日本大使館前から慰安婦像が撤去されるまで、韓国政府が元慰安婦支援の事業を行うために設置する新財団に政府予算10億円を拠出しない方針を固めていることが30日、分かった。そうした方針は28日の外相会談や事前協議で韓国側に伝えていたとみられる。

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日本10億円拠出の条件 韓国 報道は完全な捏造

慰安婦問題に関する日韓合意で、在ソウル日本大使館前などに設置された慰安婦像をめぐって、日韓両政府の駆け引きが早くも表面化している。

日本政府が、日本大使館前から慰安婦像が撤去されるまで、韓国政府が元慰安婦支援の事業を行うために設置する新財団に政府予算10億円を拠出しない方針を固めていることが30日、分かった。そうした方針は28日の外相会談や事前協議で韓国側に伝えていたとみられる。
外相会談では合意内容の詳細は明らかにされていない上に、正式な合意文書も作成されていない。慰安婦像撤去も韓国政府の努力目標にとどまっているが、これまで韓国政府は国内世論に押され何度も手のひらを返してきたため、「最終的かつ不可逆的な解決」のため慰安婦像撤去という明確な行動を促す狙いがある。

一方、韓国政府当局は30日、日本が慰安婦像の移転を前提に10億円を拠出するとの報道について「完全な捏造」と強く批判した。 聯合ニュースが伝えた。
また、韓国の尹炳世(ユンビョンセ)外相は30日、合意に絡み「誤解を招きかねない日本の言行」の自制を望むと韓国記者団に話した。

◆米、韓国系に自制促す

【ワシントン=青木伸行】米国務省のトナー副報道官は29日の記者会見で、慰安婦問題をめぐる日韓合意を受け、慰安婦像の設置などを推進する米国内の韓国系団体に対して「合意と完全な履行を支持するように望む」と述べ、自制を促した。
米国ではカリフォルニア、バージニア、ニュージャージーの各州などで韓国系団体が、慰安婦碑・像の設置活動を活発化させてきた。さらに、公立学校の教科書に「日本海」と「東海」を併記する法律を成立させたり、公立高校のカリキュラムに慰安婦問題を盛り込む動きを見せたりするなどし、米国はいわば、海外における歴史問題の“主戦場”と化している。

米政府はこうした事態を憂慮してきた。また「状況を改善するためには源(日韓両政府)の関係改善が先決だ」(政府筋)として、日韓両政府に慰安婦問題の解決を強く促してきた。米側の“圧力”も日韓の合意に結びついたと認識している。
トナー氏は「合意の政功には、市民社会の支持が極めて重要だ」と強調した。合意を契機に、問題の鎮静化を図りたい考えだ。
2015/12/30日 産経新聞

韓国が日本への軟化を見せ始めた。

この動きは明らかに米国の対韓姿勢の変化を大きな要因としている。オバマ政権内外で韓国の反日ぶりがあまりに理不尽とする認識が広がってきたのだ。その有力な例証の一つは韓国官民の反日傾向を病理的な「強迫観念(オブセッション)」とまで分析した米国学者の最近の論文である。

 ワシントンのアジア政策関係者たちがいま注視するこの論文は「なぜ韓国はここまで日本に妄念を抱くのか」とのタイトルで、東アジアの政治や歴史を専門とするロバート・ケリー氏により書かれた。「ディプロマット」というアジア外交問題雑誌に今月載り、米国側専門家のネット論壇でもすぐに紹介されて、一気に熱い反響を生んだ。

 米国オハイオ州立大学で政治学の博士号を得たケリー氏は現在韓国の釜山国立大学准教授を務める。
 ケリー氏は同論文で近年の韓国暮らしの体験からまず「韓国で少しでも生活すれば、韓国全体が日本に対し異様なほど否定的な執着を抱いていることが誰の目にも明白となる」と書き出し、「異様な反日」の実例として韓国の子供たちの旧日本兵狙撃遊びから日本軍国主義復活論や米国内での慰安婦像建設ロビー工作までを指摘する。
 そのうえで同氏はこれほどの官民一体の日本たたきは70年前までの歴史だけが原因とは思えないとして以下の骨子の説明と分析を述べていた。
「韓国の反日は単なる感情や政治を超えて、民族や国家のアイデンティティー(自己認識)の自分中心の探求に近い」
「だが民族の純粋性を強調することでは北朝鮮には劣ってしまい、国家の民主主義を強調することには人的コネや汚職が多すぎる」
「だから日本を悪と位置づけ、たたき続けることが韓国の民族の純粋性のレジティマシー(正統性)誇示の絶好の方法となる」
「韓国の国家や民族の正当性の主張は韓国の存在自体を否定する北朝鮮に向けられるべきなのに、日本たたきを代替えの安易な解決法としているのだ」

 日本の政治家や学者が同じことを述べたら大変な事態になるだろう。だが米国側ではいまの議論ではこうした分析への賛同が明らかに増えている。ケリー氏自身がこの5月には「日本の『韓国疲れ』がついに米国でも広がり始めた」という論文を発表したほどなのだ。「韓国疲れ」とは「韓国の文句はもううんざり」との現象を指す。

 事実、オバマ政権のウェンディ・シャマン国務次官は最近の訪韓で歴史問題について韓国には注文をつけ、韓国側の反発をかった。ブッシュ前政権の国家安全保障会議でアジアや韓国を担当したビクター・チャ氏やマイケル・グリーン氏も最近は韓国の対日姿勢への批判をにじませるようになった。

 さらに興味深いのは慰安婦問題で日本を長年、たたいてきたコネティカット大学のアレクシス・ダデイ教授が韓国政府高官に「朴クネ大統領の訪米では日本に触れないことをワシントンも望んでいる」と助言したとの報道だ。
 日韓関係の真実がやっと米国側でも知られてきたということだろうか。
 015年6月28日産経新聞=ワシントン特派員=

韓国の歴史認識に潜む尚古主義

 過激化する「衛正斥邪」
 反日の国家的扇動により戦後最悪の日韓関係を醸成した朴クネ政権は6月21日、尹炳世外相を日本に送り、日韓外相会談を行った。
 会談では「明治日本の産業革命遺産」の世界遺産への登録をめぐり、韓国の「百済の歴史地区」とともに登録されるよう、日韓両国が協力していくことで一致した。

 「百済の歴史地区」とは5月4日、国連教育科学文化機関(ユネスコ)の諮問機関である国際記念物遺跡会議(イコモス)が、韓国の広州・扶餘・益山の百済時代を代表する遺産を網羅する「百済歴史遺跡地区」を世界遺産に登録するようにユネスコに勧告したもので、ドイツで開催される世界遺産委員会で登録決定の可能性を探っていた。つまり、今回の両遺産申請抱き合わせ韓国が日本に妥協するための苦肉の策だった。

 さらに、日韓の国交正常化から50年となる6月22日、東京とソウルの行事には朴クネ大統領が出席した。すなわち、韓国は事ここに至り、日韓基本条約の基本線にもどり、日米の協力のもとに築き上げた、戦後自由経済と自律との並立への回帰を余儀なくされたのである。以後韓国は、唯一の自律の表現であった「反日」のトーンを下げざるを得ず、日米という外国勢力の下で逆に一層他律的になることだろう。

 北朝鮮のような外国無視の「自律」を正当性の表現と見る韓国の従北勢力は、3月に「生麦事件」のごときリッパート駐韓大使襲撃事件を起こし、「反日」から「攘夷」へ外勢排撃へのトーンを上げている。外資占有率が50%を超える企業が、毎年4月期に外国人投資家に行う配当が、韓国の国民生産の国内消費を無化してしまう。

 彼らにとって経済植民地と化した「南朝鮮」は他律そのものであり、韓国を自律の道へと導くべく、行動はさらに過激化するものと思われる。民族の行動パターンとしてはこれを「衛正斥邪」(えいせいせきじゃ“正道をまもり邪道を撃退する”)という。

 墳怒が向けられる可能性

 彼らの自律と他律をめぐる悲哀は、行き止まりの「廊下国家」という不運にある。自律を取れば李朝や北朝鮮のように国境を閉ざし防衛経済に転ずるしかない。その代りに国内は貧窮化する。国を開き、外資を呼び込めばやがてはのみ込まれ他律的になる。

 だが、同情してはならない。今回の世界遺産申請抱き合わせでもわかるように、その自律行動は、ゴネ、イチャモン、タカリという至極低劣な、「民族の最終独立兵器」によって全うされるのが常だからである。だからこの点に関しての彼らの「恥」意識は存在しないのだ。むしろ今後、さまざまな要求を抱き合わせてくる可能性がある。わが国が注意しなければならないことはむしろこちらの方で、他律的にされたとして嫉妬と憤怒を向けてくるかもしれない。
 現在、世界政治を俯瞰(ふかん)するに、「尚古主義」が華やかである。中国の「中華の夢」、ロシアの「ソ連復興」、ムスリムの「カリフ制再興」、これらは単なる戦略ではなく、本当に昔は良かったと思い込んで行動に移しているである。「漢代には南シナ海も東シナ海も中国のものだった」と、本当に思い込んでスプラトリーに人工島や軍事拠点を造っている。
ロシアも同じ尚古主義でウクライナからクリミア半島をもぎ取った。
「イスラム国」に至っては悲願の「カリフ制再興」を実践に移し、イラク・シリア国境を廃棄させ、国境画定のサイクス・ピコ協定を無化しようとしている。

 示された人権意識の停滞

 尚古主義とは、江戸末期を生きた祖父が、明治生まれの孫に「昔は食べ物がもっとうまかった」といい「ライスカレーも?」と孫に問われると、「そうだ。オムレツもだ」と、さらに過激化していくような主義のことである。

 孫はそう思い込んで仮想の復興に邁進(まいしん)する。日本で「歴史認識問題」とか「歴史戦」とかいわれている国際問題の根底にあるものは、実は前近代エストたちのもつ「尚古主義」との戦いなのである。
 現在ではこれが主権国家の領域を破壊するほど危険になっていることを、われわれは中国・ロシア・「イスラム国」の現在から透視しなければならないだろう。

 さて、韓国である。日本統治時代の対日協力者子孫の財産没収を求める法案の国会成立から、加藤達也産経新聞ソウル支局長の在宅起訴に至るまでの法治主義の崩壊、セウォル号沈没やMERS感染拡大は自然災害でなく人為的な事件であり、韓国人の人権意識の停滞を明示している。

 近代化に失敗した韓国には、大国のごとき危険な尚古主義は果せないまでも、歴史認識に名を借りた卑劣な尚古主義による攻撃がこれからも繰り返されることになろう。わが国では先般、参議院予算委員会で三原じゅん子参議院議員が「八紘一宇」という古式ゆかしい言葉を用いたが盛り上がりもしなかった。これが健全な近代の成熟と近代化の終了である。 産経新聞015/06/29日 筑波大学院教授 古田 博司

 韓国の朴教授の起訴 自由な議論を封じ不当だ

▼ソウル東部地検は18日、新著の学術研究書で慰安婦は日本固有の制度ではないと指摘し、朝鮮半島での強制連行を否定した世宗大の朴祐河(パクユハ)教授を名誉毀損(きそん)罪で在宅起訴した。地検側は「秩序の維持などのためには言論の自由や学問の自由は制限される」と主張する 

▼とはいえ、学術研究で維持できなくなる秩序とは何なのか。朴氏起訴について、菅義偉官房長官は20日の記者会見でこうクギを刺した。「いかなる国であっても表現の自由が確保されることは極めて重要だ」
朴祐河(パクユハ)教授の著書『帝国の慰安婦』は一昨年、韓国で出版され、話題になった。

 韓国では慰安婦を強制連行された「生奴隷」とする見方が広められ、言論界も異論を唱えにくい。そうした風潮の中、朴教授の著書は、帝国主義時代に慰安所が世界各地にできた歴史的背景や多様な境遇にあった慰安婦の実態を踏まえた議論により、日韓の理解を深めることを意図としたものだ。

 構成などを変えて日本向けに書き下ろされた同名の日本語版が朝日新聞出版から昨年刊行それ、「石橋湛山記念早稲田ジャーナリズム大賞」の文化貢献部門に選ばれるなど、一定の評価もある。

 もちろん、朴教授の著書内容に賛否はある。しかし、事実を踏まえて学問的に反論、議論を重ねることによって学問的に反論、議論することによって学術は発展してきたのではないか。
 ソウル東部地検は「虚偽の内容で被害者らの人格権と名誉毀損を侵害し、学問の自由を遺脱している」とした。しかし同書は特定個人を非難したものでなく、一部記述を捉えた判断は不適切だ。

 朴教授が「誤読」だと反論したのは当然である。
 検察は「言論と出版、学問の自由」について「韓国憲法が保障する基本的権利」だとし、制限できるのは秩序維持や公共福利のため必要な場合、「自由と権利の本質的な部分を侵害しない範囲内」と述べている。 「秩序維持」に偏りすぎた判断ではないか。

 検察が「虚偽」とした根拠も問題だ、1993年の河野談話や、96年の国連人権委員会のクマラスワミ報告などが「客観的資料」とされた。だが、河野談話は根拠なしに作文された政府的妥協の産物である。
 クマラスワミ報告も、引用した「慰安婦狩り」に関わったとする吉田清治証言はこれを紹介した朝日新聞も虚偽であるとして誤報と認めた。依拠する豪州ジャーナリストの著作も誤りが多い。
 到底、客観的証拠とはいえず、起訴の根拠とはなり得ない。 

 産経抄

 拓殖大の呉善花(オソンファ)教授は

平成9年、故郷である韓国・済州島の実家や親類の家が、公安に一斉に家宅捜索されるという理不尽を経験した。日本での慰安婦問題のパネルディスカッションで、こう語ったことが理由だった。「貧困家庭の親が娘を売ったという話は少し聞いたが、強制連行の話などなかった」

▼済州島といえば、吉田清治と名乗る「詐話師」が、大々的に女性狩りを行い、慰安婦にしたと証言した現場である。そこで生まれ育った呉氏が、強制連行を聞いたことがないという事実は、よほど韓国にとっては不都合だったのだろう 

▼韓国の性搾取問題の研究者、金貴玉(キムギオク)氏はかつて韓国陸軍本部の公文書から、朝鮮戦争当時の韓国軍が、慰安婦を「第5補給品」として支給していた記録を発掘した。金氏は、朴正煕(パクチョンヒ)政権による米軍慰安婦の管理政策に関する研究結果も発表したが、韓国政府は関連資料を禁書化するなどして周知を阻んでいる。
 ▼韓国メディアが対日批判の際に好んで引用するワイツゼッカー元独大統領の演説は、こう説く。「過去に眼を閉ざす者は結局のところ現在にも盲目となる」。むしろ、韓国の姿勢にこそぴったりと当てはまりそうである。

 極左がリベラル?

 ところが、日本ではむしろ、極左がリベラルを名乗るから困る。日本の自称リベラルは、極端な環境規制、高い税負担拒否と福祉充実、自国の歴史の否定と中韓などの国粋主義への迎合、日米の防衛力整備への反対と周辺国の軍国主義化への無警戒、イスラム過激派へのエールなど思想的には支離滅裂である。

 どうも、自民党政権とかアメリカといった嫌いなものが先にあって、それが嫌がることは何でも応援するという発想と、どういう国をつくるかへの無定見とが際立ち、非常にユニークな「極左」だ。

 一方、極右とは、極端な国粋主義、特定の宗教思想の押しつけ、言論の自由への強い規制、経済統制などが特色だ。安倍首相まで極右扱いする自称リベラルがいるが、日米安保堅持。TPP推進がどうして極右なのか理解できない。外国軍隊の駐留や経済共同体の形成というのは極右が最も嫌う政策であって、それを支持する安倍首相は普通の保守派だ。

 逆に「報道ステーション」にリベラル保守とか自称する学者が出て、「グローバルリゼーションは国家主権の目減りで民主主義と相性が悪い」とか言い、古舘氏がしきりに頷(うなず)いたが、これはヨーロッパでは典型的極左ないし極右の主張だ。

 そこで気づくのは、東京の地上波テレビ局では、政府より右寄りの言論はほとんど封じられていることだ。安保法制と不可分の関係にあった戦後70年談話が論じられている時。「報道ステーション」に出演した朝日新聞の記者が「誰もが納得できる戦後談話を」と言ったので驚いた。
 この記者にとっての「みんな」には、国内の保守派も海外の親日派もいらないようだった。自民党議員や支持者には保守派も多いが、現実に自民党政権の取って来た政策は、野党の配慮や連立与党である公明党の意向を反映して中道左派的リベラルなものだ。

 「正義」を誘導
 保守派には当然、不満がある筈だが、そういう意見の持ち主はほとんどテレビ出演の機会も与えられない。テレビで紹介されるのは、政府の政策とそれに対する左からの批判だけなのだ。
 個別のテレビ番組が左派的な傾向で構成されていても構わないと思う。大事なことは、様々な意見ができる限り広く紹介されることだ。そして、テレビ局の場合は、放送法で中立性が要求されているから、個々の局全体のとしてバランスが取れていないとすれば法の趣旨にも反する。
 また、古舘氏が批判を浴びるのも当然だと思うのは、極端な意見に相槌を打ってほかに正義はありえないと言わんばかりの誘導をすることが多いことだ。それは、かなりトリックに近いもので、テレビショッピングの番組の中で悪辣(あくらつ)なものとしてよく使われる手法に非常に似ている。
 =八幡 和朗氏 (やわた かずお) 徳島文理大学教授、評論家
昭和26年滋賀県生まれ、東大法学部卒。通産省に入省、大臣官房情報管理課長、など…歴任。=

 朝日新聞の偏向報道誘導手口の悪辣さ・そして他の新聞報道によって民衆が如何に踊らされ判断を間違ったかをここに転載する。

斎藤実内閣が満州国を承認した昭和七年(1932)年9月15日《夕刻、満州国承認祝賀のため、在郷軍人・青年団・女学校生徒その他約四万人の旗行列が宮城二重橋前広場において万歳を三唱する。【*=昭和天皇実録19巻127頁引用】

 昭和天皇は、国際社会が反発する満州国を承認したことで日本が孤立し、国民が戦争の危機にさらされることを優(うれ)えている。宮城前に響く万歳の声を、どんな気持ちで聞いたことだろう。

 満州事変について、リットン調査団の報告書が日本に通達されたのは10月1日のことだ。その内容は、現在から見れば決して日本に不利なものではない。だが、すでに満州国を承認してしまった以上、政府が妥協できる余地は極めて限られていた。

 報告書では、満州事変における日本軍の行動を「正当な自衛手段と認めることができない」と否定する一方、満州には「世界の他の地域に類例をみないような多くの特殊事情がある」として、日本側の権益を大幅に認めていた。
 また、中国側の「ボイコット(排日活動)」を不法行為として、満州に自治政府を設立すること、主権は中国にあるものの、複数の外国人顧問を併用し、その多数を日本人が占めるべきだと提案した【*=渡辺昇一編「リットン報告書」】
 中国に「名」を与える代わりに、日本に「実」を取らせる内容とも言えるだろう。

 昭和天皇は、外交交渉に望みをつないだ。

 10月3日《内大臣牧野伸顕をお召しになる。いわゆるリットン報告書が(中略・国際)聯盟に提出された以上、如何ともし難きため、聯盟の問題なれば、なるべく円満に解決するように希望する旨を外相に伝えたこと等を内大臣に語られる》【*=昭和天皇実録19巻136頁引用

 政府も、何とか外交交渉の糸口を探ろうとした。しかし、加熱した新聞報道がその足を引っ張った。
 元老私設秘書の原田熊雄によれば、外務省はリットン報告書の発表に際し、「できるだけ穏便な態度を以って臨む」という方針で、新聞各社に「決して号外は出さないやうに」と申し入れたが、「『東京日日』『大阪毎日』は号外を発行し、しかも相当に報告書の内容をこき下してゐた」という。

「『朝日新聞』の如(ごと)きは、閣議でも閣僚達がその(リットン報告書の)内容について頗(すこぶ)る憤慨したといふやうな意味を大きな活字で発表してゐたので、総理に電話をかけて事実の実否をただしたところ、『いや、全然ない。あれは新聞が勝手に書いたのであつて、あゝいふうことはちつともなかつた』との返事だった」【*=原田熊雄述「西園寺公望と政局」2巻378〜78頁引用。
 新聞報道にあおられ、国際連盟批判に傾く国内世論―。
それでも、昭和天皇はあきらめなかった。元凶である軍部の暴走を、自ら抑えようとするのだ。
(産経国際書会)

 つづく 明治日本にとっての朝鮮