのことはありませんでしたか? 変でしょ。あの人。なにがって、もの凄い勘違い女なんですよ。ボクのこと悪口をいっていたでしょ? インポだとかなんとかって」
「いえ、そんなことはおっしゃっていませんでした。まさか初対面の私に、いきなりインポなんておっしゃいませんけど、ただお体の調子が悪いからセックスレスになったと言ってましたね」
「それですよ。あの人はボクが糖尿病だっていい張るんです。それで病院に連れて行かれました。結果ですか? つまり糖尿なんかないんですよ。それなのにセックスをしないのは糖尿だからだっていって譲らない。あのときは困りました。
ボクは単にあの人とはセックスをする気が起きなかった。愛情が完全に醒めてしまいましたすらね。結婚して十年くらいした頃です。それから二十五年間もじっと我慢していたんですから、われながら辛抱強かったと思います。自分を自分で褒めてやりたいです。
しかしね。ボクだってストレスはありました。なにしろ、あんな女と毎日顔を合わせているんですから、喋らんわけにはいかんでしょう。疲れましたよ。
熟年離婚をしたことを、ひどく後悔している女性がいるのだが、会ってみないかと知人から連絡があった。
余談だが、モニターの中には六十代の女性もいるという。
女性の性器の形やサイズは個人差が相当ある。そこで、オルガスターは、これくらいの大きさなら、すべての女性のクリトリスまでをカバーできると計算して、お皿の部分は作ったらしい。
自宅に帰った私はしばし考え込んでしまった。たまたま房子さんと知り合いになって、彼女から頼まれて、アダルトグッズの取材をした。なんか房子さんが、無理なくバイブレーターを買える方法を見つけてあげたかったのである。
しかし、その副産物として、日本のセックスの最前線を垣間見るとこができたようだ。
もはや、セックスは若者だけの特権ではない。熟年世代も貪欲に楽しもうとしている。しかも、そのことを恥ずかしいとも思っていない。
第十三章誰かに甘えて現実逃避するのは、男のほう
熟年離婚を経て「新しい恋愛」に縋ろうとする男
「だけどさあ・・・・」と恵美子さんはため息をついた。
「熟年離婚って確かに増えているわよね。あなただって取材してそう思ったでしょ。でも、女はみんな前向きなのよ。どんなに傷ついても、もう一度しっかり新しい生活をやり直そうと覚悟しているのよ。
もしも夫が私を経済的に惜しみなく支援してくれて、普通の意味で妻にできる小さな贅沢を許してくれていたとしたら、私もまた、彼のために一生懸命、自然食を作り、家の中を美しく保つ努力をしたことだろうと思ったりもする。
熟年離婚につきまとういちばんの問題は、実は感情の処理でもなければ、世間の偏見でも、家族の反発でもなかった。
すべての体験者が口にしたことは、経済的な問題だったのである。特に専業主婦だった女性の場合は、離婚したいけど、経済的な裏付けがなければできないという現実だ。
しかも、現在の日本の不況にあえぎ、けっして楽観できる経済情勢ではない。なんのキャリアもない熟年の女性が自立して生きていゆくのは、かなり厳しいのが事実だ。
それにもかかわらず、離婚という選択を自らの手で下した女性たちは、私が驚くほど逞しく、新たな生活の再建を始めていた。その生命力の強さと、英知に、私は何度も感動した。
彼女たちの胸の奥底にあるのは、「これで女としての人生を終わらせてたまるものか」という叫びだった。理性では、現状維持で安泰な生活が一番だと理解していても、身体がそれを拒否するのだと語った女性がいた。
なるほど、心と身体が激しく亀裂するのが、熟年の世代なのかと、私は、その言葉に納得した。
女性が閉経したら、もはや女性ではないといった観念は、まったく通用しないことを、私は取材の途中で何度も思い知らされた。もう孫がいる年齢になっても女性は女性であり、良いパートナーに恵まれれば。もう一度、豊かなセックスライフを送りたいと願っている。
男性もまた、熟年離婚をした後に新しい妻と再出発したいと、ほとんどの人が語っていた。また、これは私の思い込みがあるかもしれないが、熟年離婚をした女性たちは何らかの形でセックスに関して傷ついた過去を背負っているように見えた。
夫とのセックスライフが充実していたら、離婚はなかったと語った経験者もいた。それは、一瞬にして起きる突風ではなくて、長い年月をかけて、少しずつ吹き付けていた北風により、ある日、彼女たちの心も身体も完全に冷え切ってしまっていたという結末がある。
それが、夫や妻の婚外恋愛や、介護問題などによって顕在化(けんざいか)すのである。そのときに、もう我慢するのを止めるのは、自分の生命を維持するための決断とさえいえるようなきがした。
だから、熟年離婚と性の問題は私が予想していたよりも、はるかに強く影響しあっていた。ときには、いわゆる「大人の判断」を乗り越えて、生命の叫びを優先させた結果の先に熟年離婚という選択があったといって良いだろう。
・問題は、何歳までセックスをするかということ
・女性を苦しめてきた定説「更年期以降こそ性生活を楽しめる」
・恋愛は、子宮ではなく脳でするものであるしたくてもできないのとしないのとでは大違い
・男性から見た女の更年期
・変わらないといえば変わらない
・大切なのはお互いの思いやり
・真面目な人ほど、性の問題を乗り切るのは難しい
・「年を取ったら、足し算になるつき合いにしたい」
・ある人妻の告白
・青春時代の八年を費やした妻ある人との恋
・最初の”作戦”が大成功で一ヶ月に一回は会っています
・五十過ぎでも求めてくれるのは本当の私を好きでいてくれるか
・セックスは、ふたりの年齢を足した和が百歳までにとどめたい!?
・性に縛られることなく晩年を送れるのも幸せ
・代わりになる男がいないから別れられない
・夫の手を握るのも嫌、部屋をシェアしているだけ
・ホルモン補充療法
・HRTを危険と決めつけるのはおかし
・手入れを怠らなければ、古くても使用可能
・更年期のキーワードは「ときめき」です
・更年期、最大の要素は気質因子
・「更年期を障害なく乗り切れたのは漢方をやっていたからかな
・自分の身体に、もう少し頑張れと後押しするのが漢方
・冬の間に薬を飲んで養生すれば一年中元気でいられる
・性交痛に悩み続けて
・「私、三十代の頃から性交痛があったんです」
・毎日したら痛みはよくなるのかと呑気に考えていた
・年下の彼とは手を切って新しい恋人との交際をスタート
・「数年待ってくれ」といわれてから痛みがひどくなって
・性交痛をめぐる問題
・女性が女性であることをやめるかどうかが分かれ道?
・セックスレス、最大の原因は性交痛
・男性にもう少し努力してもらいたい
・性生活について、もっと自然に語り合う場があれば
・十二歳年上の恋人の自殺未遂騒動
・「あれは僕を脅かすための狂言なんですよ」
・過剰にセックスに依存する彼女に違和感を覚えて
・コントロールできない力に操られた結果?
・若々しい美肌を保つために
・閉経すると急速に変わる顔、食い止める手立てはあるのか
・メスを入れるのではなく皮膚そのものに活力を与える方法
・表情豊かに生き生きと過ごし、基本的な洗顔は怠らない
・「国際結婚した夫と離婚して今度こそやりなおしたい」
・夫とうまくいかなくなって日本人商社マンと恋愛関係に
・妻を使って突然の電話にひどいショックを受けた
・アメリカに帰ったら待っていたのは地獄だった
・ホルモン補充療法の効果
・いよいよ始まった性交痛、悩んだ末に病院へ
・一番つらいのは不定愁訴、嵐が過ぎるのをベッドで待つ
・喉の腫れも貧血も気づいたら緩和されて
・森瑤子さんの思い出
・「この頃、ドキドキするような男が現れないのよね」
・あの身の内に秘めた強靭さは更年期特有のものだったのか
・セックスの最中に目を開けている主人公
・現代は、更年期こそが女性にとっての厄年?
・ 友人に「恋人」の話を聞かされたものの…
・「あなたに指一本でも触れたことがありますか」
・女の強い思い込み? と納得できる彼の理屈
・セックス奉仕隊に求めるもの
・相談者は圧倒的に主婦、気真面目な人ほど悩みは深い
・すっかり気が合って結婚したカップルも
・「離婚はできないけれどセックスはしたい人」のリハビリ
・「私はとにかく、女性のよいところを褒めます」
・女の身体の”進化”
・悩んだ果ての遊びもある
・同窓会で再会した人に夢中になって
・次は娘の家庭教師と電光石火の速さで
・「扉を開けた女性だけが進化していのよ」
・思いつめて上京してきた遠縁の女性
・「知ってしまったらもう駄目です」
・誰かとセックスすればふんぎりがつく
・不倫相手と別れて
・不倫相手の妻が自分の教室の生徒に
・便利だというだけの理由で自分と付き合っているのでは
・妻ともセックスしていることが許せなかった
・「もう一生セックスできないのかなあ」
・ハプニング・バー
・五十代とおぼしき女性が着物姿で来店する
とにかく自由なので”風俗”とは違う
・年上の女性は甘えられるし、恥じらいが愛おしい
・「高校時代の先輩と結ばれちゃいました」
・結婚相談所
・初めから、”保険”がかけられているようなもの
・その人と腕を組めるかかが重要な決め手
・男性は「若くてきれいな人」、女性は「安定した経済状態」
・会費を払う方が義理に縛られる心配がない
・夫がセックスをしている間週刊誌を読んでいる妻
・「再婚するかどうか迷っているの」
・彼からの要求に思わず絶句してしまい
・注文の多い女
・セックスについての注文は相手に伝えたほうがいい
・「考えても仕方ないので他の男と寝てみたの」
・再会相手の手を握り返してホテルヘ
・もっと体重をかけて、といいたいのだけど
・セックスの重み
・できるときに楽しんでおかなくちゃ
・どうしてもひっかかる一点のこと
・本当に肌を寄せ合うだけの価値のある男なのか
・相手を傷つける発言だけは控えるのがルールなのでは
・無気力、虚脱感の原因は果たして何なのか
・「悪くなる前の予防の段階で来てくださっていいんです」
・主治医を決めてその人とともに戦う
・独り歩きしすぎている? 「更年期障害」という言葉
・充実した夫婦間のセックス
・同じ相手セックスをし続けて
・童貞と処女が結婚したんです
・女房の身体を抱くだけで分身のように愛おしい
・あたしが捨てたら他の人はいない
・若い恋人の将来を選択したジヨアン
・彼女のセックスの欲求が怖かった
・年を重ねるほど、彼女の人間的魅力に惹かれた
・「あなたとセックスができなくなったのが悔しい」
・あらたな性の目覚めに向けて
・八十歳になったって女は女、セックスの問題が存在する
・更年期世代の女性は”ニューヨーク”を目指すべし
・不倫関係をどうするかが一番の問題
・女の終焉を迎えることの危機感に根差してい
・あとがき
「セックスがしたい、それも気が狂うほど激しく」
狂おしい気分
出会い系サイトから始まった恋の明暗
セックスしない女は女じゃない?
マスターベーションが日課に
人肌が恋しい
私の価値はいくら
機会があれば浮気しちゃうかも
メル友と昼間のホテルへ
イケない女は女じゃない?
男を買ってしまいました
出張ホスト
オーガズムへのこだわり
女として不完全
乱交パーティ
またまだ女を降りたくない
ハプニングバー
情と肉欲がベストな割合
親友の夫との関係に溺れて
「したい」と「好き」
裏切った女と、裏切られた女
女のしたたかな欲望
人生を変えた家庭教師
女の性が私を引き裂く
出産を機にセックスレスに
獣のようなセックス
終わりのない「女」への執着
夫の甘えを支える
コンプレックスと孤独
禁断の関係に、天国と地獄を味わう
男がいないと女はだめ?
十年ぶりのセックス
もう一度、夫を愛し直せた不思議
肉体関係か、心の絆か
今さら夫とはむずかしい
不倫相手の退職
妻が抱かれるのを見た
四十歳過ぎからのセックス
セックスに「常識」はない
同性愛の激しい快感を覚えて
同性との初めてのセックス
出張ホストに恋してそこそこの幸せ
三時間のデートで三万円
激しいオーガズム
目の前の喜びをとりたい
夫婦のセックスを取り戻す
夫の隠し物
初めてのスワッピング
夫に恋するように
一線を越える勇気とためらい
二十一歳の歳の差
「しばらくあっちで暮らす」
身体中が溶けていくよう
こぼれた苦悩の涙
新しい生活に踏み出す
やり直してみたい
四十代女性たちの「今」――まとめにかえて
女として見られなくなることへの不安
二〇〇七年三月 亀山早苗
第一「女が男を棄てる時代」の到来
―意識において男性を凌いだ女性たちの苦悩
なぜ妻が出て行ったのかわからない夫たち
「あの鈍感さが、たまりませんでした」
二人でいることの孤独や屈辱より、一人で生きるほうがいい
なぜ、エリート社員の夫を捨てるのか
見捨てられはじめた”家族生活不適格人間”
なぜ、私の母は八人の子を捨てて駆け落ちしたのか
離婚の恐怖に打ち震えながらも、なぜ…‥
決断――捨てられる前に捨ててしまおう
『人形の家』のノラの胸に燻(くすぶ)っていたもの
苦悩する現代のノラたち
妻には、『生活』はあっても『人生』がない!
――どんなとき、妻は夫に”やりきれなさ”を感じるか
夫婦間に欠落してしまった”男と女の関係”を求めて
とりとめのない不安と悩みに苦しむ妻たち
〈ケース・1〉幸せなのに”心の渇(かわき)き”癒(いや)せぬ妻
何ひとつ不自由ないのに、虚しさが漂ってくる
陽だまりのなかで枯れ果てていような恐ろしさ
“男には、七人の敵と同時に八人の仲間がいる”
〈ケース・2〉私はセックスつき家政婦じゃない
なぜ 姑は、こんなに干渉するのだろう
男の正体は同棲じゃ分からない
セックスを断ったら、いきなり殴られました
新婚といえども。二人のセックスは六年も続いていれば、もう新鮮なものではありません。
自分の中に、ひどく好色な血が流れているような気がする
マザ・コンの夫に絶望しながら‥‥
私にも生きている手応えが欲しい
目の前で苦しむ妻よりも世間体を気にする夫
他人の手の温かさに、思わず涙が
ウェディング・ベルは彼女の心の弔鐘(ちょうしょう)だった
心地よさの条件がまるで違っていた
夫にないものを持った男に抱かれて
手の甲を擦りあわせるような違和感は、どこからくるのか
この不決断の責めを負うのは、自分自身ではないのか
私は浮気できるような女じゃない
第四〈ケース・4〉共通の目的を持てない苦悩の末に
愛するより愛される方が幸せだと思った
出産直後に浮気されて母乳があがる
夫は、妻が愛していないことを見抜いていた
「この人には情緒というものがあるのだろうか」
愛は醒(さ)めたのではなく、最初からなかった
人を欺(あざむ)くことはできても、自分の心だけは欺けない
〈ケース・5〉浮気願望とともに、夫の死を願う妻
紙版画教室に通っても、満たされない日々が続く
夫の思いやりのなさに、急速に心が冷めていく
初恋の人の夢を見て、その余韻に浸る妻
夫が早く死んでくれないかなぁと思います
生きている実感は、浮気の夢のなかにしかない
なぜ、結婚への期待は虚しかったのか
今、女が乗り越えなければならない三つの障害
第五・三章 妻たちが戸惑う”三つの神話”
――結婚幻想、貞淑、母性愛に、もう縛られない
(1) 結婚幻想と”妻の座”の正体
――結婚は精神の避難場所ではなく、新たな試練の場
1・期待過剰がもたらす悲劇
結婚してみたら、満足した分だけ不満が見えてくる
結婚”よりも結婚式の方が大事だった
自己の心を裏切っていなか
2・孤独感と倦怠感(けんたいかん)はどこからくるか
結婚とは情熱を削(そ)ぎ落していくプロセスでもある
自分を評価してくれる人が”家”の中にしかいない
3・夫の胸の燻(くすぶ)りが分かるか
妻と役割を交換してみた夫の感想
勉強している妻に嫉妬する夫
第六(2)「性の反逆」の源流は何か
――古い倫理観から脱して煌めく性を求める妻たちの叫び
1、 妻たちが性に求めているもの
1・結婚幻想の正体は何か
夫との交わりは、心まで燃やしてくれない
2・性の倦怠とクーリッジ効果
なぜ、出産を契機に夫婦生活が変わるか
「女房と畳は新しい方がいい」という科学的根拠
3・妻たちの浮気願望とその実態
「純粋であれば、倫理観や常識にこだわらなくていい」
男と同様に、女も”家庭を壊さない浮気”がしたい
4・技術を超えた性愛の極致とは
若い頃のスキン・シップが中年期以降の生活を支える
「性交後の二〇分は、性交そのものよりずっと大事
自分のためにセックスに気づき始めた女たち
第七(3)母性愛神話からの脱出
――子育てと職業・社会参加は矛盾しない
1・三歳児神話の崩壊
子どもへの愛と束縛感に葛藤しつつ
“母親”と”母”は区別して考えよ
働き続けた私への娘からの回答
2・過保護、偏愛。マザ・コン
女が女の不幸を再生産していく悪循環
なぜ、母親は娘より息子を偏愛するのか
3・子どもにとって「母の犠牲」とは何か
「子育てが終わったら‥‥」では、何もできない
子どもへの愛が、ある日突然、憎しみに変わる
第八4章”女の桎梏(しつこく)”を乗り超えた妻たち
―――”夫に養われる身”から”自分に生きる”女へ
(1)”くれない症候群”からの脱出
―――「夫はわたしをまんぞくさせてくれない」と悩んでも。何も解決しない
結婚生活の羅針盤(らしんばん)を自分で探すしかない
あなたは”くれない症候群”を起こしていないか
夫に刺激を与えるような会話ができますか
なぜ「何もやっていいのか分からない」のか
家族に迷惑をかけることのすすめ
夫の告白「女房も自由にやってほしいんだよ‥‥」
夫と妻は『人生』のパートナーでなくていい
妻が求めるのは”女房業”以外のところでの評価
あなたはマイナスの評価に耐えられるか
第九(2)はたして”妻の自立”は”家庭の敵か”か
――生きがいとしての仕事と、家庭を両立させる方法を求めて
なぜ主婦経営者が続々と誕生しているのか
「主婦でもできる」から「主婦なればこそできる」へ
“いい女”になっていくための五つの条件
「心を軽やかにするのは、一見無益に思われるもの」
「ネット・ワーク家族」とは何か
“平和なる別居(ピースフル・セパレーション)”を実践する夫婦
出世はしたけれど
恋を続けていく決心
この先、関係は変わるか
ダブル不倫の苦悩
妻とはセックスレスに
消えない恋の炎
職場の彼女に揺れる
不妊という悩み
恋の芽を意識するとき
彼女の失踪
妻の妊娠
単身赴任の果てに
絶望的な日々
離婚しないまま、新たな人生へ
恋に落ちて、地獄を見た
偶然が「運命」に変わるとき
恋に溺れて
ある日突然、男が現れて‥‥。
騙されたと思いたくない
あくまで、本気の「恋愛」
くすぶっている妻への不満
暗黙了解でホテルへ
日常と非日常を使い分けて
情は、捨てきれない
すれ違いと、回り道と
恩師の通夜で再会
結婚後、またも再会
偶然が重なって縁はつながった
自分のずるさを知りながら‥・‥
居場所のなかった家庭
夫への疑心暗鬼で妻は病気に
心許せる女性との出会い
現状を保つという選択
家族を捨てる重みと代償
理解し合っている夫婦のはずだった
恋は理性の外
ともに家を出て同棲するが‥‥
妻には憎まれたほうが楽
妻と恋人への思いの違い
転勤族の寂しさ
男はいつでも味方がほしい
ふたりの関係は切れずに
恋人の存在意義
夫婦間に吹くすきま風
若い彼女に惹かれて
会社の金に手を付けるとき
すべてを無くした、今
「夫婦」を取り戻せるのか
波風の立たない家庭
暗黙のルールのもとに
妻に尾行されていた
動き出せずに立ち止まったまま
誰も傷つけたくないからこそ
魔が差すように始まった恋
妻の警告
ようやくの再会
妻からの三行半
彼女への気持ちを抑えきれずに
ようやく同居できるはずだったのに
妻の裏切りを知ったとき
妻の恋を知らなかったのは自分だけ
「社会的」な言葉ばかり吐く男
妻と妻の愛人を目の前にして
このままでいいはずはないけれど揺れ動いて、振り回されて
妻の妹は元彼女
儀妹との濃密な関係
断ち切りたい思い
胸を打った身の上話
若い身体から離れられず
「性感染症」性器ヘルペスをうつされた
くすぶり続けるやりきれなさ
強くなっていく独占欲
元妻とその友人との楽しい一夜
年上の彼女の愛おしさ
嫉妬心ゆえの暴走
彼女にとって自分の存在とは?
窮屈さから逃れる場所
気弱な夫と強い妻
敷かれたレールから外れた瞬間
日ごと、のめり込み‥‥
妻への後ろめたさ
娘のような若い女性との出会い
捨て身の女が持つ迫力
事実を知った妻、そして後悔だけが‥‥
泥沼の深みに
不倫、そして再婚
肌の合う相手に惚れこんで
壊れていく妻
「好きな女ができた。別れてほしい」
静かな日常の裏で
夫婦関係がこじれていくとき
家族を養うのは男の義務?
男女のすれ違い
父として娘に伝えたいこと
夫婦はどこまで行っても他人なのか
男と女がいる限り‥‥二十年愛
妻の妊娠中に浮気
彼女との再会
矛盾はあるけど別れられない
誰も入りこめない歳月
あとがき
・社長夫人の座を捨てて駆け落ちした女性の「失われた十年
・三歳年下の”運命の人
・セックスの相性がよすぎる
・いつか結婚してくれるは
・結局、何も築けなかった
・浮気夫を汚らわしく感じ
・「いつ死ぬかもわからない」から
・女が性欲に支配される時期
・早く枯れたい‥‥
・離婚して三年目の恋
・バーで愚痴るうちに‥‥
・みんな去ってしまった。
・大事な部分が老いてしまい
・屈辱の浮気絶倫夫との二十七年、我慢の 末に流す後悔の涙
・身体に、心が裏切られる
・舅姑への不満も積もって
・「おまえは干物
・もう遅い、何もかも
・「安定した結婚」を捨てて
・激しい恋に生きた三十代
・恋の魔法から覚めてみると
・ひとりきりで老いる怖さ
・「二万円でどう?」
・女という性を憎みながら
・危ない目にも遭ったことも、数知れずある。
・彼に体が反応しない
・消せない過去の迷い道
・友だちの浮気を密告したセックスレス妻のほの暗い嫉妬心
・乳母で教育係で家政婦
・更年期“女の致命傷”に塩を塗られ
・天誅(てんちゅう)を加える必要を感じた
・哀しく捻じ曲げられた心
・コンプレックス夫の凌辱
・「ここで土下座しなさいよ」
・愛されていなかった私
・気持ちの「点」と「線」
・ずるさも含めて好きに
・「ひとりで産むから別れて」
・いざというときに逃げる男
・「天罰」などないはずなのに
・近所の人妻の虜となった夫、私は”性の劣等生”に苛まれて
・男性として魅力があるとは
・グロスたっぷりの唇が‥‥
・「おまえが拒み続けるから」
・私が知らない快楽を知る女
・母を引き取ることを拒まれ
・何かも私に押し付けるな
・家庭に絶望する男と女
・自分が生きてきた証を求めて
・「子どもを売って」離婚をし
・DV夫との怒涛の日々
・四十四歳、女ひとりでの再出発
・なぜ誰にも愛されないの!?
・夫に連れていかれた性のけもの道で体験した不安と恍惚
・机の引き出しの中の写真
・倒錯の世界へ連れて行かれ
・とどまらぬ夫のたくらみ
・オーガズムと不安の狭間
・とにかく女だらしない夫
・帰る場所がないゆえに
・「がんばりすぎたんですね」
・不安が昂じるばかり
・人生観が変わる紹介先
・自分が壊れていく
・「最近、生き生きしてるね」
・みんな孤独なんだな
・十三年前の忘れ物
・「子供が成人したら」
・再び音信不通になった
・彼は本気だったのか?
・六十九歳の母は今も女全開、娘の私は反発心から男を忌避し・「仕事だけの人生」の理由
・同じ淫乱の血がと思うと
・私には快感が必要だった
・制限時間があるなかで
・母とふたりで生きてきた
・父のように甘えられる人
・体の奥底の火種が
・「本気で愛された」実感
・リストラがきっかけで夫が豹変、家庭は荒れ、私は逃げて
・理想的に家族を得た
・セックスが抜け落ちた
・「女ってあさましい」
・先がない恋とわかりつつ
・「おまえはいつも完璧」
・ひっそりとこじれていく
・人知れず逢瀬を重ねて
・それでも生きている
・「おまえはいつも完璧」
・ひっそりとこじれていく
・人知れず逢瀬を重ねて
・それでも生きている
・「オレを助けると思って」
・殺してやる。そう思った。
・添い遂げると決めたから
・法律では解決できない
・大人になりきれない夫
・「誰かと寝てきたのか?」
・子供たちは家に残った
・女であることを実感して
・“妻孝行”な夫がいるのだが
・淫らなおんなになりたい
・「一度でいいから抱いて」
・引き裂かれる自分
・駆け落ち失敗。DV離婚、できちゃった婚
・七歳になったばかりの息子が
・愛されていると実感した日に
・時間だけが過ぎていく
・あとがき
・物事に動じない硬派のオット
・ムスコは野生児
・おませでおしゃまなムスメ
・行ってらっしゃいの儀式
・保育園の新世代のお父さんは愛妻家で子ども好き
・子育てはお互いさま、一時預かり所と化している我が家
・放課後の子どもたちの居場所
・お父さん不在の小学校よ変われ
・専業も兼業も、お母さんたちは本当に頑張っている
・ネットで救をもとめていたミドリガメをひきとる 亀子
・具合の悪いカメを爬虫類専門動物病院で治療 金太
・コーギー歴十数年、私と犬たちー びすこ
・水槽の住人1 金魚
・水槽の住人2 ウーパールーパー
・子猫が来た
ある程度、恋に慣れている男たちは、最低限のルールを自分に課していることが多い。たとえば外泊しない、彼女と旅行はしない、写真は撮らない。手紙など証拠になりそうなものは家には持ち込まない。最近は携帯電話で連絡を取り合うカップルが多いが、着信履歴は消す、携帯電話のメールを削除する、というようにかなり細やかに気を遣っている。それもこれも、妻にばれたら、外で自由に恋愛することが出来なくなると分かっているからだ。めんどうなことは避けるに限る、というのが彼らの考え方が基本だ。
不倫の恋の結末
不倫だから結末は別れしかないとは限らない 87頁
「不倫って、最終的には別れるとしかないんですね」
以前、既婚男性との辛い恋をしいる女性が、深い吐息(といき)をつきながらそう言ったことがあった。
彼女の性格上、その恋は終わらせたほうがいいような状態になっていたので、私も同意したのだが、実際には、不倫だからといって結末は別れしかないということにはならないと思う。
吃音(きつおん)を抱えた孫が心配
孫は5歳になる男の子です。2歳前になっても、なかなか言葉を発することができませんでした。そのうちに吃音の兆候が出始め、最近では、口を大きく開けながら「あ、あ、あ」と言い詰まってしまうことが増えてきました。
私ね、セックスって「ただ繋(つな)がっているだけ」としか思えないの。男の人のアレはタンポンと変わらないって感じ。だからって全然感じないって言ったらウソになるけど、のめり込めないのね。
だから、罪悪感もなくソープの仕事ができると思うの。極端なことを言えば「気持ちいい」っていう感覚が解らないの。少なくとも旦那では一生イカないでしょう。でも、さすがにイカないっていうか、セックスをすればするほど冷めていく自分に、身体どっか異常じゃないか? って考えたことはありますよ。
鈴木真子 三十七歳/ソープ嬢23歳
セックスレス こういうの、言葉で説明するのがすごく難しいなぁ。どう言ったらいいんだろう? 結婚して、いつの頃からか、はっきり解らないんだけど、旦那が私の中で「お父さん」になってきちゃったんですよね。「お父さん」だから、寄り添ったり、腕を組むのはいいけど、胸とか触ってきたら「うわー!」って感じでしょ? そんな感覚?だと思うんですよ。イッて、完成された女になりたい
大橋千津子 27歳/AV女優
男からすれば、まったく奇妙な人生が始まったのは。
それは、格好悪くて、恥ずかしくて、惨めで、なおかつ心の底から突き上げてくる不思議な拒否反応。そして、自分自身への不安がとめどとなく溢れてくるものだった。
それらに悩まされつつ、フェミニズムと仲良く生きている男、どうにかこうにかたどりついた。
そこには、「自分らしさ」という個性を活かした、他者との共存の世界があった。
従来もっていた家族観は、夫が家族を養い、安定とやすらぎをもたらし、妻は家にいて家族の太陽のような存在になる――そんなものでした。そしてそれは見直す必要のない普遍的なもので、それで家族は幸せになれると信じていました。 しかし意外なことに、妻はそれがしんどいというのです。
3、 なぜかイライラ
―フェミニストカウンセラーのとぼけた生活
あぜん。開いた口がふさがらない。瞬時、時が止まった…。とそんな思いにかられたのがもう五、六年も前のこと、それは今も鮮明に脳裏に焼き付いています。これまで書いてきたように、私はままならぬ妻に悩まされ、フェミニズムはこりごりだったのですが、それにもまして、とぼけた話がありました。
世の中にはこんなことがあってもいいのか、俺はもう知らん、と叫びたくなったものです。
このぐらいフェミニズムを理解していたら、もう驚かされることもあるまい、と自負していた。そうです、なんだかんだと言っても、私もけっこう妻やフェミニズムには理解も示していたのです。
――ホレた女の過去を知りたくなるわけ
新婚といえば、男が一度は通る道、そう、ヤキモチです。強弱の差こそあれ、新妻の過去を知りたいと、勝手に想像してしまうのは、たぶん私一人ではないでしょう。このヤキモチという厄介なシロモノに取りつかれてしまったのです。そして、もう少しの所で彼女に逃げられるところでした。
のぼせ上がっていた自分の姿、それが見えた瞬間でした。
四年ほど前のこと。フェミニズムはすごい、と知れば知るほどそう思えた私は、それまでの「男らしさ」を極力取り払おうとしていた。それが自分のできることの最たるものだと。
恋愛の末の結婚、先ずはめでたし、めでたし。ところが数年も経たないうちに妻の様子が違ってきました。家事と育児だけでは満たされないという――なるほどと思いました。将来がきまりきっていれば誰しも一抹の寂しさを感じるでしょう。それである程度の理解を示したのです。それで満足とまではいかないまでも平穏な生活は保たれるだろうと。
その頃には、フェミニストというのは、生きている基盤そのものが違う、とおぼろげながら感じていました。それは私の住んでいる社会では理解できない何かのような、不思議な感覚のもの。当時は何なのか、はっきりしなかったのですが、やがて私の意識の中に形となって具現化しました。それからは彼女のことも、彼女との関係性も非常によく理解できるようになりました。宮本博文著
男女間の軋轢は、ふたりの相互関係と結びつきを浸食してしまう。そうした軋轢は、セックスの可否をめぐる恋人同士の喧嘩から、投資や献身をめぐる夫婦間の争い、職場での性的嫌がらせやデート・レイプ、さらには見知らぬ人間によるレイプまで、多岐にわたっている。
そして、これら軋轢のほとんど全ては、男性と女性がそれぞれ進化させてきた配偶戦略に結びつけることができる。一方が行使する戦略は、時としてもう一方の戦略を妨害することになるのだ
最近、話題になっているドメスティックバイオレンス(略してDV)、これは「夫、恋人からの暴力」という意味で、親密な関係のある人からの暴力の事です。新しい言葉ですが、今に始まったことでなく、また特に増えてきたものでもありません。昔から一杯あったものだと思います。それまで、陰湿に家庭内で繰り返されていた暴力を、被害者である女性たちが「もう許せない」と語り始めたのです。それは、暴力に苦しんでいる女性たちの「苦しみ、恐怖、そして怒りの入り混じった悲痛な叫び」です。
じゃあ、まだ私のなかにフェミニズムへの認識がほとんどないといってもおかしくない頃に、どうしてもあったDVを生み出す感情が消えていったのか、それを振り返って見たいと思います。
結婚から約一年後、あの頃はどうしても自分の心が納まりませんでした。彼女が「一人の女性」から「私の妻」という存在に変わったのが大きな理由です。妻という存在になった途端に彼女への認識が一変しました。それが「妻の過去まで私のものだ」という思いを呼び込んでしまった理由です。そして後は想像の世界を駆けめぐっていました。〈もしかして、俺のユキが誰かとセックスを‥‥〉云々です。許せなかったのです。私が全身全霊をかけて愛する女が‥‥。頭ではそんな無茶なこと、と分かってはいたのですが、私のイメージする妻像とは違っていたことが大きな要因となったのだと思います。
もうかなり昔になりますが、妻とこのことで話し合ったことはが何度かあります。そう、妻がカウンセリングを始めた(1987年頃)のこと、つまり私がフェミニズムと向き合って生きるようになった頃ですが、再現してみますと・・‥。
「わたしは自分の行動や言動を正当化しようつていう気持ち、ないよあんまり」
「ああそう――でも、そういうもんちゃうの? 人間て」
酒井あゆみ
ノンフィクション・ライター
●1971年、福島県出身、18歳で上京、最初は「男に売られた」形で風俗の世界に入る。ファッションヘルス、ホテトル、SM、ソープランド等“風俗のフルコース”を経験。風俗の他にも、AV女優や「愛人業」など経験している。
●1994年、23歳で風俗を引退。AV系モデルのマネージメント業を経て『東京夜の駆け込み寺』『眠らない女』『秘密』『快感のいらない女たち』(講談社)で作家デビュー。
●今回、初めて、幼少期の性的虐待や約10年前のレイプ経験などの記憶を辿り、自身のイケない理由に向き合ってみた。
初めての結婚 =秋元 康 & 柴門 ふみ 著=
結婚生活ほど、端から見てわからないものはありません。
あんなに仲良かったのにと言われたカップルがある日と突然離婚したり、なぜあの二人が何十年も結婚生活を続けられるのか不思議に感じたり。
要するに、夫婦の数だけ結婚の形態があり、どれが正解というものはないのでしょう。正解の結婚生活しか送りたくないから、だから今は結婚しないの。
願望と妥協 ―第一章
なぜ、運命の人に出会えないのか
秋元―結婚できないのは、まだ運命の人に出会っていないだけ…
第二章 期待と失望
結婚して変わる二人の関係
秋元―結婚する人生の青写真が見えてしまう…
柴門―結婚しても自分を認識できる場所を手に入れる…
秋元―価値観の違う二人はぶっかりやすい…
柴門―お金に対する考え方は結婚前に見極めておく…
秋元―説明しなくても分かり合える関係がいい…
第三章 理想と現実
男が求める結婚、女が求める結婚
秋元―結婚生活の基本はラクチンであること…
柴門―結婚したぐらいで人は変わらない…
秋元―夫婦はジグソーパズルの一片の組み合わせ…
柴門―夫婦だからといって、なんでも許されるわけじゃない…
第四章 幸福と退屈
幸せな結婚の先にあるもの
秋元―面倒な関係だからこそ結ばれる安心感がある…
柴門―異性に感じるときめきだけが人生を彩るわけじゃない…
秋元―結婚したら、男は家事をやらないと思った方がいい…
柴門―どんないい人でも長い時間一緒にいれば欠点も見えてくる…
秋元―週一回会うだけだから、恋人時代はうまくいく…
柴門―二人の違いにどう折り合いをつけるかが結婚の醍醐味…
秋元―男はいつも機嫌のいい妻を求めている…
柴門―結婚はあらわるマイナス点を補って余りあるものがある…
秋元―「妻」という最高の座をもらったことを忘れないでほしい…
第五章 義務と自由
ある日突然落ちてくる、もう一つの恋
秋元―結婚したら「つまらない女」になってしまうのか…
柴門―日々の努力を怠るといつかはすべてをなくしてしまう…
秋元―絶対に浮気しない男なんていない…
柴門―浮気されたことを自己否定に持って行ってはいけない…
いいかい、ジャック。お前もこれから大人になるのだから学校や色々な所で女の人と遊ぶことが多くなるだろうね。そんな時、どういう風な考えを持つか、おわかりかい。
「ううん、わかんない。ママン」
「ジャック、そんな時はね、お前がお母さんや妹のマドレーヌにしてはならぬことや言ったり出来ないこと女の友だちに言ったり、しないようにね。それさえ飲みこんでおけば、女の人とウンと遊んだっていいんだよ」
男性のなかには一人の女から次の女へと追いかける者がいます。ある女性を自分のものにする。やがて彼は彼女に飽(あ)き、別の女性に心を移す。そうした男性をぼくたちは普通、浮気者とか、ドン・ファンとか、あるいは漁色家とか好色家とよびます。ドン・ファンといえば、ぼくたちは色のなま白い、唇に薄ら笑いをうかべて少しキザなマフラーなどをした男を想像しがちです。おそらく大多数の女性の方はこのようなドン・ファンに決して好感を持たないに違いない。けれども心のどこかで、そのドン・ファンに恐怖と好奇心とを感ずる女性もいるかもしれません。
恋すること、つまり異性に対して情熱を持つこと、これは「愛する」こととはちがいます。なぜなら、恋することは、その機会や運命さえあれば誰でもできるように、貴方だって好ましい男性が現れたら恋をすることができるように、貴方のお友だちのAさんもBさんも、それぞれ、適当な恋人さえ見つける幸運さえ持てば、恋することができるのです。貴方たち若い女性は何時も恋人の現れるのを待っていらっしゃる。そして、その「いつか」がやってきた時、貴方は恋をすることができる。
恋をすることはそれほど大きな努力も、忍耐も深い決意もいらないものです。彼を好ましいと思い、信頼のできる青年と考え、そして心惹かれはじめ、相手の情熱を感じさえすれば恋をすることができる。それは人間の本能的な悦びだからです。美しい花に向かって蜜蜂たちが本能的に集まるように、貴方は彼にむかって自然に傾いていくことができます。恋をした夜、貴方は白い窓をあけて夜の匂い、大地の匂いをやさしく、かぐことができるでしょう。
恋のかけひきという言葉はドン・ファンという言葉と同じように、あまり良い印象を我々には与えません。「あの人の恋愛はかけひきだらけだ」というような批評は、ぼくたちにその人の恋愛の誠意のなさを感じさせるものです。
たとえばこんなことがあります。仲間たちと時々、年下の友人の噂話をしていますとき、「彼は恋愛をしているのだ」などと耳にしますと、一同はちょっと、真剣な表情をうかべますが「彼初恋なんだ」と言われると、思わず、皆は微笑したりニヤッと笑ったりするものです。
別に初恋をしている若い友人を嘲笑しているのではないのですが、初恋という言葉に何か特別な印象があって、それがふしぎに皆を安堵感に誘うのです。
皆さんはシラノ・ド・ベルジュラックの悲しい恋の物語をお読みになったことがありますか。もうだいぶ前に文学座がこのロスタンの有名な戯曲を上演したので御覧になった方もいるでしょうね。あの上演は、辰野隆・鈴木信太郎、両先生の名訳によったものですが、この訳本はたしかに文庫本の中にも入っています。
フランスの作家、ロスタンの書いたシラノ・ベルジュラックは「ガスコンの青年隊」に属する軍人で、剣をとっては無双の名手、のみならず、詩をよくする心優しいき騎士でありました。だがこのように文武に秀でた彼には一つの深い苦しみがあったのです。
それは彼が生まれつき醜い男だったことです。異様に長い鼻が、彼の容姿を歪めていました。シラノはこの鼻を持った自分に苦しみ、それを恥じていたのです。
二年前ぼくの知っていた女子学生のお話から始めましょう。そのT子さんはそう美人とはいえないのですが、自分の個性を生かしお化粧や服装をして毎週、ぼくの教室にはいってくる少しフラッパーなお嬢さんです。魅力ある話し方も知っていますし、パーティなどではダンスなどもなかなか上手なのです。
そんなお嬢さんですから、男子学生などにも人気があり、何時も二、三人のボーィ・フレンドに取り囲まれているようでした。
みなさんは、こういう経験がよくあるでしょう。何だか世の中が詰まらなくなった時、どこかの映画館に気晴らしのためにはいる。映画館の中では、甘い美しい恋愛映画をやっている。ヘップバーンの演ずるアメリカ娘が夏の休みに、ヴェニスの街で余りに短い、余に烈しい恋をイタリーの青年とする。そして彼女はその男が妻のある身だと知った翌日、この町を去っていく。汽車の窓にうつるヘップバーンの苦しそうな表情がスクリーン一杯に大映しされる。
(1) 精神的なもの
青年はなぜ女性の純潔をもとめるのか
こういう想い出から書きはじめるのは、読者の方たちにある衝撃を与えるかも知れませんが、我慢してお読みください。
昭和二十年の三月上旬でした。その前夜、読者の方たちも覚えていられるかもしれませんが、東京の上空を芥子粒(けしつぶ)のように敵機の編隊が押し寄せ、家も街も炎の海に変えてしまいました。
彼等があなたたち女性のうちに本能的にせよ、意識的にせよ、捉えようとしているこの生の刺激とは一体、何なのか?
時として、ぼくは東京の街によくあるホテルの前を通り過ぎることがあります。二人の男女があるいは傲然と、あるいは人眼をさけるようにそのホテルの入り口から出てくるのを見ることがあります。ぼくはそんな時の青年の心情をひそかに計ってみるのでする彼は征服感の悦びら浸かっているのか、愛する女の全てを所有したという満足感に充たされているのか。だが、肉欲というものはそれ自体では常に悲しいものであります。感覚的には確かなもの、ハッキリとしたものであっても、肉欲はそれ自体ではかならず幻滅や湿りけや悲哀を伴うとしたならば、それはなにに対する幻滅であり、悲哀であるのかをぼく等は考えなくてはなりません。ここに戦後の肉体文学者たちが考え忘れた大きな過ちがあります。
美しい恋愛小説を手にとられた時、貴方たちがお考えにならねばならぬことがあります。それは、純潔主義の恋愛は、それ自身では皆さまを陶酔させるほど美しいでしょうが、また多くの危険や過ちを含んでいるということです。
純潔主義の第一の危険は恋人同士が相手を美化しすぎるという点にあります。皆さまの中にはスタンダールの『恋愛論』をお読みになった方があるかも知れない。あの本には有名な「結晶作用」という言葉が出てまいります。
ぼく等は今、極端な純潔主義が陥りやすい危険の一つについて考えてみました。そこで、さらにもう一つの危険のことにも言及しておきましょう。
それには肉体や肉欲に対する偏狭な考え方を生むということです。これは外国のように純潔主義が宗教から発生している国では特に見られる傾向であります。人間を霊と肉に別けます時、霊の側に全ての徳をおき、肉とはただ罪と暗黒との世界でしかないとう考え方にあります。皆さんの中にはクリスチャンの方もいられるかもしれませんから、この愛情は分かって頂けるでしょう。またクリスチャンでない方も、先ほどちょっと、書きましたように、若い女性として、肉欲にある嫌悪感をおもちの方は随分、たくさんいられるにちがいないと思います。
読者の皆さまの中には反対される方もあるかも知れません。肉欲は母性の使命に結びつかなくても、別の美しい意味をもっていると。たとえば、愛する者たちがもっと無償な気持ちでたがいに心と体を与え合う時、肉欲は決して汚れたものにはならないと。
いわゆる恋愛至上主義者たちの説くこの言葉は勿論、ぼくもわからないではありません。しかし、結論から先に申しあげれば、皆さまはどんなに愛しあっている男性がいても、できるだけ、肉体的な限界を結婚前に越えぬようになさい。それは極端な純潔主義から申すのではなく、その恋愛をあかるさや幸福にみちびくために必要だから申しあげるのです。
エロスという言葉には色々な意味があります。この言葉は普通、アガペという言葉と比較されて、後者が精神的な愛を指すのに対し、一般に肉体的情熱、性的な愛を意味する場合が多いのです。
そこでぼくも、エロスをこの肉体的な愛に限定して申し上げることにします。
近頃は大変、少なくなりましたが、今でも皆さまの中には「肉体的な愛」という言葉を聞かれると思わず眉をひそめられる方がいらっしゃるかもしれません。
恋愛の感情のなかにもこうした肉体的な欲望をまじえることを大変、汚らわしいと考えになる人もいられるでしょう。
肉欲について――この題をみて若い皆さんたちの中には眉をひそめられる方があるかもしれない。気の弱いぼくも、この不躾けな文字を書くのは、非情にタメライを感ずるのですけれども仕方がない。なぜなら、この問題は、やがて恋愛をなさる、また現在なさっている貴方たちが何時かはぶつかならねばならぬ世界ですから、やはり、眼をつぶっているわけにはいきません。御一緒に考えてみましょう。
けれども、こう書いたからといって、肉欲は何時、いかなる時にも充たされてよいものとは、ぼくは思いません。と申したからといってぼくは別に頭のカチカチな古めかしい道徳に捉われている男ではありませんし、この際肉欲を自由に濫用(らんよう)することを道徳的にわるいと言っているのではありません。
ぼくが恋人たちが肉欲の愛情を自由に濫用することを皆さまにお奨めしないのは、「恋愛とは難しい綱渡りのようなもの」という考えに基づくためです。
快楽と幸福という二つの言葉をならべてみますと、そこには何か違った印象を受けるものです。快楽という言葉から、私たちは何か官能的な悦びを、感覚的な快楽、そして炎のように烈しく燃え上がるが、やがて燃え尽きるものを感じます。だが幸福と申しますと、河のようにひろびろとしたもの、感覚だけではなく、ふかい経験や理性に支えられてゆっくりとしたもの、烈しくないが、決して燃え尽きない暖い火のようなものを心に浮かべます。だがそれだけではやはり二つの区別は曖昧です。この点をもう少し深く考えてみましょう。
快楽が求道の路に通ずるのはその時です。もちろん、現実の苦痛や不快から逃れる手段として快楽にたよることは確かに私たち人間の弱さを示しているでしょう。けれども、それだからといって、私たちは快楽に走る人を頭ごなしに軽蔑することはできない。なぜなら世の中には現実の苦痛や不快に鈍感であり無神経であるが故に、快楽を求めないですむ人も多いからです。現実と自我との戦いも、その苦痛も味わわないですむ人、あるいは現実の底にかくれている悲劇をみないですむ人は、快楽を求める必要もありません。それは彼がえらいからではなく、むしろ人生の悲しみに対して鈍いためであり、人生の矛盾に妥協的である場合が多いのです。このような人がもし快楽を頭から軽蔑するとしたら、それは偽善にほかなりますまい。
愛とは抽象的な理屈や思想で数学のように割り切れるものではないからです。愛というものはもともと矛盾や謎にみちたものであり、この矛盾や謎がなければひょっとすると、愛も無くなるかもしれないからです。
たとえば、御両親にしろ、友人にしろ貴方の倖せを願う人は誰だって貴方が幸福な恋愛をしてくれることを望んでいるでしょう。幸福な恋愛と言えばまた色々な考えがあるでしょうが、ここで常識的に言って悲しみや苦痛を伴わない恋愛としておきましょう。ぼくだって自分の妹が、誰かを愛し、その愛のために傷ついたり苦しんだり、不安になったり、疑惑や嫉妬をもっている姿を見るのはイヤです。できれば、そうした嵐の伴わない恋愛をさせてやりたいと思うでしょう。だが、そういう恋愛が可能でしょうか。いや、それよりも苦痛や不安を伴わない愛というものが存在しうるでしょうか‥‥。
誘惑とか姦通が多くの人々の関心をひくような季節は、ふしぎなことですが、必ず時代の変革期のようです。古いモラルが次第に色あせ、くたびれ、意味を失おうとし、まだ未成熟だが新しいモラルがそれにかわって出てこようとすると時、ほとんどと言ってよいほど、誘惑や姦通が肯定されてくるものです。
たとえば――皆さんも恐らく御存知でしょうが、西欧には『トリスタンとイズウ』という有名な物語があります。これはトリスタンという騎士が自分の主君マルクス王の妃であるイズウを愛して、その恋のために二人はくるしい悲劇的な運命をたどる物語です。言いかえれば、トリスタンとイズウとの姦通を賛美した作品です。
著者略歴
1923年東京生まれ。慶応大学文学卒。1950年戦後初の留学生としてフランスに渡り、リヨン大学留学。1955年『白い人』で芥川賞受賞。代表作に『海と毒薬』『沈黙』など。日本ペンクラブ会長、芸術院会員など歴任。遠藤周作
梅田みか 著
「うちではほとんど口も利かない」「妻とセックスしていない」…・不倫の恋がはじまるとき、そして不倫の恋が深まっていく中で、男性が実によく口にする台詞である。
この言葉は、家庭の中の彼を決して知ることのできないあなたにとって、明るい未来につながるひと筋の光のように見える。あなたは彼の言葉を頼みの綱のように信じる。
不倫だけはありえなと思っていた
私は現在二十八歳。二十二歳で結婚して、二人の子供を産みましたが、二十六歳のときに離婚。子供を引き取ることができなかったし、一年ぐらいは泣いて暮らしていました。
私は来年二十二歳になる社会人二年生です。ある日、ふと立ち寄った書店でこの本を目にし、すっかりとりこになり購入いたしました。と、いうのも私も不倫の恋に落ちた、いわゆる愛人だったからです。
私二十八歳のOLです。今、二度目の不倫中です。今の私にとって「愛人の掟」はまさに教科書! 三冊とも何度も熟読させていただています。
私は二十歳でフリーターをしています。高校三年生のときに伝言ダイヤルで知り合った三十四歳の人と不倫しています。
梅田先生、初めまして。「愛人の掟」1・2・3読ませていただきました。
何度読んでも涙が出てきます。不倫って、本当に辛いですね。
私(二十五歳)は周りのみんなから「バカ」と呼ばれています。彼(三十三歳)とつき合いだしてからもう四年にもなりますから仕方がない話ですが、今はこんな自分を結構気に入っています。
私は高校の教師をしています。不倫の彼も七歳年上の同じ学校の三十一歳の教師です。私が新任でやってきたときは、すでに結婚していました。
私は今二十七歳。二日前、彼(三十八歳)にメールで一方的にさよならしました。言葉にすると涙でいえなくなっちゃうから、きょう、彼からメールが来ました。「メール、ショックでした。これからのことを考えると、これでよかったのかなとおもいます」と…。
私は現在二十一歳、彼は二十九歳です。私たちの関係は約一年半ぐらい続いています。彼は私が学生時代やっていたバイト先の社員でした。初めて彼を見たとき、一目ぼれに近い気持ちになりましたが、すぐに彼が既婚者で子供もいることを知り、残念だなとおもいながらしばらくアルバイトと上司という立場で仕事をしていました。
みかさん、初めまして、みかさんの本に助けられている私です。
私三十三歳になる主婦です。不倫をして四年目です。それまで不倫はドラマの世界のこと、私には関係のないこと思っていました。
私は三十二歳の独身の社会人で、初めて不倫の恋をしたのが十八歳のときでした。就職先の上司で三十代半ばの人、私は女子高だったので年う上の男性の優しさに一気に落ちていったのです。でも最後は気持ちも冷め、三、四年で別れました。
誰かをうらやましいという気持ちは、自分の持っていないものや、途中であきらめてしまったり、努力しても手に入れることができなかったりしたものを、相手が持っていると感じたときに湧き上がる感情である。
何の障壁もない恋に比べて、不倫の恋は、強い意志によって自分の気持ちや欲望をコントロールしなくてはならない局面が多いといえよう。
不倫の恋をしていて、何もつらさを感じたことがない、と言う人はいないだろう。何のつらさも伴わなかったとしたら、それは恋とは呼べない一過性のものから、すでに恋という状態を超えしまっているかのどちらかだ。
不倫の恋をする女性たちの多くは「もう彼なしでは生きられない」言い切る。この言葉は、彼女たちがどれだけ彼に依存してきたか表している。
いくら不倫の恋がつらいと言って、何もそこまで思いつめることはないだろう。と言う人もいるかもしれない。そんなことを考えるのはやめなさいというのは簡単だが、不倫の恋に苦しむ女性たちの心の叫びにもっと耳を傾けるべきではないだろうか
金太郎コンプレックス国分康孝・国分久子 著
「むかしむかし、あるところにおじいさんとおばあさんが住んでいました。おじいさんは山に芝刈りに、おばあさんは川に洗濯に行きました」。
これは私たちが小さいとき、何回もきかされた桃太郎のおとぎ話の導入部分である。このおじいさんとおばさんのあり方が、男女関係の好ましいあり方だと思う。好ましいというのは、役割は分化しているけれども、それが支配・服従関係でなく、協力関係になっているからである。
私からカウンセリングをうけたおかげで、登校拒否だった息子が無事復学できたとお礼にきた父親がいた。
「ほんとうは家内も来るはずだったんですが…」と彼は申しわけなさそうにいった。私はまた出かけに夫婦げんかでもしたのかと思った。
「女房の奴、最近ふとりましてねえ。服が体に合わなくなったんですよ。はじめて会う先生に変な格好で会うのは恥ずかしいというんです」と。
ある教授が授業で『シンデラ・コンプレックス』の本を紹介しようとしたら、女子学生に「その本はなるべく女子学生にはすすめないでほしい」とストップをかけられたという。これからの女性は職業の世界に進出しなければ人間としての自立はない、その本は女性のそういう勇気をひるませる恐れがあるというのである。
たしかに今は、全労働者の40%が女性によって占められている時代である。この女子学生の意見は時代の声であるように思う。ひとことでいうと、現代の女性はなかなか意気盛んである。
職場では感じの強い男性でも、家では「問題の夫」「問題の夫」ということはよくある。ちょうど学校ではおとなしい子供でも、家では暴力児というのと同じである。
男同士のつきあいでは評判の良い人物でも、妻や娘からみると最低の人物ということがよくある。男に惚れられる男は、男の中の男であると聞いたことがあるが、はたしてそうであろうか。どうもそうではないように思う。そういう男性は女性に対しては必ずしも、男の仲間に対するほどには心やさしくないからである。これは文化的影響のほかに、その男性の個人的事情によるのである。
運悪く、こういう男性と一緒に人生をすごすはめになった場合、どうすればよいのか。離婚できないのであれば、まず自分の考え方をかえるのである。
「私はこの男の妻である」と思っているから、妻として扱ってくれない不満が生じるのであ。しかしよくよく考えてみれば、こういう男性は夫という役割をこなすには不適なのである。つまり実質的には夫でない。したがって私も妻である必要はないと考えることである。妻でありたいのはヤマヤマであるが、妻たりえないのが実情である。そこで思い切って「私はこの神経症的な男の看護婦である」とか「私はこの問題児のカウンセラーである」と、自分の立場をガラリとかえるということになる。
ひと頃ウーマン・リブの運動が盛んだった。男性支配の世界に対する女性たちの自己主張の運動であった。その旗頭のひとりがベティ・フリーダンである。私たち夫婦が留学中の1960年代は、フリーダンの『新しい女性の創造』三浦富美子訳、大和書房、1965年がベストセラーであった。
ところが彼女は、1970年には自らの創設した全米女性機構NOW(National Organization of women)の初代会長を辞任したという。それは、彼女が男性に挑戦する立場から男性と協調する道を模索しはじめたからだ、と国際女性学会(代表幹事・岩間寿美子)は解しているようである。6年余りのアメリカ滞在の経験から、私たち夫婦もこの解釈は妥当だったと思っている。男女の対立抗争は日常生活を荒廃させ、孤立を促進したと思う。
男はつよいと思って憎まれ口を平気でいう女性がいる。男はニコニコ笑ってきいているので、ますます調子に乗ってしつこくやりこめる女性がいる。
あるときそういう男が相談に来た。一晩中女性に問い詰められて、解放してもらえないことが何回もあるという。恋愛関係でない。女性(30歳)はその男性(60歳)に父を求めているらしい。私はその女性に手紙を書いた。
多くの女性は、男性が女性に何を期待しているのか、女性がどう振舞えば男心をそそるかに関心があると思う。男は男で同じことを女性について考えている。一人前のおとながティンーン・エイジャーなみの関心をもつことに苦笑するかもしれないが、これは大事なことである。こういう関心があるがゆえに、自分は男である。自分は女であるというアイデンティティを保つことができるのである。
異性にもてるもてないは、酒のつまみ以上に意味のあるトピックである。というのは「もてる、もてない」というのは男性のアイデンティティ、女性としてのアイデンティティを定めるのに有効な体験だからである。
男が男としての自分を自覚するのは性感情においてであるといった。そして男は女に何を期待し、女は男に何を期待しているかを述べてきた。さて、そこで第三にふれねばならないことは、男自身は女性に対してどうしたいと思っているかである。
たいていの男性は、何とかして女性に性的快感を与えたいと思っている。男性は自己本位だと思っている女性が少なくないが、男性はセックスに関する限りそれほど自己本位ではない。さっさと果てしまうのは生理的なことで、心理的に少しでも長持ちさせようと願っているのである。
男は誰でもガールハントには積極的なものだと思うのは間違いである。男というものは、女性が期待しているほど積極的ではない。むしろ男は男女関係について非常に慎重である。つまり臆病である。街を歩いていて男に声をかけられたとか、電車の中でしつこくアプローチしてくる男に閉口したとか語る女性がいる。しかし、それはごくごく一部の男性である。大部分の男はその逆である。手も足もだせずイライラしているのがふつうである
男性と人間関係をもつための契機はどうやってつくればよいのかと女性は問う。その原理は次の三つになると思う。
第一は、男性がひとりになっているときをねらえ、である。女性もそうであるが、男性もグループのなかにいるときと、自分ひとりのときとでは心理状態が違うのである。仲間と一緒にいるときは、特定の女性に関心を示さないようにするのがおとなの常識である。
男児は金太郎のようにつよくあらねばならぬというビリーフをうえつけられている。それゆえ、かなり無理して男らしく振舞っているところがある。こういう心理傾向をこの本では「金太郎コンプレックス」と命名した。
本章では、男は金太郎コンプレックスから解放される必要があるということを主張したい。
これからの女性は自己主張的になるはずである。むかしのように泣き寝入りしなくなる。イヤなことはイヤというようになる。離婚の申し立ても女性の側からのそれが増えてくるとか、少女の暴力非行が増えているとかは、今後の女性の攻撃性の外向化を暗示していると思う。
ところが、女性の外向化をイヤがる男が少なくない。自分は浮気している癖に、女性の浮気を許容しない男の心理がそれである。喫茶店で女性が割り勘でいこうというのをイヤがり、自分で払う男。つまり男のなかにはいつでもどこでも常に男が優先でないと気がすまない人がいる。女性を服従させたがる男である。
女性に警告しておきたいことがある。それはどんな好きな男性でも、やがて絶望することがあるということだ。目下恋愛中の女性は、そんなこと信じられないと思うだろうが、だいたい次のような事情からそうなるのである。
? 「私つくる人、あなた食べる人」
男としてはどうするのがよいのか。
まず、今の世の中はむかしのように、オレは男だ! と力む分野がだんだん少なくなっていることを認識することである。オレは男だ! と支配性を頼みにするがゆえに、支配されると不愉快になるのである。はじめから男女が協力して生きていくのだというコンパニオンシップに徹すれば、「ええい、面倒だ」となげやりにはならない。男女の性別と無関係に、あることをできる状態にあるほうがすればよいわけである。
「男のアイデンティティ」
男のアイデンティティ」 11章
人生とは欲求充足のプロセスである。ところが女性はその欲求を満たすのに男性に比して障壁が多い。身体的なことならまだあきらめもつくが、その障壁が「人災」ならば腹が立つのは当然である。この人災による障壁を性差別というのである。
母親からの離脱――稚心を去れ
不惑の年になっても、人に自分の母を語るときに「私の母さんが…」という人がいる。これは母定着のしるしである。心理的離乳が未完成のしるしである。一人前の男になるということは、母定着から卒業することである。稚心を去ること、これが男らしさの第二の特性である。
これからの時代の男らしさの第三の特性として、やさしみの情をあげたい。
精神分析学者サティ(『愛と憎しみの起源』黎明書房)のことばに、テンダーネス・タブーというのがある。男というものは、やさしさを表現することをためらう傾向があるというのである。それは文化が男のやさしさ(tenderness)を忌避(きひ)したからである。
◆ 男性の自己中心性
Q:男性のエゴ(この場合は自己本位の意)をあげるとしたらどんなことが一般に言えるでしょう。
A:男性は一般的に仕事志向、地位志向ですから、人の業績でも自分のもののような顔をしたがることだと思います。注意深い上司はかなり意識して「これは部下の○○君の功績です」とトップに報告します。意識しない限り、ついうっかり自分だけの手柄顔する傾向が男性にはあるようです。
それゆえ男性のエゴは女性のわがままは少し違ったエゴです。対照的にいえば男性のエゴは競争心(攻撃性)、女性のエゴは甘え(愛情欲求)が主流を占めていると思います。
Q:女性はつき合っている人がひとりいたら、他の人には目を向けないことが多い。ところが男性は他の女の人とつき合うことができます。どうして両天秤をかけられるのですか
一般に男の離婚といえば、結婚したい女が別にいたという気なしが浮かぶ。離婚は男の得手勝手。古女房に飽きたので新しい女が欲しい。男の再婚には、そんな不義の匂いがある‥‥。しかし、彼の場合は違った。話題になった有責配偶者からの離婚請求ではなかった。
「その点はお互い誠実なものでしたよ。家内だってなかったと思います。彼女はぼくがパートナーでなきゃいい女房だったでしょう。社交的で明るくて、おしゃべりが好きで、八百屋のおかみさんにでもなっていたら、最高だったんじゃないかな」
八百屋さんは怒るかもしれないが、彼はそう言った。彼は若い頃、妻のお喋りがもとで社宅に居られなくなり、転職したこともあるという。亭主の足を引っ張ると、彼は何回もいった。恋愛結婚だったが、いいところだけ見て、悪いところを見なかった。以来、パートナーをも違えたと思い続けていたという。
「シャツのボタンを掛け違えてしまったという。その違和感はずっとありましたね」
掛け違えてしまったボタンをかけ直したい、それには全部一度外してしまおう、彼はじっくりと計画を練っていたのだった。
そこまでして手に入れた離婚。財産と引き換えの自由があったけれど、やっぱり離婚してみると、衝撃は大きかった。何もかも虚しくなって、生きる張りを失った。
血よりも濃い関係
“まま母”、この言葉ほど、私を傷つけた言葉はない。白雪姫にしろシンデレラにしろ、まま母は意地が悪く、最後に復讐される存在だ。なさぬ仲の母娘の関係を、これほどの偏見の目をもって、幼い子供の魂に焼き付け、差別を再生産していた童話ではないのだろうか。
後妻、後添え、まま母、これらの再婚関連の言葉は、その状況にある女を一段と貶(おとし)めるものとして、広く人々の口にのぼってきた、後妻。後添え、まま母は、世間では肩身が狭く、控え目に生きなければならなかった。
親に認められなかった結婚。五十四歳の娘の再婚におびえた七八歳の母。母親とは、いつもいつも愛を持って娘の幸せを願うとは限らないのだ。それを親のエゴイズムというのか、老いの無残というべきか、私は言葉にならない衝撃で沈黙する。
子供に縋らないで老いの自立を全うするには、何が必要なのだろう。親はどう生きればいいのだろう。親を愛しているがゆえに、男を愛してしまったゆえに、身も心も二つに分かれて、その結果の通い婚だった。
それにしても、彼女は自活できる十分な収入がありながら、それでもやっぱり結婚というこの煩わしさを伴う関係に入りたかったのだろうか。母親の反対を押し切ってまで。それが私の質問になった。
「再婚は確実に新しい時代を迎えたと思いましたよ。昔風なイメージでいえば、再婚は生きるために止むを得ないというような不幸の衣をまとっていた。そういう社会の目や世間の口があったと思うの。
ところが現在、再婚は不幸の衣どころか、ある種男の器量、女の器量を証明するものとして、再登場してきた。
再婚に対する意識や世間の目も、この半世紀ずいぶんと変わったように思います。夫婦生活六〇年時代は、若き日の決断を一生背負っていくことを難しくしました。結婚の意味や夫婦の向き合い方が、現代ほど問われている時代はないと思います
沖藤典子著沖藤典子著 第二 「お父さんは夜中に来なくなったの。あの呻くような声が聞けなくて、寂しかった」
第三 「私、二回目のセックスで、もうイクことを覚えちゃったんです」
第四 「悔しいのは、客とやってて、いっちゃうこと。体が反応しちゃうんだ」
第五 「一日のノルマは三本。それが限界」
第六 「初めて男の勃起したモノを見たときは、声を張り上げそうなくらい感動しちゃった」
第七 「夜の仕事はしばらく続けていくつもり。でもね、『一体どこで狂ってしまったんだろう』とたまに考えるよう」
第八 「後悔してないんだけど、お客に体を触れられる度に母親の声が聞きたくなるの」
第九 「AVの仕事をして変わったのは、プライベートのエッチで『電気消して』って言わなくなったことかな」
第十「風俗に来る男の人をみても、ただ出しに来るんじゃないって分かった。みんな誰かと話したいんだよ」
第十一 「私はみんなの笑っている顔がみたいんだ。人って、笑っている時がいちばん人間らしい」
第十二 「この仕事をやりながら、生きるヒントを探しているのかもしれないね」
第十三 「乱交プレイとている最中に、友達から携帯に電話がかかってくる時は、さすがに困るよ」
第十四 「子供が小学校の作文で『お母さんは、お風呂がいっぱいある所で働いてます』と書いてしまったんや」
第十五 「SMって究極の愛だよ。殴られても蹴られても、喜んでるんだからさ」